カオスファンタズマ Re:慟哭篇 日常ログ①

.
― エントランス「円環の間」 ―


「逃走中」のゲームをクリアし、ようやく次なる階層への挑戦権を得たプレイヤーたち。
しかし、件のプランダラ襲撃の一件により、ゲーム攻略への意欲が薄れ、
或いはまた襲われるかもしれない恐怖にわずかながらも苛まれる者も少なくはなかった。
ここにも、また――――




徒町小鈴「――――――徒町はダメダメです……(幻影の巨塔の高所から外の景色が一望できるガラス張りの休憩エリア。そこに並ぶカウンター席の右端で悲壮的に溜息を吐いた) 」

百生吟子「……なんなん…?急にどうしたの……?(その隣席、抹茶ラテを片手に怪訝そうに小鈴の浮かない表情を覗き込んだ) 」

安養寺姫芽「小鈴ちゃん…逃走中が終わってからというもの、ずっと浮かない感じだもんね~…アタシは気づいてたんだけど。(吟子を挟んで右端の席でスマートフォンを両手に持ってチャオス管理やステータスの確認をしながら耳を傾けていた) 」

徒町小鈴「だって…だって……!村野先輩が、敵に洗脳されていた綴理大先輩を呼び覚まさせてくれて…すごく、かっこよかったのに……それときたら…徒町は、なにもできなくて…先輩方が窮地に陥ってた時も、なにも、してあげられなくて……(委縮のあまり頭が項垂れる) 」

百生吟子「……何を言っているの。あの場に、村野先輩の傍に小鈴がいたから、きっと上手くいったんじゃない。夕霧先輩が無事に帰ってこられたのよ?結果的に私たち「蓮」は晴れてメンバー全員が完全復活した。それでいいじゃない。 」

安養寺姫芽「そーそー、きっと村野先輩にとっても励みになったと思うよ。小鈴ちゃんが先輩の背中を守ってくれたんなら尚のこと。ゲームってのはチームプレイが大事だからね。たとえ自分のやってることが無駄なことかもしれないと思っても、本当は仲間にとってはとっても助かってるって事実のことが多いわけで~…。 」

徒町小鈴「……本当に、そうでしょうか……?でも…たとえ、そうだとしても…小鈴は…これから先の攻略戦で、先輩方の足を引っ張ってしまうんじゃないかって、不安で不安でいっぱいで…。ゲームマスターも言っていた…60層以降は敵のレベルも格段に上がって来るって。それに…それにいつまた、あの「プランダラ」って悪者が襲ってくるかもわからないし……!そうなったら…今の小鈴じゃ……そんな強敵相手に太刀打ちできるか…… 」

百生吟子「………(小鈴の不安要素に関しては他人事ではなかった。事実、ここから先の攻略戦はこれまで通りのようにはいかなくなるほどに、より高難易度になってくる。加えて、未知数の戦力を誇るプランダラとの来る迎撃もそうだ。逃走エリアで対峙した奴らはとても歯が立たない程に強く、結局は先輩や他の強豪プレイヤーにその撃破を委ねることになったのは事実なのだから―――) 」

安養寺姫芽「…あ~~~……まあ、それは……うーん……そだね~……(吟子と同様に、流石にこれに関しては楽観視できるものではないと自覚しているのか、ぎこちない様子でスマホをテーブルに伏せた)……ボーナスリザルトで得られるチャオスの額を鑑みた時に…徐々にチャオスの消費がかなり厳しくなってくるとは思うんだ。ゲームシステムとしては上手くできているけど、この「カオスファンタズマ」は自分の体力や能力がそのまんまプレイヤースキルとして反映される以上、下手なプレミはやがて許されなくなってくるのよね…。 」

ヒロ「…………(3人の様子を後ろから見ている) 」

安養寺姫芽「万全の状態で攻略戦に挑むためには、まずは体力が回復されているか?武器は武器破壊(ブレイク)状態を回避できるくらいに修理が整っているか?その武器のステータス強化も怠っていないか?ステータスの強化はできているか?緊急に備えてのお助けアイテムのストックは出来ているか?他にもいろいろあるけれど、チャオスの扱い方次第で、ここまで上り詰めてきた戦績が全部"パァ"になるんだ。死ぬわけじゃあないんだけど、もしも最悪全滅しちゃうことになると…こう……ねぇ……? 」

百生吟子「……村野先輩とエリノラさんが言っていた。プランダラには、私たちアバターのデータに強制干渉するための改造が施されている…。つまり、彼らに倒されると夕霧先輩のように肉体も精神も彼らに奪われてしまう…。幻影体にやられてしまえばここまでの努力が無駄となり、プランダラにやられてしまえばすべてを乗っ取られてしまう。いずれにしても、敗北はなんとしても避けたい。けど…… 」

徒町小鈴「うわああぁぁぁぁああ~~~~ん!!!やっぱり徒町には無理ですよぉぉぉぉ~~~!!!もうこれ以上先輩方に迷惑かけたくないし、チームのお荷物にだってなりたくないですぅぅぅぅ~~~!!!(机に突っ伏して大泣きする)努力することならいくらだってします…!でも、このゲームじゃあ努力してもそのステータスというのには反映されないし、努力だけしてもチャオスが溜まるわけじゃない…!どんな敵に挑んでも傷ついて転んで、またチャオスを無駄に浪費して…こんなんじゃ…徒町は、もう……っ…うぅぅ……! 」

百生吟子「ち、ちょっと小鈴落ち着いて…!ちょっと脅した私も悪かったけど…だからって悲観することないじゃない…!姫芽も言ってたでしょ?「ゲームはチームプレイが大事」だって。私も…ゲームは正直得意じゃないし、今でもこのカオスファンタズマのことはあんまりよく分かっていない。でも…頼れる先輩方や、私たち一年生同士でも肩を並べてここまでやってこれた…!チャオスのやりくりはお金の使い方と同じだと思って、一緒に工夫を凝らすために考えていこう?ねっ…?(宥めるように彼女の背中を摩る) 」

吉良の同僚の同僚「やめとけやめとけ!お前達はこの先登ることはできないんだ!(などと供述しており) 」

ヒロ「…(ふとため息をつき)浮かない顔をしているね…(3人にそっと近づき) 」

安養寺姫芽「あちゃ~……こりゃ相当気が滅入ってるね~……(一方で困ったなあと後頭部を掻きながら様子を伺う)にしてもなぁ~…流石のアタシもねぇ…案外余裕は残せなくなってきそう…ゲームである以上はガチりたいし、高難易度ともなれば本気で臨みたい。なにより、「蓮」のみんな全員で勝ち抜きたいって野心がある以上は…………あっ、ヒロさんだ~。(うっす~と手をあげて挨拶する) 」

せがた三四郎「カオスファンタズマより!セガサターン!しろッ!!!(吉良の同僚の同僚を巴投げし、爆発させる) 」

百生吟子「あぁ…ヒロさん… すみません、騒がしくしてしまって…(ヒロの方へ振り返り申し訳なさそうに頭を下げる)……実は私たち…その……あまり口に出したくはないんですが……そろそろ、「限界」を感じ始めてきちゃったみたいで……(後ろめたい表情で目を伏せる) 」

安養寺姫芽「んま~…吟子ちゃんの本音は分かるよ~…。レベルが高くなってくる次の層に備えてこちらのステータスも強くしなくちゃあいけない。でも、ショップに売っている「強化クリスタル」は現状このゲームにいて早々手が出しやすい代物じゃない。一時的に強くなるバフとは違って永続的にアバターのステータスを強化するものだから、割高なのよ~。他のつよ~いプレイヤーの皆さんは強化なんてしなくてもまあ豊富な実戦経験で補ってるみたいだけど、いうて私たちみたいな一般ピーポーはそうはいかなくてー…。 」

百生吟子「……ええ、姫芽の言う通り、私たちはあくまでスクールアイドル。戦いに身を投じる武闘派ではない。あくまでただの「ゲーム」としてここまできたものの…もうなんだか引き返せないところまで登ってきちゃいそうで。花帆先輩たちは当然100層まで上り詰める気満々だけど、そんな先輩方に追いつくための技量や気力にも余裕がないのが私たちの現状なんです…。(隣の小鈴の背中をさすりながら) 」

安養寺姫芽「育成ゲーあるある:強化素材が圧倒的に足りない。でもこのゲームは課金システムは排除されている。ファンのオーディエンスからありがたいことにチャオスやアイテムを貰うこともあったけれど…実は、一人のプレイヤーがオーディエンスから貰えるものの量は決まっているっていう仕様があることに最近気づいちゃってぇ~…まあ、フェアな関係を築くためなんだろうけど。だから、応援してくれるファンからのプレゼントももう受け取れなくなゃってぇ……かなちいねぇ……気持ちだけでも勿論励みになるから嬉しいんだけどね。 」

徒町小鈴「うぅっ……徒町はこれからどうすれば…どうすればもっと今より強くなれるんですかぁぁ~……!(未だ机に顔をうずめて泣いている) 」

ヒロ「うっす〜(手を上げて挨拶を返す)なるほどな………確かに戦闘経験豊富な人とそうでない人………このゲームは特にその差が出てるところはあるかもね……一時的なバフのアイテムとかがあれば多少は戦えるだろうけど、それを戦闘経験豊富な人も手に入るようにすれば使えば差は縮まらない。ゲームバランスってなかなか難しいものだな… 」

テツヤ(NPC)「――――だろうな。公平性を保つことは難しいもんだ。(四人の傍、ずっと最初からいたのかどうかは定かではないが、四人掛けのテーブル席にて休憩で紙コップのコーヒーを手に話を聞いていた) 」

安養寺姫芽「わっ?びっくりした~……あはは…話、聴こえちゃってたみたいだね~……って、あれ…?貴方は、確か……えっと、鍛冶屋の人……!いつもお世話になってま~す…! 」

テツヤ(NPC)「(「よっ」と気さくに手を上げて彼女たちへ振り返る)……何事においても対等に、中立に、公平性を維持することは困難だ。世間の治安組織のありかたを見れば一目瞭然だ。このゲームも然り。ゲームバランスはとれているように見えるが「穴」なんてのは意識すればどこにでも見受けられる。俺は「ジャンクション」としていろんなプレイヤーの武器を修理・強化する中で、そいつらのこのゲームへの意気込みや本音をたくさん聞いてきた。みんな、それぞれに苦労を背負っている。プレイヤーや敵との差を埋める為に、必死に藻掻いている。 」

テツヤ(NPC)「だが、俺は運営にスカウトされた「NPC」。それこそ、"中立"を保たなければいけないポジションの人間だ。悩み苦しみながらも我武者羅に攻略に勤しむプレイヤーたちにアドバイスを送ってきた。それで報われる者もいれば、叶わず脱落した輩もたくさん見てきた。目指すものはみんな同じはずだからこそ、それを見届ける者としては歯がゆい気持ちにもなるもんだ。 」

テツヤ(NPC)「(ここで、ぐいっと最後の一口を飲み干した)……話は聞かせてもらった。今の君たちが「限界」を感じ、これから先をどうするか決めあぐねていることも。だが、「限界」ってのは"越えるため"に存るもんだ。今こそ、"その時"が来たってところだ。 」

百生吟子「…「限界」を…"越える"……?どういう、ことですか……? 」

ヒロ「……その限界を超えるため、今何をすべきか……力の差を埋めるために、何をするべきか…? 」

テツヤ(NPC)「そこなピンクのお嬢ちゃんの言う通り、このゲームにおいて明確に強くなるためには「強化クリスタル」によるステータスの増強が必要になってくる。が、それを必要としない、己の持ち前の潜在能力だけを信じ、自身のステータスを一切弄らずに登っている者がいるのも事実。ここで生まれる各人の"差"…ゲームバランスの「穴」…そこを突くために、俺たち「中立者《 N P C 》」の腕の見せ所になってくるってもんだ。 」

テツヤ(NPC)「結論から言う。君たちのような一般人にも、他の強豪と肩を並べられる手段は"ある"。一般人の俺が言うんだから信じろ。……このエントランスには、「練習場」があることは知ってるな? 」

徒町小鈴「……!(練習場に反応して涙目ながらもがばっと顔を上げた)…はいっ!徒町…努力するために、その練習場にいっぱい通っています…! 」

テツヤ(NPC)「努力家だな。そういうの、俺は好きだぜ。(起き上がった小鈴にはにかんだ笑みを送る) …その練習場では、本来武器を持たないプレイヤーの為に、運営が用意した様々な汎用武器を試運転できるのは既に知っていることだろう。君たち一般人のプレイヤーがありふれた武器を使っているのも、エントリー時に運営から配布されたものだ。練習場では試運転をし、気に入った武器が見つかればエリノラに武器変更の申請を送ることができるんだ。 」

百生吟子「えっ…?そうだったんですか…!?エリノラさんには、私にあっているからだろうということで何の変哲もない日本刀を受け取ったのですが…… 」

ヒロ「………えっ(初耳だと言わんばかりの顔で) 」

テツヤ(NPC)「そこが一般人プレイヤーの特権でもある。だが、目玉はそこじゃない。これは本来プレイヤーには周知されていないのだが…運営『オムニバス』が、一部のオーディエンスに向けてカオスファンタズマ誘致のために株主優待などで『ギフトコード』を贈呈することがある。ギフトコードを手にしたオーディエンスは、送りたいプレイヤーにコード情報を送信し、それを知ったプレイヤーが関連するNPCの誰かに見せることで、無償で何らかの特典や高品質のサービスを受ける特権を得ることができる…というものだ。 」

安養寺姫芽「うえぇっ!?なにそれ知らな――――ムグッ!(驚愕の事実を知ったあまり大声を上げかけるが慌てて自分の口元を押さえつける)……やっぱり、このゲームにもあるんだ……そういう特典が……!(ヒソヒソ) 」

百生吟子「そ、そんなことが…ですが…そのギフトコードと、練習場に、どういう関係が…? 」

テツヤ(NPC)「俺たち「NPC」は、自分の役職に関連するギフトコードと、それによって与えるべき特典やサービスを予めエリノラに教えられている。今から君たちそれぞれに…――――― そのギフトコードを特別に教える。(そう言うと自身の名刺を三人にそれぞれ配る。裏面には、アルファベットと数字で交互に構成されたギフトコードが記載されていた) 」

