白馬のカイザ様 ◆y6S7Lth9N6
最初にとった行動は、カイザフォンのGPS機能で現在地を確認することだった。
どうやら森の中心にいるらしく、抜けるのは面倒だ。
電話機能も確認したが、こちらは妨害されている。ネット、メール機能も同じだった。
「さてと、どうしたものか」
思わずひとりごちて、彼は周囲を見回す。
生い茂っている樹木はよく見ると日本であまりみない種類である。
シダ植物特有の大きい葉が月光を遮り、森林の闇を深くしていた。
地面の雑草は足首くらいの長さで歩くのに支障はない。
だが未舗装の上、この暗闇で歩くは容易くないだろう。
まったく、面倒な真似をしてくれる。
草加雅人は黒のジャケットを羽織りなおし、襟首を撫でながら考えを整理する。
あの奇妙な人ともオルフェノクとも判断のつかない連中は、自分たちに殺しあえといった。
子どもを殺したのはデモストレーションと言ったところか。馬鹿らしい。
必要なら殺しはするが、現状だと様子見するのが正解だろう。
誰が死のうが知ったことではないが、名簿に真理がいる以上ゆっくりはしていられない。
早く保護に向かわねば。もちろん、真理を殺しそうな輩は自分で始末したほうがいい。
さしあたって、機動力の高い乗り物が必要だ。
そういえば、奴らは『ランダムに支給した』と言っていた。何か移動に役立つものはないだろうか。
そう考えてデイバッグをゴソゴソと探る。
水、食料、地図、コンパスはすでに確認したものだ。名簿は脇に置いてある。
元々の持ち物であるカイザのベルトはケースと一緒に一式揃っていた。ただ、カイザポインターはなかった。
それにしても支給すると言ってもろくなものはない。
ガチャガチャなどでよく見るカプセルが一つ目。二つ目は鞍や轡など乗馬に必要な道具一式だ。
こんなオモチャと役立たずでどうしろというのだろうか。仕方ない、カイザのベルトだけで戦い抜こう。
草加がそう結論つけようとした時だった。彼の精悍な顔つきが、わずかに険しくなる。
「なんだこれは?」
思わず声に出してしまった。カプセルは赤い部分が透けている。
そこに小さな馬がいたのだ。しかも、生きているらしく呼吸をして、自分を見つめている。
そういえばと、付属していた説明書にライトを当てた。
『ギャロップ ひのうまポケモン
ものすごい加速力。 走りだしてたったの十歩で最高時速二百四十キロになる。
モンスターボールの開閉スイッチを押すことにより、召喚可能』
これだけではよくわからない。開閉スイッチとはカプセルの真ん中にあるものだろうか。
半信半疑で押し込むと、丸い物体が二つに割れた。同時にポンと音が鳴り、馬のいななきが響き渡る。
「……なんとも不思議な」
草加が感心するのも当然だろう。ボール一個に収まっていた生命体が、立派な名馬として目の前にいるのだ。
もしかしたら乗れるのだろうか。馬の扱いは慣れているため、落ち着かせながら炎のたてがみを触ってみた。
熱くない。これなら鞍を備え付け、乗りこなすことは可能だろう。馬術部に所属していた経験が役に立つ。
草加は知らないが、ポニータ及びギャロップは懐いている相手にはたてがみの温度を上げない。
馬の扱いのうまさのおかげで、やけどを免れたのだ。
「さてと」
気合を入れて、鞍と轡を備え始めた。馬の癖、性格を見抜くのもついでに行っておく。
便利なものを手に入れたものだ。草加は心底そう思った。
どうやら森の中心にいるらしく、抜けるのは面倒だ。
電話機能も確認したが、こちらは妨害されている。ネット、メール機能も同じだった。
「さてと、どうしたものか」
思わずひとりごちて、彼は周囲を見回す。
生い茂っている樹木はよく見ると日本であまりみない種類である。
シダ植物特有の大きい葉が月光を遮り、森林の闇を深くしていた。
地面の雑草は足首くらいの長さで歩くのに支障はない。
だが未舗装の上、この暗闇で歩くは容易くないだろう。
まったく、面倒な真似をしてくれる。
草加雅人は黒のジャケットを羽織りなおし、襟首を撫でながら考えを整理する。
あの奇妙な人ともオルフェノクとも判断のつかない連中は、自分たちに殺しあえといった。
子どもを殺したのはデモストレーションと言ったところか。馬鹿らしい。
