『旦那も、…ほんとうに大人になったね』
なあ。気になるのだが、詳しく言えば怒ることと言うのは何だ?
簡単に言うとどうなる?
ああもう、つまんないこと言っちゃったなあ、と■■の顔が引きつった。
『あのねー。別に詳しく言ったら旦那には理解できないって意味じゃないわけですよ。……あーもーわかったわかった!忍びにあるまじき思いだから、これでいいよね?これでおしまいね!』
…怒っているのか、■■。
『怒ってないよ』
そうか。なにか、不安そうに見えたのだ、許せ。
『あのね、俺は旦那のアタマはともかく目はかなり信用してる』
………
『なにふててんの旦那。超一流の忍びに、一つだけでも無条件で信用されてんですよ?
褒めすぎかってなもんでしょ。ともかく、旦那は人当たりがどれだけよくっても、ダメな奴を本能でか臭いでか、キッチリ嗅ぎ分けて戦場を生きてきたじゃない。その旦那がばっと思いついたんだから、人柄的にはきっと問題ないんでしょ。俺の考えとかはさ、忍びだからどーでもいいようなもんだけど、その俺も悪くない選択だって思ってるよ。だからさ、旦那は自分自身の目を信じて、おやたさむあぁぁ、って感じで突撃しなよ』
…わかった。
『幸せになりなよ』
今よりもか。
『比べらんないくらいにだよ』
なあ。気になるのだが、詳しく言えば怒ることと言うのは何だ?
簡単に言うとどうなる?
ああもう、つまんないこと言っちゃったなあ、と■■の顔が引きつった。
『あのねー。別に詳しく言ったら旦那には理解できないって意味じゃないわけですよ。……あーもーわかったわかった!忍びにあるまじき思いだから、これでいいよね?これでおしまいね!』
…怒っているのか、■■。
『怒ってないよ』
そうか。なにか、不安そうに見えたのだ、許せ。
『あのね、俺は旦那のアタマはともかく目はかなり信用してる』
………
『なにふててんの旦那。超一流の忍びに、一つだけでも無条件で信用されてんですよ?
褒めすぎかってなもんでしょ。ともかく、旦那は人当たりがどれだけよくっても、ダメな奴を本能でか臭いでか、キッチリ嗅ぎ分けて戦場を生きてきたじゃない。その旦那がばっと思いついたんだから、人柄的にはきっと問題ないんでしょ。俺の考えとかはさ、忍びだからどーでもいいようなもんだけど、その俺も悪くない選択だって思ってるよ。だからさ、旦那は自分自身の目を信じて、おやたさむあぁぁ、って感じで突撃しなよ』
…わかった。
『幸せになりなよ』
今よりもか。
『比べらんないくらいにだよ』
眼の前に困ったような顔があった。
暖かな色合いの髪がない。ふかい夜の色の、真っ直ぐな強い髪。
「気分はどうだ?」
「…きぶん…某誰かに怒られて…政宗殿?」
ハ、と短く笑われる。口の端だけを持ち上げているようで、きちんと目も笑っている。
まったく逆の笑顔をさっきまで見ていた気がする。
なぜか自分は横になっていて、体の上に薄がけがのっている。
どこかに火鉢が置かれているのか、炭がぱちんという音が聞こえる。
「…言われてみれば、だるい様な……」
そして腹が重い。いつかどこかで味わった痛みだ、と眉根を寄せて考え込んだ。
「食中りでござるか?」
「……Crazy……いや、まさか、はじめてか!?」
何が初めてでござるか、と身を乗り出そうとした時に、不愉快な感触に気づいた。
「ぬ…」
重く、痛い。あの時の不安さが蘇って青ざめる。
暖かな色合いの髪がない。ふかい夜の色の、真っ直ぐな強い髪。
「気分はどうだ?」
「…きぶん…某誰かに怒られて…政宗殿?」
ハ、と短く笑われる。口の端だけを持ち上げているようで、きちんと目も笑っている。
まったく逆の笑顔をさっきまで見ていた気がする。
なぜか自分は横になっていて、体の上に薄がけがのっている。
どこかに火鉢が置かれているのか、炭がぱちんという音が聞こえる。
「…言われてみれば、だるい様な……」
そして腹が重い。いつかどこかで味わった痛みだ、と眉根を寄せて考え込んだ。
「食中りでござるか?」
「……Crazy……いや、まさか、はじめてか!?」
何が初めてでござるか、と身を乗り出そうとした時に、不愉快な感触に気づいた。
「ぬ…」
重く、痛い。あの時の不安さが蘇って青ざめる。
『それはね、旦那の体が大人になったって知らせだよ。やっと大人になったでござるー、って、腹の中が勝ち鬨あげてんの』
「いや、や、病にはござらぬ。心配無用で…」
もう済ませたはずだというのに、なぜまた勝ち鬨を上げたのだろう。
手を握り締めて不安さを堪えると、指の間で絹地が擦れた。何かを握り締めている。
あまりにも硬く握り続けた痕跡か、離そうと思っても指が握った形のまま動かなかった。
「ならいきなりブッたおれるな。背中から刺そうとするやつには心当たりがあるんだ」
見ればそれは布だった。ごく軽装で、(防具をつけろ?ha!その武器でか?)袖をまくっていた。
どことなく蒼みを帯びた髪の色に良く合う、深青の衣。
半ば夢うつつだった状態から一気に覚醒した。
もう済ませたはずだというのに、なぜまた勝ち鬨を上げたのだろう。
手を握り締めて不安さを堪えると、指の間で絹地が擦れた。何かを握り締めている。
あまりにも硬く握り続けた痕跡か、離そうと思っても指が握った形のまま動かなかった。
「ならいきなりブッたおれるな。背中から刺そうとするやつには心当たりがあるんだ」
見ればそれは布だった。ごく軽装で、(防具をつけろ?ha!その武器でか?)袖をまくっていた。
どことなく蒼みを帯びた髪の色に良く合う、深青の衣。
半ば夢うつつだった状態から一気に覚醒した。




