そして時は進み、四ヶ月が過ぎる…――――――
――― 2月某日 West・D・Land 十刀剣武祭 会場 ―――
キリギリス「お集まりいただいた紳士淑女の皆様方ァッ!!そしてそしてェ~ッ!!百の剣戟を潜り抜け、"閃"を極めた君臨者たちよォッ!!ついに"この時"がやってきたぞォオオオ!!!すべての百刀剣武祭を戦い抜き、上位に選ばれた世界最強の刀剣者たちがッ、頂点を賭けて競い合う世界最高峰の武闘大会―――【 十刀剣武祭 】のォォォ~~~開幕だああああああああああああああァァァァァァァーーーーーッ!!!!!!!」
わあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!(百刀剣武祭以上の多くの観客がひしめく巨大会場。その一帯に、大歓声が響き渡った)
キリギリス「この十刀剣武祭を勝ち抜き、見事優勝を果たした者にはァッ!!どんな望みも叶えられるほどの莫大な賞金がッ、地位がッ、名誉がッ!!手に入るぅッ!!そして今回はそれだけではなく―――――最強の刀剣者に相応しい最強の剣『 ク ロ リ ア ー 』も贈呈されるのだあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!!!」
剣士「うおああああああぁぁぁッ!!!待ってたぜええええええぇぇぇーーーッ!!!!」
モララー「にしし…っ!待ちに待ったビッグイベントだぜ。楽しませてくれよな。(客席で足を組む) 」
槍兵「出場選手の殆どが超新星ばかりだってな。楽しみだぜ。 」
ミレアドネ「くすくす…♪願わくばこの偉大な舞台の上で舞ってみたかったわね。(観客席) 」
キリギリス「さぁ、それでははじめましょう!!!!2017年度『十刀剣武祭』の開戦を――――ここに宣言するぞおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおーーーーーーーッ!!!!!!!」
前原 圭一「うおおおおお!こいつは燃え上がってくるぜえええええー!! 」
メタナイト「……(そろそろ実行する時だな。)(会場の様子を窺い、静かに客席から離れる) 」
破龍皇帝・グランドジークフリート「よもやこのような興味深い催しがあったとは思わなんだ…またの機会に、我も参戦を望もう… 」
大剣使いの男「フッ…見せてもらうぞ…歴戦の猛者たちの、『真の実力』を…!!」
エゴ猫「ちきしょう…世界中のリア充共を斬殺して…優勝した俺様がリア充になる野望が…orz 」
エー「エゴさんは地べたを這い蹲りながら無様な醜態を曝し続け、誰にも知られることなくあぼーんする人生なのです。 」
キリギリス「今宵は満月が夜空に輝くッ!まさに最初の試合にはうってつけの絶景だ!!さあ、それでは始めよう!!第一試合の開戦だァッ!!!第一試合…
オリヴィエ vs
八頭身ギコ侍だああああぁぁぁッ!!!選手はステージへどうぞッ!!!! 」
八頭身ギコ侍「かようなか弱き娘が刃を携え、この戦場に赴くか…いや天晴れ!某(それがし)感服したでござる。なればこそ、その刃…しかとこの目に焼き付けようぞ。(ステージへと登り詰める)お初にお目にかかるでござる。やーやー、某は八頭身ギコ侍!混沌を断ち切る兵(つわもの)なり!この邂逅に祝意を表して、我が全身全霊を込めた太刀でお相手致そう。 」
モララー「おーおーおー…どっかで見覚えのある侍だな。(アイツにそっくりな顔してら…へへっ…) 」
エゴ猫「アンチキショウ…!この俺とキャラ被ってんじゃねえかウルァ…!(゚Д ゚ ) 」
オリヴィエ「(だいたい『俺達は駆け上がったばかりだからな!栄光への階段を!!』っていう感じで出場前に冷める夢だと思ったらマジでこれ出場じゃないですかやだー!)ふふっ、か弱さにかまけ己を見失うほどの臆病でもありませんからね(内心デフォ白目で動揺しつつもスコリト可憐に微笑を浮かべステージに降り立つ)–––––我等を巡り合わせた縁に感謝を。しかしして言の音は不要、剣に生き、剣に散るなれば奏でるは鋼の音。–––––いざ、尋常に(鞘から抜き放つは地上の三日月が如き細身の長刀。刃を水平に構え牙は桜色に煌めく) 」
白鷺「ケホッ、ゲホッ……痛たたた、吐き気と痛みが同時に来るのは凶兆でしょうかねー……(赤黒い染みが広がった手巾を口に当てながら観戦している) 」
キリギリス「それでは第一試合―――――― 開始ィェアッ!!!! 」
八頭身ギコ侍「ふむ、よかろう。……いざ――― 押して参る!(柄に手を添えたまま、滑る様な足運びで接近する) 」
オリヴィエ「(速い、けれど決して––––)(微動だにせず構えたままギコ侍の接近を許し)ザザッ ヒュ オ ッ 対応できない間合じゃない(間合いに入られてから更に一歩、確実に”斬られる”という死地に入られたいにも関わらず僅かな土煙を残し刹那的にサイドへスライド移動。ギコ侍を中心に円を描くように立ち回りつつ)シッ!!(小ぶりな左凪ぎ→右斜め上への斬り上げ→逆手持ちに切り替えつつの振り下ろしの繰り返しを常に移動しながら放っていく) 」
八頭身ギコ侍「ほぅ……!(ガキャァンッ ! ! キ ィ ン―――ガンッ、キィンッ ! ! ! )(繰り出される斬撃を無駄の無い挙動でひとつひとついなしていく)まこと見事な太刀筋よ!(袈裟斬りからの斬り上げを行い、身体を捻る様に回転させ強烈な真一文字で薙ぎ払う) 」
雛菊「純粋な剣術の応酬…あの方たち、身も心も優れた剣士ですね。(感心したように小さく頷く) 」
大剣使いの男「…何故、そのようなことが分かる。(いつの間にか雛菊の真横で観戦し、彼女に問う) 」
オリヴィエ「チッ……(あと一歩……あと一歩内側へ踏み込む隙が作れない……) –––––!! ギンッ ギャリィンッ!!(袈裟斬りを袈裟切りの逆でいなすも斬り上げによって腕ごと刃をかち上げられ、瞳が収縮する)(下手を打った……仕掛けられる––––––)ッツ!(自由がきく右腕で咄嗟に腰に帯びていた鉄拵えの鞘を前に突き出し)ッ ガァ ンッ!!!!(薙ぎ払いを鞘で受け止め火花が散り、身代わりになってひしゃげた鞘を捨てつつ衝撃を利用しバックステッップを踏んで間合いから離脱) 」
雛菊「互いの刃がぶつかり合う時に生じる"残響"です。金属がぶつかり合う音にしか聞こえないとは思いますが、私には…全く別の音に聞こえるのです。耳が劈くことの無い、まさしく心地の良い音色の如き残響を奏でる剣士は、相手の力量を推し量る実力者であることが多いのです。刀に込める力、振う速度、相手の刀身に合わせる阿吽の呼吸…それらすべてが音で把握できる… 昔、この世界に迷い込んだという旅の方と刃を交えた際に、教えていただいた術です。 」
八頭身ギコ侍「…ふむ…貴女の魂は某の魂に響かず。臆することなかれ、貴女の気迫を見せてみよ!“因破恐刀”(いんぱくとう)!(ズシャアアアァァァァッ ! ! ! )(刀を振り下ろしただけで強力な剣圧を放ち、オリヴィエを吹き飛ばさんとする) 」
大剣使いの男「……!なんと…(流石は剣聖といったところか…その実力の高さは数多の戦歴の賜物か。ただ剣を振うだけの俺とは、全く違うな…ふふっ…恐れ多いことだ…) 」
オリヴィエ「(!?)間合いの外から……!この人”も”か–––––!!(過去にこう言った攻撃に遭遇したかのような口振り。表情を焦燥に表情を歪めつつも開戦時と同じ構えで態勢を立て直し瞳を伏せる)いかに風神が如く鎌鼬を操ろう、剣が織りなす全ては一閃に他ならない!!さればこそ––––––(見切ってみせる、この魂が”響かぬ”というのであれば魅せるまでッ!!)桜華–––––– (風圧の壁がオリヴィエを吹き飛ばさんと真っ向からぶつかると同時に)–––––閃風ッ!!!!(一歩、左足による強い踏み込みからの真一文字の薙ぎ払いを穿ちその場に踏みとどまり–––––) 」
ズ ァ オ ッ (風圧の壁に薙ぎ払いによって空気が弾かれたことによって生じる"真空の穴"が生じ) ヴ ォン ッ (その真空の空洞を介して【過程無視<ワープ>】したかのようにオリヴィエがギコ侍の背後、中空に体を逆さにして移動しており) ヒュオァッッッ!!! (回転による遠心力を乗せた鋭い一閃を放った)
八頭身ギコ侍「んんッ!!?(見えざる剣圧が確かに穿ったのを感じ取り、驚嘆する)むおおぉッ!!(背後より迫る凶刃を察知するも、その鋭く速く放たれた剣を完全に避けきることはできず、右腕上部に一閃を喰らう)…かっかっかっ!春颯の如き鋭き刃哉(かな)!某の気迫に抗う貴女の雄姿を見たり!それなればこそ、数多の武芸を某に見せつけるが好し!何、案ずることなかれ…"我が肉体は既に朽ち老いたもの"。石穿つ雨垂れの如く、我が器を響かせよ!“月破”(げっぱ)!!(態勢を整え、爆発的な脚力で一気に間合いを詰めて斬撃を見舞う高速剣技を、彼女に繰り出す) 」
騎兵「な、なんだ…今の…!?何も視えなかった…! 」
オリヴィエ「クルン… ザツ (空中で縦に一回転し地に足をつけ後隊しつつも着地)悪い冗談を、老いた身といえどあなたの剣裁は山のように重く毅然としている。のうのうとしている暇など––––––––!!?(態勢を整えた段階で第六感が警鐘を鳴らす)ッ––––!!(得体の知れない悪寒にかられ本能的に刃を地に突き立腰を低く身構える”盾”の構えをとった。だがそれが仇となる––––) ヴ ァ ンッ !!!! (ギコ侍の高速剣技が、彼が通ったというだけでコンクリに直線の溝を刻み)ッッガァンッ!!!!!(彼が駆け抜けるように放った斬撃の通り道で呑気に防御していたオリヴィエは木の葉のように回転しながら弾き飛ばされ宙を待った)かは–––––ッ!!!? 」
八頭身ギコ侍「かっかっかっ…気を緩めてはござらぬか?この栄えある舞台にいくぶん気疲れしているようにも見えるが…容赦はせぬ。(ゆっくりと彼女のもとへ歩み寄る)…どれ…黄泉より身に着けし"魑魅魍魎たる奇術"を穢土にて験すもまた一興なり!(空いた片手で印を結ぶ) 双樹の軌道を辿れ、雲海・氷山・楼林・殉職者の閉城!天四界の獣を従え、彼の者の血を凍て喰らえ!縛道の七十二“蒼氷獄”(そうひょうごく)ッ!!(ズグンッ―――パキィパキパキャァ…ッ… ! ! ! !)(刀を地面に突き刺すと、その部位を核にステージの表面が徐々に凍てつき、盤上にいるオリヴィエの足元をも凍結させようと襲いかかる) 」
ブーメランプリム「……!あ、危ない…!! 」
オリヴィエ「ザシャァッ……ザンッ(地に打ち捨てられるように堕ち、遅れて刀が墓石のように彼女の横並びに突き刺さる)ゲホッ!……ヒュ……ゲホッツ かふっ… (口元に手をあてがい指の隙間から垢を溢れさせつつも刀の柄を杖にするかのようにやっと体を起こし)(”格”が……立つ”世界”が…違いすぎる…!あんな速度の世界に彼は生きているだなんて–––––)–––––– !!(オリヴィエが立つ位置は将棋における歩兵の初期配置。端に追い詰められ躙り寄る凍結という蛇に追い詰められた蛙。なすすべもなく瞳が絶望で暗転する–––––) 」
『––––––ロラン・リンドヴルム、キミの兄上は無残に死んだんじゃない。”脆弱に生きることを放棄”したんだ』
オリヴィエ「ピキピキ…ピキ……(凍結の侵食が足元にまで達した。”敗北”が冷気を帯びて目前にまで迫る)–––––– 嗚呼(そうか、こんなものだったか––––––) 」
『だがそれは私にも君にも責められたことではない。キミは涙を流すべきだった、心の底から血を分けた兄弟を哀れんでやらなければならない。なぜなからキミもまた、絶望し屈しる……心は愚か、肉体ですらも非凡なまでに脆く何かにすがらねばならないから』
オリヴィエ「––––––(私の兄は"所詮ここで屈するような愚か者か"。叔父様。私に兄上を赦すことなど––––––)できない。(投げ出したことを赦せなど、我が”不屈の心”に命じろなど、誠に愚かしい……!!) ギ ン ッ !!! (その瞳はまだ色を放つ。柄に添えた腕は凍えるような術に屈することなく熱を灯し)キィィィイ––––––––––(切っ先を地につけ、彼女の足元で桜の花弁を模した方陣が光彩を帯びた) 」
八頭身ギコ侍「――――――(一瞬の最中にオリヴィエの瞳の奥を見据え、燃え滾る様な炎火が闇の底から湧きあがるのを見出した)……バッ ! !(己が魂の叫びで、虚空を穿つがよい…娘よ!!)(彼女に掌を突きつける)荒れ狂う風、渇き出す空!曇天・皆無・蒐集・軌条!黄昏に見(まみ)える一筋の洸!吾が身足り得ぬ顕花を標(しる)せ!此の身を賭して燦然(さんぜん)とせよ!破道の八十六“数廼砲”(じゅだいほう)!!( ド オ ウ ッ ! ! ! )(前方に三つの勾玉が出現し、それぞれから一直線上に閃光が解き放たれる) 」
モララー「良い面構えになったんじゃねえの。(オリヴィエに不敵な笑みを浮かべる) 」