必要なら殺しはするが、現状だと様子見するのが正解だろう。
誰が死のうが知ったことではないが、名簿に真理がいる以上ゆっくりはしていられない。
早く保護に向かわねば。もちろん、真理を殺しそうな輩は自分で始末したほうがいい。
さしあたって、機動力の高い乗り物が必要だ。
そういえば、奴らは『ランダムに支給した』と言っていた。何か移動に役立つものはないだろうか。
そう考えてデイバッグをゴソゴソと探る。
水、食料、地図、コンパスはすでに確認したものだ。名簿は脇に置いてある。
元々の持ち物であるカイザのベルトはケースと一緒に一式揃っていた。ただ、カイザポインターはなかった。
それにしても支給すると言ってもろくなものはない。
ガチャガチャなどでよく見るカプセルが一つ目。二つ目は鞍や轡など乗馬に必要な道具一式だ。
こんなオモチャと役立たずでどうしろというのだろうか。仕方ない、カイザのベルトだけで戦い抜こう。
草加がそう結論つけようとした時だった。彼の精悍な顔つきが、わずかに険しくなる。
「なんだこれは?」
思わず声に出してしまった。カプセルは赤い部分が透けている。
そこに小さな馬がいたのだ。しかも、生きているらしく呼吸をして、自分を見つめている。
そういえばと、付属していた説明書にライトを当てた。
『ギャロップ ひのうまポケモン
ものすごい加速力。 走りだしてたったの十歩で最高時速二百四十キロになる。
モンスターボールの開閉スイッチを押すことにより、召喚可能』
これだけではよくわからない。開閉スイッチとはカプセルの真ん中にあるものだろうか。
半信半疑で押し込むと、丸い物体が二つに割れた。同時にポンと音が鳴り、馬のいななきが響き渡る。
「……なんとも不思議な」
草加が感心するのも当然だろう。ボール一個に収まっていた生命体が、立派な名馬として目の前にいるのだ。
もしかしたら乗れるのだろうか。馬の扱いは慣れているため、落ち着かせながら炎のたてがみを触ってみた。
熱くない。これなら鞍を備え付け、乗りこなすことは可能だろう。馬術部に所属していた経験が役に立つ。
草加は知らないが、ポニータ及びギャロップは懐いている相手にはたてがみの温度を上げない。
馬の扱いのうまさのおかげで、やけどを免れたのだ。
「さてと」
気合を入れて、鞍と轡を備え始めた。馬の癖、性格を見抜くのもついでに行っておく。
便利なものを手に入れたものだ。草加は心底そう思った。
□
一時間後。
草加は馬上で馬との連携がまずまずだと判断した。
無邪気な性格のようで、さっきはやたらと鼻先をこすりつけていた。
それでいて頭は良く、こちらの指示をよく理解する。いい馬だ。
しかし、不思議なところも多々ある。この馬は力が強く、足が恐ろしく速くて軽い。
馬の世話も行ったことがあるため、草加にはわかった。
この馬は普通の生き物ではないのだと。炎のたてがみもそうだが、速さと軽さが馬の常識を超えている。
真理を捜すための足としては優秀なため好都合だが、この馬の情報は集めたほうが良さそうだ。
そう考えているとギャロップはブルッ、と鳴いた。どこか殺気のこもった声色だ。
草加も速度を緩めさせながら周囲を伺う。
がさ、とどこからか葉のこすれる音が聞こえた。誰か居る。
ギャロップにくくりつけていたデイバッグからカイザギアのケースを取り出す。
「誰か居るのなら、出てきたらどうかな?」
草加が呼びかけると、反応がすぐ返った。
木々の合間から蔦をターザンのようにつかんだ人影が跳び出した。
こちらに直撃するコースではないため、相手から目を離さないようにするだけにとどめる。
「驚かして悪かね。ギャロップが珍しくてつい追いかけてしまったとよ」
幼い声と共に、雲が切れて月光が降りそそぐ。
相手は八重歯がチャーミングな少女だ。年齢は十歳前後だろうか。
バンダナとスパッツが活発的な印象を強めている。
襲いかかる様子もないので、草加は警戒心を一応解いた。
「なるほど、こいつを知っているのか。俺は草加雅人、大学生だ。君は?」
「あたしはオダマキ・サファイア。この間ジムを制覇したばかりのポケモントレーナーたい」