テツヤ(NPC)「最初に言っておく。そのコードで得られる特典は「最強ウェポンレンタルライセンス」だ。俺が造るプレイヤー用の最強武器。それを試運転できる特権だ。だが、注意事項がいくつかある。まず、これはあくまで「レンタルライセンス」。つまり、一度きりのお試し品だ。そして、そのライセンスは「練習場」でしか使用できない。 」

徒町小鈴「えぇっ!?そ、そんなぁ…!せっかく…せっかくすごいものを貰ったのに…実践で使えないなんて…… 」

テツヤ(NPC)「待て待て、話しはまだ終わっていない。レンタルライセンスは練習場でしか使えない。だが、練習場で試運転を行った武器は、支給品であってもレンタル品であっても、「使用経験値」というものがある。練習場で特定の武器を使って練習相手の仮想敵や他プレイヤーと闘い、経験値をMAXまで溜め込むことで…その武器の所有権を得られるための新たなコードが自動的に配布される仕組みとなっている。今度はそのコードを俺のところへ持ってこい。そうすれば…実際の攻略エリア…バトルフィールド「グレイヴ」でも使用できるように俺が無償で武器を製造する。 」

安養寺姫芽「マ!?!?!?つつつ、つまりぃ~……?練習場でその「最強武器」を試しまくって経験値を溜め込めば…実戦で使える本物をくれるってコトォ!? 待って待って!これすごいよ小鈴ちゃん、吟子ちゃん!正直今の装備じゃ心もとない…でも、武器だけでも滅茶苦茶強いものが手に入れば、他の強いプレイヤーとの差を一気に縮められる可能性が出てくるってわけよ!?ヤバない??? 」

百生吟子「な、なるほど……それに、練習場でその最強武器の扱い方をマスターする過程で、私たち自身の戦い方の練習にも繋がる…まさに一石二鳥…。最強の武器に踊らされることなく、自分自身も鍛えなくちゃ意味がない…だから、練習場でのみその「経験値」という仕様が組み込まれているわけなんだ……(理解するように強かに頷く) 」

徒町小鈴「…徒町、やります…っ!やってみせます!!練習して…いっぱい努力して…その最強武器を使いこなせるだけの強さを!手に入れてみせます!!(ずいっとテツヤへ詰め寄る) 」

百生吟子「で、でも…いいんですか?仮にも中立を保つはずの鍛冶屋さんが、こんな…私たちの為に…… 」

ヒロ「…よかったじゃないか。限界を超えられる方法があったな。(姫芽たちに) 」

テツヤ(NPC)「お、おう…っ(ぐいっと詰め寄る小鈴に苦笑する)……そうだな…「特別に」、とは言ったが、このギフトコードを渡したのは何も君たちが初めてじゃない。過去に同じように挫折しかけたプレイヤーには俺から特別に声をかけて密かにこのコードをそっと渡していた。勿論、エリノラはこれを容認している。 」

テツヤ(NPC)「だが、物事は簡単にはいかないぞ。経験値をためると一口に言ってもそれは過酷だ。なんたって、『最強武器』だ。そう易々と扱える代物じゃない。汎用武器よりも扱いは難しく、故に経験値もなかなかたまらない。それすらも挫折し、完全に諦めてしまったプレイヤーがほとんどだ。強大な力を得ることの代償だ。その苦難を、「限界」を越えた先に…きっと成果は現れる。 」

テツヤ(NPC)「なにより君たちの…その武器に対する「愛着」度合いを、俺は見てみたい。そして、どこまで自分自身を信じ抜けるのか…己自身に向ける「愛着」もだ。どれだけ深い愛情を注ぎこまれてきたか…それでそいつの価値は光り輝くもんだ。それがNPCである俺にとって、プレイヤーに求めるものだ。……見せてくれるか?(彼女たちへの信頼の眼差しを、一人一人に送る) 」

百生吟子「……(一度瞳を閉ざし、その胸中に覚悟を宿すと―――)――――わかりました。信じます。私自身と…大切な仲間たちを。 」

徒町小鈴「小鈴、やります…っ!絶対に、強くなってみせます!もう…後ろに立っているだけの小鈴じゃ、嫌だから…っ!だから…今度は先輩たちを…みんなを、守れるように…! 」

安養寺姫芽「ふっふーん、いいじゃん、やってやろうじゃん~♪試練でも何でも、越えてみせるよ。それでみんなと後悔なくクリアできるっていうんならさっ♪ 」

テツヤ(NPC)「……俺も信じてる。互いに互いを信頼している君たちならな。(フッとはにかんだ笑みを浮かべると紙コップを手に席を立つ) 焦らずゆっくり時間をかけてから来な。次に会う時にどういう「顔」になっているのか、楽しみにしているぜ。(片手を振りながら持ち場へ戻るように去っていった) 」

百生吟子「テツヤさん、ありがとうございました…!(立ち去るテツヤの背中に、三人一斉に深くお辞儀をした)……さあ、そうと決まれば善は急げだよ!早速練習場へ行くわよ、小鈴!姫芽! 」

安養寺姫芽「お~…!吟子ちゃんも小鈴ちゃんに負けないくらいやる気だね~!っしゃ!ご機嫌にやってやるか~! 」

徒町小鈴「はいっ!いきましょう!!すぐにでも!!(そう言って三人で練習場へと駆け込んでいくのだった―――) 」

ヒロ「…(面白そうなことになってきたな…) 」



― エントランス・トレーニングルーム ―


百生吟子「―――――……ッハ……はぁ……はぁ……!(幻影の共闘にある練習場。テツヤから貰ったレンタルライセンで手にした『最強武器』のレプリカを手に修行に励んでいた。仮想敵となる幻影体をなんとか撃破するが、かなり疲弊している様子だった) 」

徒町小鈴「ぜーぇ……ぜぇ……はー…っ……!うぅ……っ、徒町……まだ、まだまだ…やれ…ます…!ちぇすと~~~~~………バタンキュー (威勢を張り上げて次の戦闘シークエンスを開始しようとするが力尽きたように前のめりに倒れ込む) 」

安養寺姫芽「うへぇ…小鈴ちゃぁん…だいじょうぶぅ……?てか、アタシも人の心配してる余裕…流石にないかも……(へたりと尻もちをついてその場に崩れる) 」

百生吟子「はっ、はぁ…はぁ……っ……(覚悟はしてたつもりだったけど……これは…かなり骨が折れそう……っ… テツヤさんが言ってた通りだ…模造品(レプリカ)とはいえ、この『最強武器』は確かに今まで使ってきた武装と全く違う……っ…こんなに扱いが難しいなんて…思わなかった…っ… おまけに以前の戦い方と別物だから…1から戦闘手段を身に付けないといけないし…かなりの難問ね……)(口元を手の甲で拭う中、尋常ではない汗がぽたぽたと足元に垂れ落ちている) 」

百生吟子「………一度、休憩を挟んだ方が良いかも… 結構、疲れてきた…… 」

安養寺姫芽「そだね~……ていうか、修行に没頭しすぎててもう5時間も経過してたって嘘……?めぐちゃん先輩たちはもう先の階層に行っている頃かな……? 」

徒町小鈴「うぅ…っ…!徒町も…早く技をものにして先輩方に追いつかないと…!(地面に大の字で寝転がりじたばたしだす) 」

百生吟子「………っ……(強くなるためにあえて立ち止まることを選んだものの、憧れの存在たちは更に次のステージへと進んでいる。その焦燥感が背後から迫り、固唾を呑むのも辛く感じてきた) 」

×××「――――――(修行に励む三人を、室外のウィンドウから見つめる者が一人。顎元に手を当てて考え込むように静観していた女性らしき人物は手を下ろして歩み始めると―――)――― カ シ ュ ゥ (彼女たちのいる練習場へと踏み込んできた) 」




ヒロ「(武器であるバットでマシン打撃を行っている)……ん?君たちも来ていたのか?(吟子たちに気づき近づく) 」

徒町小鈴「………??(誰かが入り込んできた入室音が耳に入り思わず上半身を起こして振り返る) 」

×××「 コツ  コツ  コツ  コツ  (その女性は優雅な足取りで三人の少女のもとへまっすぐに歩みだす。常に余裕を含んだような微笑みと、泰然とした佇まい。圧倒的なオーラもカリスマ性も安易に曝け出さないようなミステリアスな風貌。足の爪先から頭の天辺まで見上げた果てに、その頭上に何かが浮かんでいた。王冠マークと、『 CR:5 』というデジタルナンバーが――――) 」

百生吟子「あ、あれ…っ…?ヒロさんもいらしていたんですね…!修行に没頭するあまり気付きませんでした…――――?(小鈴たち共に茫然とした眼差しで新たな入室者の姿を視界に捉える。惹きこまれそうな気品を醸し出す女性。その頭上に浮かぶ視たことのないマークとナンバーに、小首を傾げた) 」

安養寺姫芽「――――!!?(見たことのない女性。だが、そんな彼女の頭上に浮かぶ『それ』を見て血相が大きく変わった)……ぁ……あわわわっ……わわわぁ…っ……?!『アレ』…は……まさか……っ……!ほ、本物だ…っ……?ここ、こんなところで見られるなんて思わなかった……――――――『 CROWNED《 クラウンド 》 』 ッ…!  」

百生吟子「……どうしたの、姫芽…?様子が変だよ…?……なに、その…『CROWNED』…って……?(慌てふためく姫芽と、得体の知れない女性を交互に見比べる) 」

ヒロ「CROWNED?なんだ、そりゃ…?(姫芽の言葉を聞いて) 」

安養寺姫芽「し、知らないのぉ…!?嘘でしょ……『アレ』…このゲームじゃ知らない人はいない有名人なんだよ…!? この「カオスファンタズマ」に参加しているプレイヤーの中で…上位10名のランカーに付けられる"最強の称号"…それが『 CROWNED《 クラウンド 》 』なんだよ…っ……! 」

安養寺姫芽「圧倒的な勝率…つまり、「最前線で上層を踏破している人たち」に付けられる称号で…めちゃくちゃ強いプレイヤーなんだよ…!『 CROWNED 』の順位は入れ替わりがほんとに激しくって、リアルタイムで今もなお変動するものなんだけど…その中でも上位5位内に食い込んだ人たちはほぼ安全圏に入っていて、ちょっとやそっとで追い抜くのは困難と言われているんだぁ…! 」

安養寺姫芽「…そして…その上位「5人」のランクがリリース当時から一切変動しないのは…それは…――――― "その5人が最強のパーティとして結成されている"からなんだよ~~~~!>< 」

徒町小鈴「最強のプレイヤー…それが…『CROWNED』っていうんですか…!?徒町、知りませんでした……!じゃあ、とんでもなくすごい人たちじゃないですか…! 」

百生吟子「……ということは……―――― ゴ ク リ ッ (目の前の女性に再び死線を向ける。『CR:5』…そのナンバーの意味が、『序列5位』なのだということに気づいて思わず息を呑んだ) 」

ヒロ「マジかよ……そその強い人が………一体何の用で来たんだ? 」

×××「 解説、どうもありがとう。 (不快感を感じさせない爽涼な微笑みを姫芽に送る) ここがトレーニングルーム…来るのは"初めて"だな。結構広いんだね。(興味を抱いた眼差しで広大な室内を見渡し、最後に三人に視線を戻す) たまたま横切った時に君たちの姿がチラついてね。君たちが持っているそれ……ふぅん……かなりレア度の高い武器……なるほど、SR級かな…?(彼女たちが手にしていた『最強武器』を吟味するように見つめる)なるほど…練習場の特権で使えるレンタルライセンスか。いいものを貰ったんだね。 」

ヒロ「"初めて"、ねぇ……修行しなくても余裕ってことかい…! 」

百生吟子「…っ……(練習場に"初めて"赴いたという、強者の余裕を滲みだすその発言に眉をしかめながらやや鋭く細めた眼差しをその女性に向ける)……あの…失礼ですが、貴女は……? 」

××× → 桂城泉「あはは…気に障るようなことを口走ってしまったね。(申し訳ないと苦笑を零す)……私は『 桂城泉 』。君たちと"同じ"プレイヤーだよ。(灰色の髪を伸ばした高身長の女性が大人びた微笑みを浮かべて挨拶を零す) 君たちは確か…蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブから来た子たちだっけ?パーティ名は確か…『 蓮 』…だったかな? 」

徒町小鈴「……!徒町たちのこと…知ってるんすか…!? 」

ヒロ「………桂城泉……!?(泉の名を聞き驚いた表情で) 」

桂城泉「まあね。君たちだけじゃないよ。このゲームにエントリーしているプレイヤーやパーティのことはだいたい把握しているつもりだ。中でも、直近で注目を浴びている一部のプレイヤーたちの中に…君たち『蓮』がいたことも知っているからね。見ていたよ、これまでの戦い。ボス攻略戦。プランダラ討伐戦。聞くところによれば…あのゲームマスターにすら反旗を翻したとも聞く。ははっ、なかなかのパッションだね。流石の『私たち』でも肝が冷えるよ。 」

百生吟子「……ヒロさん…ご存知なのですか…?(小声でヒロに耳打ちする)……な、なるほど… そういうことですか… 貴女がた上位ランカーの皆さんは、私たちが戦っている間に、更に上層階でご活躍されていたんですものね…。それはそれは、高みの見物もできますでしょう。(やや皮肉っぽく、頬を膨らませながら応える) 」

ヒロ「スクールアイドルコネクトで3ヶ月連続の月間MVP、中部の大会を1人で勝ち上がったと聞いている。まさに期待の新星だ…俺も実際に姿を見たのは初めてだがな……(耳打ちを聞いて小声で吟子に) 」

百生吟子「えっ……!?こ、この人も…私たちと同じスクールアイドルなんですか…!?しかも、かなり実績もあるという……っ…(ヒロの小言を聴いて驚愕の色をさらに強める)…ゲームでも、スクールアイドルでも…私たちより圧倒的に上位に存在する……ほんとにすごい人なんだ……(気が進まないが、感心せざるを得ないとでもいうように溜息をつく) 」

桂城泉「おっとと、"そういうつもり"じゃあないんだ。ごめんね。とはいえ、君たちのことは私としても注目しているんだよ?良きライバルになりそうだ。だから、お節介ながら君たちに幾つかアドバイスを送りたい。さっきの仮想敵との戦闘で見つけた、君たちのストロングポイントとウィークポイントをね。 」