オリヴィエ「(冷気の侵食が進む中、剣を回転させながら天に捧げるが如く投げ、再びそれを手に取り)フォン…ッ(自らの身を抱くようにして切っ先を背後に向けるように構え、桜の方陣が二重三重に展開され回転する)『我が剣は森羅万象の息吹。総ての歪を正し、総ての骸を輪廻に転 <カエ>す天地<アメツチ>の閃き––––– 』『開眼せよ!!【 輝 閃 桜 華】ァ”ァ”ァ”–––––––––––!!!!!!』(”開花”した闘気を帯び刀身が光そのもに変化し倍に肥大化したそれを振り抜く) 」
カ ッ (刀の領域を脱した闘気の塊が真一文字の奇跡を描き、足元の桜の花が彼女を中心にして舞台全体を覆い隠すかの如く肥大化。)ス" ァ" オ" ッ !!!!! (そして地に広がる5枚の花弁全てから光柱と化した斬撃が天を穿ち、オリヴィエを中心とした5方向にに放たれ数廼砲を光で掻き消し跡形もなく"浄化"して見せた)
八頭身ギコ侍「―――――!!!(迫りくるその巨刃に目を見開く)…縛道の八十一“断空”(だんくう)!(前方に見えざる防御壁を作り出し、その桜色の強靭な刃を全力で受け止める)ぬぐぐぐぐ…ッ…!!!(強烈…ッ…苛烈…ッ…!!よもやここまで昇華するか――――)うがあああああぁぁぁぁッ!!!!!(パリンッ――――ズシャアアアアアアアァァァァァァアアアアアンッ ! ! ! ! ! )(見えざる障壁を打ち砕かれ、その刃に呑まれる) 」
剣士「うおおぉっ!!すげぇ…すげえぞあの嬢ちゃん…!!(興奮して客席から身を乗り出そうとする) 」
碧の海賊龍・キャプテンキッド「可憐にして美しきかな。幾多もの試合こそあれど、ここまで愚直に力を振るう侍を目に出来て至極光栄だな。来た甲斐があったもんよ 」
オリヴィエ「 ・・・・……––––––ドッ(視界全体を覆っていた光が粒子となって散り、気を抜かずとも肉体からは気力が消え失せ片膝をついてしまう)ゲホッ!!…ゼェ…ヒュ…コヒュ……("打てた"……技を誓いしていなかった私が……"私だけ"の輝閃桜華を……けど…)ダメ……ま…だッ あと一息、せめてあと一撃でも……!(ギコ侍の姿は目がくらんでおぼろげにしか確認できない、口からあふれる赤で血溜まりを作りつつ、這ってでも立ち上がろうと足掻き前を見据えようと肉体の限界に抵抗する) 」
八頭身ギコ侍「―――――かっかっかっ…!貴女の魂が某の魂を打ち鳴らす!我が魂をも凌ぐ程のものッ!某が圧されるは久しきことよ!良きかな良きかな!いや天晴れかな!!(全身に淡い桜色を帯び、衣服や肌身に焼け焦げたかのような痕が残っている) 」
八頭身ギコ侍「その武芸…数多の修練にて磨いたものとお見受けするッ!某は誠に驚嘆したでござるよ。花は桜木、人は武士!一度死した身である某だが、黄泉より得た新たなる剣技…大いなる力を持つ貴女の為に振舞うことに決めたでござる。…明日ありと思う心の仇桜…ならばこの一瞬たる一期一会を、この胸に刻まんがために、某は"秘めたる魂魄"を現世に解き放とう!!(刀を天高く掲げる)――――――"魅せろ"――――― 」
――――――― 【 卍 解 】 " 雪 花 鳥 風 月 光 丸 "( せ っ か ち ょ う ふ う げ っ こ う ま る ) ―――――――
―――――― キ ュ ガ ア ア ア ァ ァ … ッ … ! ! ―――――――(眩き閃光が、八頭身ギコ侍のいる空間を喰らう)
八頭身ギコ侍(卍解)「(全身を包む様に立ちこめる煙が晴れ、ようやく解放された真の姿が露わにする) ォ ォ ォ ォ ォ … ッ … ! ! ! (三日月状の刀は満月を模した大きな輪刀へと変形する。左目を覆っていた眼帯は外れ、隠されたその左目が開眼する)後悔はせぬ…ここが終の地となろうとも―――――― さぁ、来ませい…娘よ。(剣豪たる鷹の如き鋭い眼でオリヴィエを迎えうつ) 」
オリヴィエ「––––!!(それはさながらに地上に降り立った夜空そのもの。暗黒の中横たわる三日月のように微笑む刃を前に動揺を隠せず息を飲む)本当に…ゲホッ、悪い冗談ですね。そんな隠し玉があるだなんて人が悪い……(突き刺すような眼差しに怯むも、口元を腕で荒々しく拭い)ヒュオッ(刀を一振りし残る気合のみで自らを奮い立たせる)(負けたくない……投げ出すような、兄と同じ轍は踏まない…!けれど、けれどおじ様の言うように、心が折れなくても身体は––––)身体は–––––– (あれ、動く…?呼吸も楽に…… なんで––––––) 」
琉妃「–––––不思議だろうね。だがそれがキミの心の【有り様】。これは奇跡でもなく偶然でもなく、必然。四季のめぐりが春をもたらすように、キミの心は屈しない限り肉体という鉄おりを超えて命に恵みをもたらす。それがキミだけの【輝閃桜架<キセンオウカ>】さ(観客席にて団子3本を口いっぱいに頬張り沸き立つ会場と比べて落ち着き払った温度差のある表情で戦況を見守る女が一人)ま、帝国の剣術だし気に食わないっちゃ気にくわないんだケド。猫侍さんガンバー、やったれー 」
八頭身ギコ侍(卍解)「(押せ、圧せ…地の果てまで、おしませい――――)クルン…クルン、クルン…クルンクルンクルン…――――― ズ ァ ッ ! (輪刀を片腕のみで振り回し、遠心力をかけたそれを夜空へと放った) 」
キランッ―――――――― キ ュ ゴ オ オ オ ォ ォ ッ ! ! ! ! ! (夜空で星の様に輝く輪刀が一回転すると、輪刀の中より光柱―――――光線状に解き放たれた斬撃が天より地を穿つように解き放たれ、盤上に深い亀裂が生じ、衝撃と共に崩壊し始める)
モララー「!?( ロ ) ゚ ゚ あ、あの侍野郎…さっきから黙って見ていりゃあ…サムライも刀もくそもねえド派手な技ばかり繰り出しやがって!!(大汗) 」
オリヴィエ「(理由<ワケ>はともかく––––確信するべきことはただ一つ、”斬って前へ進む”)ッ!! ぐく……(盤上ごと終わらせる気か…!本当に本当に、ただの小娘相手に容赦ない––––)(クラッカーのように砕け浮きたつ盤上の瓦礫に平衡感覚を一瞬失うが) トン ッ (”浄化”の効果を施す桜色のオーラ纏い、散る花弁と残影を残し、1度の踏み込みで瓦礫から瓦礫へ”跳ぶ”)一歩 二歩 ズァンッ!!(そして目の前に舞う瓦礫などの障害物を両断しては道を作り断片的な瓦礫を足場に次々と飛び交ってギコ侍へ距離を詰めていく) 」
八頭身ギコ侍(卍解)「ト…(崩壊し、隆起する地面に跳び上がり、迫る少女を迎え撃つように目を細める)……(桜並木を疾る可憐な娘よ…貴女が散るはまだ早いぞ――――)(輪刀を水平に構えたまま、もう片方の掌をオリヴィエに向ける)君臨者よ!血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ!焦熱と争乱、海隔て逆巻き、南へと歩を進めよ!破道の三十一“赤火砲”(しゃっかほう)!!(ドグゥオンッ 、ドグゥオンッ ! !)(彼女の接近を遮るように掌から火炎弾を幾つも放つ) 」
大剣使いの男「…ッ……!(これぞ十刀剣武祭における試合だ…ッ…もはや百刀剣の時には無い、次元を越えた激戦が…これからもこうして続いてくのだろう…)(不安定な足場でありながら接戦を繰り広げる二人に驚愕を露わにする) 」
オリヴィエ「(放たれる火炎弾の群が瞳を黄金色に染め視界が遮られる、しかし彼女の眼はまっすぐその”向こう”を見据え)–––––(ええ、まだですとも。例え手足が捥がれてでも、進むことだけは諦めない。立ちふさがるのが道なき滝壺であったとしても、後戻りなど敵わないのだから–––––)“三歩虚行” (火の球の群に臆することなく向かっていき、足場の瓦礫を切り崩し細切れにしながら進む、そして)ズガガガガガガガッッ!!!!(中に舞った無数の瓦礫の細かな残骸、それら全てを蹴って飛翔し空中で自在に駆け回って火球のことごとくを回避、そして――――) 」
チャキッ(足場を崩された際に空中に吹っ飛んでいた鞘を掴み納刀、そのまま”突き”を穿ち鞘を弾丸のようにギコ侍へ穿つ)
八頭身ギコ侍(卍解)「(しまった、この態勢では―――――)(不安定な足場…何より、使い慣れた従来の刀ではない輪刀を構え直す際に僅かなタイムラグが生じ、刀身で受け止めようと試みるが――――) メ ゴ ォ ッ ! ! ! (オリヴィエの刺突は刀身ではなく、その輪の中を穿ち、胸部に強烈な衝撃が走った) ご―――――は……ッ…… 」
―――世の中は三日見ぬ間の桜かな…血気盛んでござったあの「黄金時代」より、若き萌芽が芽生えいずるか… ふふっ…『ゼブリス殿』、そして『縊鬼殿』…某等が思い馳せている合間にも、時の流れは疾駆の如く…また新たな時代へと昇華している――――
八頭身ギコ侍「――――― ド シ ャ ァ … ッ … ! ! (大の字に崩れ落ち、手にしていた輪刀は砕け…元の刀へと戻り、倒れた自身の傍に突き刺さった) 」
キリギリス「…き、きき…決まったああああああああああぁぁぁぁぁぁああああああッ!!!!第一試合勝者は!!オリヴィエだあああああぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!!!! 」
ブーメランプリム「すごい…!あの嬢ちゃんが勝ったんだ…!! 」
オリヴィエ「┣¨ゴォンッ つぁ"……ぁぐ…! ドッ ガッ ガゴッ ドシャァ(勢いのままに突きを放ち、丁度花の加護の効能も切れ空中で限界を迎えたため着地もままならず落下、崩壊した足場を二、三度はね地に転がり横たわる)–––––ゲホ!! は……はは…… –––––––(呼吸も上手くできない、意識は朦朧とし、一つの確信以外は何もわからない。ただその確信だけを芯にして血混じりに咳き込みながら立ち上がり、剣を納刀すると)ス……(刀を持つその腕を、拳を、誇らしげに天へかざしただの可憐な少女のように微笑んで見せた) 」
八頭身ギコ侍「………かっかっかっ…かっかっかっ!!見事…!紙一重の勝負でござった!(上半身を起こし、オリヴィエに向き合う)五月の桜で葉ばかりさま…貴女の武運を心より祈る!」
オリヴィエ「ええ、勝名乗りの後ん形勢逆転してしまうほどの紙一重……あのっ、肩貸してもらえます…?もう立つことも……ていうよりかは、目が、見え………(そのまま霞んだ視界がぐるりと反転し、黒く染まる。ギコ侍に握手を求めようとしていたためか彼の方へ腕を突き出したまま糸の切れた人形のように崩れ落ちた) 」
八頭身ギコ侍「…!…っと…とと…(糸切れた様に崩れ倒れる彼女を受け止める様に抱きしめる)……(今はまだ幼き萌芽…いづれ数多の嵐にぶつかるであろう…)(彼女の腕を肩に回させる)…だが一気呵成ぞ、娘よ。突き崩せ、その魂に誓った己が"刃"で――――(そして、彼女と共に控室へと続く廊下へと消えた)」
キリギリス「それでは次の試合を始めましょうッ!!第二試合!雛菊 vs
全力者だあああぁぁぁーーーッ!!!!選手はステージへどうぞォッ!!! 」
雛菊「(歓声と夜風に身を委ねる様に颯爽とステージに現れる)……(ようやく"ここ"まで来れました…見ていてください、お師匠様…――――)(手にした愛刀「蕨」を見つめて、そっと瞳を閉じる) 」
大剣使いの男「……("華蝶風月"…一見は若い小娘だが、その実力の高さから"剣聖"を冠した…いったい、彼女はいかにしてあれほどの実力を付けたというのか…)(腕を組んで雛菊を見降ろしている) 」
トランクス「飲み物ー!飲み物はいかがですかー?イケメンッな僕の飲み物はいかがですかー?(ギャラリーで缶ジュースを販売している) 」
観客者「「「「「「全力者ァァァァァアアアアアアアアア!!!」」」」 」
観客者「全力者ァァアア!ウオオオオオオ!!!! 」
観客者「全力者シャシャシャアアアアアアアア!!!! 」
全力者「――ある者は鎌鼬と。ある者は豪鬼であると。あなたを讃える者が多数いる(ステージに繋がる階段を、名とは程遠い程、ゆっくりと、力を込めて上がっていく)そりゃそうだ。これほどまでの力を持つ者が……『可憐』などとは程遠い(抜刀はせず、腰でぶら下がる鞘の金属音を響かせ続ける)ギャラリーよ、本当にすまねェ。今日の俺は、お前らの物語を紡ぐ事はできねぇ 」
観客者「全力sy――全力者ァァァアアアア!!!????いつもの全力パフォーマンスはァァァアアア!? 」
実力者「弟の野郎……『限界突破』を初端から解放している。観客者共!彼奴の全力を見たいならば!俺達は迷いのある声援を送ってはいけねェ!!届けるエールこそは、俺たちの、ネザリアンの心を送るぞ!」
観測者「ッシャアアアア!それならば、心を込めた全力エールだァァァアアア!!(トランクスを持って旗替わりにする)ッシャアアアアア!! 」
トランクス「やめてくださぁいッ!!!僕の身体があああぁぁーー!!僕の身体そのものがああああぁぁぁーーー!!! 」
キリギリス「それでは第二試合―――――― 開始ィィィイッ!!!!」
雛菊「よろしくお願いいたします。…… ス … (一礼した後、柄に手を添えたまま身構え、相手の出方を窺う) 」
全力者「『全力解放』 」
ヴ ァ ン ッ !
