「は。あ、あの、そこの女は、前田利家の妻であります。我々は先の戦のおり、
この者を生かして捕らえ……元就様には隠したまま……――」
しん、と静まり返った部屋の中は先程と打って変わって、凍りつくような寒気で満ちている。
「申せ」
「……は。秘密裏に匿い、慰みものとしておりました……」
「ほう」
元就は雲の上を歩くような浮世離れした足取りで、男たちの前まで歩み寄った。
「申し訳ござりません……」
「侘びなどいらぬ」
「は、はぁ……あの」
目を細めて男らを見下している元就はまつの顔をちらりと見、言い放った。
「使えぬ駒といえど、弾除けにはなると思っていたのだがな。規律すら守れぬ駒は
駒とも呼べぬか」
元就は背後を振り返って、顎を上げた。
いつの間にか、扉のまわりに数人の兵士の姿がある。
「連れて行け」
「ひっ! い、命だけは……!」
まつを犯した男らは皆一様に恐怖に顔を引き攣らせて、兵士たちに連れて行かれた。
彼らを待っているのは、死なのだろうか? とまつは無感動に思う。体も心も強張ったまま、
わずかな身じろぎもできずに凍りついてしまっていた。
茶番劇を観ているようだった。
この者を生かして捕らえ……元就様には隠したまま……――」
しん、と静まり返った部屋の中は先程と打って変わって、凍りつくような寒気で満ちている。
「申せ」
「……は。秘密裏に匿い、慰みものとしておりました……」
「ほう」
元就は雲の上を歩くような浮世離れした足取りで、男たちの前まで歩み寄った。
「申し訳ござりません……」
「侘びなどいらぬ」
「は、はぁ……あの」
目を細めて男らを見下している元就はまつの顔をちらりと見、言い放った。
「使えぬ駒といえど、弾除けにはなると思っていたのだがな。規律すら守れぬ駒は
駒とも呼べぬか」
元就は背後を振り返って、顎を上げた。
いつの間にか、扉のまわりに数人の兵士の姿がある。
「連れて行け」
「ひっ! い、命だけは……!」
まつを犯した男らは皆一様に恐怖に顔を引き攣らせて、兵士たちに連れて行かれた。
彼らを待っているのは、死なのだろうか? とまつは無感動に思う。体も心も強張ったまま、
わずかな身じろぎもできずに凍りついてしまっていた。
茶番劇を観ているようだった。
部屋に残ったのは毛利元就と、動けないままのまつのふたりだけ。
「すまぬ」
元就は短く言って、まつの頭の横にそっと座した。
手首を縛る布を神経質そうな指で解き、うっ血して残ったあざを撫でさすった。足も
解放し、それから己の着物を脱いで、まつの裸体に被せる。
感覚の戻らない両手をふらつかせながら、まつは声を上げた。
「ん……んん」
「舌を噛み切ろうなどと、早まった真似はしないと約束できるか」
労わるような元就の視線にまつは戸惑いながら、こくこくと頷いてみせた。
そうか、と頷き返した元就の手がまつの頭の後ろに伸び、やがて猿轡が解かれる。
「ぷはっ……は、ぁ」
まつは完全に自由になった体で深い深呼吸をした。
「すまぬ」
元就は短く言って、まつの頭の横にそっと座した。
手首を縛る布を神経質そうな指で解き、うっ血して残ったあざを撫でさすった。足も
解放し、それから己の着物を脱いで、まつの裸体に被せる。
感覚の戻らない両手をふらつかせながら、まつは声を上げた。
「ん……んん」
「舌を噛み切ろうなどと、早まった真似はしないと約束できるか」
労わるような元就の視線にまつは戸惑いながら、こくこくと頷いてみせた。
そうか、と頷き返した元就の手がまつの頭の後ろに伸び、やがて猿轡が解かれる。
「ぷはっ……は、ぁ」
まつは完全に自由になった体で深い深呼吸をした。




