「猿飛!貴様はそれでいいのか!主が毒婦にたぶらかされているというのに!」
「どっちかっていうとうちの旦那がたぶらかしたってことになると思うけど」
首謀者たちの一人、きちんと自分で仕事しにくるのはえらいと思うけど、言ってることが頭悪い。
竜の姫さまとうちの旦那、はっきりいって身分が釣り合っていない。
姫さまの方にはうちの旦那を夫にする利益というものがほとんどないのだから、たぶらかしたのはうちの旦那だと世間も奥州の奴らも言うだろう。
だいいち、たぶらかして甲斐をどうにかするんなら旦那じゃなくて勝頼さまとかいっそ大将にした方がいいと思う。
「…忍びとはいっても所詮、おんなか」
「は?え?いきなり俺が批判されんの?ていうか女扱いってひさしぶり」
「だまれ。主従そろって色で籠絡されたか。片倉めの一物はそんなに旨かったか」
口にした途端に四方から降り注ぐ殺気に男が竦んだ。
うん、真田忍び隊は長と旦那が馬鹿にされるとものすごく怒るんだよね。
最後の一人は俺がなにかするまでもなく、傍から見れば唐突に全身から血を吹き肉を寸刻みにされ倒れた。
「まあ、片倉さんのあれがうまいかどうかっていわれたら、すげえうまいよ、ほんと」
一応答えてはみたけど、間違いなく聞こえちゃあいないよな、あれは。
「どっちかっていうとうちの旦那がたぶらかしたってことになると思うけど」
首謀者たちの一人、きちんと自分で仕事しにくるのはえらいと思うけど、言ってることが頭悪い。
竜の姫さまとうちの旦那、はっきりいって身分が釣り合っていない。
姫さまの方にはうちの旦那を夫にする利益というものがほとんどないのだから、たぶらかしたのはうちの旦那だと世間も奥州の奴らも言うだろう。
だいいち、たぶらかして甲斐をどうにかするんなら旦那じゃなくて勝頼さまとかいっそ大将にした方がいいと思う。
「…忍びとはいっても所詮、おんなか」
「は?え?いきなり俺が批判されんの?ていうか女扱いってひさしぶり」
「だまれ。主従そろって色で籠絡されたか。片倉めの一物はそんなに旨かったか」
口にした途端に四方から降り注ぐ殺気に男が竦んだ。
うん、真田忍び隊は長と旦那が馬鹿にされるとものすごく怒るんだよね。
最後の一人は俺がなにかするまでもなく、傍から見れば唐突に全身から血を吹き肉を寸刻みにされ倒れた。
「まあ、片倉さんのあれがうまいかどうかっていわれたら、すげえうまいよ、ほんと」
一応答えてはみたけど、間違いなく聞こえちゃあいないよな、あれは。
秋が過ぎれば冬が来る。
冬が来たらあのひとのところにはいけない。
なのに、寒いからあのひとのことが恋しくなってしまうに違いない。
「というわけであなたの佐助が逢いにきましたよ」
「なにがというわけなのかさっぱりわからん」
しかしこの男の相変わらずの鉄面皮にはちょっと感動すら覚える。
何カ月もあえなかったかわいい妻が夜這いにきたというのにぴくりとも表情筋が動きやしねえ。
天井裏からこっそり忍びこんでも片倉さんの目は覚めなかった。
そりゃあそうだ。戦国で一、二を争うといわれる凄腕の忍びである俺さまが、任務でも出しやしねえってくらいに本気出して忍びこんだんだから。
しばらくうなされてるみたいな厳つい寝顔を眺めてから、ちょっとこんばんはとばかりに布団を剥いで片倉さんの上に乗っかってみました。
さすがにここまですればどんなに気配を殺していても目が覚める。
ぱちりと勢いよく目をあけた片倉さんは、上でにこにこ笑ってる俺をちらりと見てから、あの台詞になりました。
「そこはほら、夫婦の間の阿吽の呼吸で汲み取ってくれないと」
「無理だな」
「ひどいなあ」
もうちょっと頑張ってくれもいいんじゃないと言いたくなるくらいに素っ気ないその言い方が本当にらしくて、俺はこらえきれずに笑い声をあげた。
猿飛逢いたかった、とか抱きしめたり接吻したり笑顔を見せる片倉小十郎なんて間違いなく南蛮とか三河の技術力で作られた偽物だ。
「あのね、俺さまってば、あんたのこれにすっかり誑かされた裏切り者らしいですよ?」
跨った腰のあたりを夜着の上から撫でながら巷っていうか反乱勢力内の噂を暴露してみる。
正常時でも相変わらずの大きさのそれは撫でるだけでなく軽く揉んでみてもあまり反応がなくて、やっぱり商売女か、どこかから送り込まれた据え膳に乗っかったのかと思う。
「事実だろ」
「そりゃあ、まあ」
片倉さんは顔も怖いけどかっこいいし、腕っ節も強いし、わかりづらいけど優しい。けど俺が片倉さんの妻らしきものになった理由は、やっぱりこれだ。
これなんだけど、片倉さんったらどんだけ自信あるんですか。
冬が来たらあのひとのところにはいけない。
なのに、寒いからあのひとのことが恋しくなってしまうに違いない。
「というわけであなたの佐助が逢いにきましたよ」
「なにがというわけなのかさっぱりわからん」
しかしこの男の相変わらずの鉄面皮にはちょっと感動すら覚える。
何カ月もあえなかったかわいい妻が夜這いにきたというのにぴくりとも表情筋が動きやしねえ。
天井裏からこっそり忍びこんでも片倉さんの目は覚めなかった。
そりゃあそうだ。戦国で一、二を争うといわれる凄腕の忍びである俺さまが、任務でも出しやしねえってくらいに本気出して忍びこんだんだから。
しばらくうなされてるみたいな厳つい寝顔を眺めてから、ちょっとこんばんはとばかりに布団を剥いで片倉さんの上に乗っかってみました。
さすがにここまですればどんなに気配を殺していても目が覚める。
ぱちりと勢いよく目をあけた片倉さんは、上でにこにこ笑ってる俺をちらりと見てから、あの台詞になりました。
「そこはほら、夫婦の間の阿吽の呼吸で汲み取ってくれないと」
「無理だな」
「ひどいなあ」
もうちょっと頑張ってくれもいいんじゃないと言いたくなるくらいに素っ気ないその言い方が本当にらしくて、俺はこらえきれずに笑い声をあげた。
猿飛逢いたかった、とか抱きしめたり接吻したり笑顔を見せる片倉小十郎なんて間違いなく南蛮とか三河の技術力で作られた偽物だ。
「あのね、俺さまってば、あんたのこれにすっかり誑かされた裏切り者らしいですよ?」
跨った腰のあたりを夜着の上から撫でながら巷っていうか反乱勢力内の噂を暴露してみる。
正常時でも相変わらずの大きさのそれは撫でるだけでなく軽く揉んでみてもあまり反応がなくて、やっぱり商売女か、どこかから送り込まれた据え膳に乗っかったのかと思う。
「事実だろ」
「そりゃあ、まあ」
片倉さんは顔も怖いけどかっこいいし、腕っ節も強いし、わかりづらいけど優しい。けど俺が片倉さんの妻らしきものになった理由は、やっぱりこれだ。
これなんだけど、片倉さんったらどんだけ自信あるんですか。