胸を張って自己紹介する彼女を、草加は胡散臭げに見つめた。
「ポケモントレーナー? それはいったいなんだい?」
「ポケモントレーナーを知らないって、お兄さんは世間知らずと? お兄さんが乗っているギャロップや……」
サファイアはベルトに止めていた、丸いカプセルを取り出す。
それは草加に支給されたボールと同じものだ。先ほどと同じように彼女が開くと、一匹の見慣れない生物が姿を見せる。
シルエットは人に似ていた。全身が真っ赤に染まり、白い長髪をなびかせている。
羽根のない鳥人がいるとすれば、目の前の存在を言うのだろう。
「あたしのちゃものようにポケモンを使って戦う。それがポケモントレーナーたい」
堂々と告げる彼女だが、草加はポケモンと言う単語自体知らない。
多少混乱している自分に、サファイアは「ギャロップを触ってもよか?」と聞いてくる。
まあいいだろう。
「ずいぶん人懐っこい子たい。名前はなんてつけたと?」
「名前も何も、さっき会ったばかりでね。俺に支給された道具、という扱いらしい」
「……あの胸糞悪か連中の言っていたことやね。通りであたしのポケモンもちゃもしかおらんわけたい。
このポケモン図鑑も、あたしのじゃないみたいやけ。通りでおかしいと思ったったい」
憤慨する彼女はもしかしなくても他人を殺すつもりはないだろう。
ならば情報交換相手としては都合がいい。この馬のことを知りたかったところだ。
「一つ聞きたいことがあるけど、いいかな?」
「構わんとよ」
「ポケモンとは何かな?」
草加は馬上で馬との連携がまずまずだと判断した。
無邪気な性格のようで、さっきはやたらと鼻先をこすりつけていた。
それでいて頭は良く、こちらの指示をよく理解する。いい馬だ。
しかし、不思議なところも多々ある。この馬は力が強く、足が恐ろしく速くて軽い。
馬の世話も行ったことがあるため、草加にはわかった。
この馬は普通の生き物ではないのだと。炎のたてがみもそうだが、速さと軽さが馬の常識を超えている。
真理を捜すための足としては優秀なため好都合だが、この馬の情報は集めたほうが良さそうだ。
そう考えているとギャロップはブルッ、と鳴いた。どこか殺気のこもった声色だ。
草加も速度を緩めさせながら周囲を伺う。
がさ、とどこからか葉のこすれる音が聞こえた。誰か居る。
ギャロップにくくりつけていたデイバッグからカイザギアのケースを取り出す。
「誰か居るのなら、出てきたらどうかな?」
草加が呼びかけると、反応がすぐ返った。
木々の合間から蔦をターザンのようにつかんだ人影が跳び出した。
こちらに直撃するコースではないため、相手から目を離さないようにするだけにとどめる。
「驚かして悪かね。ギャロップが珍しくてつい追いかけてしまったとよ」
幼い声と共に、雲が切れて月光が降りそそぐ。
相手は八重歯がチャーミングな少女だ。年齢は十歳前後だろうか。
バンダナとスパッツが活発的な印象を強めている。
襲いかかる様子もないので、草加は警戒心を一応解いた。
「なるほど、こいつを知っているのか。俺は草加雅人、大学生だ。君は?」
「あたしはオダマキ・サファイア。この間ジムを制覇したばかりのポケモントレーナーたい」
胸を張って自己紹介する彼女を、草加は胡散臭げに見つめた。
「ポケモントレーナー? それはいったいなんだい?」
「ポケモントレーナーを知らないって、お兄さんは世間知らずと? お兄さんが乗っているギャロップや……」
サファイアはベルトに止めていた、丸いカプセルを取り出す。
それは草加に支給されたボールと同じものだ。先ほどと同じように彼女が開くと、一匹の見慣れない生物が姿を見せる。
シルエットは人に似ていた。全身が真っ赤に染まり、白い長髪をなびかせている。
羽根のない鳥人がいるとすれば、目の前の存在を言うのだろう。
「あたしのちゃものようにポケモンを使って戦う。それがポケモントレーナーたい」
堂々と告げる彼女だが、草加はポケモンと言う単語自体知らない。
多少混乱している自分に、サファイアは「ギャロップを触ってもよか?」と聞いてくる。
まあいいだろう。
「ずいぶん人懐っこい子たい。名前はなんてつけたと?」
