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― 第63層「宝貝」 ―
ザ ザ ァ ー … ッ …――――――――――(曇天が広がり、薄暗く陰湿とした渓谷のフィールドに、畳みかけるような雨が降り注いでいる――――)
毛利元就(幻影)「(拠点クリスタルへ接近を仕掛ける攻略組の面々を冷徹な眼差しで見据えていた―――)……愚かなり。策も講じずに進撃などとは目も当てられん。この天候…日輪の加護を得られないのは我にとっては誤算ではあるが、あれらのような輩相手など取るに足りん。愚者に死を―――――― 放て! (幻影体の大群に攻撃を命令を下すように片腕を高らかに突き上げた) 」
毛利軍兵士(幻影)『 グ グ グ ッ … ―――――― シ ュ ド ド ド ド ド ド ド ド ァ ッ ! ! (大将の毛利元就の命の元、拠点クリスタルを包囲するように陣形を成していた弓部隊の兵軍が一斉に矢を射抜き始めた)』
「ぐああぁあ…ッ…!!」「ぎゃあ゛ぁ゛…ッ゛!」「ッだ…ァ……ッ?!」「ぎゃは…ッ゛……!?」「た、たすけ…逃げ…――― ぐゥ゛あ!?」
豪雨に紛れて、矢の雨が攻略組に慈悲なく降り注ぐ。
ゲームであるカオスファンタズマの攻略戦において、この程度の被弾では致命傷を負うことはない。
だが、"今は"違う。ゲームという制約が払拭された今、この瞬間こそが"現実(リアル)"なのだ。
たかが一本の矢でさえも心臓を貫く"脅威"となる。
「死の付く(篠突く)雨」が、戦場を瞬く間に赤く染め上げていくのだった――――
百生吟子「ハァ……ハァ…ハァ……ハァ……っ……!(矢の射程圏外から、何かに急くように先んじて突撃していった無名の攻略組達の末路を目撃してしまう。絶叫を上げ、鮮血を流し、消えることなくその場に留まり続ける遺体… ゲームの世界ではありえない生々しい光景を初めてこの目で見たことにより、鼓動が暴れるように轟くと共に呼吸が次第に激しく乱れていくのを感じた―――) 」
安養寺姫芽「……ぁ…っ……あ……!(次々と脱落…否、絶命していく者たちを目の当たりに思わず後退ってしまう)……ダメ……流石に無理ゲー過ぎるかも……っ… 「ゲームだから」って対象無茶して突っ込めるこの状況でも…今は……(旧武器のスナイパーライフルを両手に抱えるように尻込みする) 」
徒町小鈴「ハッ……ハッ……ハァ……―――――― ド ス ッ (――――!?)(凄惨な光景を前に硬直していた自身の足元に何かが突き刺さる音がして思わず身体が跳ね上がる。「矢」だ。幸い、自身に突き刺さることはなかったが、あと一歩でも踏み込んでいれば脳天から貫いていたことだろう。そんな最悪の結末が過った瞬間、表情は一気に青褪めて―――)――― ひ ぃ や゛ あ゛ ぁ゛ …ッ゛……!!(たまらず泣き叫んでしまった) 」
百生吟子&安養寺姫芽『小鈴 / 小鈴ちゃん……!?(慟哭する小鈴に振り返り左右からそれぞれ宥めるようにその両肩に手を添える)……(そんな彼女を他所目に、二人は視線を交わす。どちらにしても、引き返すことは出来ない。このまま進むしか選択肢はない。だが、これはゲームではない。「現実」なのだ。決して映画や本のように、不思議なことが都合よく起きることなど可能性は低いものだ―――)』
酸賀研造(幻影)「――― おー、おー、おー……あんらまっ、研究材料に使えそうな死体がこんなにたくさん… これは調達に手間がかからなくて済むねぇ~(飄々とした態度で歩いてくるのは、眼鏡をかけた洒落た紳士服を着込む科学者の男…その幻影体だった)……おやおやぁ~?随分可愛らしいお嬢さんたちもいたんだねぇ~?あーあーそんなに怯えちゃって~…かわいそーに。でも心配いらないよ。俺が「面倒」見てあげるからさぁ~…――――― 新しい「実験体」としてねぇ( \ ベイクマグナム / ) (怪物の頭部を彷彿とさせる銃型変身デバイス「ベイクマグナム」とブレイクッキーゴチゾウを取り出す) 」