桂城泉「まずはそこの君。(姫芽の方へ振り返る)君は元々後衛支援のプレイヤーだったと思うけど、その名残がまだ拭えていないのか…かなり慎重が過ぎる。その最強武器のタイプは「大鎌」…言わば、以前とは正反対だ。臆して接近戦を拒んでいたんじゃその刃が敵に届くのは困難だ。だけど、冷静な分析力はある。だから相手の行動パターンを把握し、隙を突いてその弱点である"踏み込み"を最小限に抑え込むのもいいだろうね。 」

桂城泉「次に君だ。(小鈴に視線を向ける)君はパッションが前のめりになり過ぎて周囲がまるで見えていないようだね。それじゃあ死角からの攻撃に対処することも、仲間との連携も不可能だ。ましてや、最強武器のタイプは「ギター」。打撃系として振り回すよりも、周囲の戦況を俯瞰しそのメロディーを奏でて味方へのバフ、敵へのデバフ支援を行うべきだろう。攻撃に転じるときは味方の動きに合わせて。自分だけが先行してちゃあ、勝てる戦いも勝てないよ。持ち前のパッションは、仲間に"別けてあげて"ね。 」

???「ゼイ、ゼイ、ゼイ………………(同じくトレーニングルームから出てきた壮年らしき男。仏僧にも浪人のようにも見える風貌の出で立ちは、それこそ歴戦の剣士を思わせるが………)ん? あぁ、貴公らは…同じく参加者の(蓮ノ空メンバーやヒロ、そして『 CROWNED《 クラウンド 》 』の 桂城泉の姿を見てハッとした表情を見せる) 」

桂城泉「最後に君だ。(吟子を見下ろす)武器の扱いは、まあいい。それよりも君は戦況に合わせて攻撃と防衛を切り分けようとしている節は見られるが、その判断力が遅すぎる。攻略戦は時間との勝負でもある。1分1秒の差に、自陣を半壊させる要因はいくらでも発生する。自分の判断に自信がないのか、あるいは…仲間を信用していないのか…迷った末に間違った結果を引き起こしがちだ。見極めようとする意思は良い。だけど、もう少し思いきりのある自信をつけた方が良いかもしれないね。自分と仲間を"信頼"できるように。 」

安養寺姫芽「……!(その指摘に思い当たる節はある。憧れの先輩である慈と瑠璃乃の背後にずっと自分が、彼女たちの前に出ることなど一度もなかったのだから当然である。こんな自分が前に出ることなどおこがましい…そう委縮した弱みが、いつまでも自分自身を後退させている――――) 」

徒町小鈴「……あっ…!(言われてはじめて気づく己の欠点。無我夢中になりあまりいつも先行していた自分が、支援してくれるさやかや綴理の足を逆に引っ張っていたことにようやく気付く。連携もへったくれもない、自己中心的な立ち回り。やる気の空回りが、返って状況を悪化させていたことに表情を青褪めてしまう―――) 」

百生吟子「っ……?!信用していないなんて、そんな―――――!(あるいは、無意識に"そう"だったのかもしれない。自分がしっかりしなければ仲間も守れない。だがそれは言い換えれば、彼女の言う通りの「不信」である。自分自身の実力の無さに後ろ髪を引くように、「これが正しいのか」と躊躇が介在する。すべてにおいて迷うばかりだ。だから、逃走中にて先輩である花帆と梢を見捨ててしまったのだから―――) 」

桂城泉「やあ、こんばんは、剣士さん。君も修行に来ていたみたいだね。(謎の剣士に)…君たちが持つ強みと弱みと向き合うことだ。でなければその強みも弱くなるし、弱みは一生弱いままだ。このままじゃその『最強武器』のネームバリューの重さに振り回されるだけだ。宝の持ち腐れにしたくないだろう?せっかく『それ』を与えてくれた人の為にも…そして…君たちの成長を待ってくれている人たちのためにも、一度自分自身と向き合う時間が必要だと思うね。(華麗に踵を返す) 」

桂城泉「―――だけど君たちは必ず乗り越えてくると信じてるよ。僕たちを…いや……この「幻影の巨塔」という大きな壁をね。(フッと爽やかな笑みを背後に零し、女性は颯爽と歩き去っていくのだった――――) 」

安養寺姫芽「……流石、『CROWNED』のプレイヤー……アドバイスが的確過ぎるし…それに…アタシたちのこと一目で理解していたなんて… 全部、お見通しだったわけかぁ~……(やられたな…と額に手の甲を当てながら項垂れる) 」

徒町小鈴「…………徒町、何も言い返せません… 全部、あの人の言う通りだから…っ……徒町のせいで、さやか先輩や綴理先輩にもたくさん迷惑をかけていたんだ……っ……(目が涙ぐんでいく) 」

ヒロ「………その肩書きは伊達じゃないってことか………仮想的な戦闘を見ただけでここまで……(去っていく泉を見て) 」

???「(鋼鉄の編み笠の隙間から桂城泉の背中を見送るその視線には、羨望と一握りの嫉妬心があった。そのせいもあって背後から斬ればどうなるだろうと思惑したが、一切の隙はなく。そればかりか自分が返り討ちに合うだろうというイメージがいくつも脳内で閃光する)………………。なかなか手厳しい御仁であったな(面々に振り向き)失礼、ワシはフラベと申す。願いが叶うという噂を聞きつけ、このゲームに参加したのだが……如何せん、ここは超人や賢者の集う修羅よ。(気を落とすように笑いながら) 」

百生吟子「――――――  っ (強者の言葉の重みを、嫌という程理解した。それは自分たちの未熟さえも。意気が消沈し、追いつきたいという焦燥感が消え失せていくような感覚に陥る。堕ちるところまで堕ちた先にあるは…"挫折"。テツヤが最初に警告していた、過去に諦めたプレイヤーたちと同じ結末が過る――――) 」

安養寺姫芽「あ…はじめまして~…!アタシたちは『蓮』というPTのメンバーなんですよ~…と言っても…今は未熟なあたしたち三人が、こうして修行しているんですが…あまりうまくいかなくて…たはは……(恥ずかしそうにフラベに苦笑を零す) 」

ヒロ「フラベか、俺はヒロだ……気づかなかったな、あんたもさっきまで修行してたのか…(フラべの姿を見て) 」

フレアチューバー剣車「(誰かに仮想敵と誤解されて攻撃されて死亡している) 」

××××「 ガシャ ガシャ ガシャ おーーい、坂田さーん!坂田さんよーい! ったく、打ち合わせがあるって呼んどいて何やってるんだろうなぁあの人は……。(遠くからガラついた威勢の良い声が響き渡る。遅れて締まりの無い、鍋の蓋同士が何度も重なるような足音。トレーニングルームへ姿を表したのは、「勇者でござい」と言いたげなステレオタイプな中世の鎧を着込みながらも、パーマが爆発したかのような髪型の東洋人という妙な出で立ちの男だった。その風貌とは裏腹に、底抜け無い明るさが一挙一動からにじみ出ている。腕を組み、首を傾げ暫くうなっていたが『蓮』のメンバーが視界に入り) 」

フラベ「蓮、か……よきチーム名だな。いやなに。未熟はワシも一緒だ。こうして挑んではいるものの、なかなかに成果は得られん(編み笠の中でため息をもらしつつ)…ああ、そうだ。さらに腕を上げるためにな。最近では仕様が変わったから『ワシに有利にはなった』ものの……そう簡単にはうまくいかない。 」

××××「 おおっ? パチ公がいかにも声かけてそうな子達……あの子達ならもしかしたら……?  おおい!すまねえ、聞きたいことがあるんだが大丈夫かい ガシャ ガシャ ガシャ(駆け足で近寄り、『蓮』のメンバー、居合わせていたヒロやフラペへ目配せ) こう……なんつうのかな。俺とは別の方向でいかにもドラクエー!!って感じの格好をした、白髪のあんちゃん見なかったかい?ここで最急装備の受取をする約束してるから、パチコンじゃねえか鑑定してくれーって頼まれてたんだけどよ、約束の時間になってもこねえんだ。(身振り手振りで容姿をなんとなしに伝え、面々へ繰り返し目配せをする)  」

百生吟子「はあ……みんな、それぞれ苦悩しているんですね… ……?(フラべの話を聞いている最中、ふと鎧を着込んだ男と視線が合う)ド、ドラクエ……?(困惑気味に姫芽に「なにそれ?」と尋ねる) 」

安養寺姫芽「ドラクエ…ドラゴンクエスト…!(ゲーム好きの血が騒ぎ一気に活力を取り戻す)めっちゃそれっぽいアバター!羨ましい…!✨ でも、貴方意外にそれっぽい人は見ていないなぁ……(首を傾げながら) 」

××××「そ、そうかぁ……いくらなんでも待ち合わせ一時間前にドタキャンするような人じゃねーんだけどなぁ……なんかに巻き込まれてなきゃ良いんだが……(がっくしと肩を落とすもつかの間、スッと背筋を伸ばし肩に腰を当て笑う)お、安養ちゃんもドラクエ好きか!!最近のタイトルはよくわかんねえけど若い子にもウケてるようで安心だな! まっ!こうして"まだ知り合ってねえ"プレイヤーさんに会えたんだ、それだけでもよしとするか!(あたかもほとんどのプレイヤーとコンタクトがあるかのような口ぶりで、面々へ手を差し伸べ握手を求める) 」

××××→春日一番「 俺は一番!春日 一番ってんだ! ジョブは勇者!得意戦法はいのちだいにガンガンいこうぜだ! タンクでもアタッカーでもサモナーでも、俺にできることならなんでもやるぜ。攻略戦で一緒になった時は頼りにしてくれ! 」

ヒロ「…………ゲームか、そういえば彼女は生粋のゲーマーだったな…(姫芽を見て)…すぐにモノになるほど甘いものではないさ。それでも喰らいつくか落ちていくか……それは人次第ってもんだ(フラべに)????(××××の握手に応じる)あんたは? 」

フラベ「春日……一番? ほう、なかなか豪気で、だがどこかサッパリとした御仁だな。よろしく。フラベという。 」

安養寺姫芽「アタシのことご存知で!?うはぁ~♪なんかうれしー♪アタシもいかにもゲームが好きそうな方とお会いできて光栄ですぅ~♪(すっかり馴染んで差し出された手に両手で掴んで握手する)春日さんですね~!よろしくお願いしますぅ~!おおっ!めちゃ好きな作戦です!めちゃ頼りになりますね~!それならこれから一緒にパーティどっすか???(ぐいぐい) 」

百生吟子「馴染むの早っ!って、こらこら!勝手に話を進めないの!まったく…ことゲーム絡みになるといつもこうだから…(口元を引きつらせながら姫芽を引き剥がす)そういえば、さっきの上位ランカーの人といい…まだまだ私たちの知らないプレイヤーがたくさんいるみたいですね…… 」

徒町小鈴「徒町たちの知らない、まだまだ強いプレイヤーが上位にたくさん…!これは、負けてはいられないです…!でも、その前には……(先程の泉の指摘が再び脳裏をよぎり表情が陰る) 」

春日一番「春日 一番だ!あんたは確か……ヒロ、だろ!(ガシッと力強く握手し腕を縦に降る)攻略してない時はオーディエンスに回ってるんだ、あんたの戦いも見てたぜ。俺も武器はバットなんだ!へへっ、親近感湧いちまうな!  へへ、勇者だからな!オンでもオフでも、こーやって笑って楽しくやってれや運気が向いて会心の一撃が出やすくなるんだぜ!あんたも試してみてくれ!(フラペの手をガッと掴み握手、目が丸く見開かれ)っておお!?あんたすげー鍛えてるんだな!さっすが次世代ぶい……ぶいあーる、現実でも骨太な戦士が集まるってわけか……  ああ悪いな安養寺ちゃん!この後はえーっと……やっぱり坂田さんと合流しなきゃだよな 」

春日一番「ああ悪いな安養寺ちゃん!この後はえーっと……やっぱり坂田さんと合流しなきゃだよな。入れ違いってこともあるかも、だし……?(頭をかいて申し訳無さそうに苦笑し頭を下げるが、どこか観客席から見えていた笑顔が陰っているように見え訝しみ沈黙。なんとなしに何かを察した様子で……)―――――なあ、こいつはほっとんどのプレイヤーに聞いてることだから身構えないでほしいんだけどよ。  『蓮』のみんなはどうしてこのゲームに参加したんだ? 」

???「……一番さん!!その人たちは……(前に会ったことがあるのか、春日に親し気に話しかけながら近付いて来るのは、全身をローブで隠した大柄な男)……いつもの『パーティメンバー』はどこに? 」

百生吟子「どうして…って……それは……(思い返せば、先輩たちの思い付き。その成り行きで参加したはずだった。ましてや姫芽とは違い自分はメンバーの中でもゲームに一番疎い。そんな自分が何のためにここまで来たのか、ふと疑問を抱き始める) 」

安養寺姫芽「……アタシは、メグちゃん先輩とルリちゃん先輩と、大好きなゲームができるならって喜んで参加したんですよ~♪ 」

徒町小鈴「徒町は…!「徒町チャレンジ」の一環です!先輩方が挑戦するものならなおさら、徒町は何でもチャレンジしたいので! 」

春日一番「おうっあんたもここに来てたのか!(別段久しい再会というわけでもないが嬉しそうに腕を振り) いつメンは……まずナンバは仕事、足立さんはなーんか高校生とあき……キャン?とかに行ってて、さっちゃんはオーディエンスで商売するのに味締めちゃって……ってとこだなぁ。まっ!みんないざって時はきっと駆けつけてくれるからな、どうってことねえさ!はっはっはっは!ははは……は、ははぁ……トホホ……(目に見えてしおれていく) ………(一人ひとりの回答に黙して丁寧に、目を合わせて力強く頷き)……そっか("近くて遠い"、眼の前に実在する人々を通して、手の届かない誰かを見るかのように柔らかくはにかむ) 」

春日一番「―――――今から話すのは、俺がそのへんにいる妖精に向かってやってると思って小耳にいれるぐらいの気持ちでいてくれるかい。……そうだな、俺の「家族」の話だ。  その人は俺にとって、俺のおやっさん……血はつながってないんだがまあとにかくおやっさんだ。おやっさんにとって一番大切な息子で、家族で、俺の兄貴だった。そんな家族は、いつも自分が「何者にもなれない」って悲しんでて、底抜けの箱みたいに受け取った幸せがすり抜けちまっていたんだ。 「何か」になりたかっただけなんだ、自分で線を引いたどん底にいる自分を変えたくって、自分でもわからない「何か」に……。 」

