何より、視覚が奪われた事により聴覚と手足の感覚だけで逃げ出すのは不可能に近い。
目の前にいるのが一般の忍や兵士ならともかく、最悪な事に真田忍頭である佐助だ。
目の前にいるのが一般の忍や兵士ならともかく、最悪な事に真田忍頭である佐助だ。
「かすが、逃げようなんて思ってないよな?」
心を見透かすような佐助の言葉に、かすがの心は高鳴った。
「何故だ…何故私を殺さない!私は謙信さまの…上杉の忍だっ!」
「そりゃあ…俺が殺したくなかったからじゃないの?」
「何を甘い事を…!忍に私情など!」
「お前が上杉謙信を殺さなかったのは私情じゃないのかよ」
かすがは黙った。上杉謙信暗殺の命を出され、直前で寝返ったのだ。それも一目惚れと言うに等しい理由で。
「大人しくするって言うなら鎖外してもいいんだけどなぁ」
「大人しく?!誰が…!」
吐き捨てるように出たかすがの台詞に、佐助は頭を一掻きし、もう一度かすがの顎を掴んだ。
「上杉謙信の後を追うなんて言うんじゃないぜ?」
「うるさい!離せ!」
腕を動かそうとする度に鎖が金属音を立てる。




