美味しかったぞ。
『そっかーよかったねー、だから口閉じてね?まあその辺テキトーに合わせてくれて、その上粋に返してくれてるのは流石ってとこかなあ?旦那、この紅は当日も付けなくちゃダメだからね?』
閉じた唇に紅がはかれ終わるのを待ち、短く尋ねる。
なにゆえ。
『つけて来いって意味で渡されたに決まってんでしょーがっ。こっちも紅の色に合わせた衣を色々考えてんだよ?もー、旦那は返歌もつくらないしさー。
これだけ粋にやられたら返さない方がマシかもだけどさー、どれだけ上等の紙でも歌でも無粋になっちゃうしねー?でも古典にあるでしょ、歌じゃなくても一言だけを季節の花にくくりつけるとかっ』
困って見返す。暖かい色の目が、髪が、自分ではないどこかをみている。
『いーい、旦那?婚儀の時にはゆーっくり、こころもちゆーっくり動くんだよ?ガサツに料理全部食べるんじゃなくて、ちょちょっと味見する程度に食べてね?美味しくても不味くても、顔に出しちゃだめだからね?』
解った。
で、婚礼が終わったあとは?
『一息ついて、湯浴みくらいはするんじゃない?後は独眼竜と一夜を過ごしてめでたしめでたし』
夜?まだ何か儀式があるのか?
両手を組んで体をよじっていた■■が飛ぶように後ずさった。
『ええええええええ!ちょ、なにそれ旦那』
何それはとは何だ。
『いいよ月のものは体の問題だし個人差だし、で、ちょ、何なの旦那ーっ?』
細身の体が頭を抱えて蹲る。
『えええーそりゃあ髪がこうなのもいい武者っぷりも俺のせいかもだけど、コレはちがうよね?
俺様のせいじゃーないよねえ?普通大人になったら解るもんでしょ、いや、ていうかソレガシもハレンチも武芸も大人になったら止めるでしょって思ってたんだっけ、じゃあやっぱ俺のせい?俺が教育間違った?遠因俺?旦那のアホ程度を読み違えた俺のせい?』
何を言っているのだ。
『だってさあ、普通に年喰ったらわかるでしょ色々と!奥女中とかガンガン恋話してるでしょ!?』
こ…!はれんちな!
『……ああああなるほど……あー、もう時間ないよー?いきなり連れ込み宿潜入さくせーん、ナマけんがーく、とかやったら旦那、婚儀そのものから逃げそうだし。
暴れて火事になりそうだし…やっぱ段階?胸キュンからどーにかして教えんの?教材誰かくれよー、どうすんだよもー』
■■、ど、どうしたのだ。
『困ってるの!うー、幸い相手は女好きって噂だしなあ、宿敵でも毛色変わってるって面白がるかな、うー…』
どうして困る?よく解らぬが、婚儀とは家のためなのだろう?
『即離縁になったり別居しなきゃそーでしょーとも!あーもーなんでこんな性白痴になったの!?』
■■?
どうしたのだ?
『だから、困ってるんでしょ?』
よく解らぬが、知らぬと困り、しかし目の当たりにしてはならぬことを、某は解っておらぬと。
『正解ーっ、さっすが旦那、賢い賢いッ!…てことだから、もう腹くくっておくしかないかな…』
解らない。
『”マサムネドノ”にぜーんぶまかせてハイさよならってね。どうしようもないんだから旦那ァ、殴ったり蹴ったり、とにかく暴れないで大人しくしててくださいよ』
―――?
『だから夜』
……?
『あー、うーん……まあそゆ時がきたらコレのことだったかって、幾ら旦那でもわかるでしょ』
何を言っているのか、全く解らん。
『戦場の決着じゃなくて、男女の決着つける時が夜!これならわかる?』
そうか、決着をつけるのだな!
『そうそう。夜は旦那が姫御前様、いーっぱい我侭言って奥州の竜を困らせてやってね』
困らせるつもりはないぞ。決着をつけるのだろう?