酸賀研造(幻影)「 \ SET ! /(ベイクマグナムにゴチゾウを装填)ガギンッ――ゴギンッ――ガギィンッ――― \ CHANGING ! / (怪物の口を思わせる銃の上部パーツを3回展開させ、まるで怪物が嚙み砕くような動作を行う) ス ……(銃の握られていないもう片方の手を上げ、フィンガースナップの構えを取ると――――) 」
酸賀研造(幻影)「 パ チ ―――― へーんしん ―――― ン 」
酸賀研造 → 仮面ライダーベイク(幻影)「 \ FIRE ! / \ BEYOND BIOLOGY「BAKE」 / (トリガーを引くと射出されたエネルギーが自身を覆うように上から噛み付き、高熱を帯びて破裂。焼き上がりのクッキーを彷彿とさせる得体の知れないオーラを纏う仮面ライダー「ベイク」へと変身を遂げたのだった―――)――― ハハハハハハハ…… さあさあ、こっちへおいでよ。出来る限り痛くしないようにしてあげるからさぁ……!(チャキリッ――――ダキュゥンッ!)(突きつけたベイクマグナムの銃口から弾丸を一発解き放つ。しかしそれは―――) 」
ヒ ュ ゥ ゥ ゥ ン … ――――――― ド ッ / ズ ッ ガ ァ ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! !(撃ち放たれた弾丸。よく見ればその表面にはチョコチップクッキーのチョコ部分にも似た突起物があり、発射の衝撃で弾丸本体から四方八方へと発散され、宛ら拡散弾のように広がった突起物が周囲の岩石や木々を爆散させ、フィールドの一部を瓦解させていく)
百生吟子&徒町小鈴&安養寺姫芽『――――― ! ? (敵の新手、ベイクの放った弾丸に身構えたのも束の間…拡散された突起物の爆発に巻き込まれまいと、吟子と姫芽の二人が小鈴を抱き寄せながら爆発から全力で逃れ、黒煙に紛れるように後方にある岩陰へと撤退していく)』
仮面ライダーベイク(幻影)「あーらーらー?どこいくのー?おじさんと遊ぼうよー。若い女の子を前にすると年甲斐なく燥いじゃうんだよおじさんはさぁ~。(爆発によって硝煙が立ち込める中、追い詰めるようなゆっくりとした足取りで前進していく) 」
百生吟子「はぁ……はぁ……っ……―――――― 姫芽 (乱れる呼吸を整えて小鈴を宥めるようにその背を摩る姫芽に冷静な声音――微かに震えてはいるが――で話しかける) 確か『アレ』あったよね…?ほら、戦闘中に逃げられるなんとかクリスタルってやつ……!(汎用武器の日本刀に手をかけながら、岩陰から顔を半身出して幻影体の接近を静かに伺う) 」
安養寺姫芽「……!『離脱クリスタル』のこと…?今使うの…っ…?でもあれは、一度発動しちゃうと30秒間は無抵抗状態……つまり、一切動けなくなるんだけど…今この状況でエスケープするにはあまりにもリスクが―――――!(ここまで解説して何かを察したかのように口を噤んだ)……ま…まさか……吟子ちゃ――――― 」
百生吟子「――――私が時間を稼ぐから、その間に小鈴と一緒に戦闘を離脱して 」
安養寺姫芽「―――――!?(その「まさか」だった。吟子は決して冗談を言わない性格であるのは理解している。それが彼女の大きな決断だとすぐに理解するが…)……な…っ……ダメに決まってんじゃん……!そんなことをしたら、吟子ちゃんは…… 」
百生吟子「……仲間を守れないで、先輩たちに顔向けできないじゃない…だから、私がやるしかないの…! 」
安養寺姫芽「そんなの……そんなのダメだって…ッ…!!(いつもアンニュイ感のある声音からはじめて強気に声を荒げた) それで吟子ちゃんが"いなくなった"ら、向けるための顔もないじゃん…!逃げるなら三人一緒じゃなきゃ…一人だけ置いていくことなんて…できるわけないじゃん…! 」