春日一番「 どんな姿を作れば、『成れた』のかはあの人がわからねえんだ。誰にもわからねえ、誰も「なれたよ」って認めてあげることもできねえ。走って、がむしゃらに走って、休み方も忘れて……  最後は結局、あの人は俺とおやっさんの家族、「若」に帰ってこれた。本当に、最後の「最後」だったんだけどな。 それであの人が満たされたのかはわからねえ……だから本当にあの人が間違ってたって否定する言葉は俺にはねえ。けどよ  ――――― 楽しんで欲しかったよ。走ることを、何かになることじゃなくって、上を向いて走り続ける人生を、生きるっていう最高のゲームをよ。 」

春日一番「――――――――――――――― っていう、まあ……物語のお話だ!(長い沈黙を破って腰に手を当て豪気に笑う) まあつまり!!大事なのは誰かの物差しじゃなくって自分と仲間が笑っていられる!!これだけってハナシだ!! 」

???「ハハハハ……普段から足並みがそろっていなくとも、本当の友はいざとなれば来てくれるもの……羨ましいな(春日の語りを聞いて、感慨深そうに頭をひねって)……あ、ちなみに私は「従兄弟」を追いかけてこのBIG GAMEに参加した形だ。今のところ元気そうだが……彼は無茶をするからな……(フードを深々と被って、更に顔に影を掛けるように。もう片手でサムズアップをしながら) 」

百生吟子「…自分と仲間が笑っていられる…生きるという、最高の「ゲーム」……(静かに、それでいて強かに、そう豪語した一番の言葉に…今も何かに迷走している今の自分にとって道しるべのような輝きを見出したような気がした。光を失った瞳にハイライトが灯るように。見落としていた大事な何かを見つけたように) 」

安養寺姫芽「……そう言われてみれば…アタシ…少し…違っていたのかも… 確かにゲームは好き…好きだから、本気になる。本機になるから、何も見えなくなってしまう。そうやって夢中になるのは悪いことじゃないかもしれない…でも、そこに「楽しい!っていう感情があったのかどうかと言えば…… 」

徒町小鈴「……小鈴も…もしかしたら、勘違いをしていたのかもしれない… 強くなりたいのも…先輩たちに追いつきたいのも……それがゴールじゃなくってて………"みんなと一緒に楽しみたかった"から……! 」

フラベ「楽しい……か。フッ、若いな。若々しく、なれど善い。 」

春日一番「お互い相方がガンガンいこうぜモノラルだと気苦労が耐えねえなぁ……。プランダラの連中がいつちょっかいをかけてくるかわからねえ、早く合流できるといいんだけどな(無精髭をさすり悩ましげに眉間のしわを深くする) へへっ、そうそう!たまにゃ自分の声にも耳を傾けてやらなきゃな。自分の耳で聞こえねえっていうなら、側にいる誰かにあんたの本当の声を聞いてもらうのもいいかもな!(両腕を前に突き出してサムズアップし) しかし本当に坂田さん来ねえな……ほんと…… 」

イリャルギ「(『蓮』トライアングルの真ん中でうんうんと頷く)・・・・・・・。(よくわかってない) 」

???「人は余裕をなくすと自分を見つめ直す時間も無くなっていく。だからこそ、たまには立ち止まれるだけの余裕が必要なんだ。……君達ならばナイスな未来を掴めるさ。これから何があっても……きっと(自らの額を指で突きながら、彼らに語り掛け)……プランダラもそうだが……何か起きる気がしてならないな。何か……ま、物騒な話にならなければいいが 」

ヒロ「バットが武器?あんたもか?………なるほど、手でわかる。よく振り込んでる(握手した手で練習量を察する) 」

百生吟子「……!(姫芽と小鈴、三人で互いに視線を交わし何かを掴んだかのように大きく頷いた)…あのっ……!ありがとうございました…!お陰で、大切なことに気づけた様な気がします。私たち…精進します。いえ……"楽しみます"…♪(心の底からようやく振り絞れた笑顔。それは三人全員が同じだった。全員が春日一番に深くお辞儀すると、善は急げというようにトレーニングルームへ再び戻っていくのだった―――) 」



― エントランス「円環の間」 ―


日野下花帆「―――…最近 吟子ちゃんたち頑張ってるみたいだね?(休憩エリアにて飲み物を手に会話をしている) 」

村野さやか「ええ、そうみたいですね。最初は、小鈴さんたちが突然「修行に出ます!探さないでください!」って言って飛び出していったときは驚きましたが…1年生たちがトレーニングルームで修行に励む1年生たちの姿を見かけて知りました。きっと、前回の「逃走中」での一件を負い目に感じているのかもしれませんね… 」

大沢瑠璃乃「ルリは…全く気にしてなかったけれど…ひめっちたちはかなり引け目を感じてたみたいだったんだね… でも、めげずに1年生だけで修行に出たのはすごいことだよね…♪かなりの努力しているのがよくわかるよ…! 」

村野さやか「ふふっ…これは、私たちもうかうかしていられませんよ?ねっ、花帆さん? 」

日野下花帆「どうして私の方に圧を賭けてくるのあさやかちゃ~~~ん…?(´・ω・`) 」

×××「コツ…コツ…コツ…コツ……―――――――― あのっ (三角形を結ぶように話し合う三人の枠外から、小柄な少女が勇気を振り絞るような声音で彼女たちに話しかける方まで伸ばしたベージュのセミロングヘアーに青い瞳を持つ、ハーフの様な美しい顔立ちをした少女が―――) 」

日野下花帆「 ふぇ ――――― ! (声をかけてきた何者かに振り返ると、その視線の先にいた人物の姿に瞠目してしまった) 」

×××「―――――― ひ…久しぶりだね……「花ちゃん」。 (ウェーブのかかった毛先を揺らし、少女は何処か気恥ずかしそうに小さな微笑みを作った) 」

日野下花帆「……せ……っ…―――――「せっちゃん」 ? ! (顔見知りなのだろう。自分よりやや身長の低い少女へ食い入るように思わずを乗り出すように席から立ち上がった) 」

村野さやか「………え、と……?花帆さんのお知合い…ですか……?(席に座ったまま小柄な少女を見つめると、傾げるように花帆へ振り返る) 」

日野下花帆「――――せっちゃぁぁぁぁああああ~~~~ん!!(感動の出会いに喜ぶように、その少女に想いきり抱き着いたのだった) うんっ…♪そうなの!「せっちゃん」は私の幼馴染で、"親友"なんだよ…♪幼少期にね、病弱だった私が入院生活をしていた時、その病室のお隣さんだったのが、せっちゃんなんだ。言わば私たちは、院友なんだよ…♪それにしても…せっちゃんもゲームに参加していたなんて知らなかったよ~~~!いつから参加してたの!? 」

大沢瑠璃乃「幼馴染の親友…!ルリとめぐちゃんみたいな関係…!なんだかシンパシーを感じるー♪いいねっ♪ルリは、大沢瑠璃乃っていうの!花帆ちゃんと同級生で、スクールアイドルクラブに入ってるんだー♪(サムズアップ) 」

村野さやか「そうだったのですね…!あ、自己紹介をしなくては…私は村野さやかと言います。いつも花帆さんがお世話になっております。(深々とお辞儀する) 」

××× → セラス「わっぷ…!花ちゃん、いきなりすぎ…っ…(抱きしめられて「あうあう」とデフォ目で両腕をバタバタさせる)……いまでも花ちゃんにそう呼ばれるのは、嬉しいな。あ……えと、「せっちゃん」こと、『 セラス 』と言います。お二人とも、初めまして。(さやかと瑠璃乃にぺこりとお辞儀する)実は、花ちゃんたちがこのゲームに参加したばかりの時からいたよ。多分、私の方が遅れて参加したかも。でも、ほら…私は見ての通り病弱だから…VRゲームはとてもできそうになくて……だから、オーディエンスとして、花ちゃんのことずっと応援していたんだよ。気づいてくれた…? 」

日野下花帆「……あれっ…!?も、もしかして……いつも私だけに送ってくこられる「ギフト」…あれ、せっちゃんからだったの!?うそっ!嬉しい♪オーディエンスからのギフトは匿名だから、誰から送られてきているんだろうってずっと不思議だって……でも、せっちゃんだったのならとっても嬉しいよ♪今までほんとのほんとにありがとう♪せっちゃん大好きー♪(むぎゅぅぅう) 」

セラス「あうあうっ>< (ぱたぱた) でも…オーディエンスが特定のプレイヤーに贈れるギフトの回数には制限がある。花ちゃんに渡せる分のギフトは、あと一回だけ……だから、「とっておき」のものを贈ろうと思って、いろいろ頑張ってすごいものを入手したんだ。今日は…それを、直接贈りたいな…って……(そう言うと自身のスマホの画面を見せるように差し出す。画面には、「日野下花帆」の名前とそのプレイヤーIDを宛先としたギフト送信メッセージが写し出されていた) 」

日野下花帆「(ピロンッ♪)えっ――――?(セラスから送信されたギフト。その着信音が自身の端末から鳴り響くとスマホを起動し、その内容を確認する)……えっ……?せっちゃん…『これ』…って……? 」

セラス「……オーディエンスの、それも…一部の人が入手できる株主優待でゲットした『最強装備3点セット』だよ。それは花ちゃんだけじゃなくて、もう二人…花ちゃんが選んだ2名にも御裾分けすることができるんだ。このゲームでたった一つしかないスペシャルレア…?っていうものらしくて、ものすごく珍しいんだって。だから、花ちゃんと…花ちゃんが信頼を寄せている二人に渡してほしいな、って思って。 」

大沢瑠璃乃「さ、『最強装備』…!?そういえば…ひめっちがなんかそんなこと言ってた気する…!装着すると圧倒的に高いステータスと、とんでもなく強い攻撃力を持った武器、素早さや耐久面も格段に跳ね上がるスキンとか…ショップとかでは絶対に手に入らない幻の装備があるんだって…! 」

村野さやか「す、すごいですね…!しかし、そんな大変貴重なものをどうやって…いや、それよりも…よりにもよって自分じゃなく、花帆さんにいの一番に渡そうとしていたなんて……お二人は、本当に固い絆で結ばれているんですね……♪ 」

日野下花帆「せ…せっちゃん……っ…!私の為に…いいの…っ……?うぅ……うわあああぁぁぁ~~~~あん!!せっちゃあああぁぁぁぁぁぁ~~~~~~ん!(´;ω;`)ブワッ(ぎゅうううううう) 」

セラス「 ぐ、ぐるぢ…>< (ぱんぱんっ) ……いいの。私は、いつだって花ちゃんのことを応援しているから。スクールアイドルとして活躍し始めた時から、ずっと。だから…花ちゃんは、花ちゃんの「願い」を必ず叶えてほしい。花ちゃんのためにも…私の…ためにも……… 」

日野下花帆「………せっちゃん……? 」

セラス「………ううん、気にしないで私のことは。花ちゃんは、前だけ向いていればいい。いつものように。これまで困難な戦いを強いられてきても、その前向きで乗り越えてきたように。そんな花ちゃんが、私は…好きだから。これでもう、花ちゃんにギフトを贈ることは出来なくなっちゃったけど……それでも、ずっと見守り続けるから。  じゃあね  (花帆に一つ笑みを残し、少女は華麗に踵を返して立ち去っていった) 」

日野下花帆「……せっちゃん……――――― ありがとう!私、必ず「花」咲かせて見せるからね!せっちゃんのためにも!(立ち去るセラスの背中に目一杯声を張り上げ、その姿が完全に消え去るまで見送った) 」

村野さやか「……花帆さんにも、素敵なご親友がいたんですね。あそこまで献身的に応援してくれる人は珍しいと思いますよ。正直、羨ましいくらいです。(ふふっ、とはにかみながら共にセラスを見送る) 」

日野下花帆「うんっ……私がこうしていられるのも、せっちゃんのお陰… だから、絶対に恩返しをしないと…!そのためにも、勝たないとね…これからの戦いをさ…!だから……せっちゃんから貰ったこの『最強装備』…私、使い道、決めたよ…!さやかちゃん!瑠璃乃ちゃん!同じクラスメイトとして…二人にも受け取ってほしい!きっとせっちゃんも、私がそうするだろうって思って、わざわざ私たち3人がいるときに声を掛けに来てくれたんだろうと思うし…! 」

大沢瑠璃乃「い、いぃぃぃいいの…っ…?!そんな、いや、はは…る、ルリみたいなミジンコが貰っても…しょうがないですよ…あ、アハハハハ……(※バッテリーが減り始めている模様) 」

村野さやか「ああっと!瑠璃乃さんのバッテリーが!これで何とかしのぎましょう!(お野菜さんを瑠璃乃の口に突っ込ませて無理充電という名の栄養補給を行う)……花帆さんがそうおっしゃるのでしたら…わかりました…!この村野さやか、セラスさんのご厚意を無碍にしないよう、全力で戦いに臨みますね! 」

大沢瑠璃乃「っしゃーーーーー!ルリもがんばるぜーーーーーー☆(※充電完了しテンションMAX) 」

日野下花帆「ぃよ~~~し……!そうと決まれば…1年生たちに後れを取らないように…私たちも特訓だ~~~~~!(拳を突き上げる) 」



― エントランス・喫茶店 ―



乙宗梢「……参ったわね… (一方その頃、三年生組もまた3人集って反省会を密かに行っていた―――) 階層を重ねる毎に敵はどんどん強くなっていく…件のプランダラたちもまた未知の力を秘めているし…このままでは後輩たちを守り抜くのは厳しいわね… 」

藤島慈「う~ん…まー…気持ちは分からなくはないけど、気にし過ぎじゃない?可愛い後輩とはいっても、あの子たちはあの子たちでちゃんと気をしっかり持ってやってくれてると思うし。そこまで重く捉えなくても……ねぇ、綴理…? 」

夕霧綴理「モッシャモッシャ…そうだよ、こずクチャクチャ…さやたちは心配ないよモグモグ…大船を呑み込むクジラだと思えばいいよチゥー…(右手でスパゲッティ、左手でサンドイッチ、そして首だけを動かしてアイスコーヒーをストローで飲み干す) 」

藤島慈「いやさすがにもうちょい危機感持てよ(おい、と突っ込む) 」

乙宗梢「…綴理…もしかして「大船に乗ったつもり」って言いたいわけ…?(はぁ…とため息をつきながら額に手を当てる)……確かに、私の悪い癖ね。私たち"だけ"がしっかりしていれば…って、それはあの娘たちの成長に期待していないと言うようなものね…。もちろんそうじゃないのよ。ただ…… 」

