路地裏のガール・ミーツ・ボーイ ◆JNaaXjQCoI
――――なんか、不思議な魅力を持った奴だった。超第一印象最悪だけど。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……超……最悪ですね」
物音何一つ聞こえない暗い路地裏を、一人の少女を歩いていた。
とぼとぼと、少し元気なさげに。
ふと顔を上げれば、満天の星空が見えたが、感嘆する気にもなれない。
とぼとぼと、少し元気なさげに。
ふと顔を上げれば、満天の星空が見えたが、感嘆する気にもなれない。
何しろ、仲間が死んだ挙句、こんな状況なのだから。
それを、実感して、少女――絹旗最愛は溜め息を吐く。
人が死ぬのは慣れている。この手で殺した事は何度もある。
だから、平気のつもりだった。
けれど、仲間である滝壺があんなにも簡単に死んで。
同じく浜面が命がけで救ったあの子が、こんな殺し合いの前座で殺されるなんて。
人が死ぬのは慣れている。この手で殺した事は何度もある。
だから、平気のつもりだった。
けれど、仲間である滝壺があんなにも簡単に死んで。
同じく浜面が命がけで救ったあの子が、こんな殺し合いの前座で殺されるなんて。
本当に、超最悪な気分だった。
それしか、言い様が無かった。
悔しいとか怒りがわくとかじゃいい現せない感情だった。
正しく超最悪な気分でしかない。
最近色々感化されてきたせいかもしれない。
ほんの数ヶ月前ならこんな感情持たなかったかもしれない。
でも、そんな事今は関係ない。
ただ、超最悪だった。
悔しいとか怒りがわくとかじゃいい現せない感情だった。
正しく超最悪な気分でしかない。
最近色々感化されてきたせいかもしれない。
ほんの数ヶ月前ならこんな感情持たなかったかもしれない。
でも、そんな事今は関係ない。
ただ、超最悪だった。
ふうと思わず絹旗は溜め息を吐いて。
ウール地の痴女にしか見えないとても短いワンピースの襟を口元に寄せる。
優しい毛糸の温もりを感じて、少し落ち着いて。
その瞬間、あの眠たげな少女の姿が頭に浮かんで。
ウール地の痴女にしか見えないとても短いワンピースの襟を口元に寄せる。
優しい毛糸の温もりを感じて、少し落ち着いて。
その瞬間、あの眠たげな少女の姿が頭に浮かんで。
「――――っ!」
ドゴンと路地に、大きな音が響き渡る。
重い金槌で思いっきり叩いたような音だった。
けれど、絹旗が雑居ビルの壁を素手で叩いただけでしかない。
それでしかないのだが、コンクリートの壁はぼろぼろと崩れ落ちる。
重い金槌で思いっきり叩いたような音だった。
けれど、絹旗が雑居ビルの壁を素手で叩いただけでしかない。
それでしかないのだが、コンクリートの壁はぼろぼろと崩れ落ちる。
それは、彼女の能力『窒素装甲(オフェンスアーマー)』の強化のお陰だった。
大気中の窒素を自由に操る事が出来る能力で、攻撃にも防御にも転化できる。
万能性の高い能力で、今のようにコンクリートを穿つ事ぐらいは余裕だ。
大気中の窒素を自由に操る事が出来る能力で、攻撃にも防御にも転化できる。
万能性の高い能力で、今のようにコンクリートを穿つ事ぐらいは余裕だ。
けれど、それでしかない。
もっと強い能力の者は沢山いる。
実際に滝壺をあっという間に真っ二つにして殺したあの光線を放つ少年には叶わないだろう。
あの少年に恨みがないかと言われると正直微妙だが、今は気にする事ではない。
それ位に強い人間が居る状況で、殺し合いに乗るというのもピンと来ない。
第一、命が関わっているとはいえ、超胸糞悪いこんな殺し合いなんて、超まっぴら御免だった。
もっと強い能力の者は沢山いる。
実際に滝壺をあっという間に真っ二つにして殺したあの光線を放つ少年には叶わないだろう。
あの少年に恨みがないかと言われると正直微妙だが、今は気にする事ではない。