百生吟子「――――わかってるわよッ!!でも…でも……ッ…!!ここで三人とも死んでしまうことだけは嫌なの…ッ!本当は……今でもすごく、「怖い」……ッ… 結局…私は先輩たちのように強くなれなかったんだって…… だから…いいの… 姫芽と小鈴だけでも生き延びて… そうすれば、あとは―――― 」
徒町小鈴「――――― や め て よ ッ ! (ここで、ずっと蹲っていた少女が声を張り上げる)……ハァ…ハッ……はぁ……!吟子ちゃんも…姫芽ちゃんも……ケンカしないで…… 小鈴は……小鈴は…ッ……!できることなら、三人で生きて帰りたいよ……っ…!でも、小鈴が…小鈴が泣いてばかりいるから…不甲斐ないから… 迷惑をかけちゃって…… ごめん、なさい…っ……ごめ、ん……う、ぁ……(ボロボロと泣き崩れてしまう) 」
百生吟子&安養寺姫芽『――――― ! ! (「死にたくない」「みんなで無事に」「生き延びたい」―――三人の切実な「願い」が共感する。それは心身を震わせ、己が弱さを刺激させる。やるべきことはわかっているはずなのに、身体は今でも「死」に対する恐怖に釘づけられている―――――)』
仮面ライダーベイク(幻影)「ハハハハハ……怖がらなくていいよぉ~…仲良く三人一緒に、俺が可愛がってあげるからさぁ~?だ・か・らぁ~?ねっ?その可愛いお顔を出してよ?出ないとさぁ…―――――― チ ャ キ リ ッ (三人の少女が身を隠している岩陰に銃口を突きつける) そのまま貫いちゃうよー?痛いかもよー?大人しく投降してくれるならさぁ…約束通り痛い目には合わせないからさぁ~…ねぇ?ほぉら…いくよー?さぁーん……にぃー……いぃーちぃ……―-―――(銃口先端に高熱エネルギーが集束されていく―――) 」
シ ュ オ ン ッ ―――――― ダ ァ゛ ア゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! (振り止まぬ雨が水浸す血塗られた戦場に、一つの影が刹那に現出。残像すら見せない速度で1フレームごとに10手先を進む人影が、地盤を拉げながらベイクへと迫る―――――)
桂城泉「 ギ ュ ル ル ル リ ィ ッ ―――――――― ┣¨ グ ゥ゛ ォ゛ オ゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! (振り付ける雨粒さえも潜り抜ける程の圧倒的速度と気迫をもって現れたのは、「最強」の頂に君臨する『 戴冠者《クラウンド》 』の一人。横軸回転で全身を激しく捻り回しながら左脚部に強大な覇気(
アンビション)を纏い、黒く硬質化した鋭い跳び蹴りをベイクの腹部へと盛大に炸裂させた) 」
仮面ライダーベイク(幻影)「―-――― ッ゛ ッ゛ ッ゛ ! ! ? ( メ゛ギ ッ゛ メ゛ ギ ィ゛ ッ゛ ―――――)(電光石火の如き神速を帯びた人影より叩き込まれた盛大な一蹴を前に、硬い装甲がクッキーのように脆く崩れ出し全身が「く」の字に曲がり出す) 」
仮面ライダーベイク(幻影)「 ズ ガ ァ ン ッ ――― ボ ゴ ォ ァ ン ッ ―――― ズ ギ ャ ア ァ ン ッ ――― ガ ッ シ ャ ア ア ア ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (そのまま水平に蹴り飛ばされた身体は毛利軍の兵士の一部に激突し、更に遥か向こうの木々や岩石さえも貫いて最奥の山のオブジェクトへとめり込む。圧倒的覇者の一撃によるものか、その衝撃は空間にノイズさえも走らせ、幻影体を維持する結晶物質にも砂嵐が走った――) 」
仮面ライダーベイク → 酸賀研造(幻影)「パラパラ…ッ…―――――― ド シ ャ ア ァ ッ ! (めり込んだ箇所からずり落ち、変身が強制解除される)……か……ァー………や…ッば…… 今のは……痛すぎる…ねェ………―――――――(はははと乾いた笑みを微かに零したマッドサイエンティストはそのままうつ伏せに倒れ込むと結晶残滓となって下酒散った) 」
