佐助の足取りは重い。泥沼の中を歩いているようであった。
佐助はかすがを自分の隠れ家とも言える茅屋に匿っていた。
佐助にはわかっている。きっとかすがを殺せはしない。それは既に一度、かすがを殺し
てしまったからだ。あの喪失感は二度と味わいたくない。だから殺せない。しかし、命令
だ。逆らうことは出来ない。やらなければならない。相反する思いを抱きながら、いつも
よりゆっくりと時間を延ばすかのように歩いた。
緩い傾斜の山道をある程度まで登ると、ふっと道から逸れ、道のない険しい林の中
を進んでいく。しばらくすると、少し拓けた場所があり、そこに目指す茅屋がある。この
山には人嫌いの世捨て人が住んで居るらしい、という噂は聞いた事があった。佐助が
ここを見つけたとき、すでに当人は亡くなっていて、無人となっていたのを勝手に使用
するようになったのだ。それは、人一人が住むくらいがやっとの小さいもので、半分朽ち
ている状態だった。簡単な修繕はしたが、それでも雨漏りがしなくなった程度でぼろぼ
ろな状態は変わりない。だが、寝るくらいには困らなかった。ただ、この茅屋がある場所
に来るまでの道は無いも同然で、普通の人間ならば迷ってたどり着けない。佐助がこ
こを見つけたのも、まったくの偶然であった。それに、ここには部下には近寄らせないよ
うにしているし、幸村の動向には気を遣っていた。一体どこから発覚したのか、今の佐
助には見当も付かなかった。
佐助はかすがを自分の隠れ家とも言える茅屋に匿っていた。
佐助にはわかっている。きっとかすがを殺せはしない。それは既に一度、かすがを殺し
てしまったからだ。あの喪失感は二度と味わいたくない。だから殺せない。しかし、命令
だ。逆らうことは出来ない。やらなければならない。相反する思いを抱きながら、いつも
よりゆっくりと時間を延ばすかのように歩いた。
緩い傾斜の山道をある程度まで登ると、ふっと道から逸れ、道のない険しい林の中
を進んでいく。しばらくすると、少し拓けた場所があり、そこに目指す茅屋がある。この
山には人嫌いの世捨て人が住んで居るらしい、という噂は聞いた事があった。佐助が
ここを見つけたとき、すでに当人は亡くなっていて、無人となっていたのを勝手に使用
するようになったのだ。それは、人一人が住むくらいがやっとの小さいもので、半分朽ち
ている状態だった。簡単な修繕はしたが、それでも雨漏りがしなくなった程度でぼろぼ
ろな状態は変わりない。だが、寝るくらいには困らなかった。ただ、この茅屋がある場所
に来るまでの道は無いも同然で、普通の人間ならば迷ってたどり着けない。佐助がこ
こを見つけたのも、まったくの偶然であった。それに、ここには部下には近寄らせないよ
うにしているし、幸村の動向には気を遣っていた。一体どこから発覚したのか、今の佐
助には見当も付かなかった。
かすがは、居た。佐助が与えた山吹色の着物の上に男物の羽織を肩からかけて、
ぼんやりと外を眺めている。煙のように跡形も無く消えてしまえばいいと、半ば本気で
佐助は思っていただけに、かすがの姿を見たときは胸が潰れる思いだった
ぼんやりと外を眺めている。煙のように跡形も無く消えてしまえばいいと、半ば本気で
佐助は思っていただけに、かすがの姿を見たときは胸が潰れる思いだった