「名前も何も、さっき会ったばかりでね。俺に支給された道具、という扱いらしい」
「……あの胸糞悪か連中の言っていたことやね。通りであたしのポケモンもちゃもしかおらんわけたい。
このポケモン図鑑も、あたしのじゃないみたいやけ。通りでおかしいと思ったったい」
憤慨する彼女はもしかしなくても他人を殺すつもりはないだろう。
ならば情報交換相手としては都合がいい。この馬のことを知りたかったところだ。
「一つ聞きたいことがあるけど、いいかな?」
「構わんとよ」
「ポケモンとは何かな?」
サファイアは最初、「ポケモン知らないとか冗談がすぎるたい」と笑い転げていた。
もう一度同じ言葉で頼むと、「同じ冗談は面白くないったい」と怒り出す。
念を押すと、「本当に知らないと?」と疑わしそうな表情で問い返した。
仕方なさそうに彼女はポケモンの説明を始める。
ポケットモンスター、縮めてポケモン。世界中のあらゆる場所に生息し、モンスターボールで小さくして携帯可能な生物であるらしい。
時には協力し、時には敵対し、時には天災として人々の前に立ちはだかる。
そんな不思議な生命体である。
草加はおのれの知る動物に近く、遠い存在だと感じた。確かに動物たちは人に比べるとはるかに力だけはある。
だが、このギャロップのように炎を吹いたり、彼女の持つちゃも(種族名はバシャーモと教えてもらった)のような跳躍力と格闘能力を両立させるような存在はいない。
唯一いるとすれば、オルフェノク連中か。
「この子はけっこうレベル高いったい。技は『フレアドライブ』『メガホーン』『おにび』『高速移動』。
お兄さんがその技を指示すると使ってくれるったい」
彼女は携帯機械を使いながら、ギャロップを調べてくれる。
あれは先ほど話題に出たポケモン図鑑というらしい。
「その技の効果をすべて教えてもらえるかな?」
サファイアは快諾し、草加は一つ一つ技を把握した。
フレアドライブはギャロップも反動でダメージを受けるが、威力の高い炎の体当たり。
メガホーンは命中率が多少低いものの、額のツノで突く威力の高い技。
おにびは相手に必ずやけどを負わす技。ポケモンがやけどを負った場合の状況も頭に入れる。
高速移動はギャロップの素早さを上げる技だ。
どれもこれも有用なもの。
特に気に入ったのが、特性とやらで炎に関する攻撃を完全無効化することか。盾としても優秀というわけだ。
技の相性などもあるらしく、軽く学習しておく。あとは実践を通して実感するしかないだろう。
「お兄さんは飲み込み早いったい。これならあたしとも戦えるかも」
「ハハ、遠慮しておくよ。急がないといけない理由があるからね」
「それはしょうがないったい。しかし、どぎゃんしてポケモンのことを知らないと?」
「そう言われても、俺の周りにはポケモンはいなかった。ただそれだけさ。
俺の仲間も同じ事を言うだろう。それと、君も気をつけたほうがいい」
サファイアはキッと表情を引き締めた。話をちゃんと聞くタイプのようだ。
「オルフェノクという、人を殺し回る種族がいるからね」
もう一度同じ言葉で頼むと、「同じ冗談は面白くないったい」と怒り出す。
念を押すと、「本当に知らないと?」と疑わしそうな表情で問い返した。
仕方なさそうに彼女はポケモンの説明を始める。
ポケットモンスター、縮めてポケモン。世界中のあらゆる場所に生息し、モンスターボールで小さくして携帯可能な生物であるらしい。
時には協力し、時には敵対し、時には天災として人々の前に立ちはだかる。
そんな不思議な生命体である。
草加はおのれの知る動物に近く、遠い存在だと感じた。確かに動物たちは人に比べるとはるかに力だけはある。
だが、このギャロップのように炎を吹いたり、彼女の持つちゃも(種族名はバシャーモと教えてもらった)のような跳躍力と格闘能力を両立させるような存在はいない。
唯一いるとすれば、オルフェノク連中か。
「この子はけっこうレベル高いったい。技は『フレアドライブ』『メガホーン』『おにび』『高速移動』。
お兄さんがその技を指示すると使ってくれるったい」
彼女は携帯機械を使いながら、ギャロップを調べてくれる。
あれは先ほど話題に出たポケモン図鑑というらしい。