百生吟子「……ッ……――――――― ! ? (瞬きをしたその直後、「何か」が起こった。状況の理解にかかった時間はおよそ6秒弱。先日不思議な出会いを果たした上に助言を呈してくれたあの「女性」が、幻影体を文字通り一蹴した。その「結果」に、瞳孔が一瞬で縮小した―――)――――……「あの人」……この前の……!(「強い」…いや、その二文字で言い表すことのできない、圧倒的な力。同じスクールアイドルの出自でありながら天地の差がある彼女の実力に開いた口が塞がらなかった) 」
安養寺姫芽「……うッッッッそ……つんっよ……(えぇ…と唖然とあんぐりと口を開けていた)……た、たすかった……?でも、なんで……っ…?確かあの人はとっくにここよりも遥か上の階層にいるはずじゃ…こんなところに現れる理由が…… 」
徒町小鈴「あっ……?!あの人……前に、徒町たちが修行していた時にアドバイスをくれた人……!す…すごすぎて、何が起こったのかわからなかった……! 」
桂城泉「 フ ワ ァ … ――――― 「リトライ」機能だよ。一度踏破した階層なら後で何でも挑戦することができる。その仕様はデスゲームに切り替わった今でも変わらない。と言っても、ここは確か1週間前くらいに既に踏破した階層なんだけどね (そう冷静に答えると、後ろに結んだ長い髪を華麗に揺らして岩陰に潜む三人にその視線を向ける) 」
桂城泉「…………「怖い」かい? (冷静な佇まい、決して煽るような態度ではない、落ち着いた声音で三人に問いかける) 」
百生吟子&徒町小鈴&安養寺姫芽『―――――― ! ! ! (その問いかけに、三人は言の葉ではなく憂いの表情で応えた)』
桂城泉「その感情は間違っていないよ。誰だって、「死ぬ」のは怖い。一度きりの人生が、一瞬で終わりを迎えちゃうからね。だけど「死」というのは「生」を強く実感させるものでもあるんだ。「死にたくないから、生きる」―――至極当たり前のことだが、この絶対条件が君たちの生きる強さに大きな影響を与える。「生きたい」んだろう?なんのために?誰のために?ここまで来た君たちの本当の答えは、なに?自分に問いかけてみなよ。 」
百生吟子「……私……ウチ、は……――――― 」
―――― 吟子ちゃん♪ / 吟子さん
徒町小鈴「……徒町は……小鈴は……っ…――――― 」
―――― 小鈴さん / すずー
安養寺姫芽「……アタシ…は……――――― 」
―――― ひめっちー♪ / 姫芽ちゃん♪
百生吟子&徒町小鈴&安養寺姫芽『 ―――――――――― 』
百生吟子「……一緒に笑い合いたい人たちがいる…!まだ見たことのない未来を彩って、「輝き」を掴みたい…! 」
徒町小鈴「……とても憧れている人たちがいる…!小鈴は、そんな人たちといろんなことに「挑戦」して、成長したい…! 」
安養寺姫芽「……ただ生きてくれているだけで嬉しい人たちがいる…!でも時に傍にいて一緒に「楽しい」時間を過ごしたい…! 」
百生吟子「そのために生きたい…! 」
徒町小鈴「こんなところで、終わりにしたくない…! 」
安養寺姫芽「もっと先へ…みんなで突き進みたいんだ…! 」
桂城泉「……… ―――――――― フッ、そうか (その答えを待っていたのかどうかは知る由もない。だが、挫折ではなく「進む」ことへの躊躇いを拭った彼女たちの顔つきが変わった瞬間を目にし、思わず口元を綻ばせる。雨風さえも跳ね除けるような、そんな確信たる決意に―――) 」
テツヤ(NPC)「―――――― よく言った! (死への恐怖に抗う三人の少女を称えるように、浮遊式スケートボードで踊るように旋回飛行して彼女たちの前に着陸する) それが、君たちの見つけた「君たち自身の答え」だ。確かに見届けさせてもらったよ。(ボードの先端を踏みつけ立て掛けられたそれを手繰り寄せながら彼女たちに不敵な笑みを送る) 」
