夜が白々と明け始めた頃。
遠くで鳥が鳴く声を耳にした元親は、ゆっくりと目を醒ました。
隣で自分を抱きしめていた筈の元就の姿はなく、汗やその他で汚れていた身体も
いつの間にか清められ、新しい夜着に替えられていた。
昨夜の出来事は夢だったのか、と一瞬だけ思ったものの、身体に残る倦怠感と、
それ以上に元就によって至る所に付けられた無数の所有の証が、元親を現実に
引き戻す。
「…かあさま、ごめんなさい。元親は、かなりはしたない『女』になってしま
いました……」
そう独り愚痴ると、元親は、その切欠を作った張本人の姿を探した。
布団から起き上がり暫し辺りを窺っていると、窓の外から声がかかる。
「起きたか」
「元就?」
「ここだ」
見上げると、何と屋敷の屋根から、元就が自分を呼んでいた。
「そこにある木から登ってこい。頑丈だから、貴様の体重でも折れたりはせぬ」
「何気に失礼な事、言ってないか?」
文句を言いながらも、元親は部屋を抜けると、元就に言われた縁側の樹木に脚
をかけた。
枝振りの良い所を器用に伝いながら、屋根の近くまで到達した元親は、差し出さ
れた元就の手を取ると、彼の隣に立つ。
「まさか、アンタがこんな粗野な真似をしてるなんてな」
「我の前では、ちゃんと女言葉を使え。…身体の具合はどうだ?」
昨夜の事を示唆された元親は、瞬時に顔を赤くさせる。
「あ…ぅ、うん平気…でも……」
「?」
「…未だちょっと、あそこに何かが挟まってる感じがする……」
素直で露骨な返答を聞いて、元就は少々バツの悪そうな顔をする。
「そ…そうか。無茶をさせたな……」
「…まさか、熱いモノで心のど真ん中じゃなくて、身体のど真ん中を貫かれるな
んて、思ってなかったから……」
「──心は貫けなかったのか」
「ぇ…?」
「…気にするな。独り言だ」
遠くで鳥が鳴く声を耳にした元親は、ゆっくりと目を醒ました。
隣で自分を抱きしめていた筈の元就の姿はなく、汗やその他で汚れていた身体も
いつの間にか清められ、新しい夜着に替えられていた。
昨夜の出来事は夢だったのか、と一瞬だけ思ったものの、身体に残る倦怠感と、
それ以上に元就によって至る所に付けられた無数の所有の証が、元親を現実に
引き戻す。
「…かあさま、ごめんなさい。元親は、かなりはしたない『女』になってしま
いました……」
そう独り愚痴ると、元親は、その切欠を作った張本人の姿を探した。
布団から起き上がり暫し辺りを窺っていると、窓の外から声がかかる。
「起きたか」
「元就?」
「ここだ」
見上げると、何と屋敷の屋根から、元就が自分を呼んでいた。
「そこにある木から登ってこい。頑丈だから、貴様の体重でも折れたりはせぬ」
「何気に失礼な事、言ってないか?」
文句を言いながらも、元親は部屋を抜けると、元就に言われた縁側の樹木に脚
をかけた。
枝振りの良い所を器用に伝いながら、屋根の近くまで到達した元親は、差し出さ
れた元就の手を取ると、彼の隣に立つ。
「まさか、アンタがこんな粗野な真似をしてるなんてな」
「我の前では、ちゃんと女言葉を使え。…身体の具合はどうだ?」
昨夜の事を示唆された元親は、瞬時に顔を赤くさせる。
「あ…ぅ、うん平気…でも……」
「?」
「…未だちょっと、あそこに何かが挟まってる感じがする……」
素直で露骨な返答を聞いて、元就は少々バツの悪そうな顔をする。
「そ…そうか。無茶をさせたな……」
「…まさか、熱いモノで心のど真ん中じゃなくて、身体のど真ん中を貫かれるな
んて、思ってなかったから……」
「──心は貫けなかったのか」
「ぇ…?」
「…気にするな。独り言だ」
元親から視線を反らせた元就は、水平線の向こうから昇り始めた太陽を、目を
細めながら見つめた。
「わぁ…!」
元就につられて、元親も顔を動かすと、朝日と、その光を受けて輝き出した海に
歓声を上げる。
「…どうだ?ここが、日輪の御来光が一番美しく拝める場所なのだ」
「綺麗…」
「そうであろう」
「──ううん、」
だが、元就の機嫌の良い声に、元親は小さく首を振る。
訝しげに見つめてくる日輪の申し子に、海に愛された海賊の女頭領は、くすり、
と笑みを漏らしながら言葉を続けた。
「日輪も良いけど、それを見つめている元就の顔が、とても綺麗だと思ったの」
細めながら見つめた。
「わぁ…!」
元就につられて、元親も顔を動かすと、朝日と、その光を受けて輝き出した海に
歓声を上げる。
「…どうだ?ここが、日輪の御来光が一番美しく拝める場所なのだ」
「綺麗…」
「そうであろう」
「──ううん、」
だが、元就の機嫌の良い声に、元親は小さく首を振る。
訝しげに見つめてくる日輪の申し子に、海に愛された海賊の女頭領は、くすり、
と笑みを漏らしながら言葉を続けた。
「日輪も良いけど、それを見つめている元就の顔が、とても綺麗だと思ったの」