「その技の効果をすべて教えてもらえるかな?」
サファイアは快諾し、草加は一つ一つ技を把握した。
フレアドライブはギャロップも反動でダメージを受けるが、威力の高い炎の体当たり。
メガホーンは命中率が多少低いものの、額のツノで突く威力の高い技。
おにびは相手に必ずやけどを負わす技。ポケモンがやけどを負った場合の状況も頭に入れる。
高速移動はギャロップの素早さを上げる技だ。
どれもこれも有用なもの。
特に気に入ったのが、特性とやらで炎に関する攻撃を完全無効化することか。盾としても優秀というわけだ。
技の相性などもあるらしく、軽く学習しておく。あとは実践を通して実感するしかないだろう。
「お兄さんは飲み込み早いったい。これならあたしとも戦えるかも」
「ハハ、遠慮しておくよ。急がないといけない理由があるからね」
「それはしょうがないったい。しかし、どぎゃんしてポケモンのことを知らないと?」
「そう言われても、俺の周りにはポケモンはいなかった。ただそれだけさ。
俺の仲間も同じ事を言うだろう。それと、君も気をつけたほうがいい」
サファイアはキッと表情を引き締めた。話をちゃんと聞くタイプのようだ。
「オルフェノクという、人を殺し回る種族がいるからね」
そこから草加がした話を彼女は半信半疑であった。
「そげなバケモノがおるというのなら、どぎゃんして話が出まわってなかとよ?」
「それは俺が聞きたいくらいかな。それに証拠はある」
ベルトを取り出し、腰に巻く。怪訝に思う彼女を前に、変身コードを入れた。
「変身」
コンプリートとベルトが発した音と共に、体を黄色いラインが走る。
暗い森を照らす光となり、カイザの鎧が草加雅人を包み込んだ。
X字のマスクが顔を覆い、黒銀のプロテクターが体を守る。
黄色いラインを持つ戦士がその場に姿を見せた。
「俺はこいつを使って、奴らと戦っていた」
カイザは手近の樹を軽く殴りつける。あっさりと折れたそれをサファイアは見届け、はぁと感心のため息をついた。
証拠はこれで充分だ。草加は変身を解いた。
「これで信じてもらえたかな?」
「まあ、充分ったい。オルフェノクというのは本当と思っていいと?」
「ああ、奴らは人に擬態している。これから言うことは聞き漏らさないでくれ」
前置きして草加は現在地と仲間、そして名簿上のオルフェノクを教えはじめた。
北崎は仇と告げて、自分が相手をすると教える。
木場勇治、海堂直也、長田結花はオルフェノクであり、表向きは友好的でも油断しないように、と吹きこむ。
肝心の乾巧に関しては……
「要注意人物とね……?」
「ああ。オルフェノクでありながら、ファイズのベルトで戦っている男だ。
だけど、一時はオルフェノクの最高地位であるラッキークローバーに所属して、俺に襲いかかった。
今はおとなしくして、真理や啓太郎に取り入っているが……何をしでかすかわからない。充分注意をしておくんだ」
サファイアは間をおいて、こちらの注意を受け入れた。
素直な子だ。操りやすい。
「ところで草加さん、この子の名前はどぎゃんすると?」
「そうだな……サイドバッシャー……サイド。こいつはサイドと名付けよう」
「いい名前やね。それじゃ、あたしは行くったい」
「真理や啓太郎に出会ったら……」
「わかっとる。草加さんは二回目の放送までに放送局に向かう、って教えればいいのやね! そっちもルビーのことをたのむったい」
草加は頷いて、再び蔦から蔦へと移動する彼女を見送った。
ポケモンに関して情報を得れたのは僥倖だ。
自分とこのギャロップで常に二対一の状況をとれるのだ。
だから真理、待っていてくれ。
俺がこの手で必ず助ける、と草加は天に告げる。
草加の手をつかんだのは園田真理だけだ。
草加の母親代わりになってくれる人は園田真理だけだ。
草加の愛を受け入れ、理解してくれる女は園田真理だけだ。
きっと彼女の女の部分も俺を求めてくれる。
草加はただそれだけを胸に、ギャロップを走らせた。
「そげなバケモノがおるというのなら、どぎゃんして話が出まわってなかとよ?」
「それは俺が聞きたいくらいかな。それに証拠はある」
ベルトを取り出し、腰に巻く。怪訝に思う彼女を前に、変身コードを入れた。
「変身」