百生吟子「……!テツヤさん……!?(本来NPCが戦場に現れることなどあり得ない。それはゲームに疎い自分ですら把握している事実であるはずだが…) 」
テツヤ(NPC)「……その顔…どうして俺がこんなところにいるのか疑問なんだろ?確かに、俺たちNPCが攻略戦に臨むことも、バトルフィールドに踏み込むこともご法度だ。だが、事態が事態だ。今更なりふり構っちゃいられねえ。それよりも…こんな非常時になったもんだから、同じNPCのスタッフたちに協力を仰いで急いで完成させたんだ。待たせたな。これが…「答え」を見つけた君たちに贈る――――― 俺たちからのささやかな『プレゼント』だ!(スマホを起動して三人に目掛けて薙ぎ払うように突き出した) 」
キ ュ ガ ―――― " 「the Ultimate Weapon」 Release " ――――― ァ ア ッ ! ! ! (テツヤのスマホから送信されたデータが、三人の少女の端末画面に映し出される。その意味は、「最強武器・解禁」。彼女たちの衣服、武装が水泡の様に蒸発し、産まれた時の姿へと曝け出される。ありのままの姿に、少女たちそれぞれのイメージカラーの光線がその身を包み込み…新たな衣装(スキン)として身に纏われる――――――)
百生吟子「(身に纏われるのは…青緑を基調とした、雅な趣を醸し出す和装。白い狐面をその頭部に、牡丹の花をあしらった着物が華麗にはためく。その手に握られているのは、メガホン型鈍器『狐の嫁入り』―――) 」
徒町小鈴「(その身に顕現されたのは、小悪魔デザインのパンクロッカー調のドレス衣装。小鈴自身の弾けるような性格がロックミュージックと相まって爆音の様な衝撃が空間を震わせる。その手に抱えられたのは、ギター型武器『未来のロックスター』―――) 」
安養寺姫芽「(我が身を包むのは、暗夜色に溶け込むアサシンテイストのサイバースーツ。サイドに露出感が浮き彫り、無駄な装飾をオミットしたスタイリッシュな軽装。その両腕に握られるのは、大鎌武器『ジェットストライクリッパ』―――)) 」
テツヤ(NPC)「その最強装備の真名は『 O.N.G.E.K.I. 』だ…!武器の「ノーツ」とスキンの「シュータードレス」が1セットになっている。威力・範囲・強度などのステータスが最高クラスの武器に、速度・耐久・順応が大きく底上げされたスキンで大幅なステータスの上昇を獲得。それだけじゃない。君たちスクールアイドルのノウハウを参考にしたある特殊能力を搭載した。それは"リズム"…!一定数の攻撃を与えるとゲージが蓄積され、"必殺技"を発動できる!それだけじゃない。仲間との連携を意識し始めた君たちなら、"合体必殺技"にだって転換できる…! 」
百生吟子「…すごい……これが……!なんだか、不思議と力が湧いてくる……!(生まれ変わった自分の姿に驚きを示しつつ、我が身から感じる得体の知れない力を実感する。ゲームではなく、現実を帯びたことで確かに感じる強さを―――) 」
徒町小鈴「わっ、あっ……!?徒町…イメチェンしちゃいました…!?でも、あの時必死に修行に励んだ日のことが…今になって思い出してきた……!(ギターのチューニングを行いつつ武器の扱い方を思い出すように操作する) 」
安養寺姫芽「そうだねぇ~!まさかここまで強くなれるとは思わなかったけれど、アタシたちは一度その強さを経験した…だから……後はその力を、ちゃんと自分のものにするだけだよね…!(大鎌をクルリと一回転させると、背後に広がる幻影体の大群と対峙を示す) 」
生きる理由の果てに見つけた、生きたいという「願い」。
彼女たちが新たに見出したその帰結を称えるように…
雨嵐は止み、曇天から日差しが三人の少女たちに差し込んだ――――――
毛利元就(幻影)「………愚かな… ただその身を震わせるだけの根拠のない強がりで、我を討とうというのか?計略も、力も、才能もない、貴様等垢の如き凡人どもが…? 」
