元就に連れられるまま、毛利が厳島に所有する屋敷の離れに足を踏み入れた元親は、
質素な中にも風情と品のある庭園に目を丸くさせた。
そうやって元親が暫し毛利の庭を眺めていると、主(あるじ)の帰還を認めた使用人
が、頭を下げながらこちらに向かって来た。
全裸に元就の上着をただ羽織っただけという、元親の姿を、使用人は些か珍妙な面持
ちで見つめている。
「この者を風呂に入れよ。済んだら、我の下へ連れて参れ」
「は…?」
「え…」
使用人と元親の声を聞いて、元就は眉を顰める。
「何を考えておる。我には、血と埃と硝煙に塗れた半裸の者を、室内に通す趣味がな
いだけだ」
「脱がせたの誰だよ」
「…早く連れて行かぬか」
「は、はい。ど、どうぞこちらへ」
先程よりもきつくなった元就の口調に、使用人は恐縮しながらも、元親を風呂場へと
案内していく。
すれ違いざま、自分の上着だけでは隠し切れなかった元親の形の良い尻が、彼女が歩
を進める度にちらちらと顔を覗かせていたが、元就は努めて見ないようにした。
質素な中にも風情と品のある庭園に目を丸くさせた。
そうやって元親が暫し毛利の庭を眺めていると、主(あるじ)の帰還を認めた使用人
が、頭を下げながらこちらに向かって来た。
全裸に元就の上着をただ羽織っただけという、元親の姿を、使用人は些か珍妙な面持
ちで見つめている。
「この者を風呂に入れよ。済んだら、我の下へ連れて参れ」
「は…?」
「え…」
使用人と元親の声を聞いて、元就は眉を顰める。
「何を考えておる。我には、血と埃と硝煙に塗れた半裸の者を、室内に通す趣味がな
いだけだ」
「脱がせたの誰だよ」
「…早く連れて行かぬか」
「は、はい。ど、どうぞこちらへ」
先程よりもきつくなった元就の口調に、使用人は恐縮しながらも、元親を風呂場へと
案内していく。
すれ違いざま、自分の上着だけでは隠し切れなかった元親の形の良い尻が、彼女が歩
を進める度にちらちらと顔を覗かせていたが、元就は努めて見ないようにした。
「きめの揃った、綺麗な肌ですねぇ。羨ましくなってしまいます」
「はぁ…どうも」
「何か秘訣とか、あるんですか?」
「え?ええと…野菜や果物をまめに摂ったり、へちま水で手入れをしたり…」
「まあまあ、それはそれは」
興味津々で尋ねてくる女性の使用人に背中を流されながら、元親はしどろもどろに答
えた。
一体自分は何をやっているのだろう。
先程まで、命の遣り取りをしていた筈なのに、気が付けばその敵将の屋敷で身体を洗
って貰っている。
そりゃ、汗や汚れを落とせるのは有り難いが、今の自分はいわば人質だ。
部下の命と引き換えに、敗将として元就に身柄を預けた形になっている。
「はぁ…どうも」
「何か秘訣とか、あるんですか?」
「え?ええと…野菜や果物をまめに摂ったり、へちま水で手入れをしたり…」
「まあまあ、それはそれは」
興味津々で尋ねてくる女性の使用人に背中を流されながら、元親はしどろもどろに答
えた。
一体自分は何をやっているのだろう。
先程まで、命の遣り取りをしていた筈なのに、気が付けばその敵将の屋敷で身体を洗
って貰っている。
そりゃ、汗や汚れを落とせるのは有り難いが、今の自分はいわば人質だ。
部下の命と引き換えに、敗将として元就に身柄を預けた形になっている。
(あいつ…何のつもりだろう)
自分の本当の性がバレた時、元就は自分を殺すのを止めた。(代わりに、集団の前で
裸を晒す羽目になったが)
部下の為、と覚悟をしていたものの、本当は怖くてたまらなかった。
あの冷酷無比な知将の事だ。その気になれば、自分を毛利の兵達の慰み者として嬲り
尽くす事も、あるいは、元親の部下に自分を犯させる事だって出来たであろう。
それをしなかったのは、どうしてなのか。
瀬戸内のカイとゲルダ9
裸を晒す羽目になったが)
部下の為、と覚悟をしていたものの、本当は怖くてたまらなかった。
あの冷酷無比な知将の事だ。その気になれば、自分を毛利の兵達の慰み者として嬲り
尽くす事も、あるいは、元親の部下に自分を犯させる事だって出来たであろう。
それをしなかったのは、どうしてなのか。
瀬戸内のカイとゲルダ9




