■■。
『はいはい』
奥女中になればついて来れるぞ。
『ヤです』
そうか。――なあ、■■。
『今度はなんですか』
なぜ、武田の外に嫁ぐ方がよいと思ったのだ?
『うーん、…詳しく言うと旦那怒るから、わかんなくても説明しませんよー』
■■に決めさせたら、誰にしていた?
『うぅぅーん…絶対ダメってのはすぐに浮かぶけどねー。明智とかさー、豊臣とかさー、旦那、苛められそうだし。遠すぎるから中国四国もナシ。…そうだなあ、徳川とか、かな。でもね、旦那気にしなくても大丈夫。伊達って盲点だったけど、凄くいい選択かもしれない』
盲点?
『宿敵なんでしょ、旦那に薦めたら怒られるかも、でしょ』
夫婦は生涯無二の好敵手の如し、とお館様はおっしゃったぞ。
『あーはいはい、もうこっちの事は忘れていいから頑張ってきてよ。嫁ぐなら竜の心奪って見せろーっ、とも言ってたでしょ?』
…ああ。
しっかり励めと、激励してくださったな。
『ね。大丈夫、旦那顔はかわいいよー、顔は。子供の頃のがずっと可愛かったけど』
そ、破廉恥なっ
あははははと笑い飛ばされ、眉の形を直される。
『あのさー旦那。俺は絶対そっちには行かないんだからさ、
もう旦那が槍振り回してたって、誰も褒めないよ』
■■?
『だからさあ、旦那もう頑張らなくってもいいんじゃない?』
びっくりして■■の目をみて、それは違うと首を振った。
それから笑った。
どうしてこんなに忘れて欲しいと、表現を変えて言い続けるのだろう。
忘れられるわけがない。
お館様のことも、■■のことも、この地のこと全て、戻ることがなくとも忘れない。
嫁ぐことは死ぬことではないから、なくなって消えたりはしない。
緩んだ顔をみて、■■が縋るような声をかける。
『もう、女の子に戻ってもいいんじゃないかな』
違うぞ。■■。
某、女を捨てたこともなければ、男になりたいと思ったこともないぞ。
忍びになりたいと思ったことはあるが。
某が槍を取るのはお館様のお役に立つため。褒められる為ではない。
『でも旦那。遠くにいたら、槍を取る以外のやり方で役に立てるんだよ。奥州で…まあ想像つかないけど子ども産んで、育ててさ。槍をぶん回すより見た目解りにくいけど、違う方向ですっごいお役に立ってるんだよ。いいじゃない、もう』
忍びの助言。
うむ。お館様からもそのようなお言葉を頂いた。
もちろんこの幸村、ご期待に添って見せる所存。だが、それとこれは別でなのだろう。
別の方向なら、共に役に立つのもいいではないか。
昔から、槍以外何一つうまくはできなかったのだ。
妻として大成するかは解らぬが、出来ることも手放す気はない。
ただただ己の未熟を恥じ、二つ共に励むのみ。
『はいはい』
奥女中になればついて来れるぞ。
『ヤです』
そうか。――なあ、■■。
『今度はなんですか』
なぜ、武田の外に嫁ぐ方がよいと思ったのだ?
『うーん、…詳しく言うと旦那怒るから、わかんなくても説明しませんよー』
■■に決めさせたら、誰にしていた?
『うぅぅーん…絶対ダメってのはすぐに浮かぶけどねー。明智とかさー、豊臣とかさー、旦那、苛められそうだし。遠すぎるから中国四国もナシ。…そうだなあ、徳川とか、かな。でもね、旦那気にしなくても大丈夫。伊達って盲点だったけど、凄くいい選択かもしれない』
盲点?
『宿敵なんでしょ、旦那に薦めたら怒られるかも、でしょ』
夫婦は生涯無二の好敵手の如し、とお館様はおっしゃったぞ。
『あーはいはい、もうこっちの事は忘れていいから頑張ってきてよ。嫁ぐなら竜の心奪って見せろーっ、とも言ってたでしょ?』
…ああ。
しっかり励めと、激励してくださったな。
『ね。大丈夫、旦那顔はかわいいよー、顔は。子供の頃のがずっと可愛かったけど』
そ、破廉恥なっ
あははははと笑い飛ばされ、眉の形を直される。
『あのさー旦那。俺は絶対そっちには行かないんだからさ、
もう旦那が槍振り回してたって、誰も褒めないよ』
■■?
『だからさあ、旦那もう頑張らなくってもいいんじゃない?』
びっくりして■■の目をみて、それは違うと首を振った。
それから笑った。
どうしてこんなに忘れて欲しいと、表現を変えて言い続けるのだろう。
忘れられるわけがない。
お館様のことも、■■のことも、この地のこと全て、戻ることがなくとも忘れない。
嫁ぐことは死ぬことではないから、なくなって消えたりはしない。
緩んだ顔をみて、■■が縋るような声をかける。
『もう、女の子に戻ってもいいんじゃないかな』
違うぞ。■■。
某、女を捨てたこともなければ、男になりたいと思ったこともないぞ。
忍びになりたいと思ったことはあるが。
某が槍を取るのはお館様のお役に立つため。褒められる為ではない。
『でも旦那。遠くにいたら、槍を取る以外のやり方で役に立てるんだよ。奥州で…まあ想像つかないけど子ども産んで、育ててさ。槍をぶん回すより見た目解りにくいけど、違う方向ですっごいお役に立ってるんだよ。いいじゃない、もう』
忍びの助言。
うむ。お館様からもそのようなお言葉を頂いた。
もちろんこの幸村、ご期待に添って見せる所存。だが、それとこれは別でなのだろう。
別の方向なら、共に役に立つのもいいではないか。
昔から、槍以外何一つうまくはできなかったのだ。
妻として大成するかは解らぬが、出来ることも手放す気はない。
ただただ己の未熟を恥じ、二つ共に励むのみ。