安養寺姫芽「確かに、アタシたちは凡人かもしれない。他の強いプレイヤーのみんなや、先輩たちには遠く及ばないかもしれない…でも、「生きたい」という願いの強さがある限り、どこまでも強くなれなきがする。ううん…なれる。そう信じたい。 」
徒町小鈴「小鈴は、もう俯かない…!たとえ限界を迎えて倒れる時が来たとしても…前のめりに!! 」
百生吟子「強がりでもいい。後ろめたくなるくらいなら、威勢でも虚勢でも張って堂々と生きたいから!行こう…小鈴!姫芽!この「ゲーム」…絶対に勝つわよ!! 」
毛利軍兵士(幻影)『 グ グ グ ッ … ―――――― ヒ ュ ド ド ド ド ド ァ ッ ! ! ! (対抗意思を燃やす少女たち。その不穏分子を排除しようと、冒頭で攻略組の大半を死滅に追いやったあの矢雨を再び解き放ったのだった)』
百生吟子「―――――― 散開ッ!(進撃の合図。三人一斉に三方向へと別たれるように駆け抜ける。その頭上から迫る矢雨の軌道を見定めると――)―――― っは!! (バギュオオオォォオンッ!!)(鈍器を振るう。その先端のメガホンから放たれた爆音衝撃波が自身に降りかかる数十本の矢を吹き飛ばした) 」
徒町小鈴「 ダ ッ ――――(落ち着け小鈴…!これは、あの時の修行と同じ…!) チェスト、掻き鳴らしますッ! (ギュインッ、ギュインッ、ギュィィィイインッ♪)(駆け抜けながらギターを搔き鳴らすという器用な挙動に躍り出る。奏でられる衝動の旋律は激しい音波として戦場に轟き、並走する吟子と姫芽に回避のための速度上昇バフを付与。演奏に寄る爆音は更に矢雨さえも寄せ付けない程の衝撃を放ち、演奏の手を止めることなく前進を決行する) 」
安養寺姫芽「ぃよっ――ほっ―――ちぇあーっ!(ザギィンッ――ズァンッ―――ギャリギャリィンッ!!)(リーチのある大鎌をさ、宛ら大道芸人のように両手で巧みに操り三閃を描いて矢を斬り払っていく。小鈴のバフを受け、ただでさえ軽い身のこなしが更なる柔軟性を帯びたかのように常人を越えた挙動で高速旋回していく) 」
毛利元就(幻影)「―――――(たかだか三人の生娘。だが、油断はせぬが吉―――)――――日輪の加護よ!我に日を照らせ!( ド ギ ュ゛ オ゛ ァ゛ ッ゛ ! ! ! )(フラフープの様な特徴的計上した輪刀をその手に掲げると、差し込む日光をその刀身に吸収。翡翠の輝きを帯びた刀身が眩い光を放ち、戦場の至る箇所に破滅の閃光柱が幾重にも地中から突出し始める) 」
百生吟子「ズギャギャァッ――――― ダ ァ ン ッ ! (滑り込むような前進から、盛り上がる地中の微かな変化に逸早く気付いてバク転回避。空中で一回転し衣服が鮮やかに靡かれる中で鈍器を光柱に向けて振るうと――)―――― ド ギ ュ オ オ ォ ッ ! ! (メガホンから発した爆音を真横からぶつけて相殺しにかかった) 」
徒町小鈴「 ギュイィィィインッ♪ (前のめりになりかけた悪い癖に逸早く気付いて修正。踏みとどまった姿勢から、襲い来る光柱を回り込むように身を翻して華麗に受け流す。その最中でも演奏の手を止めることはしない。今度は敵の攻撃発生を僅かに遅鈍化させるデバフのメロディーに切り替え、元就を遠隔から攪乱していく) 」
安養寺姫芽「 フ ァ ン ッ ――― フ ォ ン ッ ――― シ ュ オ ン ッ !(地中からの閃光に呑み込まれるように直撃する。しかし、それは残像。抜け落ちた本体は忍の如き俊足をもって次々と繰り出される破滅の光を潜り抜けていく) 当たりはしないよ!なんたって今は、最高潮に優れているからねー♪ 」
毛利軍兵士(幻影)『――――うおおおおぉぉぉぉおおおおッ!!!(距離を縮められもはや機能を失った弓兵はそのまま白兵戦へ切り替えるように刀や槍へ持ち替え、接近を仕掛ける攻略組への迎撃態勢に入った)』
テツヤ(NPC)「………アンタはいいのか?いや、天下の最強プレイヤーなら手を出すまでもないか。(どんどん進撃していく三人を見据えながら、隣に立っていた泉に語り掛ける) 」
