戦国BASARA/エロパロ保管庫

しのみて夢一夜3

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momo

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「佐助」
「なに」 
「少し髪が伸びたな」
「ああ、そろそろ切らなきゃ」
あの花冷えの頃はとてもとても恋しかったというのに。
「なに」
ぼうっと、とある風来坊いわく恋をしている瞳で遠くを見つめていたはずの旦那がなぜか俺の方を見ている。かなり見られている。
ぐりぐりとした大きな瞳で見つめられると本当に穴があきそうで怖い。
ことん、とお盆の上に茶碗を置いて、自由になった旦那の手がこちらに伸ばされる。
肩に少しかかっている俺の髪を怖々と掬いあげて、もてあそぶ。
「いや、これだけ髪が長いお前を見るのは初めてだなと」
「そう?まあ世間一般の女に比べたら短いですけどね」
一般的な女の麗質といえばやはり髪だ。まっすぐで、つややかにながれる黒い髪。
戦国一の美女と謳われるお市の方なんて、まさに世間の女たちの理想を具現化したような美しい髪をしていた。
同郷だったくのいちは少し変わった一部だけ長い髪形だったが、水のように流れるまっすぐな金糸は何時までも見ていて飽きない。
髪が短い女は、大体は尼など女を捨てた女だけだ。
佐助は生まれた時から間違いなく女だったが、幼いころから修行の邪魔だからと髪を伸ばしたことはなく、年頃になっても女働きは無理だろうという師の判断から男のようななりで働いていたので、一度も髪を伸ばしたことはない。
まあ、伸ばしても悲惨なものだろうなとは思う。
別に目を覆いたくなるような醜い容姿をしているわけではない。
よく女たちから「お兄さんいい男ね」と声をかけられるのだからそれなりの容姿をしているのだが、そこに女らしさというものがかけらも見当たらないだけなのだ。
髪だって、異人のような獣のような赤毛で、さらには放っておけばふわふわと奔放に跳ねて、まさに伸ばし甲斐というものがない。
肩にかかるまで伸びた髪は汗で首筋に張り付いて、気持ちが悪い。
切らなきゃ、ともう一回言うと、なんで旦那は変な顔をするんだろう。
あんなに恋しかったのは、寒かったせいだ。
だって汗ばむほどに暑いこの季節は、俺は全然あんたに逢いたくない。

一匹いれば三十八匹いるってだれかがいってたけど、三十八匹しかいないんならその方がよかった。
一匹ずつ潰してまわればすぐに終わる、けれど潰した端からまた三十八匹ずつ生まれてくるんじゃないだろうか。
つまり俺が一匹見つけるたびに乗算で増えていくのだ。
ああいやだいやだ。考えたくない方向に考えちゃうのは俺の悪い癖だ。
まあすぐにいなくなられちゃこっちが困る。なにせこういう奴らが俺たちの飯の種なんだから、あっという間に諦められたり改心されたりしたら俺さま失業しちゃう。
もうちょっと老後に備えて蓄えがほしいところだからね。
え?お前にはお金持ちな旦那がいるだろうって?
確かにあのひと偉くてお金持ってるかもしれないけど、いまは物珍しいし結構使えるからって俺にかまってるかもしれないけど、飽きられたら終わりじゃない?
我ながらがっかりするほどこう…女としての魅力みたいなもんがないからさ、ねえ?



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