それ位に強い人間が居る状況で、殺し合いに乗るというのもピンと来ない。
第一、命が関わっているとはいえ、超胸糞悪いこんな殺し合いなんて、超まっぴら御免だった。
「……マジ……超憂鬱」
そういう訳で、絹旗最愛は本当に超憂鬱な気分だった。
はあと大きく息を吐いて空を見る。
憎たらしいぐらいの満点の星空だった。
一つ一つ綺麗に輝いて。
むかつく位に綺麗で。
けれど、心の中は全然輝いてなくて、曇りまくっていて。
はあと大きく息を吐いて空を見る。
憎たらしいぐらいの満点の星空だった。
一つ一つ綺麗に輝いて。
むかつく位に綺麗で。
けれど、心の中は全然輝いてなくて、曇りまくっていて。
「あーあ」
と思わず呟いてしまう。
何も変わらないのに。
なんとなく、なんとなくだけ。
この島に来る前がよかったなと思ったのだ。
戻らないのに、戻る訳ないのに。
思ってしまったんだよ。
何も変わらないのに。
なんとなく、なんとなくだけ。
この島に来る前がよかったなと思ったのだ。
戻らないのに、戻る訳ないのに。
思ってしまったんだよ。
右手を星空に掲げる。
勿論届く訳もなかった。
勿論届く訳もなかった。
それだけ。
ふうと息を吐いて。
ふと、気付く。
絹旗が振り向く。
「――――あ」
妙な体勢で、絹旗を見つめる帽子にゴーグルの少年。
少し時が止まって。
少年は慌てて体勢を整えて、こほんと息を整えて。
少し時が止まって。
少年は慌てて体勢を整えて、こほんと息を整えて。
「よ、よう。こんな辛気臭い所で何してるんだ? オレはゴールドって言うんスよ。よろしくなっ」
白々しい自己紹介をする少年――ゴールド。
作り笑顔を浮かべているが、冷や汗が出ていた。
対して絹旗はじと目でゴールドを見つめている。
作り笑顔を浮かべているが、冷や汗が出ていた。
対して絹旗はじと目でゴールドを見つめている。
「はあ……絹旗最愛といいます。どうもです……それで、ゴールドさん」
「な、何だ?」
「超見ましたね?」
「いや、見てないぜ」
「な、何だ?」
「超見ましたね?」
「いや、見てないぜ」
ゴールドがした妙な体勢が示す事。
それは十中八九この短いワンピースの中身を見ようとした事だろう。
けれど、ゴールドはあくまで白を切るようだ。
だから、絹旗は言葉を重ねる。
それは十中八九この短いワンピースの中身を見ようとした事だろう。
けれど、ゴールドはあくまで白を切るようだ。
だから、絹旗は言葉を重ねる。
「見てませんか?」
「全く」
「超少しだけでも」
「見てない」
「じゃあ、何色でした?」
「白……あっ」
「全く」
「超少しだけでも」
「見てない」
「じゃあ、何色でした?」
「白……あっ」
ちょっとした引っ掛け。
それに見事に引っ掛かったゴールド。
絹旗は少し頬を朱に染め、笑って。
それに見事に引っ掛かったゴールド。
絹旗は少し頬を朱に染め、笑って。
「さて、どんな風に死にたいですか? 超セクハラさん?」
「ちょ、ちょっと待て! 第一そんな格好してるんじゃねえッスよ!」
「ちょ、ちょっと待て! 第一そんな格好してるんじゃねえッスよ!」
死刑宣告を受けたゴールドは弁明の言葉を口にしようかと思った。
けれど、出たのは何故か逆ギレの言葉だった。
マズいと思ったけど、言葉が止まらない。
けれど、出たのは何故か逆ギレの言葉だった。
マズいと思ったけど、言葉が止まらない。
「どう考えてみせる格好じゃねーか!? なんだアレか、最近流行りのパン見せギャルか!」
「はあ……!?……これは見えそうで見えない角度を超計算してやってるんです!」
「はあ……!?……これは見えそうで見えない角度を超計算してやってるんです!」
そういいながら、ふわふわニットのワンピースのすそを押さえて、反論する絹旗。
限りなく見えそうで見えない角度をいつも計算しているのだ。