雛菊「……っ…!(全力者から迸る一瞬の覇気に髪が揺らぎ、表情が硬くなる) 」
全力者「チ ェ ス ト ォ ォ ォ ッ ッ ー ー ー ! ! (移動速度は刹那、一呼吸で10m以上距離のあった雛菊の真正面にまで駆け抜け、剣の間合いを殺した、剣士として型破りであろうショルダータックルを彼女の懐に繰り出す) 」
雛菊「―――――――!(大きく見開いた瞳を覆い尽すほどに迫った全力者に一瞬反応が遅れ、納刀したままの刀で防ごうと試みるが―――)ぅ…ッ…!(防御に遅れ、大きく背後へと吹き飛ばされる)」
被害者「うわぁなんか前回と比較したら蛹と腸っていうぐらいの差が付いてないですかあの人、努力は人を裏切らないってマジなんすねスイマセンナマケテテスイマセン 」
実力者「『全力解放』・・・人間体で言うならば、人とは筋肉を普段は20~30%程しか使えないと言われている。奴の全力解放はリミッターを完全に外し、それを出し切る事が出来る 」
観測者「それはつまり……100%筋肉を使えるってことっすかぁ! 」
実力者「違う 」
全力者「 1 5 0 % (筋肉は硬質化と言わんばかりの硬直、肥大)セイリャアアアアァッァアアア!!!!(ノンストップで吹っ飛び中の雛菊を追いかけ、ソレに追いつき)ガシィッ!!(彼女の右足首を掴み取り)デッシャアアア!!!(弧を描くよう自分の背側の地面へと叩き付けようと彼女を振るう) 」
雛菊「―――― かは…ぁ…ッ…!!(成す術もなく怒涛の連撃の餌食となり、地面に強く叩きつけられる) はぁ…はぁ…っ… けほ…っ…!(土煙が漂う中でゆっくりと身を起こす)」
モララー「なんだあいつぁ…自分の肉体を"刃"にしてんのか…?…まあ、悪くない戦い方だな。(不敵な笑みを浮かべて) 」
実力者「数多もの死合を見てきた。あの女剣士は俺たちネザリアンが束になっても勝てん。だが、相手が悪すぎた。あの全力者が名を解放し、全力を解放した。それ程の相手だった、負けても恥じることのない一試合だ……早く決めてやれ、全力者。」
全力者「――(『様子見』の間隔は無く、雛菊に僅かな時間も与えんとばかりの)ヴォンッ!(右薙ぎの右手刀)ズォン!!(防御された時を考えた追撃の左手刀、と更に連撃) 」
雛菊「っ…!(ガギャアンッ ! !)(縦に構えた鞘で手刀を防ぎ、追撃として迫る鋭い手刀を鞘の角度を変えながら防御に徹底するが…) ギ ャ ァ ン ッ ! ! (手刀によって刀が上空へ打ち上げられ、完全無防備となった腹部に凶刃が迫ったその時、手首を華麗に曲げて全力者のその刃を受け止めた)……“彩”。( ド ォ ッ ! ! )(攻撃を受け止めるや否や全力者の手を真横へ折り倒し、即座に手刀の一撃を叩き込む) 」
フォン フォン フォン … (雛菊の刀「蕨」は、上空へと飛翔する…)
全力者「ボゴァ!(ものの見事に手刀は胸部を突く)――(ネザリアンの特徴か、顔の歪みは見えず、痛みで悶える表情はなく)バシッ!(接触している雛菊の手を弾き)ヴォンヴォンヴォンッ!(側から見て分かる物量に物を言わせ、刀を持たぬ雛菊に左フック→自らも浮く程の右アッパー→重加速に身を委ねたハンマーフックを繰り出す) 」
実力者「――ッ!!!!??!?!?!???? 嘘だろあの女!!!全力者の打撃を受けて尚立つ。それだけでも大した精神力。普通ならば戦意喪失どころか意識、ましてや記憶を失う程の物力パワーに、臆さず反撃しやがった!! 」
雛菊「(っ…高みを目指せば不測の事態は付き物…まさか“これ”を使うことになるなんて…ですが……!)――――“宮”(ぐう)。(フォンッ パシンッ シュタンッ タンッ トンッ ! ! )(身を翻して回避を行いながら、次々と迫る殴打の軌道を手刀でずらしていく) 」
キリギリス「これは…!刀剣武祭始まって以来珍しい"無刀"を駆使した戦いだァッ!!!これは興奮するぞおおおォォッ!!!! 」
フォン フォン フォン … ッ … ! (上空の「蕨」が天で折り返り、ゆっくりと落下を始める)
碧の海賊龍・キャプテンキッド「かの女剣士のあの行動で驚くようじゃあ、この先驚いてばかりだぞカオナシ(トランクスからもらったジュースをストローで飲みながら観劇)俺が初めて見た試合じゃ、『剛』なる相手は『柔』で返す。いつどんでん返しくるかわからんトコロよ(だがあのカオナシも絶妙なバランス取っておるな、どう崩す序列2位) 」
モララー「へぇー、あっちの女も結構やるじゃねえか。そうか…"無刀"として俺も参加で来たんじゃないのか…?まあいいや、今は観てるのがおもしろい。 」
全力者「――(……全力ハンマーナックルが空振りに終わった。そしてこの風切音……)スッ……(ナックルを振り終え、地面に片膝着いた状況。手を伸ばした先は雛菊ではなく、あるところに) 」
実力者「何者だ貴様アアアアァァ!?名を名乗れ! 」
碧の海賊龍・キャプテンキッド「碧の海賊龍・キャプテンキッドとはこの私のことよ!カオナシ共は覚えておくことだな(あのカオナシが無刀とは考えにくい。あの明らかに不利な状況から何を繰り出す) 」
雛菊「 パ シ ッ (宙から降ってきた刀を手に取り、バク転後退で全力者と距離を置く)……ふぅ…(落ち着きは取り戻せた…あとは、平常心を保つだけ。)(目先の全力者を静かに見据える) 」
キャタガード「接戦だな…(息を呑みながら観戦) 」
全力者「……読みを、全力で外したか……(伸ばした手が触れていたのは腰に帯刀された刀の柄であり、力強く握られているところを見ると雛菊に対してカウンターを狙っていた模様)フゥゥゥ……フゥウウウ……(表情を見せず、ただ、呼吸の波が『不自然』と大きくなる)スゥウウウウ……(ゆっくりと立ち上がり、再び雛菊をかき乱すべく、今度はその間合いをゆっくりと詰めるように歩く) 」
雛菊「……!(気の流れが変わった…先程までと反転した何かを感じ取れる…)(柄を握り、深く腰を落とす)―――――“三葉”(みつば)!!( ズ ア ァ ァ ン ッ ! ! )(一瞬の抜刀で「三」の字に斬撃波を放った) 」
実力者「……確かに驚いた……察したか否かは定かではないが、全力者はあの女剣士が刀を持つのを待っていた。距離を離したのは正解だ。如何なる剣技を用いても、奴との鍔迫り合いは枝で丸太とやり合うようなもんだ。」
全力者「肉はくれてやる――ズシャズシャアッ!!ズバァッ!!(人ならば、スッパリと両断されるであろう衝撃波を、何も防御せずに前進しつつ体に受け、顔、胸部、腹部に真横の一閃の跡が築き上げられるが、受けるとほぼ同時に雛菊との距離を序盤に見せた刹那の一歩で縮め)骨をくれッッ!!(雛菊の技の後隙を狙い、腰を落としたその低い姿勢に、真上から)『全力チョップ』!!!!! ヴォォオオオオオオ!!!! 」
碧の海賊龍・キャプテンキッド「確かになぁ……圧倒的物量とじゃあ技は霞むかもしれん、だが―― 」
雛菊「―――――ッ!!!(“佩”による足運び、全力者から繰り出された一撃の風圧に身を任せ攻撃をすれすれで避けきった)はっ―――( ザ ァ ン ッ )せいっ―――( ズ ァ ン ッ )―――はああぁぁっ!!( ズ バ バ バ バ ア ァ ン ッ ! ! ! )(十文字に振り抜いた後に、目にも止まらぬ乱斬りと共に広域に斬撃波を放射状に飛ばす) 」
碧の海賊龍・キャプテンキッド「彼女は『華蝶風月』だ。物量に囚われるような剣士じゃない。」
全力者「ズシャズシャズシャ……(この程度の斬撃、全力解放状態の俺にとってはかすり傷!傷は浅く――)ドクンッ(――いや、違ェ!!傷が深くなった!!)ギャイイィィンンッ!!!(今まで防御の構えを取らず、受け切った攻撃に対して『骨』を切られた感覚を捉え、咄嗟に帯刀していた刀を取り広範囲斬撃の剣戟から身を守る)ツオオオォォォ……(刃毀れを起こしたボロボロの刀が姿を現し、ついにこの大会で「剣士」として舞台を立つ)フウウウゥゥゥゥ……フウウウウゥゥゥゥ……(更に呼吸は不自然に) 」
実力者「嘘だろあの女!!!!?!????? 」
碧の海賊龍・キャプテンキッド「ほらな。また驚いた。」
雛菊「……!(あの刀…数知れない闘争の証…!刃には、刃を――――)( ドッギンッ ! )(
アンビションを纏った刀身が黒刀のように黒く、硬化を帯びる)―――“三葉黒刃”(みつばのくろば)”!( ズ ギ ュ ア ア ァ ッ ! ! ! )(“三葉”よりも重く鋭い黒い三閃を一刀から解き放つと同時に、その反動を利用してバク転後退する)」
実力者「『刹那の一歩』は空間無視の移動技。移動時間はコンマで数えても0秒の最強の移動技だぞ!ソレを回避しやがった。ソレを見ても尚反撃に徹する精神、心臓が鉄で出来ていなきゃ出来ねぇぞ!!しかも全力者が刀抜きやがった、『攻撃』ではなく、『防御』のために抜いたんだ、『防御』のために!!あの女の――(『三葉黒刃』を見据え、その剣技に無い顔を歪める)剣技は、すげェ……」
全力者「フウウウゥゥゥ……!!(呼吸を止め)『全力ソード!!!』(斬上動作、三葉の閃きを古びた剣で押しのけ)ギャギャギイイイッ!!!ヴォンッ!!(閃きは三方向、ランダムに飛ぶ。一つは真上。一つは観客席。一つはステージの地面に重く叩きつけられる)ゼェェ…スウウ……(振り切れなかった、僅かな閃撃は、全力者の青紫の体をより鮮血に染め上げる)――(アクションを一瞬起こせず、立ち止まったところで、再び雛菊へと近づこうと足を動かす) 」
ヅガアアアアアアアア!!!!(観客者がいる観客席に雛菊の一閃が吹き飛ぶ)
観客者「「「「ぐぬわあああああああ!!!!!」」」」「「「うわぁあああああああ!」」」「「「やめてくれぇああああああ!!」」 」
ズガナァ!!(ステージの端、地面に岩盤ができ、とても刀技とは思えぬ状況)
雛菊「傷ついた身体…折れない精神…まるで強靭な"刃"のようですね…(納刀の柄に手を添えたまま全力者を待ち構える。冷や汗が頬を伝い、乾いたコンクリートの上に滴る) 」
モララー「うるせえ(観客者を横目に歪んだ顔でカップメン(マヨ風味)を食している) 」
スパイダーマッ「血を流す観客者に、涙を流す男!スパイダーマッ!(デンデデーン♪デデデンッ♪)(※流すだけです) 」
被害者「世の中には薔薇を散らしたり冷気を自在に操ったりとまぁふざけた連中はごまんといる。私もそのうちの一人なんですがね、そのセンブレンス<能力>はズバリ、【不幸】を呼び寄せること。あっしが被害者と呼ばれる所以でさぁ、いやぁ皆さんすいませんねほんと、巻き込んで メシャァッ(吹き飛んできた瓦礫に潰される) 」
全力者「『"柔"なき剣に強さなどない』(満身創痍からは考えられない声量を、雛菊へと向ける)柔であれ、剛であれ、俺はそこへと全力を嗣ぐ。そして貴方は厳かで美しいもの。穏やかで懐かしきものだ(コツ、コツ、コツ……)その優雅さ、正しく『風』だ。だからこそ俺は『全力(剛)』でねじ伏せなくちゃならねェ。生き方は、これしか知らない(刀を再び強く握り、『攻撃』の意思表示)――――来い。」
