「……………」
室内に入ると、元親は周囲を見渡す。
すぐ目に飛び込んで来たのは、ザビー教関連の書籍に埋め尽くされた大きな本棚だ。
他には南蛮渡来の衣装棚や椅子や机…そして寝具。
いくつもの燭台には蝋燭の明かりが煌々と灯っている。
施錠を済ませると、サンデーは元親に向き直る。
すぐ目に飛び込んで来たのは、ザビー教関連の書籍に埋め尽くされた大きな本棚だ。
他には南蛮渡来の衣装棚や椅子や机…そして寝具。
いくつもの燭台には蝋燭の明かりが煌々と灯っている。
施錠を済ませると、サンデーは元親に向き直る。
「さぁ、早う貴様が理解した愛を、一つ残らず今ここで吐くが良い」
「そうだな、でもその前に…」
元親がすぐ傍に有った燭台に息を吹きかけると、細い煙がたなびくと共に蝋燭の炎が消えて、
室内の明度がほんの少しだけ下がる。
怪訝そうな顔をするサンデーを残して、元親は次々に蝋燭の火を吹き消していった。
室内の明度がほんの少しだけ下がる。
怪訝そうな顔をするサンデーを残して、元親は次々に蝋燭の火を吹き消していった。
「貴様、一体何をしておる…
ザビー様は愛を伝道される際に、明かりなど消さぬ」
ザビー様は愛を伝道される際に、明かりなど消さぬ」
「悪ぃな、俺はこういう時は暗い方が落ち着くんだ」
必要最低限の光源だけを残してその他の全てを消してしまうと、室内がほぼ闇に包まれる。
元親は静かに寝具に腰を降ろし、右手で二度三度寝具を叩く。
元親は静かに寝具に腰を降ろし、右手で二度三度寝具を叩く。
「ほら…アンタもここに座れよ」
「……………」
サンデーは元親が示した場所とは大分離れた寝具の隅に座った。
それを見て苦笑いし、元親は一度立ち上がるとサンデーのすぐ隣まで移動して
再び寝具に腰を降ろす。
その弾みからか、それとも急に元親との距離が詰まった動揺からか…
サンデーの身体が小さく揺れた。
表面上平静を取り繕ってはいるものの、
その実緊張しガチガチに固まっているサンデーの気配を察し、
元親はそっと両腿の上で硬く握られているサンデーの左手を取った。
そして自身の右手で包み込む。
それを見て苦笑いし、元親は一度立ち上がるとサンデーのすぐ隣まで移動して
再び寝具に腰を降ろす。
その弾みからか、それとも急に元親との距離が詰まった動揺からか…
サンデーの身体が小さく揺れた。
表面上平静を取り繕ってはいるものの、
その実緊張しガチガチに固まっているサンデーの気配を察し、
元親はそっと両腿の上で硬く握られているサンデーの左手を取った。
そして自身の右手で包み込む。
「アンタ…こんなちっちゃい手で、いつもあのデカい輪刀振り回してるんだな」
「はっ…離せ…!
ザビー様は愛を伝道される際に手など繋がぬ」
ザビー様は愛を伝道される際に手など繋がぬ」
「俺は繋ぎてぇんだよ」
「………っ……」
渋々…と言った感情は混じっているものの、それでも無下に振り払われるかと思っていた手は
まだ繋がっていて、元親は内心胸を撫で下ろす。
互いに口をつぐみ沈黙が暗い室内を支配する中で、元親はその滑らかな白い手を握る己の手に
力を篭めた。
まだ繋がっていて、元親は内心胸を撫で下ろす。
互いに口をつぐみ沈黙が暗い室内を支配する中で、元親はその滑らかな白い手を握る己の手に
力を篭めた。
「なぁ毛利、その…あの時は悪かったな」
「あの時とはいつの事ぞ」
「ほら、前に厳島で闘り合っただろ…。
あの時俺は、アンタの望みどおりその首を刎ねてやる事が出来なかった」
あの時俺は、アンタの望みどおりその首を刎ねてやる事が出来なかった」
「……………」
「…結局それが戦場で情けをかけたみてぇになっちまって、
逆にアンタに随分と辛い思いをさせちまったんじゃねぇかと思ってな」
逆にアンタに随分と辛い思いをさせちまったんじゃねぇかと思ってな」
「……………」
「でもあれは情けなんかじゃねぇ。
俺はただ、もっとアンタと沢山戦って沢山ケンカして沢山互いの考えをぶつけ合って
その他の事だって沢山喋って、そして出来る事なら沢山触れ合って肌も身も心も重ねて
いっそ一つになっちまいてぇって…そう思ったから、アンタを斬る事が出来なかっただけだ」
俺はただ、もっとアンタと沢山戦って沢山ケンカして沢山互いの考えをぶつけ合って
その他の事だって沢山喋って、そして出来る事なら沢山触れ合って肌も身も心も重ねて
いっそ一つになっちまいてぇって…そう思ったから、アンタを斬る事が出来なかっただけだ」
「っ、黙れ長曾我部」
「……………」
「ザビー様は、愛を伝道される際に睦言など申さぬ」
「…俺は、言いたい事は言わせて貰うぜ。
それどころか…こんなんじゃ全然言い足りねぇくらいだ」
それどころか…こんなんじゃ全然言い足りねぇくらいだ」