だから、殆ど見えることは無いと絹旗は思っている。
それでも、一度見られたことはあるけれども、まあそれはおいて置く。
限りなく見えそうで見えない角度をいつも計算しているのだ。
だから、殆ど見えることは無いと絹旗は思っている。
それでも、一度見られたことはあるけれども、まあそれはおいて置く。
「つーか、だったら、最初からそんな服着なきゃいいじゃねえか!」
「こ、これはファッションです。第一、覗く方が可笑しいですよ」
「こ、これはファッションです。第一、覗く方が可笑しいですよ」
ゴールドの最もな指摘にも、絹旗は慌てながら言葉を返す。
一応お気に入りの服なのだ、好んでは着ているのだ。
覗く方が可笑しいし、決して痴女ではない。
そう心の中で確認する絹旗の顔は何処か晴れていて。
覗かれたと言うのに、何処か楽しそうで。
無くしそうだ日常のようで。
なんかとてもほんわかしたのだ。
一応お気に入りの服なのだ、好んでは着ているのだ。
覗く方が可笑しいし、決して痴女ではない。
そう心の中で確認する絹旗の顔は何処か晴れていて。
覗かれたと言うのに、何処か楽しそうで。
無くしそうだ日常のようで。
なんかとてもほんわかしたのだ。
「……ふん、ようやっとちっとは元気になったようだな」
その絹旗の様子にゴールドは満足そうに鼻をかいて、笑う。
元々下心だけで、覗いたつもりはないのだ。
元々下心だけで、覗いたつもりはないのだ。
「……え、もしかして貴方励まそうとして」
「可愛い顔して何か妙にへこんだ顔してやがったからな。ちっと元気付けようと思った訳ッスよ」
「可愛い顔して何か妙にへこんだ顔してやがったからな。ちっと元気付けようと思った訳ッスよ」
初めて会った少女だけど、ゴールドにとって関係なかった。
こんな下らない企みで誰かが傷つくような事、許す訳には行かない。
ましてこんな可愛い子が落ち込むなんて持っての外だ。
こんな下らない企みで誰かが傷つくような事、許す訳には行かない。
ましてこんな可愛い子が落ち込むなんて持っての外だ。
「どうだパン見せギャル、元気になったか?」
「………………まあ、超ちょっとは」
「………………まあ、超ちょっとは」
可愛いやら妙に褒められたのがちょっとくすぐたくって。
ぷいとそっぽを向いて、絹旗は強がって言葉を言う。
無くしそうな感情が、無くさずにすみそうな事に心の中で、感謝しながら。
ぷいとそっぽを向いて、絹旗は強がって言葉を言う。
無くしそうな感情が、無くさずにすみそうな事に心の中で、感謝しながら。
「うっし……なら、最愛だっけ? オレはこんなくだらねぇ企みなんか許す訳にいかねぇ」
ゴールドはバックから、一つのボールを出す。
彼に支給されたモノで、それを宙に思いっきり投げた。
彼に支給されたモノで、それを宙に思いっきり投げた。
元々あんなふざけた奴らの言葉なんか聞く気は無い。
従う気なんざ、サラサラ無い。ふざけるなと言う気持ちで沢山だ。
そして、何より許せないのが
従う気なんざ、サラサラ無い。ふざけるなと言う気持ちで沢山だ。
そして、何より許せないのが
「オレだけじゃねえ……先輩方やクリス……そして、ダチ公まで巻き込みやがって」
彼の大事な仲間、友達を巻き込んだことだ。
仲間や友達と殺しあえなんて、聞いてたまるか。
むしろ、仲間達とこんな殺し合いなんて打破してみせる。
仲間や友達と殺しあえなんて、聞いてたまるか。
むしろ、仲間達とこんな殺し合いなんて打破してみせる。
だから
「オレは前に進んで、ぜってーあいつらぶっ潰してやる――――なあ? 相棒」
彼が信じて、意志を託す相棒と共に、ゴールドは戦う事を誓う。
宙に投げられたボールが、開いて。
其処から現れた一匹のポケモンが肩に乗っかった。
「絶対、シルバーに会わせてやるからな……今はよろしく頼むぜ」
