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元親×サンデー(♀)のち元就(♀)11

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「……………」

ポタリ…ポタリと、のき下に雨水が滴り落ちるかのような-
そんな継続的に響く音がきっかけで、元親は重い瞼を開いた。
眼をあけてみると、微かに聞こえていた筈のその音はたちまち消えてしまう。
だがそれでも元親は自分に背を向けて横たわっている元就が…密かに泣いているのだと悟った。
声をかける事は憚られ、元親は少しためらった後でその白い背にそっと頬を寄せる。
そしていたわる様に細い肩を何度も撫でた。
するとやがて元就が自嘲気味に…掠れた声を漏らす。

「やはり我には…愛を理解する事は叶わぬ」

「…良いじゃねぇか。
 大体、一度肌を重ねただけで愛を理解出来たと錯覚しちまう方がずっと怖ぇよ」

「…だが、貴様が愛を理解している事だけは良く分かった」

「……………」

「そして貴様の愛に照らし合わせると、御寵愛も何も…ザビー様が我を愛しておらぬ事も」

どんな苦痛にも耐え抜いた筈の元就が、その時だけは堪えきれず両手で顔を覆い嗚咽を漏らした。
それを聞いて元親は胸を締め付けられるような息苦しさを覚え、
思わずしがみ付くようにして元就の身体に腕を回す。

「なぁ毛利、アンタは俺が愛を理解してると言うが、そんな高尚なモンじゃねぇよ。
 俺はただアンタにいつも笑ってて欲しいと願うだけだ。
 もちろんその気持ちは、アンタが俺を憎んでいようが好いていようが変わりはしねぇ。
 …ただまぁ、その、何だ…
 もしアンタも俺の事を好いてくれたら、こんなに嬉しい事はねぇんだけどな」

『…有り得ぬ』

と、涙声ながらも瞬時にして否定されるだろう。
そう覚悟した上での、元親の軽口…の筈だった。
だが元就はそっと目元の涙を拭いながら、独り言のようにぽつりと呟く。

「貴様…我に好かれると嬉しいのか」

「ああ、俺は今回の事でますますアンタに惚れた。
 だから祝言上げるのを前提に、俺と付き合ってくれ」

「……………」

「返事は今じゃなくても構わねぇ。
 だがアンタからの返事を、俺はずっと待ってる」

「…考えがまとまり次第、追って使いの者を四国へ向ける。
 それまで大人しく待つが良い」

そんな事務的な言葉だけを残して。
元親の目を避けるようにしながら身支度を整え、元就は静かに部屋を出る。
室内に一人取り残されて、元親は改めてグッタリと寝具に身を沈めた。

………はぁ………多分俺は今回ので一生分の忍耐を使い果たしたぞ。
こんなにも苦しい…そして満たされた情事は初めてだ。
…が、毛利も同じ感想をいだいたか否か…それは分からない。
まぁ一つだけ確かな事は…。

この期に及んで『ザビー様の方が良かった』なんて言われたら、俺もう一生立ち直れねぇ。

敷布に顔を埋めると、元就の髪から薫った芳香が鼻をくすぐる。
それだけで昨夜の情事が克明に思い起こされ、元親は思わず敷布をぎゅうと握りしめた。
寝具に残った元就の気配に包まれて、元親はそのまま深い眠りに落ちる。

-どのくらいの間、眠っていただろう。
元親は目が覚めると同時に周囲を見渡したが、元就が部屋に戻って来た形跡は無かった。



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