雛菊「……!(かつて対峙した剣豪の言葉。脳裏に当時の感覚が蘇り、その懐かしさにふっと笑みを零す)…それなら、きっと…これも記憶に刻まれる良き戦いになりそうです。……翡翠雛菊、押して参る!!(納刀したままの蕨を手に、地面を蹴り上げ全力者へと迫る) 」
モララー「……っ…風が凪いだか……"こっから"だな。(にぃっと口角を上げ、二人の行く末を見守る) 」
実力者「――まさか全力者!『全力解放』の次門を開ける気か……!? 」
全力者「ギチッ(刀は空間で軋み)ヴォンッ!!(正面に迫った雛菊へと、愚直な振り上げ攻撃) 」
雛菊「(石の上に三年、波の上に三十年、雲の上に三百年、万象過ぎて三千年――――)―――“一重三砕”!!( ガ ギ ャ ア ア ァ ァ ン ッ ! ! ! )(愚直であるが故の重い一閃に応える様に、強力な斬撃で相殺する) 」
全力者「バリリイイイイッ!!!カランッ(毀れきった刀は、互いの力の作用に耐えられず無残にも散る)パシィ!(跳ねた刃を取り、僅かな剣を持ち)ズオンズオンズオン!!(ナイフの要領で10連突きを雛菊の体の要所へと繰り出す) 」
雛菊「っ…!く…っ……!!(目にも止まらぬ速さで繰り出される連続突きを平行に構えた刀で防ぐも、幾つかの刃が頬を掠め、肩を斬りつけ、胸元の衣服を裂いていく) 」
実力者「ナイスだァァアアアア全力者アアアアアア!それを求めていたァァアアア!!(お色気要素に大喜び) 」
碧の海賊龍・キャプテンキッド「ムホホ、ええもんだこういう女っ気は大好物よのぉ~(鼻の下を伸ばしている) 」
エゴ猫「うおおおおああああぁぁぁ!!ナイスッ、ベリーナイスだウルァ!!(興奮) 」
エー「とりあえずエゴさんはあとで絞殺の刑に処しましょうね~♪ 」
エゴ猫「 Σ (゚Д゚ ; ) 」
全力者「(駄目だ、「これ」は当たらない)フウウウゥゥゥ……!(呼吸は深くなるにつれ、動きのキレが反比例して悪くなっていく)ヴォンッ!(ほぼ苦し紛れの地面に弧を描く跼み蹴りで足元を狙う) 」
雛菊「…っ…!?(しまっ――――)(足払いによって宙へ浮かび、今にも転倒しようとする…) 」
全力者「全力(蹴り動作から繋げるように小さく跳躍し)エルボークラッシュ!!!(女性に対してかけてはいけないであろう喧嘩技、浮いた雛菊の顔面を自らの強靭な肘で押しつぶそうと、全体重を乗けたエルボークラッシュを繰り出す) 」
雛菊「―――!!(これは…不味い…っ!!)(瞬時な危険予知に、転倒する寸前に受け身を取って右へと転がり回避する)ズザザザァー…ッ… ! ! チ ャ キ ッ … ! (全力者から距離を置いたところで納刀を身構える)はぁ…はぁ… …すぅ…はぁ……―――――串打三年、裂き八年、火鉢一生、喰らう一瞬――――( ドゴォッ ! ! )(瞬時に距離を詰め、全力者の懐から柄による打ち上げを繰り出し、宙へと吹き飛ばす。そして、頭上の彼を静かに見据え、自らも舞い上がる) 」
全力者「ヅガガッ!!(空ぶった肘は岩盤を作り、即座に立ち上がるが)ズトッ、ヒュン!(体をくの字に曲げ、上空へと放り出され無防備になる) 」
雛菊「―――“三礼"頭"”(さんらい"ず")!!!(ズバババババッ ! ! ! )(高速剣技による乱斬りを叩き込んでいく)―――――(熱を帯びた鋼を打つような残響…あなたは確かに"刀"でした。)―――― ス ワ ン ッ(更に虚空を蹴り、全力者よりも遥か上へと飛翔する)草木も眠る丑三つ時、夜凪いで波転寝、月の雫、暁の啼、彼方の羽は揺籃に伝う――― 」
全力者「――”200%”――”マンドルク”――『限界解放』――ッ!(体から血が吹き出るほどに、自らを硬質化させ、追撃に備えるが)―――― 」
雛菊「―――――“ 華 蝶 風 月 ”!!――――― 」
―――――― ズ バ ア ァ ァ ン ッ ! ! ! ――――― (上空にて鮮やかな"華"が咲き誇る…)
――生き方は、これしか知らない――
全力者「ヌ゛グゥォァァ゛リ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛アァ゛ァッアア゛ア゛ア゛!゛!゛(全身に閃撃が奔り、宙で幾度も回転しながら地に落ちる)ドンッ!!!! 」
実力者「……まじかよ…… 」
碧の海賊龍・キャプテンキッド「終始驚きっぱなしだったろ?これがこの大会を牛耳る最上位って奴さ。」
雛菊「 ス タ ン … ――――(華麗に降り立った後、鋼鉄をも凌ぐ何かを斬り裂いたことで伝わった衝撃によって両腕が痙攣しているのを感じ取り、しばらく全身が硬直する…) 」
キリギリス「…き、決まったあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーッ!!!!!!第二試合を勝ち抜いたのはぁ、雛菊だああああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!!!! 」
―全力を出し切った、だが待ってくれ。そのレフェリーを止めろ。俺はまだ、まだ全力を出し切れる―
全力者「――(解放の代償は大きく、肉体は萎縮して血の流れがより早くなる)…… 」
―だが―
全力者「あなたの勝ちだ。華 蝶 風 月 。」
―全力で、勝者を讃えよう―
全力者「―――― 」
観客者「ウォォォオオオオ!!!! \ひーなーぎく!/ \ひーなーぎく!/ \ひーなーぎく!/ \ひーなーぎく!/ 」
実力者「全力者。お前は全力で負けた。誇れ、その負けは、全力たるお前の強さの証だ…… 」
雛菊「……(痺れが引いたのを感じるとゆっくりと立ち上がり、横たわった全力者へと振り返る)…ありがとうございました。貴方の"全力"が、五臓六腑に響きました。(傷だらけでありながら明るく微笑み、対戦者への感謝を示した) 」
モララー「……あいつとは、いつか拳を交えてみてえもんだな。(全力者に激励を込めた笑みを浮かべる)…さて、と…つくづく予想を裏切る展開の連続だな。こりゃあわくわくがとまらねえ…!っと、とりあえず次の試合までに食いもんを調達しねえとな…(ゴミ袋を片手に席から外れる) 」
実力者「そして雛菊。ネザリアン最上位を倒したその剣技、天晴れだ……惚れる手前の感動を感謝する……さぁ、全力者を迎えにいくぞ! 」
観客者「ウオオオオオオオ!」
雛菊「ふぅ……(次の試合のために傷を癒さなきゃ…―――)―――― ッ ……!(ステージを下ろうと歩み出した時、頭蓋に響くような激痛が一瞬過る)
――― 出ていきやがれッ!!この恩知らずの人殺しが!! ―――
雛菊「 ビ ク ゥ ッ … ! (誰かの罵声が雛菊の脳裏に残響した時、血の気が引いたように青ざめる)
何処かの建物、夕暮れ 数多の人影が、何かを囲んで怒号を飛ばしている その輪の中で、小さな娘が一人、涙を浮かべて怯えている その手に竹刀、先が真っ赤に染まった竹刀、娘の名前が彫り刻まれた竹刀 ―――――
雛菊「―――― ッ あ … … !! ……はぁ…はぁ…はぁ…ッ……!(一瞬にして永久の世界に囚われ、忘れていた呼吸を取り戻す。決して人前で見せることの無かった青ざめた表情で俯き、顔から滝の様に滴る汗が地面に水溜りを作り出す)
雛菊「……っ…ちが…ぅ… 私は…ただ、あの人に……―――――― ス …(泣き崩れそうな顔を片手で覆い隠し、颯爽とその場を後にする。その背は、まるで何かから逃げる様に、小さく、弱弱しく見えた――――)
――――― " ごめんなさい、お師匠様… " ―――――
キリギリス「それでは次の試合を始めましょう!!第三試合!白鷲 vs
ルドゥラだあああああぁぁぁーーーッ!!!選手はステージへどうぞォッ!!!! 」
ルドゥラ「…… ……フゥゥウウ。(ゆったりとした足取りでステージまで上がる) 」
白鷺「ゲッホ、ゲボッ……棄権……はする程でも無さそうですね……(赤黒い染みを作った手巾を口に当てながら、ふらふらとステージに上がる)(前の試合でも紙一重でしたし、手加減できない試合が続きますねぇ) 」
キリギリス「それでは第三試合…――――― 開始ィィイイインッ!!! 」
ルドゥラ「……(これまでの試合と同様に無表情を張り付けたまま、ゆっくりと歩み寄ってくる。)(異様なまでに静まり返った雰囲気からは殺気はおろか剣気すら感じない。それでも彼の視線は白鷺をジッと捉えて離さない) 」
白鷺「………(手巾をゆっくりと懐に仕舞い、左手で鞘を掴み、右手を柄にかけ) (殺気も剣気も無い……得物を持っているとは思えない程に) …ッ!(僅かな睨み合いの態勢の後、地を蹴った音と弾けた床の破片のみを残し、ルドゥラの視界から"消える") 」
ルドゥラ「(……縮地、か)――――フッ!!(即断した直後にはなった震脚。その踏み込みはルドゥラを中心に地面を鋭く隆起させ、早ければ早い程に脅威となる布陣をしく) 」
ロックマンゼロ「……ッ!!消えた…!(瞬きの内に消えた白鷺に目を見開く) 」
白鷺「震脚一発で地形での妨害ですか、恐れ入りますねえ……薄雲流 、"流星"(ルドゥラの左後方、隆起し、障害となった床を"気"を纏った跳び蹴りで砕き割りながら、勢いそのままルドゥラの肩口目掛け超高速での居合抜きを放つ!) 」
ルドゥラ「――――ガキィイイッ!!(納刀した状態の鞘で白鷺の居合切りを受け止める。その直後に発生した衝撃波と振動によって(無表情は崩れ、苦みが迸っていた)ブ ォ ン!!(振り払うように白鷺から距離を離し、また最初のように睨みつけながら歩いてくる。しかし、今度は先ほどよりもかなりゆっくりとした動きであった) 」
ムスカ「ハッハッハッ…!素晴らしい!最高のショーだとは思わんかね?(ワインとおつまみを傍らに観戦) 」
白鷺「———タンッ(ルドゥラの振り払う動きに逆らわずに距離を取り、再び対手に視線を向けながら納刀し、居合の構えを取り)(鞘で受けられた……"防御させた"とみるべきか、或いは……)(構えを取ったまま、ルドゥラの動きに呼応するようにゆっくりと歩いて距離を詰める) 」
ルドゥラ「(突如魔力が集中し)―――シャシャシャシャシャッ!(円陣を描くように現れる8本の輝く魔力の剣、――――"幻影剣"。)ギュィィィィイイイインッ!!!(彼を守るように高速回転を始める) 」
白鷺「(魔力の剣……攻防一体と考えるべきですかねえ、是といったモーションも無く……)中途半端な小技より、一撃で八本、いや……九本叩き割っちゃいましょうか(焔の様な蒼い”気”を身体に纏い、その場で立ち止まる) 」
ルドゥラ「(白鷺を睨みつけたまま歩みを続ける。無機質な風音の中、そっと鯉口に親指を当てる) 」
白鷺「────薄雲流、視死如帰(ルドゥラが鯉口に手を当てた瞬間、白鷺の足元から水面を伝う波紋の様に…周囲に小さな”気”の波が広がる) 」
ルドゥラ「……(突如、足を止める。幻影剣は高速回転したまま、その場の位置から動かない。)――――(じっと白鷺を見ている、というよりも、その気の流れを目を凝らしてみているといった感じだ) 」