そのポケモンは、ゴールドのダチ公の相棒、ニューラだった。
ニューラはゴールドの顔見て、頷き、懐くように顔を摺り寄せた。
ゴールドはニューラの仕草に、同じく頷いて、そして絹旗に振り返る。
ニューラはゴールドの顔見て、頷き、懐くように顔を摺り寄せた。
ゴールドはニューラの仕草に、同じく頷いて、そして絹旗に振り返る。
「つー訳でよ、最愛もついて来いよ? こんな目にした奴、ぶん殴りたいだろ?」
さし伸ばされたゴールドの手。
絹旗はまじまじとそれを見つめて。
絹旗はまじまじとそれを見つめて。
不思議な奴だなと思う。
強引で、無茶苦茶で、なんかやけに熱くて、ちょっとそれがウザくて。
でも、それが何故かプラスに感じられて。何か温かくて。
強引で、無茶苦茶で、なんかやけに熱くて、ちょっとそれがウザくて。
でも、それが何故かプラスに感じられて。何か温かくて。
「……はあ、超仕方ないですね。付き合ってあげますよ」
だから、ちょっと頼ってみようと思った。
だから、温かな手を強く握ってみた。
だから、温かな手を強く握ってみた。
「うし、じゃあ、行くぜ!」
右肩にはダチ公の相棒、そして今のゴールドの相棒。
左手には一人の少女。彼女の手を強く引っ張って。
左手には一人の少女。彼女の手を強く引っ張って。
「ぜってー……諦めないからな!」
ゴールドの冒険は、始まりを告げたのだった。
【H-6/路地裏/1日目・深夜】
【ゴールド@ポケットモンスタースペシャル】
[状態]:健康
[装備]:シルバーのニューラ@ポケットモンスタースペシャル
[道具]:基本支給品、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らず、殺し合いを企画したものをぶっ潰す。
1:殺し合いをぶっ潰す
2:シルバーやクリスタル、仲間との合流
[状態]:健康
[装備]:シルバーのニューラ@ポケットモンスタースペシャル
[道具]:基本支給品、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らず、殺し合いを企画したものをぶっ潰す。
1:殺し合いをぶっ潰す
2:シルバーやクリスタル、仲間との合流
【絹旗最愛@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品0~3
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない。
0:……変な奴
1:ゴールドについていく。
2:浜面は……?
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品0~3
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない。
0:……変な奴
1:ゴールドについていく。
2:浜面は……?
※名簿未確認
「で、何で覗くって手段とったんです?」
「……んーまあ、よくあるこった、気にすんな!」
「………………やっぱ殴りますね? 超殴りますよ?」
「うわ、おい、馬鹿、冗談だって!」
「はあ……やっぱり超最悪です」
「……んーまあ、よくあるこった、気にすんな!」
「………………やっぱ殴りますね? 超殴りますよ?」
「うわ、おい、馬鹿、冗談だって!」
「はあ……やっぱり超最悪です」
| 闇の時代に狼煙を上げろ | 投下順 | 白馬のカイザ様 |
| 闇の時代に狼煙を上げろ | 時系列順 | 白馬のカイザ様 |
| GAME START | ゴールド | [[]] |
| GAME START | 絹旗最愛 | [[]] |
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