『うんうん、腕力じゃない決着だからね、って聞いてないね旦那』
『そっかーよかったねー、だから口閉じてね?まあその辺テキトーに合わせてくれて、その上粋に返してくれてるのは流石ってとこかなあ?旦那、この紅は当日も付けなくちゃダメだからね?』
閉じた唇に紅がはかれ終わるのを待ち、短く尋ねる。
なにゆえ。
『つけて来いって意味で渡されたに決まってんでしょーがっ。こっちも紅の色に合わせた衣を色々考えてんだよ?もー、旦那は返歌もつくらないしさー。
これだけ粋にやられたら返さない方がマシかもだけどさー、どれだけ上等の紙でも歌でも無粋になっちゃうしねー?でも古典にあるでしょ、歌じゃなくても一言だけを季節の花にくくりつけるとかっ』
困って見返す。暖かい色の目が、髪が、自分ではないどこかをみている。
『いーい、旦那?婚儀の時にはゆーっくり、こころもちゆーっくり動くんだよ?ガサツに料理全部食べるんじゃなくて、ちょちょっと味見する程度に食べてね?美味しくても不味くても、顔に出しちゃだめだからね?』
解った。
で、婚礼が終わったあとは?
『一息ついて、湯浴みくらいはするんじゃない?後は独眼竜と一夜を過ごしてめでたしめでたし』
夜?まだ何か儀式があるのか?
両手を組んで体をよじっていた■■が飛ぶように後ずさった。
『ええええええええ!ちょ、なにそれ旦那』
何それはとは何だ。
『いいよ月のものは体の問題だし個人差だし、で、ちょ、何なの旦那ーっ?』
細身の体が頭を抱えて蹲る。
『えええーそりゃあ髪がこうなのもいい武者っぷりも俺のせいかもだけど、コレはちがうよね?
俺様のせいじゃーないよねえ?普通大人になったら解るもんでしょ、いや、ていうかソレガシもハレンチも武芸も大人になったら止めるでしょって思ってたんだっけ、じゃあやっぱ俺のせい?俺が教育間違った?遠因俺?旦那のアホ程度を読み違えた俺のせい?』
何を言っているのだ。
『だってさあ、普通に年喰ったらわかるでしょ色々と!奥女中とかガンガン恋話してるでしょ!?』
こ…!はれんちな!
『……ああああなるほど……あー、もう時間ないよー?いきなり連れ込み宿潜入さくせーん、ナマけんがーく、とかやったら旦那、婚儀そのものから逃げそうだし。
暴れて火事になりそうだし…やっぱ段階?胸キュンからどーにかして教えんの?教材誰かくれよー、どうすんだよもー』
■■、ど、どうしたのだ。
『困ってるの!うー、幸い相手は女好きって噂だしなあ、宿敵でも毛色変わってるって面白がるかな、うー…』
どうして困る?よく解らぬが、婚儀とは家のためなのだろう?
『即離縁になったり別居しなきゃそーでしょーとも!あーもーなんでこんな性白痴になったの!?』
■■?
どうしたのだ?
『だから、困ってるんでしょ?』
よく解らぬが、知らぬと困り、しかし目の当たりにしてはならぬことを、某は解っておらぬと。
『正解ーっ、さっすが旦那、賢い賢いッ!…てことだから、もう腹くくっておくしかないかな…』
解らない。
『”マサムネドノ”にぜーんぶまかせてハイさよならってね。どうしようもないんだから旦那ァ、殴ったり蹴ったり、とにかく暴れないで大人しくしててくださいよ』
―――?
『だから夜』
……?
『あー、うーん……まあそゆ時がきたらコレのことだったかって、幾ら旦那でもわかるでしょ』
何を言っているのか、全く解らん。
『戦場の決着じゃなくて、男女の決着つける時が夜!これならわかる?』
そうか、決着をつけるのだな!
『そうそう。夜は旦那が姫御前様、いーっぱい我侭言って奥州の竜を困らせてやってね』
困らせるつもりはないぞ。決着をつけるのだろう?
『うんうん、腕力じゃない決着だからね、って聞いてないね旦那』