白鷺「(構えを取ったまま微動だにせず、しかし……地を這う”気”の波は、その間にも広がり続けている) 」
ルドゥラ「……このタメ時間の間に、俺に対策しろ…といいたいのか? それとも、打つまで待てという事なのか? 」
ルドゥラ「(もっとも……対策は、すでに……) 」
白鷺「それではお答えしましょう、これは二つの技の構え……これは”待ち”であり、同時に……一閃への───布石であった、と(地を這い、広がり続ける”気”の波がルドゥラに届き掛けたその時、刀身が全く届かない筈の間合いで鞘から刀を抜き放ち、居合一閃───それと共に広がる”気”の波が地を這う小波から一転、人間を簡単に飲み込める程の高波へと変貌し、さながら巨大な"気"の津波となってルドゥラへと襲い掛かるッ!) 」
居合は大抵、抜き際で勝負が決する。死への恐怖に負けた者、勝利を急いだ者が相手より先に抜く。彼はそれを知っていた。
ルドゥラ「(やはり波動型……か。)――――見 切 っ た 。(彼は静かにそう呟いた――――刹那) 」
それは世界全てが疑似的な時間停止に陥るまでに匹敵するほどの"神速"。すべてが止まったかのような世界の中で、まず幻影剣で高波を穿ち活路をとる。そして、何千、何万という斬撃を彼女の華奢な体に、その重圧な刃を滑らせていく。後方まで移動しスラリと納刀をする。傍から見れば、それは一瞬で後方に移動したかのようにしか見えないものだった。
白鷺「(”先手を取る”場合、あの波もまた本命への二重の布石────必殺の一閃、は───)(”本命”へと移る刹那、ルドゥラの"神速"の攻撃を悟り───”神速”に対抗し得る、たった一つの行動───最大速度の縮地による超速の移動を伴った、神速に限り無く近い"一閃"を放ち……振り抜いた体制のまま、静止する) 」
ルドゥラ「…… ……(しっかりと納刀した状態で立ち上がるや)――――ツゥー……(頬を伝う一筋の血。舌をレロリとだし、それを舐めとる) 」
白鷺「カラン、カン………ゲッ、ブゥッ(刀を取り落とし、咳き込み、ではなく……噴き出すように喀血し)ああまた体調が、いや……違いますねこれ……(酔っ払いの様にふらふらとバランスを崩し) いやあ、…"絶界"………ぁ………な…(遅れて身体から血液が噴き出し、ばたりと仰向けに倒れる) 」
キリギリス「ききっ、決まったああああああぁぁぁぁぁーーーーッ!!!!第三試合、勝者はルドゥラだあああああああぁぁぁぁぁ!!!!! 」
ルドゥラ「(………………)(彼女の倒れる姿を見た後、向きを変えゆったりと歩き出す)」
キリギリス「それでは次の試合を始めましょう!!第四試合!氷冬 vs ASだああぁぁッ!!!選手はステージへどうぞォッ!!! 」
氷冬「パキパキィ……ッ…(地面を踏みこむ度に、その辿った軌跡が宝石の様に煌めきながら凍結していく)……(ステージへと上がり、腰元に携えた四刀に触れたまま、好敵手の姿を見据える) 」
AS「コツ―――コツ―――(足元を立て、しかしその足元はまるで幻影のように揺らぎ、現と虚ろを行き来し―――)ギチギチギチ―――(その全身から、灼けつくような朱い激情が流れている)・・・来たか、この刻が。 」
氷冬「…フゥ……(歓声を浴び、対峙する相手の視線を浴び、会場一帯に流れる熱気を全身に浴び、一息呼吸する)こうして相見えるのは、あの時(世界大会)以来ね。…前はお互い引き分けになったけど、もっと残念だったのは…互いに"本当の力"を出しきれなかったことじゃないかしら。…だから、今回は思う存分に刀を振うよ。――――― 好敵手(あなた)のためだけに…!(大胆不敵な笑みを見せる) 」
AS「あの刻から、どれだけ待ちわびた事か―――(懐かしそうに、天を仰ぐ)互いに様々な鎖に縛られていた・・・だが、今俺達は互いに『何にも縛られてなどいない』。・・・良き事だ、俺とお前の戦いに相応しい最高の条件だ。(仮面の下で、笑う)――― 一つ、『賭け』をしないか? 」
氷冬「……?(ASの提案に小首を傾げ、「何かしら」と表情で応える) 」
AS「一つ―――『剣落とし』、つまるところは剣を弾き落とす勝負だ、これはただの個人的にしたいだけのものだ。(体にまとう激情を、包み込むように幻が押さえ込んでいる)そしてもう一つの賭け―――剣に、・・・『剣に賭けて』戦わないか。 」
氷冬「(「剣落とし」…試合形式の一つね。)…いいわよ、そういうのも悪くないし…ん?(もう一つの賭けを耳にし、はじめはきょとんとするが、やがて彼の意図を汲み取ったかのようにふっと笑う)―――― 素敵ね。その「賭け」、乗ったわ。(眦を決した瞳で応える) 」
AS「あぁ、これで俺達は『3つ』で戦う事になる。一つはこの試合の結果。一つは剣落とし。そして最後―――剣に賭けて。(右手を突き出し、それに呼応するように、辺りに漂う幻が集まり、剣のカタチとなってそれは現れる)ガシッ(そして、ミラージュブレイドを握り、向ける) 」
AS「―――我が剣に賭けて。(ただ、それだけを宣言する) 」
氷冬「……(この高鳴りは…久しぶりの感覚…まるで昔を思い出すような… ずっと"これ"を待ち侘びていたような不思議な感覚が、全身から、刀へと伝わっていくのが分かる…――――)―――我が剣に賭けて。(一刀を抜き出し、その輝き照る切っ先を突きつける)」
キリギリス「それでは試合…――――― 開始ィェアッ!!! 」
AS「ズ ダンッ!!!(待ちきれない、そう言うかの如く、始まるや否や音すらも置き去りにして目の前まで詰め寄り)シャッ―――(極限まで細く、鋭く、一筋に収束させた斬撃を逆袈裟に放つ!) 」
氷冬「ブォンッ ―――――― ガ キ ャ ア ア ァ ァ ー ー ー ン … ッ … ! ! ! (先手を打つ彼の一撃を刀身で受け止めると、耳を劈き、砂塵を吹き飛ばす様な残響と衝撃が会場一帯に迸った)ギチ…ギチギチ…ッ… ! (この残響…衝撃…思い出した。ずっと感じていたかった"感覚"を…!)ガキィンッ ! ! (受け止めた剣をいなし、一回転して反撃斬りを繰り出す) 」
モララー「にっししし、顔馴染み同士の試合ってのは観てて興奮するもんだな。(団子を一口し、満足そうに観戦している 」
ロックマンゼロ「 く…っ…!(会場内に響き渡る残響と衝撃に顔を歪ませる)…これが、強者の衝突か…骨の髄まで響くものだな… 」
AS「キィィィンッ―――(いなされ、右腕はスキを晒・・・)グォッ シャァァァッ!!(していない。いなされた刃は、美しくもある軌道を描き、反撃の一振りを、刀身で受けて滑るように流していき)ドン ブォォンッ!!(踏み込み、振り下ろす) 」
氷冬「 ス ン ―――(反撃の刃を受け流され、その反動で次に来る刃を、彼の風を斬る音から予測し滑る様な足運びで後退回避する)ブ ォ ン ッ ―――― キィン、カァンッ ! ! ス ン ッ ―――― カキャァンッ ! キィンッ ! ! (接近、二段斬り、一拍置いて左右から薙ぎ斬る) 」
AS「グォォッ!!(二段斬りに対して、斬り上げを割り込ませて弾き―――)ガキィィィィン―――(薙ぎ斬りに対して、二刀目・・・黒刀「零」を左で握り、二刀で受け止める)嗚呼・・・良い、一振り毎に己が剣となっていくようだ、この昂ぶりこそ・・・!! 」
グググ―――ピシリ、ピシッ・・・。(ASの周囲、いやそれだけではない。会場のそこかしこで、小さい灰色の水晶が、生えては砕けていく。)
氷冬「ガキィィィイン…ッ… ! ! (互いの刃が拮抗し、火花が散る)ええ…これこそが、私たちの生きている"証"…!(ASと距離を置き、刀で虚空を斬って身構える) 」
AS「ああそうだ、これこそが生きる証、俺の求めた『約束<コタエ>』への標!だからこそ、魅せ、俺にもまた魅せてみるがいい!(二刀を構え、なぞるのは九刀流の動き―――)欠・九刀流・・・はぁッ!!(放たれたのは欠・九刀流「水蛇竜頭閃」、うねる水蛇の頭が如く、強烈な二つの一閃が放たれる!!!) 」
氷冬「……!(二刀であの剣術を…!)(ASの高度な剣技に驚嘆し、迫る二閃を屈んで受け流す)ドッギンッ… ! (握っている刀「陰秋」を腕ごとアンビションで纏い、硬化する)タンッ――――“一輝凍閃”(いっきとうせん)!!( ザ ァ キ ィ ィ イ ン ッ ! ! ! )(一歩踏み込み、更に黒味を帯びた黒刀から非常に強烈な"黒い一閃"を放った。それはシグスの“波動ガレイリオン”とは似て非なり、それすらを凌駕する苛烈な刃がASに迫る) 」
大剣使いの男「非常に興味深い剣術を使うな…あの仮面の…(顎元を摩りながらASの挙動一つ一つを捉え、感心している)……むっ、あの技は…いや…(氷冬の放つ黒い一閃に既視感を覚え、驚嘆する) 」
AS「スッ―――(氷冬が放つ技の一つ、一輝凍閃を前にただ構え―――)ジャキリ(更に一本、雷香を握り)ガ ―――ッキィィィィィギギギギギッ!!!!(敢えて自らの特異なアンビジョンは体に纏うだけで、一閃を正面から受け止め拮抗し)バチバチバチィッ!!!(雷香がスパークし・・・)キィィィンッ!!!(跳ね上げ、いなして見せる)―――良い、だが未だだ、俺は未だお前の『壁』で在り続ける。 」
氷冬「やるね…なら私は――――その「壁」を切り開くだけよ…!…“飛出”―――――(もう一刀抜き出し、二刀の構えになる)――――はぁっ!(たった一歩の接近で間合いを詰め、ASに斬りかかる) 」
AS「来い。何度でもお前を止めてやる、何度でもお前と語らってやる―――キィンッ!!(細い、ピンポイントの一閃で斬りかかりを押さえ込み、)スッ―――!!(瞬きの間に、10、20の剣閃を交わし合う) 」
氷冬「ガキィンカァンッ、キィンカキャンッ、ギャリリリィ…ッ… ! ! !(ASとの激しい剣戟の最中、腹の底から込み上げてくる熱い感情に思わず笑みを浮かべる)タァンッ ! ! (隙を見出し高く跳躍する)―――“鷹”!(跳躍後、重力を利用した強烈な斬り下ろしを繰り出す) 」
AS「グッ―――チッ(放たれた強烈な斬り下ろしは、卓越した剣術が突き崩し―――切らない!その刃は、彼の腕を掠り確かな痕を刻み込む)そうだ、それでいい、俺をこの昂ぶりの果てへ導いてくれ―――!!(構えすら必要とせず、黒刀「零」を主軸に放たれる、闇から気配を感じさせずに放たれる漆黒の一閃、幻閃『零』を抉り込むように振り抜く!) 」
ピシィ―――(ASの黒い仮面に、一筋の罅が走る)
氷冬「――――ッ!!(―――“羽休”(はねやすめ)―――)(クルン――――ガキャアアァンッ… ! ! )(“飛出”と相反する構え―――二刀を逆さに持ち代えることで間一髪斬撃を受け止める)……(今のは危なかった…"柔"の構えがなければ、昔のままの私だったら、確実にやられていたわ…) 」
AS「まだだ!未だ、俺を魅せてみろッ!!(矢継ぎ早に、振り抜かれる、最早技と言っても良いほど磨かれた剣術による一閃と、それに内包するようにして放たれる幻閃『現』が同時に襲いかかる!) 」
グォォォッ!!!(幻閃『現』が、現から虚ろへと揺らぎ、瞬時に真下と斜め後ろから、現へと転じて放たれる!)