藤島慈「……ある意味では、私たちも他人事じゃないのかもしれないよ…?上級生だからって高を括った結果足元を掬われてばっかりだったんだと思う……多分…きっと……おそらく…… 綴理はどう思うわけ? 」

夕霧綴理「すみません、おかわりくださーい(手を上げて店員さんを呼び止める) 」

藤島慈「だから危機感持てって(思わず綴理の頬をぷにっと人差し指で小突く) あのプランダラとかいう連中に操られてたこと忘れたの…?私と梢が時間を稼いで食い止めなかったら、今頃綴理に全滅されてたからね私たち…!?(ぷんぷんと頬を膨らませる) 」

夕霧綴理「……モグモグモッチャ……ごべんなばい(ごめんなさい)(咀嚼しながら頭を下げる) 」

乙宗梢「ちゃんと呑み込んでから話しなさい……(汗)…そうね……まあ、その件については私からはとやかく言わないわ…過ぎたことだもの… だけど慈の言う通りかもしれない… あるいは、私たち自身もまだまだ未熟だったんだわ。「あの子たちを守れる」と強気になっていたつもりが、あの子たちよりも先に躓いてしまうばかり…これじゃあ私たちの示しがつかないどころか、「蓮」のパーティとして致命的なことよ。 」

藤島慈「ええいっ、もうっ!くよくよしてたってしょうがない!こうなったら猛特訓よ!部長…じゃなくて、PTリーダーとして指令するわ!これから特別訓練よ!梢!綴理! 」

夕霧綴理「モッチャモッチャモッチャ……でもめぐ、食後の運動は流石に良くないと思う… 」

乙宗梢「だから貴女はいつから部長になったのよ…いつのまにかPTのリーダーまで…(はあ、と二度目のため息) ……でも、果たしてそれでいいのかしら?確かに私自身も、己のパフォーマンスに満足しているわけじゃない。伸ばせるところはとことん伸ばしていきたいと思ってるわ。でも……私たちに欠けているのって…なんだかそんなことじゃない気がするの… 慈も綴理も実力はかなり高いと私は思うわ。だからこそ…そういう表面的な事じゃない…ような気がするのよね… 」

藤島慈「……じゃあ、なに…?まさか……可愛らしさとか…!? 」

夕霧綴理「うーん…ボクは……非常食のおにぎりが足りないと思うんだけど… 」

乙宗梢「…全然話にならないのだけど……(二人の様子に呆れる)……結局のところ、私たちって同じ「蓮」の名を持っていても、みんなバラバラなのよね。多分…チームワークがなっていないんじゃないかしら…?カオスファンタズマの攻略戦は個人の技量よりもPTメンバーとの連携が肝になってくることは痛い程理解したもの。ゲームが苦手な私でもね。 」

ライナー「違う!!プランダラに襲撃された時全滅しかけたのは運営のせいでも味方のせいでもなくって俺なんだ!!俺のせいなんだ!!俺が弱いせいなんだよ!!!! 」

ライナー「もう嫌なんだ……自分が……頼む………俺を……KOROしてくれ…………!! 」

エレン「……まあ、落ち着いて座れよ、ライナー 」

死「え~~~~どうしよっかな~~~~~~ 」

藤島慈「でもさ…それって今に始まったことじゃなくない…?スクールアイドルとしても、このゲームにしても…確かに上手くいっていた時はあったじゃない。そりゃあ…下手こいた時の記憶が強いけど……でも…!なんか、あるはずなんだよ…絶対…! 」

夕霧綴理「……"ボクたちにあって、ボクたちにはないもの"…か……なぞなぞかな…?そろそろデザートのパンケーキでも頼んで、糖分摂取しようかな…? 」


――――――――― いいところに気づけたね。


乙宗梢&夕霧綴理&藤島慈『  え  ? ? ?  (三人の者ではない誰かの声――だけどどこかで聞いたことがある懐かしい声音――に振り返る)』

大賀美沙知「―――――― よっ、元気? (三人が居座っていたテーブル席の隣。彼女たちにずっと背を向けていた一人の少女が素顔を晒すように椅子をずらして振り返る。そこにいたのは、彼女たちにとっての先輩にして、OBの少女。既に学園を卒業したこともあり、制服ではなく私服を着込んだ「大賀美沙知」その一人が、再会を知らせるようにウインクを飛ばした) 」

乙宗梢&夕霧綴理&藤島慈『 さ … ―――――沙知先輩 / さち ! ? (三人全員が驚愕のあまり声を張り上げる。そこにいるはずのないOBが至近距離の背後にいたことに―――)』

乙宗梢「………さ…沙知先輩…っ……?!どうして、貴女がここに……!? 」

藤島慈「ていうか、いたにしてもいつから…!?まさかずっと…私たちの会話を聴いてたぁ…!? 」

夕霧綴理「さち、まるで忍者だ。小さくて気付かなかった… 」

大賀美沙知「いたよん。君たちが喫茶店に入ってきた時からずっとね。気づかれないようにあえて新聞紙で顔を隠していたけどねん。あと誰だチビとか言った奴。久々に拳骨食らわせたろうか?おん? 」

乙宗梢「そ、そうだったんですね……すみません、気が付かなくて…💦 いや、それにしても…本当にお久しぶりです……!お元気そうで何よりです。でも、沙知先輩がここにいらしているということは……ひょっとして…… 」

大賀美沙知「久しぶりだねぇ…梢。頭の硬さは相変わらずみたいだねぇい。もうちょっとお胸みたいに柔らかくなったらどうだい?……言わんとしていることは分かるけど、たぶんちょっと外れてるかも。アタシはゲームにエントリーしちゃいないよ。だって、『君たち』を見に来ただけだからね。(にこりと微笑む) 」

藤島慈「まさかのオーディエンスだったんだ…!じゃあ、時々送られてきたギフトの中には…もしかして沙知先輩のからも……?ていうか、いるならいるって教えてくださいよー!びっくりしちゃったじゃない!! 」

大賀美沙知「そうだよん。贈ったギフトはちゃんと役立ててくれたみたいで良かったよ。ふふん。気づかなかったのは君たちだ。アタシの存在感に気づかないなんて、まだまだ甘いねぇん。シュークリームくらいに甘々だよん。(そういって注文したシュークリームを口に含む) 」

夕霧綴理「さち、そのシュークリームちょうだい。 」

大賀美沙知「やだよん。綴理はほんとマイペースが過ぎるねぇん。でもそういうところがチャーミングだから、アタシは好きだよ。"あれ以来"、さやかとは仲良くやってる?まっ、聞くまでもないね。この間の事件もはらはらしながら見守ってたから。さやかがいてくれたから、今の君がいる。君たちはこれからも末永く絆を繋いでいてほしいねん。 」

夕霧綴理「……?"あれ以来"……う~~ん……いつの、話……?(こめかみに両手の人差し指を突き付けながら何度も首を捻る。少なくとも、「この夕霧綴理」にとっては知る由もない話なのだが――――) 」

大賀美沙知「……さて、と…再会の挨拶はこの辺にしておこうか。さっきの話、ずっと聞いていたよ。君たちがこれまでの攻略戦で奮闘してきたのもすべて観戦していたから、「まあそうだろうなあ」と共感できるところもある。でもね、君たちは名にも欠けちゃいないし、何も持っていないことなんてないんだよ。はじめから、ずっと"ある"んだよ。ただその存在を無意識に忘れてしまっただけなんだろうね。 」

乙宗梢「初めから…私たちに…"ある"…もの……?(理解できないように首を傾げる) 」




大賀美沙知「……アタシが過去に経験した奇妙な体験談だよ。ある面白ぇ男に会ったんだ。『そいつ』はある日突然、身体が四つに別れてしまった。同じ体をした自分が四人になったんだ。だけど別たれたのは体だけじゃない、性格もみんなバラバラだった。ひとりは情熱的で、ひとりは冷静的で、ひとりは母性的で…そして、最後の一人はこれといって特徴がない奴だった。でも、何も持っていないと思われていたその最後の一人が、バラバラだった四人の自分を繋ぎ止めてくれたんだ。 」

ヨハン「ああ!それってハネ栗b 」

遊城十代「>>ダイレクトアタック!!<<(ヨハンを殴り飛ばす) 」

大賀美沙知「四人五脚でいろんな困難を乗り越えてきて…最初は息の合うことがなかった四人の意思が結ばれて…大切なことに気づいた瞬間、その男は元の「ひとり」に戻ったんだ。男はその不思議な体験を通じて気づかされたんだ。どんなにちぐはぐでバラバラなものでも、自分や自分たちが紡いできたものはぜんぶ…最初から「ひとつ」だったんだって。 大きな雲が風に裂かれるように、人と人が喧嘩して別れるように…でもやがては、元通りの「ひとつ」になるように。 」

大賀美沙知「………ほんっと…不思議で面白ぇ男だったよ。でもその男との出会いで、私も一つ気付いたんだ。蓮ノ空で君たち三人を後輩に持った時、方向性が全く異なる君たちも、大好きなスクールアイドルという「ひとつ」に帰依するから、あの部室で私たちは出会ったんだな…って。私が卒業する前も、卒業した後も…君たちのライブが成功したのも、違う心と心を「ひとつ」にしたからなんじゃないか?短くて長い時間を過ごした、同じ部員…いや、仲間たちだからこそ、言葉を交わさなくてもそれができたんだろうね。 」

大賀美沙知「……「自分には何もない」…そう思い込み挫折する人間はたくさんいる。でもみんな、"未来"へ進む時間は平等に与えられている。バラバラの体と心を持つ人たちが同じ道を歩いていけば、必然的に「ひとつ」になるもんだよ。君たちも、私も、誰もがみんな、最初は「ひとつ」だったんだ。「みんな違って、みんな良い」と笑って丸め込められるみたいな、そんな「ひとつ」にね。 」

大賀美沙知「だから、君たちは最初からなんにも欠けちゃいないし、これ以上何かを得ようとしなくてもいい。「自分が持っているもの」を大切に。そして、「自分にはないものを持っている仲間」を大切に。そのことに気づけたのなら、案外、自分一人で悩むことなんかないだろう? 」

乙宗梢「……自分だけが持っているもの…自分にないものを持っている仲間……ふふっ……そういうことですか……私たちが上手くいっていた時の本当の理由って……(堅苦しかった表情が崩れていくように軟かくなる) 」

藤島慈「案外そういうものなのかもしれないね…身近にある当たり前の存在が、実はかけがえのない大切なものだったっていうのは……(梢と綴理にそれぞれウインクする) 」

夕霧綴理「…うん……こずも、かほも…スクールアイドルのみんなは、「ひとつ」にまとめて、ぜんぶ大事なもの。いつも迷惑かけちゃってるけど…こんなボクでもいてほしいってみんなが言ってくれるから…それなら、ずっとずっと、大切にしたい。(胸元に手を添える) 」

大賀美沙知「………ようやく、私がよく知る「蓮」の顔になってきたねぇん。(頃合いだなと言わんばりに席を立つとスカートのポケットからスマートフォンを取り出し何かを操作し始める) 」


――――― ピ ロ ン ッ ♪ (突然、梢・慈・綴理の三人のスマホにオーディエンスの沙知からギフトの着信音が鳴り響いた)


大賀美沙知「アタシが蓮ノ空女学院理事長の孫だってことは知ってるよね?その特権で手に入れた『最強武器』のギフトコードだよ。君たち三人分を用意するのは結構骨が折れたんだよ?でも、今の君たちならきっと使いこなせる。そのことを試したかったから、しばらく様子を見ようとしていたんだけど……もう大丈夫みたいだ。 」

大賀美沙知「梢、綴理、慈… "蓮ノ大三角"が輝くのはここからだよ。可愛い後輩ちゃんたちは君たちが紋々悩んでいるこの合間にも、未来へ進み始めているよ。時間は待ってくれない。立ち止まってしまったのなら、目一杯追いかけな。君たちが彼女たちの道標になるように。「ひとつ」の道をみんなで駆け抜けてね―――――(そして少女は踵を返し、手をひらひらと振りながら立ち去っていく。その小さな背は彼女たちにとって、今でも大きな道標であるように見えた――――) 」

乙宗梢「………沙知先輩……ありがとうございました。(立ち去る彼女に思わず立ち上がる。静かに、強かに、憧れたその背中に感謝の念を込めて―――) 」

藤島慈「うん…いつか追いついてみせるよ。沙知先輩にも…私たちが目指した夢にも。(拳を突き出す) 」

夕霧綴理「さち、なんだかとっても大きく見えた。ボクも…大きくなるからね。(ひらひらと手を振り返す) 」


― エントランス・トレーニングルーム ―




仮想敵群『 グ ォ ン ッ ――――― ! (7体ほどの幻影体が一斉に襲い掛かるように飛び出した)』

安養寺姫芽「――――  ガ ッ    ギ ィ゛    ン゛  !  !  (初手、先陣に乗り出して大鎌武装を両手に疾駆。最前線で対峙し合う敵の攻撃を三日月状の刃で薙ぎ払い、反撃を後続へと繋げる) 」

徒町小鈴「 ギ ュ イ ィ ィ ン ッ ♪ ガ ィ ン ッ 、 ギ ャ ィ ン ッ ♪ (後方支援。エレクトリックギター型武装の弦を巧みなストラミングで掻き鳴らしながら前線に出る味方へのバフ付与を行う) 」

百生吟子「ダァンッ――― ドグゥォンッ、ガゴォンッ!!(小鈴のバフを受けた影響で全身の輪郭に金色のオーラを纏って跳躍先進。攻撃力を底上げしたメガホンハンマー型武装を豪快に振り抜いて姫芽に代わるように反撃の一手を残りの敵に打ち込み、一掃させる) 」

仮想敵群『 ズ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ―――――― ッ ! ! ! (たった三人の少女に大勢の幻影体が悉く退けられていく。言葉と意思を介さないあくまでも仮想の敵である奴らにとって、息を合わせ始めた三人を前に兵力差など意味を成さなかった―――)』

