かすがが再び目覚めたとき、佐助は、これは奇跡だと思った。神仏などまるで信じて
はいなかったが、嬉しくて、願掛けをしていたわけではないのに御礼参りをしてしまった
ほどである。あれ程の出血をしては助からないと思っていた。
しかし、目覚めたかすがは死人も同然であった。主人の死を知った彼女は抜け殻の
ようになり、食事もろくに摂ろうとせず、ただぼうっと宙を見て過ごしていた。怪我の大き
さもあったのかもしれないが、以前のような威勢のよさはどこにも無かった。それでも佐
助は甲斐甲斐しく世話をした。任務もあり、ずっと付きっ切りというわけにはいかなかっ
たが、それでも何とか時間を作ってはかすがのために使った。
佐助がかすがの包帯を取り替えている時に、ぽつりと軍神とのことを話した事がある。
彼女は最後に「生きろ」と言われたのだそうだ。その言葉だけが、今の彼女をこの世界
に繋ぎとめているのだと分かった。
「だが私には……もう生きる糧がない、生きなくてはならないのに」
ぽろぽろと涙を流すかすがを前に佐助は何も言えず、黙って包帯を巻いた。抱きしめ
てやりたいとも思ったが、体がそれ以上動かなかった。かすがの体は痩せ細り、美しか
った脚線は見る影も無い。体に残った傷跡が目に痛かった。
それから数日後、佐助が茅屋に来ると、かすがはめずらしく起きていた。話があると
いう。佐助はいつものようにかすがの側に座った
はいなかったが、嬉しくて、願掛けをしていたわけではないのに御礼参りをしてしまった
ほどである。あれ程の出血をしては助からないと思っていた。
しかし、目覚めたかすがは死人も同然であった。主人の死を知った彼女は抜け殻の
ようになり、食事もろくに摂ろうとせず、ただぼうっと宙を見て過ごしていた。怪我の大き
さもあったのかもしれないが、以前のような威勢のよさはどこにも無かった。それでも佐
助は甲斐甲斐しく世話をした。任務もあり、ずっと付きっ切りというわけにはいかなかっ
たが、それでも何とか時間を作ってはかすがのために使った。
佐助がかすがの包帯を取り替えている時に、ぽつりと軍神とのことを話した事がある。
彼女は最後に「生きろ」と言われたのだそうだ。その言葉だけが、今の彼女をこの世界
に繋ぎとめているのだと分かった。
「だが私には……もう生きる糧がない、生きなくてはならないのに」
ぽろぽろと涙を流すかすがを前に佐助は何も言えず、黙って包帯を巻いた。抱きしめ
てやりたいとも思ったが、体がそれ以上動かなかった。かすがの体は痩せ細り、美しか
った脚線は見る影も無い。体に残った傷跡が目に痛かった。
それから数日後、佐助が茅屋に来ると、かすがはめずらしく起きていた。話があると
いう。佐助はいつものようにかすがの側に座った




