一方元就は、元親の邪な視線にも気付かず、食べ終えた膳を見て、さて、と考える。
ただ食事に集中していれば、うるさく騒ぐ周囲の連中にも、
何やら寄ってきた元親も自然に無視出来たのだが、空になってしまえば策もない。
馬鹿騒ぎの仲間になるのは断じてご免だが、
さりとて招かれている身でこの場を立ち去るのも国主として相応しい態度ではない。
手持ち無沙汰に少しだけ残っている茶に口を寄せてから、ふと空を見上げる。
すると、先ほどまではよく晴れて星々をさざめかせていた空には、
いつの間にか黒雲が湧き出始めていた。
ただ食事に集中していれば、うるさく騒ぐ周囲の連中にも、
何やら寄ってきた元親も自然に無視出来たのだが、空になってしまえば策もない。
馬鹿騒ぎの仲間になるのは断じてご免だが、
さりとて招かれている身でこの場を立ち去るのも国主として相応しい態度ではない。
手持ち無沙汰に少しだけ残っている茶に口を寄せてから、ふと空を見上げる。
すると、先ほどまではよく晴れて星々をさざめかせていた空には、
いつの間にか黒雲が湧き出始めていた。
元就は、信仰を寄せる太陽はもちろんのこと、夜の星もまた好いていた。
今の季節、この時間帯には毛利の紋である参の星は見えないが、
そうでなくともきらきらと輝く星は美しい。
日輪信仰は養母の影響からはじまったのだが、例え大人になった今からでも、
元就は自らこの道を選ぶであろう、と思う。
人がどれだけ血塗れようが、儚い平穏を謳歌しようが変わらずある天体は、
元就の憧れをそのまま形どっていた。すなわち、永遠に変わらないものへの。
今の季節、この時間帯には毛利の紋である参の星は見えないが、
そうでなくともきらきらと輝く星は美しい。
日輪信仰は養母の影響からはじまったのだが、例え大人になった今からでも、
元就は自らこの道を選ぶであろう、と思う。
人がどれだけ血塗れようが、儚い平穏を謳歌しようが変わらずある天体は、
元就の憧れをそのまま形どっていた。すなわち、永遠に変わらないものへの。
だから、夜の雨は悲しい。
雨だとて自然の恵みには違いないと判ってはいるものの、
身を照らす光が無くなるのには心もとなく感じる。
雨だとて自然の恵みには違いないと判ってはいるものの、
身を照らす光が無くなるのには心もとなく感じる。
この宴の席の主催者を見れば、またもや両軍の喧しい若造どもに囲まれ始めていた。
その隙を突いてか、元就の傍に控えていた清水がそっと耳打ちしてくる。
「元就様、…その、いかがでございましょう、長曾我部殿は」
そういえば、と元就は忘れかけていた今回の旅のもう一つの目的にはたと気付く。
毛利家の跡取りの子種に相応しいがどうか、品定めに来たのだった。
しかし、既に元就の胸に根ざしはじめた悪感情は消えそうに無い。
粗野、下品、おまけに国の経済にすら無頓着。
少女の頃には伝え聞く軟弱な人柄に嫌悪したが、成人して真逆な性質になってもやはり最悪だった。
(確かに、体格は理想的だが…)
どうにも、貧相な自分に対する嫌がらせとしか思えない。
苛立ちのまま茶を飲もうとすると、湯飲みはすでに空だった。
その隙を突いてか、元就の傍に控えていた清水がそっと耳打ちしてくる。
「元就様、…その、いかがでございましょう、長曾我部殿は」
そういえば、と元就は忘れかけていた今回の旅のもう一つの目的にはたと気付く。
毛利家の跡取りの子種に相応しいがどうか、品定めに来たのだった。
しかし、既に元就の胸に根ざしはじめた悪感情は消えそうに無い。
粗野、下品、おまけに国の経済にすら無頓着。
少女の頃には伝え聞く軟弱な人柄に嫌悪したが、成人して真逆な性質になってもやはり最悪だった。
(確かに、体格は理想的だが…)
どうにも、貧相な自分に対する嫌がらせとしか思えない。
苛立ちのまま茶を飲もうとすると、湯飲みはすでに空だった。
不愉快だ。
星も見えない。
星も見えない。
(それに)元就は重要な事柄を懸念した。
(あんなのが上に乗ったら、我がつぶれてしまうではないか。)
(あんなのが上に乗ったら、我がつぶれてしまうではないか。)
元就は、子供の作り方を知らなかった。