百生吟子「前線を崩したわ!私と姫芽で左右へ散開!敵の注意を引き付けたら小鈴はそのまま中央突破!小鈴にヘイトが向いたらその背後を突く!私たちに向いたらなら小鈴はそのまま仮想拠点へ!バフ圏内を維持しつつ進行するわよ!(迅速かつ的確な指示。以前のように石橋を叩く様に冷静に冷静を重ね過ぎた結果、戦況把握とその指示に時間をかけ過ぎた。だが今は、脳内でのシミュレーションがすぐに言の葉を介して実現されていた) 」

安養寺姫芽「りょっ!まかせろ~!(ザギィンッ、ザギィィイイインッ!!)(サイドステップからの側転移動。敵を攪乱するかのようなステップで翻弄しつつその足元を掬うような斬撃を入れて敵の本隊を成し崩す。委縮するように後方に徹していた以前とは違い、身体は前のめりにその先へ向かおうとしていた) 」

徒町小鈴「わかった…!小鈴の支援…途切れさせはしない!(ギュイン、ギュインッ…♪)(ギターをかき鳴らしながら一定のリズムで前進する。爆音というなのバフ能力が届く範囲を見定め、味方の二人が常にその圏内に留めるように。猪突猛進由に周囲も見えず、ただ我武者羅に突っ切っていた昔とは違う。自分と味方の位置を把握し、確実な勝利を掴み取ろうとする意思が戦いの旋律から聴き取ることができた―――) 」

仮想拠点クリスタル「 プレイヤーが『 拠点クリスタル 』圏内に入りました。これより、カウントを開始します。  」

仮想敵群『  ド  ド     ド     ド ド    ド    (吟子の作戦に嵌められ、拠点圏内への侵入を許されたことで仮想敵群のUIが防衛姿勢へシフト。彼女たちを追い払うべく猛攻撃を仕掛けようと迫る)』

桂城泉「コツ…コツ…コツ……―――――― ? (ちょうどその頃、練習場を横切ろうとしてスクリーン上に移る三人の少女に「あれは…」と口を開く。以前とは全く異なる戦いぶり、しかし見事なまでに息の合った連携を目の当たりにしたことで思わず口の端が微かに吊り上がったように見えた) 」

百生吟子「―――(――――信じてるわよ、姫芽…小鈴…!)――――― ぃ ぇ え あ ッ ! ! ( ズ ガ ア ァ ァ ァ ア ア ア ン ッ ! ! ! )(鈍器を豪快に振り回し大地にめり込ませる勢いで炸裂させる)  ド   オ  ゥ  ン  ッ  !  !  !  (めり込んだ先端…メガホン部分から発せられた音波が輪状衝撃波のようにフィールド一帯に迸る。それは敵も味方もお構いなく吹き飛ばすものだが――――) 」

安養寺姫芽「――――!(吟子の挙動から彼女の意を組み取りったのか、小さく頷いて軽やかな3ステップで助走をつけ―――)――― よっ ( タ ン ッ ! )(反転跳躍。吟子から発せられた衝撃波を飛び越えつつ、その衝撃に打ち上げられた仮想敵群が自身と同じ視線上に重なると――)――――  ズ ァ ギ ィ ィ ィ イ イ イ ン ッ  !! ! (薙ぎ払いの一閃。空中で無防備に打ち上げられた敵に追撃の一手を刻み込んだ) 」

徒町小鈴「――――!(吟子ちゃん…そういうことだね…!)(姫芽がそうだったように、自身もまた吟子の行動から次に取るべき行動を察した。ギターを両手に――演奏の手を止めず――大縄跳びのように飛び出して衝撃波を飛び越える) ちぇすとーーーーーッ! ( ザ ギ ィ ィ イ ン ッ ! ! )(バフ支援から一時的な攻撃へシフト。ギターを逆さ持ち鋭利な突起物で打ち上げられた敵を強打させつつ再び持ち手を変え、防衛を底上げするための防御バフの旋律を掻き鳴らし始める) 」

仮想拠点クリスタル「 ピ、ピ、ピ、ピ、ピ…――――― ピ コ ォ ー ン … ♪ (そして、拠点クリスタルの頭上にて「GAME CLEAR」のテキストが表示されたのだった――――) 」




ヒロ「…………(どうやら、答えを見つけたようだな……)泉の後ろから歩いて来て、同じように彼女たちを見る) 」

百生吟子「―――――― ! (気が付いた頃には、練習試合は終わっていた。「あっという間」の決着。いつもならその決着を勝ち取るために頭の中でぐちゃぐちゃに考え込みながら、ただただ時間だけが惰性に過ぎていくような感覚に押し潰されそうだった。にもかかわらず、今はそんな重圧を感じない。感じなかった。まるで…何かに夢中になっていた時にも似た感覚だったのだ) 」

安養寺姫芽「うっそ…!?見てよ見てよアレ!拠点クリスタルの制圧にかかった時間……今までの比じゃない最短記録じゃん…!ベストスコア更新だよ…っ!や、やった~~~~~♪(仮想拠点に映し出されたリザルトを指差しながら嬉しそうにぴょんぴょん跳びはねる。この時の自分は気づいていなかったが、こうして心の底から満足に笑ったのは本当に久しぶりのことだった) 」

徒町小鈴「…やった……やったね、二人とも…♪徒町、こんなに清々しいチェストはなんだかはじめてかも…!なんていうか…いつもより視野が広がって見えたっていうのか……まだよくわからないけれど、「みんな"で"勝ちに行こう!」って思ったら、自然と体が軽くなった感じ……!(以前の様にガンガン突っ走るのもまた強みであり、個性の一つ。だが、その気持ちを誰かと共にするという考えに変わったことで、自身の中で目の前の道が広がったような気がした。道は一つでもなければ、誰かだけが突き進むものでもないように) 」

百生吟子「……うんっ……確かに、今までの私たちにはできなかったかもしれない。でもそれ以上に……ここにきてはじめて「楽しい」って思えたんよ…♪姫芽と小鈴がいてくれたから、ウチも…二人のようにもっと前を向いていけるような気がしたから…! 」

安養寺姫芽「いやぁ~…そう言われると照れちゃうねぇ~… でも、同感かも~。アタシも…なんかすっごく「楽しかった」…♪昔やり込んでたFPSゲームにハマってた時と同じ…ううん、なんだかそれ以上にワクワクしたかも~♪ 」

徒町小鈴「徒町も…徒町も!はじめて自分がみんなの役に立っていると思えた気がした…!だから…みんなと一緒にやるゲームがほんとに「楽しい」…♪徒町たちは…きっとその楽しみ方にずっと気が付かなかったんだと思う……! 」

安養寺姫芽「……?(ここでふとスマホ端末から鳴り響いたSEに気づいて画面を見る)……あっ…?!み、見て見てっ…!アタシたちが使ってたレンタルライセンスの経験値…いつの間にか目標のMAXまで到達したみたい…!とんでもない経験値量……そっか…いつのまにかそんなことも忘れて練習という名のゲームに没頭してたんだ…(あははと苦笑する) 」

徒町小鈴「楽しい時間ってあっと言う間だよね…!でも、これで徒町たちは…もっと強くなれるんだよね…!? 」

百生吟子「そうね…でも、きっと『最強武器』を手にするからとかじゃないと思う。なんか…「ウチらそのもの」が、以前とは違うような……(胸元に手を添えて自らの鼓動を掌に感じ取る)………行こう、テツヤさんのところへ報告しに。私たちの「答え」を…! 」

桂城泉「……フフッ…そうか…(何らかの答えを見つけ出した彼女たちの様子をスクリーン越しに見つめて静かにほくそ笑む。にこやかに微笑むその瞳には、何処か羨望にも近い感情があった) 」

桂城泉「……叶うことなら、あの娘たちみたいに一緒に楽しみたかったよ……『 セラス 』……――――― 」



― エントランス・鍛冶屋「ジャンクション」 ―


テツヤ「――――……来たか。(店に訪れる蓮の三人組を出迎え、彼女たちの凛とした表情に思わず口元が緩んだ)……いい表情(かお)になったな。なんだか、「楽しそう」じゃないか。ようやくその答えに到達したみたいだな。 」

百生吟子「(応答するように強かに頷いてみせる)……はいっ。私たち、ようやく「ゲーム」をスタートできそうなんです。 」

安養寺姫芽「そっ!今までのはチュートリアルってところでぇ~…こっからが、"本番"っしょ♪ 」

徒町小鈴「徒町にとっては今まで以上に時間を費やしたウォーミングアップだったと思います!でも、お陰でかなりあったまってきました!今なら…とんでもないチェストを炸裂できそうです! 」

テツヤ「……そうか… そうか……! (自信満々の笑みを浮かべる少女たちの一人一人と向き合い嬉しそうに頷いてみせる)……君たちが初めてだ。ここまで挫折することなく到達できたのは。いや……違うな…。こんなにも「楽しそう」な顔をしたプレイヤーに会ったのは。……わかった。ならこれから君たちが全力で楽しめるように、俺も一肌脱ごう。君たちだけが振るうことのできる『最強装備』、作ってやるさ。一日時間をくれ。必ず、万全の状態で渡せるようにしておく。 」

百生吟子&安養寺姫芽&徒町小鈴『 ありがとうございます……!!! 』 」


こうして、新たな答えを見つけ出した「蓮ノ三角形」はスタートラインに立つことができた。これから先の「ゲーム」に期待を膨らませる少女たちだったが―――――


――――――――――― 現実は、最悪の方向へと進み始めようとしていた


セレディ「―――――――― これより、『デスバトルロワイヤル』の開催を宣言する  」


ゲームが、「ゲーム」でなくなる瞬間を――――――



― エントランス ―




ザワザワ………(新たなゲームマスターとして就任したセレディによる衝撃の宣言。それを聞いた幻影の巨塔内にいる者たちはみな騒然となり、いつも活気に溢れていたエントランスに物々しい空気が漂っていた――――)


百生吟子&安養寺姫芽&徒町小鈴『 ……………… 』

百生吟子「………なんなん……なんなん…っ……?意味が…わからん……!どうして…こんなことになって…っ……(恐怖か、憤怒か…負の感情に己が拳を震わせている) 」


安養寺姫芽「………信じられないけど……ガチみたい、だよ… 見たでしょ、あれ…「66層」の攻略戦… あんなグロテスクな光景…どう考えても…「ゲーム」じゃない…… 」

徒町小鈴「……ぃゃ……っ……いやあぁ…ッ……!徒町…何も知らない…っ……!なにも…見ていない……っ…… 見たくない……ぅ…ぁ、っ……!(脳裏にこびりついた66層での出来事を移した映像が、痛みのように響いて思わず両耳を塞ぎながらその場で崩れてしまう) 」

フラベ「そうか、『血』が出る、かぁ。フフフ、そうか。流れが変わったな……(鋼鉄の編み笠の中で含み笑い。こぶしを握り、自身の内に流れる闘争の血に酔う) 」

百生吟子「……小鈴…(恐怖に震える彼女に覆いかぶさるように力強く抱きしめる)…大丈夫……大丈夫やけんね…… きっと悪い夢だから……(宥めるように何度も何度も頭を撫で回すが、その表情は芳しくなかった) 」

アーニャ「プルプル……アーニャ、まだちにたくない……プルプル…… 」

YND「否アアアアアアアアアアアアア(悲哀の叫び) 」

逆走爺「うお!前からデスゲームが!! 」

メジロマックイーン「シクシク……(デスゲームの開催宣言を聞いて例の顔) 」

マミさん「みんな氏ぬしかないじゃない!!!!!! 」

赤ちゃん「(マミさんの首から上に生えてくる) 」

夜神総一郎「戦いに身を投じながら何故流血が伴わないと、自らが安全圏にいると錯覚できた? ここにきて狼狽するような状況を作り上げたのが、他者を傷つけながらも己は無傷にあれる大具足ガンダムが発展した結果だ。ガンダムは廃棄処分だ!! 」

ヒロ「………そりゃあ、落ち着かないよな…(吟子たちの様子を見て)……… 」

天照・マルガレーテ・大神「(神妙な面持ちで聞きつつも)自分だけ安全圏だなんてね・・・?! 」

天王寺璃奈?「――――――(殺伐とした緊張感が迸る最中、彼女たちを憂うヒロの目の前を、一人の少女が横切った。彼にとって見覚えのあるその横顔は―――――) 」

???「……HEY、君達。大変なことになってしまったね(前出会った、ローブで姿を隠した大男が現れ)……やはりこうなってしまったか 」

安養寺姫芽「…小鈴ちゃん…………?(あ…確か、この前いた……)(泣き崩れる小鈴に憂い目を感じる最中、現れた大男に「どうも…」と余所余所しく会釈する) 」

三沢大地「俺もいるぞ俺もいるぞ俺もいるぞ俺もいるぞおおおおおおおーーーーい!!!俺だァーーーー!!!!!おーーーーーい!!!!!(特殊な訓練を積んだ人にしか見えません) 」

???「……もう楽しめとは言えなくなってしまったな。やはり、アイツもこれを見越してこのゲームに参戦していたのか……怖いのは当然だ。戦わなくたっていい…… 」

ヒロ「…………!?(自身の前を横切った少女に目が行く)……璃奈ちゃん………!?(なぜ,君がここに………?) 」

三沢大地「俺は戦うぞ!俺もいるぞ!ずっといた!!おーーーーい!!俺だーーーーー!!おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!! 」

春日一番「め、面目ねえ……こんな状況になるんなら軽々しくお節介やくべきじゃなかったぜ……(都合よく生えてきた電柱から狼狽する面々を眺め肩を落とす) 」

天王寺璃奈?「―――――――(ヒロが「璃奈」と呼んだその少女は、確かに一度だけ振り向いたような気がした。だが、その姿は亡霊の如く薄れ、最初から存在しなかったかのように消え去ったのだった――――) 」

百生吟子「………確かに……こんなことになるんだったら…もう楽しむことなんてできないかもしれない… でも……っ……(恐る恐る見上げた映像クリスタル、そこに移る攻略陣の中に村野さやかをはじめとする先輩たちが戦場で戦う姿を見たことで、目を逸らすことは出来なかった)………先輩たちは、戦っている… ほんとは怖いはずなのに… どうして…って思うところはあるけれど……また、あの人たちの背中でじっとしているのは……嫌だ…っ……(ある種の決意の表れか、唇を噛み締める) 」

安養寺姫芽「……だよね…っ…… アタシも、そう思う。たとえもう「ゲーム」じゃなくなったのだとしても… だからって、アタシたちがやってきたことを「無駄だった」って思いたくない……! 」

