意識を取り戻したとき、身体の中心だけでなく、隅々までが重く痛いのに驚いた。
今まで何度となく戦場を駆けた政宗であるが、それさえ凌駕する変調だった。
三振りの刀より重い右手を持ち上げると――不気味なほどくっきりと赤い指の痕が残っていて、げんなりした。
全身くまなくこんな感じなのだろうか。
今まで何度となく戦場を駆けた政宗であるが、それさえ凌駕する変調だった。
三振りの刀より重い右手を持ち上げると――不気味なほどくっきりと赤い指の痕が残っていて、げんなりした。
全身くまなくこんな感じなのだろうか。
(Shit !)
声に出さずに悪態をついて、響かぬようそろそろと身体を起こす。
下手なやり方だが、着物は着付けてくれてある。直すのも面倒で、そのまま目線をめぐらす、と。
下手なやり方だが、着物は着付けてくれてある。直すのも面倒で、そのまま目線をめぐらす、と。
真田幸村が土下座していた。
身体の重さが五割増しにもなるというものだ。
身体の重さが五割増しにもなるというものだ。
「まことに申し訳ございませぬ」
大体、合意である以上、頭を下げる理由などないではないか。
「責任は果たしますゆえ」
「……Cherryかよ」
「……Cherryかよ」
確かに乱暴な口づけであったが、明瞭に覚えているのはそこまでである。
この男の肩をつかんだあたりから、すでにもう危うい。
そんな状況であったから、こんな顔をして案外手慣れているのかと思ったら。
この男の肩をつかんだあたりから、すでにもう危うい。
そんな状況であったから、こんな顔をして案外手慣れているのかと思ったら。
つまり、剣同様に、身体の相性も抜群によかったということなのだろう。虚しいことに。
(熱く熱く、ただ熱かった)
――しかし、この場所で剣を交えたときには、あまりの高揚にその晩眠れぬほどだったのに。
今はただ、熱も冷めきり虚しいだけだ。
敗残者同士が傷口を舐め合うほど不毛なものなどない。
今はただ、熱も冷めきり虚しいだけだ。
敗残者同士が傷口を舐め合うほど不毛なものなどない。
敗残者。時流は変わったのだ。最強を誇った武田も、北から日の本を平らげようとした伊達も。
――そうでなければ。もしもあのとき、剣ではなく身体を交えることになったならば、また別の感情が生まれていたのだろうか?