氷冬「ッ…!(“雪走”による歩術で迫る斬撃を受け流すように回避し、少しずつASに迫る)……(いくよ、「夏鬼」…!)(唯一自分と相性の悪かった炎を纏う赤刀を先頭に身構える)――――“鳳凰”!!(ズアアアアァァァッ ! ! ! )(夏鬼と陰秋、それぞれの刀身が炎を帯び、鮮やかな演舞の如く、燃え盛る二刀を振り抜く。雪女たる彼女が苦手意識を抱いていた炎の斬撃が、ASに炸裂する) 」
AS「ゴォォォッ!!!(一瞬、炎によって姿が遮られると思いきや―――)グボォォォォッ!!!(一瞬で炎が暗色に染まり、その中を突っ切り更にもう一本―――グラムによって受け止めていた。そしてこれで四刀となり)ドッ ―――(研ぎ澄まされた刺突が、光とも見まごう速度で迫る!) 」
ビシリ―――(また一筋、ASの仮面に罅が走る)
氷冬「―――ッ!?(彗星の如く解き放たれた突きを仰向けに反って紙一重で避けるが、胸元が僅かに掠った)……!(四刀…そうね、確かにASなら出来て当然のはずよ。でも、彼の本気はまだ……)(ASと距離を置き、冷や汗を腕で拭う) 」
AS「―――俺は今、どうしようもなく楽しい。(心の底から思っているような声色で、そう呟く)俺は今まで、数多の運命という名前の鎖に縛られ、約束の果ても見えず、苦しみ続けていた・・・。だが、こうして剣<オマエ>と語り合って、俺が見つけた答えが間違いでない事を確信した!宿命など、最早どうだっていい、剣戟という名の刹那に賭ける剣<ジンセイ>こそが俺の全てだと!!(彼の周囲や会場全体に生え続けていた、灰色の小さい水晶が大きくなり、しかし砕けていく) 」
ガガガガガッ!!!(ASの周囲に、5本の刃が、呼び出されるかの如く突き刺さる)
AS「未だ魅せられるだろう?俺に見せてくれ、そして俺”を”魅せてくれ!!(感情は昂ぶり、彼の朱い激情が纏うアンビ
ジョン―――ミラージュ・インテンションで昇華されていく)ズッ―――チャキリ(そして―――九本。九刀流となる) 」
氷冬「AS…(ASも…そうか、葛藤の先に見出した答えに辿り着いた。それは私も同じ…この剣戟の中で掴んだ「答」こそが―――――)……!(次々と増え続けるASの刀剣に驚きつつも、やがて来る彼の本気に身震いする) 」
AS「―――さあ、お前の全てを”みせて”くれッ!!(初手の、あの恐ろしい速度よりも更に速く。光の如き速さで、然し正面のぶつかり合いを求めて)―――シャッ、ブォンッ!!!(四本と五本の刃が、生きているかのように自在に動き、それぞれがそれぞれの軌跡で振るわれる!) 」
氷冬「く…っ…!(“雪走”による回避や二刀による防御を試みるが、その苛烈な剣舞に圧倒されていく)……全力、ね…――――ふふっ、そうね。それに応えなきゃ、貴方と刃を交えている意味がないもの。(二刀を一度納刀)スゥ、ハァ……―――――― ジャキィィンッ ! ! ! ! (深呼吸した後、勢いよく四刀を振り抜いた)……生まれ変わって四刀を振り抜いたのは、貴方が初めてよ、AS。そして、貴方で良かった。(不敵に、嬉しそうに笑みを零し、互いに本当の"刃"を向きあった) 」
AS「そうだ、そうだそうだそうだ!俺はお前と、ずっとこうして語り合いたかった!あの時からずっとだ、お前と肩を並べて共闘した時も、ずっと再びこうして戦いたかった!!(感情はなおも昂ぶり、普段の彼にはない熱い心が叫んでいる)今一度―――我が剣に賭けて!!(そして、踏み出す―――) 」
氷冬「(ASとの対決、そして共闘――― 時に立場は変わるも、共に刃を振ったことに変わりはない好敵手との出来事が脳裏に過った)人生を恥じない、後悔を恥じない、己を恥じない……そんな貴方に誓って、この"剣"を振うわ。…… ダ ッ ! (ASと同じタイミングで疾駆する) 」
AS「ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおッ!!!!(構え、)ブォンッ!シャァッ、ズシャッ、グオォォッ!!ズドォンッ!!!(横薙ぎ、クロス、刺突、そして強烈な振り下ろし。そのどれもが今までの何よりも強烈で、そのどれもに刹那へ賭けた想いが込められている) 」
氷冬「っ!はっ、せやっ…!(ASの想いに応える様に四刀を振り抜くことで、互いの刃がぶつかり合い、反響し合う)柳に雪折れなし―――“遮流捉”(しゃるとる)。(次々と迫るASの斬撃を"柔"の剣技でいなしていく) 」
AS「己の弱さを知り、”柔”をもモノにしたか!それでこそッ!!(柔の技を見て、また少し高ぶるとと共に、その剣は自由自在に变化する。)ふっ、ぬッ、おぉぉッ!!(剣の軌跡がうねり、曲がり、さながら一つの絵の如く柔らかでありながら、然し剛でもある剣が襲い来る!!) 」
氷冬「(「柔なき剣に強さはない」…敗北と共に味わったその言葉が、自らを更に奮い立たせる)ひぐ…っ…!(ASの一閃が肩を斬り裂き、その痛みに顔を歪めるが…)(―― 石淋の味を嘗めて会稽の恥を雪ぐ ――)―――“回十哭”(えとな)!!(痛みを糧に。彼から受けた斬撃をも上回る反撃斬りを即座に炸裂させる) 」
グググ―――カシャン(ステージ、観客席、その場所を問わずして、灰色の水晶が冷気を帯びながら、絶えず生えては砕けていく。)
AS「ぐ―――ッ!(咄嗟に強烈な反撃斬りを、驚異的な技術を伴う剣術で弾き―――切れない。脇腹に確かな斬り込みを刻みつけられ)ふ・・・ぉぉぉあああああッ!!!(クロスカウンター気味に、素早く九本の刃で刺突する) 」
ビシビシッ―――(次々と、ASの黒い仮面に罅が増えてゆき・・・)
氷冬「(―――ッ!)“暗凍”(あんこおる)!!(「凍滝」より展開した氷壁を「陰秋」をはじめとした三刀で支え、九の針を受け止める)タンッ――――(背後へバク転して距離を置き、次の剣技を披露しようと身構えるが―――)……!?(その時、ASの仮面に亀裂が生じていることに気付き始める) 」
ガシャァァァァァンッ!!!(仮面が、今―――砕け散る)
AS「最高だ―――嗚呼、こんなにも、この刹那の剣戟が愛おしい―――(天を仰ぎ、ゆっくりと語る)・・・感謝しよう、此処まで俺を導いてくれた事に。感謝しよう、此処まで俺を昂ぶらせてくれた事に。(そして、顔をゆっくりと下ろし)―――故に、此処からは俺の全てだ。俺が今まで御せなかった全てだ。今ならば、今だからこそ出来る。(身に纏っていたローブに手をかけ、)バサァッ―――(それを脱ぎ捨てる) 」
ローブの下に包まれていたのは、胴体を包み込む灰色の水晶の鎧。そして、どこまでも赤く、紅く、朱い・・・鮮血と、見るだけでわかる、憤怒と殺意に染め上げられた腕。そしてそれを包み込み、『意思』へと昇華する、ミラージュ・インテンション・・・彼のアンビジョンだったもの。 」
ググググググッ―――!!!(ステージが、翡翠色の粒子と、灰色の水晶で満たされていく・・・)
氷冬「――――(自らを覆っていたすべてのものから解放されたASの本性を静かに見据える)……言葉では語り尽くせないものはいくらでもある。だからこそ私たちは、互いに剣を振う。心を剣に、感情を乗せた刃で、信念を貫く"閃"をもって―――― 語らおう。(ヒュァァァァアアア…ッ… ! ! ! !)(両腕を広げるとともに、背後から凍て付く吹雪が吹き付ける) 」
パキパキィパキャァ…ッ… ! ! ! (翡翠色の粒子と灰色の水晶がステージを浸食していくように、向かいからステージが凍結し始め、盤上はかつてないほどの神々しさを帯び始める)
モララー「あいつ…!……はっ、いい面してんじゃねえか…(見慣れたASの意外な一面に驚き、思わず笑みを零す) 」
AS「『クァエドゥム・アニムズ<永遠の意思>』・・・これが、俺の全てだ。(両手を広げ、素顔で氷冬を見据える。)我が全身全霊、全ての過去と今を、この剣戟に―――この”イッセン”に。(ただ、構える。) 」
氷冬「……!(この湧きあがる昂りは…あの時(世界大会)以上に…!身震いが止まらない…だけど、ただ見ているだけじゃ"この一刻"が惜しい。感じよう…ASの"剣"を――――)――――― 行くよ、AS。(唇から白い吐息を零し、突きつけた四刀を横へと振り抜き、冬風の如く駆け抜ける) 」
AS「―――来い、氷冬ッ!!(今までの何よりも疾く強烈な、刺突と斬撃を以ってして迎え撃つ) 」
氷冬「(疾い――――!) ガ キ ィ ィ イ ン ッ ! ! ! (速く、重く、鋭い――――真の力を解放したASが振う剣を刀身で受け止め、彼の確固たる意思が、熱意が、想いが刀身から全身へと流れ込む様に伝わっていく) 」
AS「もっと見せてくれ、これで終わる訳が無いだろう!?なあ、氷冬ッ!!!(だが、その強さは一秒ごとに、なおも上がり続ける。限界などさも無いように、全てを賭けるが如く。)はぁぁぁぁぁッ!!!(一切の予備動作無しで、九刀流「孔雀」を。嘗て、彼女へ初めて見せた時よりも遥かに強く叩き込む) 」
氷冬「ッ゛……!!(徐々に勢いを増すその剣に圧倒され、四本の刀身で受け止めるも吹き飛ばされる)ズザザァ…ッ… ! !(白銀の絨毯の上に降り立ち、全身に冷気を纏う)フゥー……(白い吐息。凍てつく白肌。靡く烏髪。そして、四本の刀が凍結を帯びていく…)―――――雪景色『冬獄』――――― 」
――――――(瞬くと、ASは見知らぬ白銀世界にいた。青白い空と降り積もる雪。かつて対峙した幻影者を髣髴させる世界。ASにはそれが、氷冬が魅せた「幻術」であると分かった)
AS「ああ、感じるぞ・・・これは幻。俺であり、俺そのもの―――だが、(敢えて俺は支配しない、幻影の意思のままに。)―――此処からだろう、此処から・・・魅せてくれるのだろう?(握った黒刀「零」が、ユラリと輝く) 」
氷冬「(白銀世界の遥か先から、四刀を揺らしながらASと迫る氷冬が現れる)……(雪煙が舞う中、静かにASを捉え―――)―――― ズ ァ ン ッ ! ! !(雪の上という不安的な足場でありながら、一瞬を突いた速度で瞬く間に距離を詰め、ASに四刀を振り下ろす) 」
AS「ガッ―――!! ギチギチギチギチ・・・(振り下ろされた刃を、二本、或いは三本宛てがい、鍔迫り合いへ持ち込む)楽しい・・・楽しいな・・・まるで、まるで夢のようだ・・・。 」
氷冬「ええ…!本当に、愉しいよ…!(ガキャァンッ ! ! !)(刀を振って鍔迫り合いから退く)…“雪景色”…貴方の幻影には大きく劣るけど、私にも"魅せる"ことはできる。意思を纏った刀は、その理想を現実に変える力だってある…!(雪しまきが荒れ狂うように舞い上がり、強い覇気を込めた瞳でASと向き合う)“阿武神武”(あぶしんぶ)!!(ギュガガガガッ ! ! ! )(激しい回転を帯びた状態で駆け出し、ASに苛烈な斬撃をしかける。回転によって巻き起こされた吹雪が、彼の全身を喰らうように吹き荒れる) 」
AS「ああそうだ!極めた業というものは、それは最早”魔法”にも匹敵する!折れぬ意思は、あらゆる運命を切り開く!!(向き合い、こちらもまた嘗て無いほどの強い意思の篭った瞳を向ける)―――九刀流「露払い」ッ!!!(同時に、彼もまた至近距離の打ち合いに長けた技を選び、暴風の如き乱舞を放つ。)ザッ、ズシャァッ!!(互いに激しい剣戟故に、体に次々と傷が刻まれる。だが尚もその刃は加速していく) 」
氷冬「っ……―――― ふふっ。(掠り、傷つき、痛みを感じ入る。だが、剣戟によって感じられる衝動がその痛みを上回ることで、やがて快感が勝っていく)“紅恐重”(くぐえ)ッ!!(薙ぎ払いと斬り下ろしの連続攻撃を行い、最後に黒い衝撃波を解き放った) 」
AS「くぉぉぉぁぁぁぁぁぁッ!!!(氷冬が攻撃を放つと同時に、光すらも追い抜いて剣を振り抜き、走り抜ける。必殺の技に対して、彼は技ではなく、自らが鍛え上げた剣術を選んだ。)―――カハッ!(だが、彼の体にまた一つ、確かな傷が付く。彼の胴体を覆う水晶の一部が砕け、喀血する) 」
――――― ブ ワ ァ ァ … ッ … ! ! (二人の激しい剣舞によって吹き荒れる吹雪そのものがかき乱され、やがて白銀世界は朧気に消失し、二人は元の闘技場へと移る―――)
氷冬「(元の空間へと戻り行く最中、儚げに消えゆく吹雪の追い風に身を委ねる様に跳躍し、ASの目と鼻の先に現れる)はあああぁぁぁっ!!!―――― ザキィンッ、ザシュンッ ! ! ザシュンッ、ズシャアアァッ ! ! ! (四刀を振り抜きジグザグ状に突き進む斬撃を見舞う) 」
AS「ぬ、ぉぉぉぉぁあああああッ!! ガッ、ガギッ、キィンッ!!―――ガギィ―――ンッ(氷冬が放つ搦め手の軌跡を、突き崩し、弾き、滑らせ、弾き―――四本が同時に来るタイミングで、片手の五本を使って挟み込み、楔のように動きを封じる) 」
氷冬「くぅ…ッ……!(ギリギリィ…ッ… ! ! ! )(烈々たる剣戟によって火花が散り、衝撃が走る。受け止められても尚退くことを止めず、強い踏み込みで圧倒する)――――(今なら強く実感できる―――"私は生きている"―――刀が、それを教えてくれる。) 」
AS「ふッ―――らぁぁぁぁぁぁ!!!(猛攻に踏みとどまり、一瞬の隙で、予備動作も無くして、九刀流「九頭竜九閃」を―――)ズバァァァァァァンッ!!!(九本の刃が、さながらうねる龍の頭の如く、嘗てのそれより更に大きな巨大な一閃となり同時に九つ放たれた!!) 」
ビシビシッ―――(周囲を満たす灰色の水晶に、少しずつ罅が走っていく)