徒町小鈴「………!(小刻みに身体を震わせる最中、吟子と姫芽の小さな決意の囁きに涙を止める)……か……徒町、だって……ほんとは…諦めたくない……っ… 怖い、けれど……また先輩がたに甘んじて、逃げてしまうのは……いや……!(ぐすっ、と鼻をすすって顔を上げる) 」

解析璃奈「なぜでしょうか、私と同じ方の気配を感じたのですが・・・(ヒロの端末のセンサー経由で電荷をキャッチし) 」

百生吟子「(ぎこちなく、されど怖気を無理矢理振り払うように見合った三人で頷き合う)……まだ「最強武器」は手元にないけれど…今からでも行かないと… 先輩たちに追いつくために…先輩たちを、守るために……!(そうして彼女たちは転移クリスタルへと歩を進めるのだった―――) 」



(※第63層へ)



― エントランス「円環の間」 ―


命を賭けたデスバトルロワイヤルの開催宣言からはやくも3日が過ぎた頃…
多くのプレイヤーたちが死に慄き戦いを断念する中で、
一部の果敢な者たちは先の階層へ着実に進み始めていた――――


百生吟子「――――……この調子なら、なんとか先輩たちに追いつきそう… (スマホの画面に視線を落とし自分たちの戦績と現時点での踏破状況を確認している) 」

安養寺姫芽「そうだね…でも、このデスゲームになってからエリノラちゃんによるMIPリザルトも廃止されちゃったから、いよいよゲームって感じがしなくなってきたよね…結構わくわくしたんだけどねぇ…あの瞬間… 」

徒町小鈴「徒町…まだまだ頑張ります…!早くさやか先輩たちのもとへ合流して、お守りしないと…! 」


キ ュ オ ン ―――――― ッ (そんな最中、エントランス頭上にて映像クリスタルによる巨大なホログラムスクリーンが展開された。そこに映されていたのは当然、この最悪な状況を創り出した張本人――――――)


セレディ「 カオスファンタズマに参加しているプレイヤー、オーディエンス諸君。ゲームマスターのセレディ・クライスラーだ。 (デスゲームを牛耳る慈悲なき者は、彼・彼女たちを嘲笑うかのようにスクリーン越しに俯瞰していた) 」




百生吟子「―――――!(あれは……!)(スクリーンに映る人物を睨み上げる) 」

セレディ「新たに開催された「デスバトルロワイヤル」は楽しんでくれているかな?だが…そんな中で君たちは恐らく疑問に思っていることだろう…何故私がこのような催しをはじめたのか…その意図を…――― 」

セレディ「既に気付いた者も多くいることだろうから白状しよう。私は、世間では国際テロ組織として多くその名が広がっている『ワールドセイバー』の一員だ。『我々』の目的は、世界のすべての人間に、オムニバスの実体を知らしめることにある。この世界をはじめ、あらゆる次元を巻き込んで終わりなき戦いを繰り返そうとする愚かな運営…その過ちを糺すために。 」

桂城泉「…………(柱に凭れ掛かり目を伏せながら演説を耳に入れている) 」

ヒロ「……そんなものに俺たちの命を巻き込んだってのか… 」

アガラ「(苛立ちを抑えきれない様子でトントンと床を何度も踏む様に靴で叩きながら、フードを目深に被ったままクリスタルを見上げ)……『過ちを正す』って……ここまで大勢巻き込んどいて、正当化かよ……テロ屋って本当にこんな事素面で言うんだな…… 」

セレディ「このデスゲームは、君たちの目を「現実」に向けるためにある。君たちがこれまで行ってきた「攻略戦」というものはのは、いわば疑似的な「戦争」だ。戦略を立て、いかに被害を最小限に抑え、効率よく敵に勝利するかを考えてきたはず。 」

セレディ「しかしここでの戦い…ゲームばかりに没頭していては、「現実」の世界に目を向けることは出来ない。プレイヤーたちが戦場としている幻影の巨塔は、幻想によって生み出されたもう一つの世界。敵の幻影体、フィールド、天候…あらゆるものが精密に再現されている。だが、実は再現されていないものがあるんだよ。なんだかわかるかい? 」

セレディ「    現実世界における「日常」だよ  」

テツヤ(NPC)「………日常…… 」

ヒロ「日常だぁ……?……お前がもたらすものが日常だって,そう言いたいのか……? 」

セレディ「オムニバスは、長い歴史の中で「戦い」の記録のすべてを閲覧してきた。それは即ち、歴史を形作ってきた大きな基盤となる「戦争」のこと。運営はその記録的観測のもとにこのカオスファンタズマというゲームを生み出し、多くの人間を「戦い」という熱狂の渦へ引きずり込んだ。「願いが叶う」…その大層な夢によって、人間の感情…独占や支配欲を掻き立て、闘争本能を刺激させた。 」

紫淀「あーあー、お腹減って苛立っちゃってるんですねぇ、一旦落ち着いて、帰ったらまたお肉持って行ってあげるからさぁ~~~(アガラの足を軽く踏み、動きを止め)再現されていないというか、取り上げられてる状態だし……あっ、平時は存在しない、平和に見える場所は後方に過ぎないって奴ぅ?渋いアニメ知ってんじゃんねぇ 」

セレディ「しかしこのゲームでシミュレーションできるのは、あくまでプレイヤーという名の兵士の感情だけ。「日常」を生きている多くの人間とは程遠いものだ。現実の戦争において兵士が戦う後ろには、普通の人々の生活がある。銃声に怯え、経済は混乱し、貧困や犯罪に晒される。それが、現実の戦争で巻き込まれた人々の生活なのだ。更に、戦争状態故の犯罪の多発。歴史認識の違いによる民族レベルの軋轢など…こと「戦争」をシミュレートするなら、これらを把握しなければ意味がない。 」

セレディ「そして、これが最も重要なことなのだが… 「戦争」は常に一部の支配者層によって生み出され、操られている。支配する者は、権力と財力を独占し、常に普通の人々に犠牲を強いている。当然この事実も、運営のシミュレーションでは考慮されていない。それもそのはずだ。何故ならこの幻影の巨塔こそが現実世界の縮図であり、運営オムニバスこそが支配者の体現者なのだから。それに翻弄される君たちプレイヤーは兵士として操られていただけなのさ。 」

セレディ「これは私の被害妄想などではない。事実、君たちのこれまでの戦いの記録もまたすべて、運営によって常に保存されている。それはより大きな戦いを繰り広げるための礎として、その戦闘記録を基に運営は計画を進行している。君たちが戦えば闘う程、やがて来る終わりなき「戦争」による被害は甚大なものとなる。 」

セレディ「 「現実」を直視しないことは罪だ!君たちは、この「幻想」を疑わなければならない!  」

徒町小鈴「……どういう、ことですか…っ…?徒町、よくわからない……っ… 戦争って…いったい、なんで……? 」

安養寺姫芽「……話の規模がどえらいことになってきた… 要は、運営は"アタシたちが戦うこと"で何かを得ようとしているってこと…?それが本当の話かどうかは分かんないけど…あのゲームマスターの言っていることは、その運営の在り方を否定している…?アタシもよくその意味が分からないんだけど……これはもともとただの「ゲーム」じゃなかったの……? 」

ヒロ「………その通りだ(姫芽の言葉を聞き)ただのゲームに現実もクソも無いんだっての… 」

百生吟子「……理由はどうであれ…だからって…!私たちの命を平然と弄んでいい理由にはならないでしょ…っ……!小鈴、姫芽…あんな独善的な戯言、馬鹿正直に耳を傾ける必要なんてないわ。所詮はテロリストなんだから…っ……! 」

セレディ「私の願いは、「世界が一つとなり、戦争がなくなること」。人は戦争をなくすことは不可能だと言うでしょう。支配者というものがいる限り無理な話です。富める者と貧しい者との関係も変わらないでしょう。つまり、この支配の格差をなくすことでしか、世界をひとつにはできないわけだ。我々『ワールドセイバー』は、断固としてオムニバスの弾圧を掲げる。運営の倒壊を見せしめに、次は偽善に満ちた世界政府そのものに問い質すのだ。世界に君臨する支配層のすべてを淘汰するまで、我々の「戦争」は終わらない。 」

セレディ「だからこそ、そのための同志も必要だ。もしもプレイヤーたちの中に、我々『エゼルダーム』への編入を希望する者がいれば、是非とも申告をしてほしい。同じ志を持つ者を、我々は迎え入れる容易がある。明日の正午まで考える時間をあげよう。待ってるよ。(歓迎を意味する取り繕った笑顔を最後に、映像は途絶えた―――) 」

百生吟子「…ふざけないで…!誰があんな奴らなんかに…っ…! 」

安養寺姫芽「どーかん。宗教の勧誘なんてまっぴらごめんだね。 」

徒町小鈴「小鈴も反対です…!どんなことがあっても…小鈴たちはテロには屈しません…! 」

ヒロ「平和を掲げる奴が平和を脅かす。…あるあるだな… 」

スネーク「結局やっている事は、力を握って新たな支配を確立し、既存の枠の為政者(システム)を打倒(ハカイ)する……歴史で何度も繰り返されてきた話だ。それに、戦争の『リアル』をシミュレートするには……この箱庭は狭すぎる(タバコに火を付け、ホログラムが消えたクリスタルを見つめ) 」

テツヤ(NPC)「………(演説が途絶えた頃に吟子たちのもとへ歩み寄る)意思は固まったみたいだな。NPCの面々も、もはや中立を維持することはない。俺たちも、プレイヤーの君たちに全面協力する。血気盛んなプレイヤーたちは既に奴らとの全面戦争に直面しようとしている。そこへ加勢に向かう。 」




メディ(NPC)「はい。この幻影の巨塔において回復手段を担うわたくしたちも同行いたします。長期戦になることを踏まえて、緊急回復キットをたくさんご用意しました。 」

芋ジャージの女「んー…………一理あるというか何を今更というか………"彼"の言葉として胸にストンとこなかったな……機会があればビールと牛カルビを交えて本音を聞きたいものだ(明らかにビールと牛カルビに対する欲求の比重が強い故か、エントランスのメニュー表を顔見しながら床にござねしている。足首まで伸びているであろう白髪、肩が片方露出する程着崩したジャージ、スリッパという休日スタイルでくつろいでいた) 」

ヒロ「(あの子は………どうする…?)(泉の方を見やる) 」

トランセンド(NPC)「情報によれば…彼らはこれから「第67層」の攻略戦に臨もうとしている。だけどそこには幻影体《ファンタズマン》は設置されていない…プランダラ…改めてエゼルダームの連中が、プレイヤーたちを襲撃しているみたい。急がないと修羅場は更に惨劇になるね。それと…お得意さんか荒共有された極秘情報として、『ロギア』とそれにまつわるデータを入手したよ。これからの戦いに臨む前にいったん目を通しておくといいかも…(そう言ってそこにいる面々に惜しげもなく秘蔵ファイルを広げる) 」

ジーン(オーディエンス)「プレイヤーたちの感動的なエンターテイメントを台無しにされるのは、彼らを応援するオーディエンスとしても不本意だからね。俺たちもその話に乗らせてもらうよ。 」

芋ジャージの女「―――――おっ、ちょっと待てい。(起き上がり拳のように踵を軸に起き上がるという不自然な挙動を見せ) ストン ストン  ちょんちょん  (二歩、散漫な動作で7mを詰め、小鈴達の背後に立ちうなじを指で軽くこづく) 流れで加勢に行くのだろうが、君達。うん、"特に"君達……ちょっといいかな。 最近装備を新調したんじゃないかね(ポケットからフランクフルトを取り出しかぶり付きながら眠たげな眼差しを向ける) 」

メトロ(オーディエンス)「私も…微力ながらお手伝いいたします…!ネモちゃんのことも心配だし…友達を助けないと…! 」

アガラ「何が現実だよ……だったら、あいつらが作ってるこの状況だって虚構じゃないか……でっ…!(紫淀に踏み付けられ、床を踏むのを辞めるが……堪え切れずに爪を噛み始め)…!!あっ、そうか、メニュー表……!に、……にく、そう、出来れば生で食べられる肉……!(メニュー表へと這いずり) 」

百生吟子「テツヤさん…!それに、他のNPCのみなさんに…あれ……?もしかして、オーディエンスにもいた人たち…?(次々と集う面々に驚いたように目をぱちくりさせる)……ありがとうございます…!みなさんに協力してもらえるのなら、心強いです!………!?(トランセンドに手渡されたファイル、そこにある極秘情報をざっと目を通してその真相に驚愕する)……『ロギア』って…そういうこと……!?花帆先輩たちは、もうこのことに気づいている…? 」

安養寺姫芽「アタシたちはいろいろ出遅れちゃったのかもしれないねぇ……でも、今が巻き返しの時。みんなで追いかけに行くんでしょ?(ウインクを飛ばす) 」

徒町小鈴「ほえ…?あ、はいっ!徒町たち、新しい装備を手に入れました…!貴女も…プレイヤーの肩ですか…?(芋ジャージの女に) 」

芋ジャージの女「いや、ここに焼き肉を頂きに来た客だ。おいしいぞここのカルビ、タレがイケてるんだ(喋る時以外は基本何かの肉を口に含み咀嚼している) やはりそうか、君は楽器、そうだな……そこそこ重量のある弦楽器で味方を鼓舞する役回りじゃないかな。ともすれば(返答を待たずつらつらと言葉を並べ、ずいと徒町の肩に顎を乗せ、彼女の肩と腰に手を這わせ)    ゴキッッッッ    (骨がひしゃげるようなグロテスクな音と、彼女の体に神狩りが落ちたような衝撃が迸る) 」

紫淀「(紫のインナーカラーが入った黒髪を軽く掻き上げ、部屋義にジャケットを羽織っただけの格好でしゃがみ込んで這うアガラを見やり)……うわめっちゃ限界じゃんねえ~~………銃後の平和も、アレを止めようって動く皆様もぉ、これも日常と切り離すと良くないと思うけどなぁ~~……帰って(自主規制)見たいんですけどねぇ~~~ 」

芋ジャージの女「――――体軸の調整をした。向こう一年はその武器でも"使い古した愛用品"のように操れる(ダメージはなかった。一瞬の激痛を与えこそしたが、"言われてみればそんな気がしないでもない"という感覚を与え、 強引にそれを施したにも関わらずあっけらかんとして手をひらひらと振り徒町から離れる) 」

