戦国BASARA/エロパロ保管庫

影身に添う・壱7

最終更新:

momo

- view
メンバー限定 登録/ログイン
それから諜報活動の仕事が入って奥州を留守にする日が続き、久しぶりに小十郎に張り付いた風魔は畑に来ていた。
林の木の上で幹にもたれて、畑仕事に精を出し額の汗を拭う小十郎をじっと見つめる。
年老いた農夫の代わりに力仕事を進んで行い、時折まとわりつく百姓の子供にも愛想よく応対している。
休憩中に、お茶の入った湯呑を差し出す娘の頬が赤く染まっていることには、気がついていない様子だった。
平和な昼下がりの光景に、自然と風魔の瞼が重くなった。
が、鳶の羽ばたきに、ハッとして目を見開く。
――気を抜きすぎだ。
伊達との契約終了まで、あと八日しかなかった。

野良着姿のまま屋敷へと帰る小十郎の後をつける。
背中に背負った竹かごの中には、今日収穫した野菜が入っている。
「今日の晩飯は茄子の煮浸しだ。うまいぜ」
帰る間際に、近距離にいる風魔に気付いた小十郎が、独り言のように呟いたのを聞いた。
もう待てないと風魔は思った。
今なら相手は丸腰だ。
背後から頸動脈を一突き。
それだけでいい。

軽く跳躍して、広い背中に迫る。
竹かごから野菜がごろっとこぼれ出た。
「てめえ、最近やけに殺気立ってると思ったら、まだ諦めてなかったのか!?」
右腕を捻られ、眼前で怒鳴られた。
またも風魔は失敗した。
思わず舌打ちして身をひるがえし、左手の刀で心臓を狙う。
と、踏み出した足が何かを踏んで、ずるりと滑った。
「!」
茄子だった。

「野菜を粗末にする奴には仕置きだ」
地獄の底を這うような声。
身を怯ませたところで、風魔は両腕を取られて脇道に引き込まれた。
無理やり歩かされながら、野良着をたすき掛けにしていた紐で両手首を縛られる。
その隙に脛当に仕込んだ刃で反撃を試みるも、脇腹に肘鉄をくらって地面に倒されてしまった。
「本当にお前は、油断も隙もねえな!」
眉間にしわを寄せた険悪な表情で風魔を見下ろす小十郎に、今度は軽々と肩に担ぎあげられる。
どこに連れて行かれるのかと思えば、草の伸びきった細い道の奥に、遷座された昔の小さな社がひっそりとたたずんでいた。
その埃っぽい板の間に、風魔は乱暴に転がされた。
手首を縛った紐の余りが、社の柱に縛り付けられる。
殺すつもりであればすでにやっているはず。
となると、これからの展開は一つしかない。
風魔は悔しさに歯ぎしりした。



ウィキ募集バナー