氷冬「く…あ…ッ…!(かつて受け止めたことの無い強烈な九閃を真正面から受け止めようと試みるが、ことごとく圧倒され吹き飛ばされる)ザグンッ――――ズザザザザザァ…ッ… ! ! ! (吹き飛ぶ最中で二刀を地面に突き刺すことで反動を和らげる)タンッ――――( 我が物と思えば軽し笠の雪――― )―――“千斬”(せんきる)ッ!!!(四刀を十字状に構えたまま高速回転しながら龍の如き勢いで駆け出した) 」
AS「九刀流奥義―――「天魔剛断」ッ!!!(氷冬の”千斬”に対して、九刀流が持つ最高の技で迎え撃ち、交差し―――)ズガァァァァンッ!!!!(一拍遅れで、地面を大きく抉り取り、天魔が横断した如き傷痕がフィールドへ刻まれる)ガキャァァンッ―――(そして、交差する際に、また胴体を覆う水晶が砕ける)―――なあ、氷冬。お前は生きていて幸せか?(唐突に、問いかける) 」
バキッ―――ガシャンッ・・・(そして、周囲を囲んでいた幾つかの水晶が、外側から砕けはじめる)
氷冬「 ザ キ ィ ィ ィ ―――――――― ン … ッ … ! ! !(互いの一撃が交差し、残響となってやがて会場に静寂に包まれる)…… …… ……生きることが、辛いと感じることもたくさんあったわ。(ASに振り向くことなく、ただそのまま背後の彼に応える)でも、人や刀…たくさんの出会いの中で、一人では得られなかった多くのものを手に入れることが出来た。家族と呼べるような人、友達、戦友、そして…目標となる人―――― みんなと向き合って生きていく中で、確かな"幸せ"を感じたわ。私は今、生きていいて"幸せ"よ。 」
AS「―――実に、良い。(呟き、そして向き直る。距離は互いに剣と剣は全く届かないが、而してお互いが詰めようと思えば詰められる、遠いようで近い。)ならばお前に、俺が与えられる最後の技を・・・”みせて”やろう!これは意地だ、最初から”そのつもり”はなくても、せめて”試合という形だけでは”お前の壁であろうという俺の最後のちっぽけな!!(あろうことか、九本のうち、ミラージュブレイドを残して全部の刃を片付ける) 」
辺り一面に広がる灰色の水晶が、ASの言葉に呼応するように輝きを増してゆく―――
氷冬「(こちらも向きあい、改めてASの真の姿をその眼に捉える)…わかった。なら、私も"みせて"あげる――――― 戦友(あなた)だけへの、たった一つの"剣"を。(四刀…を構えるかと思われたが、そのすべてを納刀し、すべての柄に手を添える。そう、それは――――『 居 合 』の構えだった) 」
AS「これはお前が”目指す場所”へ至ろうという、決意への餞だ。お前が”そこ”を目指している事は剣<オマエ>が教えてくれた。ならば俺が出来る事は、立ちはだかり、その境地をみせる事のみ!!(そしてミラージュブレイド構え―――ない。)―――俺は運命<オマエ>に囚われた(始めたのは、『詠唱』。放とうとするのは紛れもなく剣術だが、しかし”魔法”のような『詠唱』をしている。) 」
氷冬「……!(高み―――― 当然、目指すからには多くの壁が立ちはだかる…)(以前の、雛菊との試合の敗北で再認識したことを思い返す)……だけど、諦めたら…そこで"刃"は折れる。私は、自分の刀で未来を切り開く…!(ギリィ…ッ… ! )(力強い握力で四刀の柄を掴み取る) 」
AS「長い宿命<クルシミ>の中を、宛もなく彷徨った―――(語られるのは、自らの人生・・・剣そのもの。)藻掻き、嘆き、足掻き続け、約束<コタエ>の果てを求め続けた(詠唱によって変化は何一つ無い。) 」
氷冬「……―――――― タ ン ッ (ASが詠唱する中、前のめりに倒れ込む様な勢いの付けた疾駆で盤上を駆け抜ける) 」
AS「―――故に、俺の剣<ジンセイ>に剣戟<コタエ>から得た全てを込めよう(変化はない。だが・・・氷冬には理解る。それは―――) 」
氷冬「 四 刀 流 居 合 ―――――(ASの"変化"に気づきながらも、それに応えるべく、今――――― 刀を振う ) 」
AS「――― 奥 義 『忌械機撃<キカイキゲキ>・黒ク染マレ幻ノ見セル彼岸<ハズ ア マイインスティンクト>』!!!(放たれた一閃は―――瞬間。世界と溶け合い、別次元の業へ至り、視認も認識も、何一つ及ばない―――『最も効率良く放たれた一閃』が疾走る―――) 」
氷冬「( 雪路を辿り頂を掴まん ――――――)――――――“雅琶黎走登”(えべれすと)ッ!!!(ASが放つ文字通り時空を超越した一閃に対し、自身が最も得意とする居合抜きを繰り出した) 」
―――――――― ズ ァ゛ ン゛ ッ゛ ――――――――
氷冬「―――――――(互いの最後の一閃が吹き抜ける) ス ス ス …――――― ス チ ャ ン ッ … (居合によって引き抜かれた四刀を、静かに納刀する) 」
互いの軌跡が交差し、輝く灰色の水晶がそれをなぞる。周囲に満ちていた水晶は、一斉に砕け散り、翡翠色の粒子と共に幻想的な一時を―――剣閃と共に、何よりも美しい一時を形作る。
AS「―――ストッ。(柔らかに、しかして剛く、地面に降り立ち)―――ガシャァァンッ(また、胴体を包み込んでいた水晶も美しく宙へと散ってゆく) 」
氷冬「……(静かに、ASの方へと振り返る) 」
AS「―――お前が目指す場所のために、俺はこの技を”みせる”と、戦う前から決めていた。(ゆっくりと、振り返る)”これ”は、俺の全てを賭けた『剣術<ジンセイ>』であり、全ての剣を振るう者が至れる境地でもある。(ゆっくりと、語る)ただ・・・どうやら、世界は俺のこの業の事を『剣術』と認めたくないらしい、お陰で俺の”これ”は『詠唱』なんぞが必要になってしまった。 」
氷冬の脳裏に、交差した時の―――『一閃』に込められた記憶が薄く蘇る。それは怒りと、殺意と、悲しみと、贖罪と、約束。決意と、憂鬱。後悔・・・だが、そこから転じるキセキと、覚悟と、何よりも固い愛と、・・・今までの彼の剣<人生>、その全てだった。
氷冬「……それでも、私にはわかるわよ。たとえ、誰にも、運命にも認めてもらえなくたって…たった一人が認めてくれただけで、"それ"は確かなものになる。「貴方の存在を肯定した人」がいた様に、私も貴方の剣を肯定するわ。(ASに微笑みかける。一瞬、その像に、ASがよく知る人物の像が重なり、幻影の様に歪んで消えていった) 」
AS「ああ・・・そうだ、俺はたった一人―――ただ一人に認めてもらえるだけで、こんなにも救われたんだ。(重なる姿に、微笑む)思えば、お前を始めてみた時から、重ねていたのかもしれないな―――だから、だからこそ。(―――その手には、ミラージュブレイドは無い。)お前の道を阻むつもりは最初からなかった、戦えればそれで満足だったのさ・・・もとより”アレ”は俺の半身・・・ミラージュブレイドですら耐えられない、放てば弾け飛んでしまうんだ―――そして『剣に賭けて』というのも、俺はお前を認める―――故に、ある意味出来レースだったのさ。 」
ステージの中央、二人が交差した場所に、”それ”は―――確かに突き刺さっていた。
キリギリス「……き、決まったあああああああああぁぁぁぁぁぁあああああああッッッ!!!!第四試合勝者はァッ!!氷冬だああああああああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!!! 」
氷冬「AS……?……ふふっ。……貴方に、ようやく認められて嬉しいよ。ありがとう、AS。戦ってくれて。(さすがに彼のすべてを知り得たわけではなく小首を傾げるも、これまで以上に彼との距離が縮まり、彼の本当の満足した素顔に釣られて思わず微笑み出す) 」
AS「―――興ざめか?だがすまないな。(ふっ、と笑う)俺はただお前と戦いたいだけで、お前は”至らなければならない”。となれば道を譲るのは俺・・・阻む理由なんてある訳がない。だからこの勝利は譲ろう。(右手を突き出し、呼応するようにミラージュブレイドが手元に移動する)だが―――一つだけは貰っておく、老兵の意地っ張りみたいなもんだ・・・それに”あいつ”と重ねているからこそ、”剣術”で負けるわけにはいかない。(確かな足取りで氷冬に近寄り、肩を叩く)”アレ”の加減はしたが、限界だろう?せめて勝者への介抱ぐらいはさせてくれ。 」
氷冬「まさか、その逆よ。高みを目指すあまり…また大事なことを忘れかけていたところを、貴方のお陰で思い出せたんだもの。(掌を見つめる。ASとの試合で伝わった衝撃が、まだその中に残っているように感じられる)うっ…強がってはみたものの、やはりASの目はごまかせないか…(悪戯っぽく舌を出しながら苦笑する。実際、最後の剣戟から立っているだけで限界であり、一歩を踏み出すことが出来ないでいた)…最後まで付き合ってくれるなんて、紳士なのね。(そのまま、ASと共にステージを降りていく) 」
AS「それでいい、傲りは全てをナマクラにする。(満足気に頷く、我が娘を見守るような暖かな視線と共に)だが、”アレ”はこれでも気絶させる程度には意思を込めたつもりだぞ?理の刃をあそこまで突き崩すとは見事なものだ・・・案外、此処へ至るのもすぐかもしれないな。(氷冬に肩を貸しながら、共にステージを後にする) 」
キリギリス「それでは始めましょうかァッ!!第五試合!!ユキ vs
エルキドラだあああぁぁぁーーー!!!ここまで猛威を振い続ける凄腕の実力者ユキと、本大会のダークホース、エルキドラの激突!!これは目が離せないぞー!!さあ、それでは!選手はステージへどうぞ!! 」
ユキ「 ~♪ (上機嫌な様子でステージに上がる) ―――アナタ、初出場でしょ? 楽しみましょうね(納刀された刀を片手でくるくるともてあそび、正面に現れる人物を見据える) 」
エルキドラ「 ガチャン… ガチャン…――――シュゥ……(黒い外套に身を包んだ謎の男…覇気も邪気もその一切が感じられない、あたかも心の無い機械のように佇んでいる) 」
大剣使いの男「……(今の今まで…実力を見せることなく相手を討ち沈めてきたあの男…序列上位の彼女を相手に、何処までやれるものか……) 」
キリギリス「それでは試合―――――開始ィァアアッ!!! 」
エルキドラ「……良し。(試合開始の合図に微動する)良し良し…初戦に良い相手と出逢えた。この邂逅に感謝するぞ、「柊木雪」。(なんてことのない挨拶…それでいて、何処か、人の心をざわつかせる様な歪な声だった)……(構えることなく、ただただ彼女の様子を静かに窺う) 」
スカーフィ「かぅ~…
クロリアー探しは疲れたよぉ…(客席で休憩を兼ねて観戦している) 」
フーナ「ははは…しばらくメタナイトに任せて、私たちは休もうか。……(…何だろう、あの選手。…よくわからないけど、嫌な感じがする…)(客席からエルキドラを見据え、形容し難い表情で彼の全身を見つめる) 」
ユキ「………それは光栄だわ。(エルキドラの歪な声に、眉がぴくりと動き、どうも歯切れの悪い言葉を返す)…っ……行くわよ―――――(刀を抜くと同時に鋭い殺気を放ち、いざ懐へ―――)――――……っッ……!!(――踏み込もうとした瞬間、あろうことか刀を構えたままその場に留まってしまう)―――(…こいつ…見るからに隙だらけだ、どこからでも打ち込める……この"待ち"、迂闊に踏み込めば危険と見た。できるだけ…相手が、予測できない一手を――――切る!!)―――ジャッ!!(刀を勢い良く納刀し、)――――― 雪 華 晶 閃 ッ!!(初手から大技を繰り出し、強烈な冷気をまとった扇状の斬撃波がステージを蹂躙し迫る) 」
エルキドラ「(――データ解析――)(ドグゥオオオォォンッ ! ! ! )(回避どころか防御することもなく、彼女の放ったその強烈な一撃を全身で受け止める様に喰らい吹き飛んだ)ズガガガガ…ッ… ! ! !(華奢な脚を地面に突き刺すように踏み込むことでその軌跡が抉れ、ステージの端で停止する)……良し 良し 。(納得したように呟き、再び彼女のもとへ接近する。しかし、依然得物は構えないままだ) 」
ユキ「(獲った!! このまま追撃して―――)――――ゾクッ…!!(平然と接近するエルキドラに目を大きく見開く)(……当たった…? どうして平然と―――いや、当たった。当てたんだ…! あんなのやせ我慢よ、追撃を仕掛ける―――!!)―――タタタタッ フッ フッ――――(こちらからも駆けて接近し、左右に体を振ってフェイントをかける)―――ヴッヴォンッ!!!(そして側面からの横斬り、袈裟斬りを連続して繰り出す) 」
剣士「なんだアイツ…!あのユキの一撃を喰らってまだ平然としてやがるッ!! 」
エルキドラ「ズバァンッ、ズァキィンッ ! ! !(ユキのフェイントステップを読めなかったのか、大きな隙を許し、彼女の連撃の餌食となる。しかし、切り裂かれる度に聞こえる鈍い金属音は、まるで人間とは思えない堅い身体を持つことが、刀を通じてユキにも伝わった)……良し、良し。悪くない。(先程から彼女の攻撃を受けるばかりであるにもかかわらず、何かに満足しているような口ぶりで再び態勢を整える) 」
ユキ「―――――――(この人……いや―――"これ"、人間じゃない…!?)(刀を通じて手元に伝わってくる感覚に目を見開く)さっきからブツブツブツブツ――――(エルキドラの至近距離でヒイラギ流の型を執り、)―――硬いだけが自慢ならッ、一気に決めに行かせてもらうわよッ!!!(ズババババババババッ!!!!)(その場で息をつかせないほどの乱斬りを繰り出しそれを継続する)―――――― 」