芋ジャージの女「で、一番やばいのキミな。(散漫な動作で安養寺を指差し) 長獲武器、特に先端に柄に対して直角に曲がった奴、これを持ち替えて体に馴染むようになるには部痛に扱ってるだけでは1年と67日を費やす、特に成長期の少女の体の場合、体型の変化にわせて調整しないと尾てい骨や軟骨、胴体を支える全ての骨がすり減ってなんかこう……爆発する。 なので、   こうっ     ベキィッッッ  (シンプルにケンカキック。安養寺の骨盤に足裏をがっつり押し付けるような蹴りを叩き込み、骨をベンチプレスで割ったようなグロテスクな音が児玉)  」

徒町小鈴「 う゛ ぎ ぃ゛ ! ? ! (全身に一瞬だけ迸る激痛の様な衝撃に意識が飛びかけるが―――)………あれ…??な、なんだろう……なんだか身体がすっごく軽いような…気がします……!な、なんで…?(痛みはすっかり消えた。それどころか疲労感すらも微塵も感じない軽やかな全身を体感しようと何度もその場でぴょんぴょん跳びはねる) 」

芋ジャージの女「なんかキミは……あれだね、感覚的に鋭いのかな?思ったより負担は少なそうだ。 そうだな、脳から神経への伝達を改善するだけでいいだろう(ずかずかと百生に歩み寄って距離を詰め)   ガスッッッ  (シンプルに暴力。すれ違い様、首筋へ手刀を叩き込む。 安養寺も同様だが「すごくいたい」事以外はノーダメージ。むしろ"何故今までこうじゃなかったのか"と疑うほどに身体能力が"底上げ"されたような感覚が彼女達に沸き起こる) なにやら命がけ、まちがったら死ぬようなあれに生身で挑むらしいからね。君達は念には念を入れ解いたほうが良いだろうと思った(上体をゆらゆらとゆらし、おでんを口に頬張りながら) 」

安養寺姫芽「ば、爆発ぅ!?ってちょなにするんですk――― ひ ぎ ぃ゛ っ゛ ! ? ? (骨身にダイレクトに一周の一撃を受けて目に☆を浮かべて気絶しかけるが…)……ぅん……???な……んだか…すっごい心地よい感じ……?なんか一瞬すっごく死にかけたような気がしたんだけど……ぇ…えっ……?(蹴られた部位を摩りながら――痛みは消失しているが――困惑気味に何度も首を傾げる) 」

百生吟子「ちょっ、小鈴と姫芽になにするんですか!エントランスでは暴力は禁止されて――――  き ゃ゛ っ゛ ? ! ! (首筋への強打。そのまま昏睡するように気を失いかけるが、すぐに目が開かれ踏みとどまる)……ぁ…れ……?(何度も目を開閉させて身に起きた出来事を理解しようとするが、全身の筋肉や脳神経にある種の解放感にも似た何かだけが過り、徐々に背筋がまっすぐに伸びていく)……私たちの体に…一体何をして…… 貴女は……? 」

黛冬優子「あっ、ちょっと……一言声を掛けてあげた方が、より意図が伝わったんじゃないかな、って思いますけど…… 」

ジャンサンリー「 荒療治にはなったけどこれがめんどくさくな……一番早くて効果的だからね。存分にありがたがってくれ、私はがんばったぞ君達のだめに(恥ずかしげもなく恩着せかましい言動を堂々とし、ポケットから一枚の紙切れを取り出し)――――ジャンサンリーでいい、もし生きて会う機会があればね(名刺を差し出すかのように百生の手にそれを握らせ、返答を待たず肩をすり抜け)     ( 消失。空気の振動も、共振もなく、前触れもなく、過程を無視して消失した。  ただ一枚 ――――― ) 」


――――――「 ボルトーレ社産直送牛カルビ8点 ユウヒスーパードライ25点 冷凍寿司:ご期待マグロ大トロ5点 ダイナ鳥焼き鳥30点    合計:5030チャオス  」 と記載されたレシートを残して・・・・。


ジャック・アトラス「MATTE!!俺のブルーアイズマウンテン3杯も一緒に勘定してくれ!! 」

クラウス「(意志を燃え上がらせる面々を見、男は静かに頷いた)……私にできることなどあまりないと思うが、それでも彼らが道を間違わぬように、サポートする。今の私にはこれくらいだろう。 」

百生吟子「………!(ジャージ服を着込んだ寝ぼけ女性、その名乗りを困惑気味に受け取りながらも手に握らされた一枚の紙に視線を落とす)あのっ……!(何かを告げようとした。しかし落とした視線を上げた時には女性の姿は完全に消失。あれは「幻影」だったのだろうか。そう不思議に思いながら髪をひっくり返し、それがレシートだと知ると…)………Huh?????????(例の猫みたいな疑問符を浮かべる) 」

銃使いの女「(オーディエンス、NPC、そしてプレイヤーたちが集うエントランスで人混みをかき分けるようにして)やれやれ、皆血沸き肉踊ってなさる。物騒でいけないねえ。────ねぇ、アンタもそう思わないかい? ヒック(ウイスキーを飲んで酔っ払いながらクラウスの隣に) 」

クラウス「────?(こんなプレイヤーいたかというような表情にもなったが、いかんせんすべてを把握しきれていないため疑念に終わる)……あれだけのことがあったのだ。気が気でなくなるのは別に不自然ではないだろう。……お前は?(やけに馴れ馴れしく、おまけに酒臭い女に) 」

アガラ「(タレもつけずにユッケを大量に口の中に掻き込み)ハムッハフハフ!!ハフッ!!!(レシートが一瞬目に入るが、そっと目を逸らし)………今喰いたいんだよ、今…! 」

銃使いの女→ヴィルヘナ「あらら、不審がられてるなああ~~。……どうもー、『治安監査課』のヴィルヘナと言いますー。(腰のホルスターから古風な銃『コルトウォーカー』によく似た拳銃を取り出し)ヨッ、ホッ、あらよっ(巧みなガンスピンを披露)どうです?酒に酔っててもこれだけは失敗したことないんですよ~特技でしてね。ほら、クルクル。ワハハハ。 」

クラウス「(……治安、監査課)────どこの所属だ?政府か、それとも警察か? 」

杉下右京「そして私は誇り高き本物の警察官、警視庁特命係の杉下右京と申します。 ドギュウウウウウンシュインシュインシュインシュインシュイン 」

ヴィルヘナ「クルンクルンクルン、パシィ……スッ(回し終えた銃をホルスターに戻し)そんなの、『死んだはずの』アナタに関係ありませんよ。おねーさんはね~、休暇とってゲームしにきたんですぅぅ~~……。そしたらこの騒ぎで、ナハハ。まいったまいった……。(今ここにいるクラウスの情報は把握済み。彼がガントの力で生み出されたスワンプマンであることも)……ところでアナタ、あのガントって人のそばにいかなくていいの? 」

バナナ猫「ケッッッッッッッッッッホ(おまえみたいな警察官がいてたまるか)(右京さんの覇気で口から泡を吹いて卒倒する) 」

紫淀「(うわぁ政府の人だァ)……アガラくん、アガラくん。向こうにいる人政府の人みたいだから気を付けといた方がいいよぉ(ユッケを横から一欠けつまみ、タレに付けてそのまま食べ)……まあ、今はこれで我慢しましょうねぇ 」

クラウス「……私は、結局『裏切り者』だ。きっとどの時代でも。 」

ヴィルヘナ「──プッ、ナハハハハハハハッ! いや、そんなネガティブにならなくてもいいじゃないですかぁぁ~~~~。逮捕とか捕縛とかしませんよぉお~~~。どうせ、アナタは『ここだけ』の存在なんです。1と0で再現された過去なんです。別にただ、気になったからこうして聞いただけなんですよ。ちょっとした好奇心好奇心。アハハ。今は、仕事してませんから~~。ほら、だからお酒飲んでるウヘヘヘヘ~~~~。 」

クラウス「────今は一大事なんだ。皆協力し合い困難を乗り越えようとしている。……そうする気がないなら、どこかへ行って飲んだくれていろ。 」

ヴィルヘナ「へいへい。……あーあー、皆酒飲みに厳しいなあ。いいじゃん。ゲームくらいたくさんお酒飲んだって。ヒック(クラウスから離れてフラフラ歩きながら)……はやく状況が動かないかなー。そしたら、こっちも仕事のし甲斐があるってもんなのにぃ~~ヒック。……あ、からっぽになっちった。 」

???「…………(白フードの男。先からロビーで何度か見かけた大男が、何かを考えている)……何処へ行ってしまったんだ…… 」

白フード三皇帝①「俺の本当の力を見せてやる……!!>>ギュィーンッ<< \コーヒークレー/\コーヒークレー/\コーヒークレー/ ハッ!! ぬううううん、ふん!!(自らのDホイールに剣を突き刺し、天高く舞い上がる!股が変形して接続部になり垂直落下) \コーヒークレー/\コーヒークレー/ これがDホイールの最終進化形態だ!! \コーヒークレー/\コーヒークレー/\コーヒークレー/ おおおおおおおおおん!!!!  ┣"★ン!! (究極体プラシドの完成だァー!!) 」

白フード三皇帝③「 ガシィンッガシィンッガシィンッガシィンッガシィンッガシィンッガシィンッ(足音) はっはっはっはっは……!チームエゼルタームよ、覚悟するが良い!!ここからが本当の勝負!! うおおおおおおおおーーーーー!!!!(飛び上がり下半身がありえない角度に曲がる。両足がまさかのジェトパックになり、そのまま垂直落下。大型二輪と上半身がドッキング!!)走り出せ!!その足で!!何も!!恐れずに!!未来へ!!続くその道を!!ゴーイングマウェイ!!切り開いてゆーーーけーーーーー!!!!! 」

白フード三皇帝②「(変形パーツなくてよかった~~) 」

メンフクロウ「 エッホエッホ ロギアの正体を教えなきゃ エッホエッホ (その場で走るモーションをしているが全く進まない) 」

白フードの皇帝・ユーハーベーハー「来い、我が親衛隊たちよ!(パーティ「見えざる白フード軍帝国」も参戦だ!) 」

白フードマン「はっはっはっー!そして私がデラックスファイターだー!プランダラもオムニバスもデラックスボンバー!(見境なくエントランスでやらかしまくる) 」

白ヌードマン(麺)「ワンゼだよーん!マッドなマッドな!ワンゼだよーーーん!!!おっすお前達!!ハラ減ってる!!?俺はパーティのコックだからなんでも作れるよ!!!ラーメンにする!? じゃ!ラーメンにするけど!その前に一つ知っといてほしい豆知識があるんだよね!!俺の鼻毛は!!こう・・・中で網状に・・・編みタイツみたいになってるって事ね!!!さっさっさーーーーーーーーーー!んぶうううううううううううううううううううううううううう(鼻からラーメンを吐き出し、麺が一日中伸びていく) 」

白ヌードマン(裸体)「うっふううううううううううううううううううううううううん!!!!!あなたたちも好きねええええええええええええええええええええええええええん!!!!(自らの裸体を曝け出し、規制を喰らい、一日中出禁にされる) 」

???「……ヘイ。君達その格好流行ってるのかい?……私はフードの色変えた方がいいかなあ…… 」

ヒロ「なぁにこれぇ 」

徒町小鈴「とても頼りになりそうです!!! 」

百生吟子「どこが???(どこが???) 」

白ソードマン「ぶううううううううううううううううううううん!!!!バックでアクセルするぜええええええええええええええ!よお!お前ら!?久しぶりだが!?俺は・・・・・世界一の走り屋でクランウドになる男と呼ばれたが・・・・・今は、引退して・・・・・・青森で整備士をしているだあ・・・・・・!?そんな俺が整備したカウンタックは今日も絶好調の走りだぜ!!! 」

白スーツマン「なに?なんだと?どういうことだ?何が言いてえ?うるせえ!!!!!! 」

ヒロ「……絶対ないと思う(小鈴に) 」

いかりや長介(さいばんねんのすがた)「(オーディエンス)あれは・・・だめだこりゃ・・・ 」

ジーン(オーディエンス)「役者は揃ったみたいだね。さあ、行こうか!感動の再会…そして最後の戦いを始めよう! 」

安養寺姫芽「よっしゃ~♪じゃあゴキゲンに勝ちに行くぞー!(身軽になった両腕をぶんぶん回しながら決戦の舞台へと臨むようにその一歩を踏み出す) 」

徒町小鈴「待っててください…綴理先輩…さやか先輩…!徒町、今度こそ先輩方を守り抜いてみせますから…! 」

百生吟子「 うん、行こう…!私たちの「ゲーム」を取り戻しに――――――!  」

プレイヤー、NPC、オーディエンス…それまで交わることのなかった勢力が結託し、一同は大いなる決戦の舞台へとついに進みだすのだった―――――― 」

セラス「………………(共同戦線を張り決戦の地へと向かう大勢が消え、閑散となったエントランスに亡霊の如く現れる)………行っちゃったね。 」

桂城泉「……ああ。しかしこの選択も見ものじゃないか。プレイヤー、プランダラ、オムニバス、更に未知の存在…数多の勢力がそれぞれの野望と意思を以てぶつかり合う。血生臭さによって現実味を帯び始めてきた幻影の巨塔に熱狂が巻き起ころうとしている。かつてない程に、面白くなる。それでも君はまだ、静観し続けるのかい?君自身の「願い」は、諦めてしまうのかい? 」

セラス「……諦めたことはないよ。私の「願い」は今もずっと変わらない。そう…あの日から、ずっと……―――― 」

セラス「――――――――――――――(少女は瞑目す。その瞼の裏に「願い」を象徴する何者かの輪郭を思い浮かべて―――――) 」

セラス「……泉。君は…―――――― 私が道を踏み間違えても、それでもついてきてくれる? 」

桂城泉「…………――――――――(視線を交わすことな並列した姿勢から静かに目を伏せ、セラスの前に移動して跪く――――) 」

桂城泉「――――――――― Yes,Your Majesty ( かしこまりました、陛下 ) (――――忠誠を誓う紳士が如く、姫君のその手を取った) 」


♛ CR : 05 ――――――――――― 『 桂城泉 』


セラス「――――――――――(脅威の実力を有する戴冠者を跪かせる病弱体の少女。何もなかったその頭上が、陽炎の様に歪みを帯び始め、隠されていた素顔を曝け出す―――――) 」


♛ CR : 02 ――――――――――― 『 セラス・柳田・リリエンフェルト 』



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2025年04月23日 21:48