桂城泉「そうだね…これは「彼女たち」の戦い。私にとってはもう通った道だからね。でも……ああ、いいな… あの感じ。頼れる誰かに背中を預けて戦うなんて、したことがなかったからさ…。(練習場で修行に励む彼女たちを見た時と同じ「羨望」の感情が、再び瞳に写り込む―――) 」
百生吟子「小鈴!姫芽!やるよ…"フォーメーション「S」"!(合図を下すと共に反時計回りにその身を傾倒させながら旋回前進していく)―-――はぁぁああッ!!(真っ向から突撃する兵士に対し、サイドから攻め崩すように鈍器を力強く振るいその渦中へ果敢に飛び込む) 」
徒町小鈴「来た!あれだね…!絶対成功させる…!(吟子の合図に大きく頷くと、ここで演奏のを止めるようにギターを逆さに持ち替える。ギターの下部に備わるブレードを光らせ、まるで斧を構えるかのように振り上げて吟子に続く様に反時計回りに飛び出しながら敵陣へ斬り込む) 」
安養寺姫芽「待ってました!"スクリューバイト"!ゴキゲンに勝ちに行くぞ~~~~!(合図を聞いて思わずぺろりと舌なめずり。水平に構えた大鎌を両手に反時計回りに敵の本隊へ侵攻し、圧倒的なリーチを利かせた凶刃で薙ぎ払う) 」
ザギィンッ――ザギィンッ――ザギィンッ――ザギィンッ――ザギィンッ――ザギィンッ―― ! ! ! (それぞれが独楽の様に回りながら敵を切り刻むその連携攻撃は、俯瞰すれば三つ巴の模様を描く様に高速旋回され、次々と手騎兵を切り刻む。"スクリューバイト"と名付けられたその連携技は、宛ら"竜巻"のように…呑み込んだ者たちを豪快に切り裂き、吹き飛ばしていくのだった―――)
桂城泉「へぇ…あれが噂の"フォーメーションアタック"か…。確か、一部のパーティでそのような連携技が編み出されることを
エリノラから聞いたことがあったな。ほぼソロプレイの私には縁のない話だったけど…なるほど、なかなかに興味をそそられる戦法だ。(興味深そうに顎元に指先を添える) 」
毛利元就(幻影)「…なんだと……?(自身が率いる軍勢、挙句の果てに自身の猛攻でさえも退け一気に距離を詰めてきた三人の少女に初めて眉をしかめた) ……気娘如きにここまで攻め入られるなど、屈辱的なことだ。しかし焦ることはない。前衛部隊を切り捨てて次の策を講じればよい。所詮兵など捨て駒よ。 」
徒町小鈴「……こんな徒町のことを、みんなは見捨てないでいてくれる…!確かに差愛書は無力を感じるばかりかもしれない…でもッ…!だからこそ「もっと強くなろう」って思えるです…!だから…仲間を切り捨てる人なんかに、小鈴たちは負けない…! 」
安養寺姫芽「ソロでもマルチでも、自分や誰かが傷つくようなことはあっちゃいけない。たてこれがゲームじゃなくなったとしても……アタシたちは、今この瞬間のリアルを「ゲーム」のように楽しんで生きていくだけだよ! 」
百生吟子「自分を犠牲にすることが正しいことだと思ってた…でも、その間違いを教えてくれたのが…こんな私を頼りにしてくれる仲間たちだと知ったから…!(引き留めてくれた小鈴と姫芽の横顔を交互に見つめる) だから…私はもう、自分のことを蔑ろにしない。私のことを思ってくれる仲間たちのために、私はもう何かを犠牲にして生きることはしないッ!小鈴!姫芽!力を貸して!"フォーメーション「D」"ッ!!(そう張り叫ぶと右方向へと旋回する) 」
毛利元就(幻影)「戯言を…戦は終局――――これにて大詰めよ!( ┣¨ ギ ュ゛ ゥ゛ オ゛ ァ゛ ッ゛ ! ! ! )(残存する兵士を盾に、空へと投げ放った輪刀が遥か上空でさんさんと輝く太陽に重なり、太陽光を得て赤熱した刀から大地を焼却する超高熱の閃光を一直線上に解き放つ最後の大技に乗り出した) 」