コンプリートとベルトが発した音と共に、体を黄色いラインが走る。
暗い森を照らす光となり、カイザの鎧が草加雅人を包み込んだ。
X字のマスクが顔を覆い、黒銀のプロテクターが体を守る。
黄色いラインを持つ戦士がその場に姿を見せた。
「俺はこいつを使って、奴らと戦っていた」
カイザは手近の樹を軽く殴りつける。あっさりと折れたそれをサファイアは見届け、はぁと感心のため息をついた。
証拠はこれで充分だ。草加は変身を解いた。
「これで信じてもらえたかな?」
「まあ、充分ったい。オルフェノクというのは本当と思っていいと?」
「ああ、奴らは人に擬態している。これから言うことは聞き漏らさないでくれ」
前置きして草加は現在地と仲間、そして名簿上のオルフェノクを教えはじめた。
北崎は仇と告げて、自分が相手をすると教える。
木場勇治、海堂直也、長田結花はオルフェノクであり、表向きは友好的でも油断しないように、と吹きこむ。
肝心の乾巧に関しては……
「要注意人物とね……?」
「ああ。オルフェノクでありながら、ファイズのベルトで戦っている男だ。
だけど、一時はオルフェノクの最高地位であるラッキークローバーに所属して、俺に襲いかかった。
今はおとなしくして、真理や啓太郎に取り入っているが……何をしでかすかわからない。充分注意をしておくんだ」
サファイアは間をおいて、こちらの注意を受け入れた。
素直な子だ。操りやすい。
「ところで草加さん、この子の名前はどぎゃんすると?」
「そうだな……サイドバッシャー……サイド。こいつはサイドと名付けよう」
「いい名前やね。それじゃ、あたしは行くったい」
「真理や啓太郎に出会ったら……」
「わかっとる。草加さんは二回目の放送までに放送局に向かう、って教えればいいのやね! そっちもルビーのことをたのむったい」
草加は頷いて、再び蔦から蔦へと移動する彼女を見送った。
ポケモンに関して情報を得れたのは僥倖だ。
自分とこのギャロップで常に二対一の状況をとれるのだ。
だから真理、待っていてくれ。
俺がこの手で必ず助ける、と草加は天に告げる。
草加の手をつかんだのは園田真理だけだ。
草加の母親代わりになってくれる人は園田真理だけだ。
草加の愛を受け入れ、理解してくれる女は園田真理だけだ。
きっと彼女の女の部分も俺を求めてくれる。
草加はただそれだけを胸に、ギャロップを走らせた。
【H-5/森林/1日目・深夜】
【草加雅人@仮面ライダー555】
[状態]:健康
[装備]:カイザギア一式(ただしカイザポインター除く)、乗馬道具(鞍、轡、鞭)+ギャロップ:NN『サイド』(騎乗中)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:ひとまず真理を探す。それ以外はその後。
1:森を出る。
2:北崎はこの手で殺す。
3:ルビーを見かけたら、コチラ側に引きこむ。
4:二回目の放送前に放送局へ向かう。
【備考】
参戦時期は40話以降、長田結花死亡前です。
[状態]:健康
[装備]:カイザギア一式(ただしカイザポインター除く)、乗馬道具(鞍、轡、鞭)+ギャロップ:NN『サイド』(騎乗中)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:ひとまず真理を探す。それ以外はその後。
1:森を出る。
2:北崎はこの手で殺す。
3:ルビーを見かけたら、コチラ側に引きこむ。
4:二回目の放送前に放送局へ向かう。
【備考】
参戦時期は40話以降、長田結花死亡前です。
【ギャロップ】
ひのうまポケモン
たかさ 1.7m
おもさ 95.0k
ひのうまポケモン
たかさ 1.7m
おもさ 95.0k
ほのおタイプ
とくせい:もらいび(ほのおタイプのわざを受けると無効化し、ほのおタイプのわざの威力が1.5倍になる)
じそくは さいこう 240キロ。
メラメラ もえながら しんかんせんと
おなじ スピードで かけぬける。
メラメラ もえながら しんかんせんと
おなじ スピードで かけぬける。
技:フレアドライブ おにび メガホーン こうそくいどう
サファイアは移動しながら、後ろを振り返る。
