「…また、貴様のたわ言か」
「違うね。あの時の続きだ。アンタ、俺に同じような事言われてボロ出してたよな」
微かに揺らめき始めた感情を、元就は辛うじて抑え込む。
だが、それすら見透かしているのか、いつしか口調も戻った元親は、元就から目を
離す事無く言葉を続けた。
「毛利が…家が大切なら、それを守る部下を大切にするのも、将の役目だろうが。
アンタだって、本当は判ってる筈だ」
「甘いな。兵など所詮『捨て駒』よ。失えば、代わりを用意すれば済む事だ」
「どんなに頭が優れていても、ひとりでは船を動かす事は出来ないんだ。それが判
んないヤツに、船に乗る資格はねぇ!」
声を荒げた元親は、ついいつものクセで片膝を立て足を踏み鳴らしたが、衝撃で傍
らの膳が音を立てたのと、剥き出しになった己の脚に気付き、慌てて引っ込めると、
あらかた食事の済んでいた膳を部屋の外へ避難させた。
着物から覗いた白い脚を、恥ずかしそうに隠した「姫」の横顔に、元就は一瞬だが
奇妙な感覚に囚われかける。
「我を理解出来るのは、この世で我だけで良い。貴様や『駒』如きに、我の何が判
るというのだ」
「──少なくとも、その『駒』たちの方が、よっぽどアンタの事を理解してるよ」
「何だと…?」
「アンタは、恐怖と力だけで部下を操ってると思い込んでるようだけど、アンタの
部下は、本当にアンタの為だけを思って戦っていた。俺にも判った事が、どうして
アンタには判らない?」
「黙れ…その口を閉じよ!」
氷の面が綻び始めたのも構わず、元就は、元親の科白を否定するように首を振る。
「何故判らないか、教えてやろうか。他人(ひと)は、何よりも自分自身を映す鏡
だからだよ!それを見ようともしないアンタに、本当に自分の事が判ってるって言
い切れるのか!?」
「…貴様ァ!」
「違うね。あの時の続きだ。アンタ、俺に同じような事言われてボロ出してたよな」
微かに揺らめき始めた感情を、元就は辛うじて抑え込む。
だが、それすら見透かしているのか、いつしか口調も戻った元親は、元就から目を
離す事無く言葉を続けた。
「毛利が…家が大切なら、それを守る部下を大切にするのも、将の役目だろうが。
アンタだって、本当は判ってる筈だ」
「甘いな。兵など所詮『捨て駒』よ。失えば、代わりを用意すれば済む事だ」
「どんなに頭が優れていても、ひとりでは船を動かす事は出来ないんだ。それが判
んないヤツに、船に乗る資格はねぇ!」
声を荒げた元親は、ついいつものクセで片膝を立て足を踏み鳴らしたが、衝撃で傍
らの膳が音を立てたのと、剥き出しになった己の脚に気付き、慌てて引っ込めると、
あらかた食事の済んでいた膳を部屋の外へ避難させた。
着物から覗いた白い脚を、恥ずかしそうに隠した「姫」の横顔に、元就は一瞬だが
奇妙な感覚に囚われかける。
「我を理解出来るのは、この世で我だけで良い。貴様や『駒』如きに、我の何が判
るというのだ」
「──少なくとも、その『駒』たちの方が、よっぽどアンタの事を理解してるよ」
「何だと…?」
「アンタは、恐怖と力だけで部下を操ってると思い込んでるようだけど、アンタの
部下は、本当にアンタの為だけを思って戦っていた。俺にも判った事が、どうして
アンタには判らない?」
「黙れ…その口を閉じよ!」
氷の面が綻び始めたのも構わず、元就は、元親の科白を否定するように首を振る。
「何故判らないか、教えてやろうか。他人(ひと)は、何よりも自分自身を映す鏡
だからだよ!それを見ようともしないアンタに、本当に自分の事が判ってるって言
い切れるのか!?」
「…貴様ァ!」
元親の言葉は、遂に元就の虚勢を焼き切った。
元就は元親に襲い掛ると、その身体を押さえ込む。
思わぬ不意打ちを食らった元親は、ろくな抵抗も出来ずに畳の上に叩き付けられた。
背中の痛みに声を上げる間もなく、元親の白い首に、元就の両手がかかる。
瀬戸内のカイとゲルダ17
元就は元親に襲い掛ると、その身体を押さえ込む。
思わぬ不意打ちを食らった元親は、ろくな抵抗も出来ずに畳の上に叩き付けられた。
背中の痛みに声を上げる間もなく、元親の白い首に、元就の両手がかかる。
瀬戸内のカイとゲルダ17