徒町小鈴「(ここが一番の大勝負…ッ!大丈夫…ッ…!やれる……やれる…ッ…!)―――――― チェストーーーーーーーーーーーーーッ!!!(ギャインギャイギュィィィイイイインッ♪♪♪)(魂のロックを叫びながら豪快な手捌きでギターを掻き鳴らすと自身に爆重防御バフを示唆する黄色い幕の様な結界を付与。その状態で真っ向から来る敵を突き飛ばし、更には照射された閃光に突撃しに行き、意地と気合で押しのけてついにその直撃から免れる) うおりゃぁぁぁああああーーーッ!! (ギターを逆手持ち、圧倒的気迫をもって毛利を高い上空へと斬り上げた) 」
毛利元就(幻影)「なんだと―――――― ぐ ぁ ッ ! ? (捨て駒の兵士、そして自然の摂理を利用した圧縮された太陽光の光線さえも退けた小鈴に呆気取られたその隙を突かれ、無様に頭上へと斬りあげられてしまった) 」
安養寺姫芽&百生吟子『 行くよ ――――― "デルタクロス"ッ!! (右へ渡った吟子、左へ進んだ姫芽。別たれた二人が助走をつけ、小鈴が毛利を打ち上げたそのタイミングを見てついに跳び上がる。宙を舞う毛利さえも飛び越え、逆光をその背に帯びた二人の少女が各々の武器を力強く振り下ろし、空中にて無防備の毛利に対し交差するように互いの一撃を叩き込んでトドメを刺す――――)』
毛利元就(幻影)「 う゛ ぐ ァ゛ ァ゛ ッ゛ ! ! ? (…生娘たちの凡策が…我の策を上回っただと……ッ……!?あり、えん……ッ……日輪の加護を得た、この…我が……――――――)(屈辱に表情を歪めたその戦国武将は憎らし気に少女たちを睨みつけるが…急所を突かれえた痛手に限界を迎え、空中分解するようにその身が砕け散ったのだった――――) 」
拠点クリスタル「 ピ、ピ、ピ、ピ、ピ…――――― ピ コ ォ ー ン … ♪ (その激戦の末に、拠点クリスタルの頭上にて「GAME CLEAR」のテキストが表示され、無事踏破を達成した攻略組へ送られる小さな花火が打ちあがった) 」
ヒロ「………あれが、あの3人のコンビプレー………なかなかのものだ、小三角……(3人の戦闘を見ながら)……(彼女もいたか、桂城泉………) 」
徒町小鈴「………勝った………?(打ちあがる花火を茫然と見上げていたが、視線を落とした先にある「GAME CREAR」のテキストに、感極まるように徐々に身を震わせていった)……勝ったんだ……小鈴たち…三人で……! 」
安養寺姫芽「っしゃーーーーーーー♪どーよっ!これが生まれ変わった「蓮ノ小三角形」!めぐちゃん先輩とるりちゃん先輩にも見せたかったぁ~! 」
百生吟子「………ぁ―――――(夢ではない。微かに吹き付ける風を頬に受けてそのリアルを感じ入る。最初に感じた恐怖などすっかり打忘れたように、今は心がとても軽く清々しい。打ちあがる花火と晴れ渡る青空をぼーっと見上げ、思わず静かに瞳を閉ざしてその余韻に浸かり始めた) 」
桂城泉「………フッ――――――(彼女たちが最後の勝利を掴む。その結末を満足気に見届けた彼女はくるりと踵を返し、一足先に転移クリスタルに触れて退場した―――) 」
テツヤ(NPC)「(何かを思い先に退場した泉を他所目に、勝利を噛み締める三人組を遠目に見つめて微笑ましそうに口角を吊り上げた)………友情・努力・勝利…誰が言ったか、青くさいあのスローガンは…実際は途方もなく爽快なもんだな。(腰もとに手を当て小さく鼻で笑う)……あとは叶えるだけだぜ。(結局彼女たちに声をかけることはなく、静かに踵を返して退場した) 」
百生吟子「………小鈴、姫芽…(改まった顔で二人に向き直る)……ありがとう、私を引き留めてくれて。私のこと…信じてくれて… 」
徒町小鈴「ふふっ…当たり前だよね!だって…――――― 」
安養寺姫芽「うむっ、だってアタシたち…一生ずっと『 友達 』だもんね~♪ 」
百生吟子「……!(面と向かって言われたのは初めてかもしれないという感覚。響きの良いその言葉に、重くのしかかっていた責任感や罪悪感はどこかへ消えた。胸が空いたことで思わず小さく噴き出し、そのまま三人で笑う合うのだった――――) 」
最終更新:2025年04月23日 22:13