「いい感じの兄ちゃんやったけん。けど、さっきの嫌な感じはなんだったと?」
最初草加を見かけたときは、印象は良くなかった。
もしもギャロップが無理やり従わされているというのなら、どうにかしようと考えての接触だった。
だが、予想に反して草加の態度はとてもよく、拍子抜けしたものだ。
なのになぜだろう。
話題が乾巧に移ったとき、あるいは北崎のとき、またも嫌な感じを草加から受けたのは。
考えてもしょうがない。少し不安だが、ルビーのことも頼んで別行動を取ることにした。
あの様子なら、ギャロップを下手に扱うこともないだろう。
たとえサファイアの最初の印象通りだったとしても。
「さてと、あたしがいくまで無事でいるったい」
だからこそ、ルビーを探すことに集中しようと決めた。
なぜなら、彼はサファイアの――――。
「いい感じの兄ちゃんやったけん。けど、さっきの嫌な感じはなんだったと?」
最初草加を見かけたときは、印象は良くなかった。
もしもギャロップが無理やり従わされているというのなら、どうにかしようと考えての接触だった。
だが、予想に反して草加の態度はとてもよく、拍子抜けしたものだ。
なのになぜだろう。
話題が乾巧に移ったとき、あるいは北崎のとき、またも嫌な感じを草加から受けたのは。
考えてもしょうがない。少し不安だが、ルビーのことも頼んで別行動を取ることにした。
あの様子なら、ギャロップを下手に扱うこともないだろう。
たとえサファイアの最初の印象通りだったとしても。
「さてと、あたしがいくまで無事でいるったい」
だからこそ、ルビーを探すことに集中しようと決めた。
なぜなら、彼はサファイアの――――。
【H-5/森林/1日目・深夜】
【サファイア@ポケットモンスタースペシャル】
[状態]:健康
[装備]:モンスターボール(バシャーモ:NN『ちゃも』)
[道具]:基本支給品、ポケモン図鑑(クリスタル)
[思考・状況]
基本行動方針:ルビーを探し、この殺し合いをやめさせる。
1:森を出る。
2:木場勇治、海堂直也、長田結花、北崎、乾巧を警戒。
3:真理、啓太郎を見つけたら、草加の伝言を告げる(二回目の放送までに放送局に集まる)
【備考】
参戦時期は22巻、バッジ集め終わった直後
[状態]:健康
[装備]:モンスターボール(バシャーモ:NN『ちゃも』)
[道具]:基本支給品、ポケモン図鑑(クリスタル)
[思考・状況]
基本行動方針:ルビーを探し、この殺し合いをやめさせる。
1:森を出る。
2:木場勇治、海堂直也、長田結花、北崎、乾巧を警戒。
3:真理、啓太郎を見つけたら、草加の伝言を告げる(二回目の放送までに放送局に集まる)
【備考】
参戦時期は22巻、バッジ集め終わった直後
【バシャーモ】
もうかポケモン
たかさ 1.9m
おもさ 52.0kg
もうかポケモン
たかさ 1.9m
おもさ 52.0kg
ほのおタイプ
かくとうタイプ
かくとうタイプ
とくせい:もうか(HPが最大値の3分の1になったとき、炎技の威力が1.5倍になる)
たたかいに なると てくびから
しゃくねつの ほのおを ふきあげ
ゆうかんに いどみかかる。あいてが
てごわいほど はげしく もえあがる。
しゃくねつの ほのおを ふきあげ
ゆうかんに いどみかかる。あいてが
てごわいほど はげしく もえあがる。
技:かえんほうしゃ かげぶんしん スカイアッパー にどげり ひのこ ブレイズキックから4つ?
※技4つを固定するか、それとも状況に応じて使うかはのちの書き手にお任せします。
【ポケモン図鑑(クリスタル)】
捕獲のスペシャリスト、クリスタルのポケモン図鑑。
カントー、ジョウトまでのポケモンをコンプリートしている。
捕獲のスペシャリスト、クリスタルのポケモン図鑑。
カントー、ジョウトまでのポケモンをコンプリートしている。
| 路地裏のガール・ミーツ・ボーイ | 投下順 | 忘れてはならない事 |
| 路地裏のガール・ミーツ・ボーイ | 時系列順 | 忘れてはならない事 |
| GAME START | 草加雅人 | [[]] |
| GAME START | サファイア | [[]] |
| 目次 |