エルキドラ「……!(データ解析を中断。バトルフェーズ、スタンバイ―――)―――“結塊”(シュピゲール)展開。(攻撃を受ける直前、一瞬全身に虹色の鮮やかな膜が張られ、その状態でユキの苛烈な剣戟を受け続ける)―――――良し。(ある程度受けた際に外套を靡かせユキを軽く振り払う)……クカカカ…面白い、柊木雪。お前の力を"感じるぞ"。(さも人間であるかのように振る舞い、彼女と対峙する)……『四尺』(クアドロ)。(ジャキャァッ ! ! )(懐から三日月状蛇腹黒刃を二振り、ようやく自身の獲物が姿を現す) 」
大剣使いの男「流石は柊木雪…太刀筋が見えん…(だが、それを喰らっても尚たち続ける奴は…)……あれが、奴の刀剣か。(エルキドラの黒刃を見据え) 」
ユキ「ズサァッ!!(飛び退いてある程度の距離を取る)……当然じゃない…まだまだこれからよエルキドラッ!!(あれが彼の得物…!大きいわね…迂闊な打ち合いは避けたほうが無難かしら…!) さあ、やっと面白くなってきたじゃない!!バチバチしましょうよッ――――!!(―――霜晶ノ夢―――『序』――――)(瞳孔が開いて口角が吊り上がり、体表や背に蒼白の光が収束していく)――――フッ!!(忽然と光の残滓を残して姿を消す) 」
エルキドラ「 “刹那”(シュネル)――――― シ ュ ン ッ ! ! (ユキが高速移動によって消えた様に、自らもまた持ち前の速度で瞬く間に消える) 」
――― ガキャァンッ、カキャァンッ ! ! ! キィンキィンカキャンッ、キィン、ズァッ ! ! ギィンッ、カンッ、キィガキャアンッ ! ! ! ! ―――(二人の姿が消えたステージ上で、常人を超越した熾烈な剣戟が繰り広げられる)
スカーフィ「かぅ…!す、すごいよ…!なんにも見えないや…!(わわっと驚いて、慌てた様子でステージの端から端までを見渡す) 」
エルキドラ「フォンッ―――(彼女との衝突後、ステージ上に姿を現す) ギュラララララァ…ッ… ! ! ! (その場で二振りの刃を振り抜くと、蛇腹式の刃がステージ全体を覆い尽すほどに伸び、獰猛な蛇の如くその刃が彼女を襲った) 」
ユキ「フォンッ―――(同時にステージ上へ姿を現し、)――――――(開いた目の瞳だけがめまぐるしく動き、エルキドラが放ったステージを覆い尽くす蛇腹剣の動きを視界に捉える)―――――タンッ!! ズガァアァァンッ!!!(蛇の如く襲いかかる刃を側方へ跳んで紙一重にかわし、叩きつけられた刃はステージを深く抉る)――――『破』ッ!!!(『霜晶ノ夢―序―』の形態では足りないと判断し、自らの生命力を犠牲にワンランク上の形態へ)ヴォウンッ!!ヴォオンッ!!! ダンッ!!!(二振りの斬撃波をエルキドラへ放ち、それを盾にしながら接近していく) 」
エルキドラ「“結塊”(シュピーゲル)展開。(キュカカカカカッ――――ドグゥオンッ ! ! ! )(前方に六角形の透明の防御壁を幾重に展開し、ユキの放つ双斬撃波を受け止め相殺した)キュラキュラキュラ…ッ… ! !(伸びた蛇腹刃が元に戻り、交差した状態で身構える) 」
ソードプリム「あれが噂に聞くヒイラギ流の剣術…!すごい…並みの剣士が真似してできるものじゃない…! 」
ユキ「カンッ!! ヒュウッ―――(手に持っていた鞘を地面に突き、棒高跳びに近い要領で自らの体を跳ね上げるが、それほど上昇は無くほぼ水平に"浮いた"程度)クルクルクルッ―――(その際に縦回転を繰り返し―――)――――――はぁあぁああァアアアァ゛ァ゛ア゛ッッ!!!!(刀の有効圏内に入った瞬間、振り被った刀をエルキドラの頭上めがけ力任せの一刀を繰り出す!) 」
エルキドラ「……!!!( ド グ ゥ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ン ッ ! ! ! !)(真正面からその強烈な一撃を受け止める。衝撃が全身から地面へと伝わって行き、大地が震撼する)…ピキ…ビキッ…パキャンッッ―――――ズシャアアアアアアァァァァァンッ ! ! ! !(しかしその衝撃に耐えかねた双刃に亀裂が入り、粉々に砕け散り、彼女の一撃が全身に炸裂する) 」
ド グ ァ ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ン ッ … ! ! ! ! (エルキドラを中心に、ステージ一帯に衝撃と煙が広がった)
ユキ「――――――――――ビリビリ……ッ…!!(振動が手から全身へ伝わっていく。刀を振り下ろしたままその場から動かず、至近距離で煙と瓦礫に覆われたエルキドラの姿を確認しようと目を凝らす) 」
エルキドラ「――――― ブ ォ ン ッ (煙を払い、陥没した盤上で跪いていた状態からゆっくりと立ち上がる)……良し…良し良し。とても良いぞ、柊木雪。『この世界』に来たことを、今ならこの上なく喜べるぞ。バ サ ァ … ッ … ! (羽織っていた黒外套を脱ぎ捨てると驚愕の正体が明らかとなる) ォ ォ ォ ォ ォ … ッ … (外套で覆われていたその華奢な体は機械そのものであり、その全身には幾つもの小輪が施されていた)」
スカーフィ「わぁ♪穴だらけの身体…まるでドーナツみたいだね!(呑気) 」
エルキドラ「『死月』(マラスク)の安全錠(セイフティ・ロック)を解除(アンロック)。システム接続。(ドヒュンッ―――― ギュララララァッ ! ! ゴ ッ キ ン ッ ! ! )(背に帯びた半月状の物体『死月』が輪状に変形する) …良し良し。(自らの機能性を確かめるように何度も拳を握り、ユキへと視線を向ける) 」
モララー「な、なんじゃありゃぁ…(エルキドラの全身、そしてその背後に浮かぶ奇妙な物体に目を丸くする) 」
ユキ「なっ―――――(まだ生きて―――機械!?)(目を見開き、玉のような汗が頬から喉元へと伝い落ちていく)―――バッサァッ!!(蝶翼で羽ばたいて飛び退き、刀を構えて対峙する)……んー、ちょっとショックねー。今の結構"マジ"だったんだけど。(乾いた笑いを浮かべ、攻撃が通じていない焦燥感から嫌な汗が体を伝う)……何回斬れば"壊れて"くれるの?アナタ。 」
フーナ「……!(エルキドラの正体を目の当たりにし、一瞬戦慄が走る)…なに、あれ…(まさか…ロボット…!?それにしても、あの高度な科学力…まるで、『この世界』のものとは思えない…っ…) 」
エルキドラ「プシュゥー…ッ… ! (骸仮面より蒸気の様な吐息を噴き出す) アンカー展開。(ドガションッ、ドガションッ ! ! )(脚部アンカーを同時展開し、全身を地面に固定する)…バチ……バチ…ッ… ! バチ…バチバチィ…ッ… ! ! バリバリバリィ…ッ… ! ! !(やがて全身に稲妻が迸る)充電完了。良し良し…良し良し……―――――― 良 し 良 し 良 し ! ( ギ ュ オ ン ッ )(仮面の奥で歪に光る赤い瞳が、ユキの姿を捉える) 」
ユキ「ッ……!!(エルキドラから放たれるプレッシャーに圧倒され、顔をしかめて赤い瞳を睨み返す)(呑まれるな…! 落ち着け、落ち着けっ…!) ダンッ!!(エルキドラへ接近し、正面からの斬撃―――)――クルンッ――(――と見せかけ、エルキドラの中心に半円を描くように背後へまわり) ヴォ ォンッッ !!!(逆袈裟斬りを繰り出す) 」
エルキドラ「―――――――――― 死月、解放 ――――――――― 」
―――――― バ ギ ャ ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ン ッ ! ! ! ! ! ――――――(ユキがエルキドラの背後に迫った途端、彼女の視界が瞬く間に真っ白に包まれる。彼女の目の前に、稲妻が落とされたのだ。)
アロアロス「う、うわぁっ…!!雷…!?(ステージに落ちた雷に仰天する) 」
ユキ「きゃっ―――――――――!!?(視界のことごとくが真っ白に塗り潰され、何が起こったのか理解できずに身を縮ませて眼前を片腕で覆う) 」
フーナ「きゃ…!?(か、雷…!?なんてデタラメな攻撃を………!?)(その時、ふと何かを思い出す) 」
――― 百刀剣武祭でも猛威を振ったあの
ゴルドニアファミリーが、昨夜―――― 一家全員が何者かに殺害された。死因は全員…「感電死」だった。――――(フーナの脳裏に、メタナイトの言葉が過った)
エルキドラ「シュゥゥ……良し良し、危なかったな柊木雪。あと一歩出ていれば―――――塵になっていたところだ。(エルキドラとユキの中間、その地面に"真っ黒な渦"ができ上がっている。高熱を帯びた黒い地面は大きく拉げ、熱を帯びた煙が僅かに湧き出ていた) 」
フーナ「――――――!(…もし、もしも…メタナイトの言っていたことが真実なら、今目の前にいるアイツは――――)(訝しむ様に鋭く目を細め、エルキドラ、そしてその背後の死月に身を配った) 」
モララー「まったく…十刀剣に選出された奴らはどいつもこいつも化け物染みてんな…(冷や汗をかきながら苦笑いして戦いの行く末を見届ける) 」
ユキ「――――……は、はは……冗談よしてよ。ホントに死んじゃったかと思ったじゃない(目が全く笑っていない引きつり笑いをし、地面に造り上げられた真っ黒な渦を見て冷や汗をかく)……でも……ニィ―――(またも、口角が吊り上がる)―――だから面白い…ッ!! 文字通り、私をバチバチさせてみなさいよッ!! フォンッ――――ッ!!!!(その場から高速で接近し、勢いを殺さぬまま腹部へと刺突を繰り出す) 」
エルキドラ「(―― データ解析。左右眼鏡『異端審問』(
ケントニス『ハイレシス』)を起動。)――――ガギャァンッ ! ! !(高速で駆けるユキの軌道を"追い"、死角より繰り出されたその刺突を機械の手で掴み取った。切っ先は華奢な身体に突き刺さる寸前で止まっており、金属音を掻き鳴らしながらユキの刀を突き離した)―――― バ ゴ ォ ン ッ ! ! ! (突き離したその一瞬の隙を突くように彼女を殴り飛ばした) 」
ユキ「―――――(――――えっ―――)――― ド ッ ガァアアァァアンッ!!!!(ステージ端の壁へ激突しクレーターを造り上げる) か … は ッ … … ! ! (反動で体が反り、縮小した瞳が振れて吐血する) ――――タン、グラッ… ……ふ…フフ……っ――――(刀を支柱にして身体のバランスを保ち、こみ上げる笑いを噛み殺す)シャラッ―――(刀を納刀し、試合冒頭と同様の構えをとり)――― 雪 華 晶 閃 ・ 双 牙 ッッ!!!!(前回も使用したステージの端から向かいの端までを蝕むニ連の斬撃波を放つ。霜晶ノ夢【破】まで開放しているのでその威力は更に増しているが――――) 」
エルキドラ「 ス ァ ン ッ――――― ズ オ ッ―――――(迫る強烈な二閃、そのひとつを仰向けに反って受け流し、もう一方が来る直前で跳躍回避を行う。常人ならば、たとえ二番煎じと言えども回避・防御は困難を極める彼女の剣技を、完璧に読み通したかのごとく受け流したのだった) 」
剣士「 ッ…!!??(エルキドラのあり得ない挙動に仰天する)う、うっそだろ…ッ…!?今のをかわしただと!?普通に考えて無理に決まってる…!! 」
大剣使いの男「…ああ、「普通」なら無理だろう。だが今の回避、あれは「普通」ではない…っ… …あれは、人間の水準で推し量れる挙動ではない…!(驚きの余り表情が強張る) 」
雛菊「……柊木さんの剣術が、読まれている…っ…(観戦の中で動揺が露わになる) 」
ユキ「…… …… ……ッ…!!(安々と受け流したエルキドラを見上げ、目を見張る。その"完璧に読み通した挙動"に妙な違和感を覚える)―――――…く…ふふふっ…! …強い。 でも今の動きは―――ちょっとまずかったかもね、ロボットさん?(読まれていたとすれば……試してみる価値はある)(―――――【糾】―――――)バリィンッ―――――(巨大に膨れ上がった蝶翼が砕け散って光の鱗片となり、ユキの体・垂氷丸へと吸収されていく)……………(紫紺の瞳に蒼の輝きが宿り、刀を正眼に構えて"待ち"の体勢をとる) 」
エルキドラ「ガチャン… ガチャン…(バチ…バチバチィ…ッ… ! !)(ゆっくりとユキへ迫る中、全身にある幾つもの小輪に電流が迸る)…良し良し。「マントラ」は問題なく機能している。良し……―――― 終 い に す る ぞ !!(脚部アンカーを展開することなく、背後の死月本体からではなく全身から稲妻を放電し、ユキへと解き放った) 」
ユキ「――――そんな電撃なんか簡単に喰らわないわよッ!!(ワンス戦のクライマックスにも魅せた疾さで稲妻を回避し、) ―――― 氷 翼 刃 ・ 雹 臥 ッ !!! ゴォォオオォオオォォォォッッ!!(刀を振るう。すると垂水丸から精製された雹が混じった突風が巻き起こり、吹雪のように凍てつく風がエルキドラを襲う) 」
エルキドラ「(データ解析――――)――――!!?(予想だにしなかった攻撃…否、自らが蓄積した「データ」にない技を繰り出した彼女への対抗策を見出せず、成す術もなく猛吹雪の餌食となる)ギ…ギギ…ン…ッ… ! ! 良……くないな… マントラより、遅鈍性解消を推奨。及び死月による強制排除を選択――――― 実 行 。(背後の死月が帯電活動を始めようと回転を始めるが…)――――ギギッ…ギュゥゥン…ッ… ! ! ! (ユキの技によって死月は完全凍結してしまい、もはやあの強烈な電撃を繰り出すことが出来ない) 」
ユキ「―――!!(やっぱり!エルキドラは対戦相手を戦いを分析して活かすタイプだった…! ロボットだからまさかとは思ったけど―――ふふ、まぁたまぁに居るのよね。こーゆー頭が固い剣士って。あたしは頭使うの苦手だからそーゆーの苦手だけど…背中の装備まで凍らせられたのは思わぬ幸運だったわね、さあ追撃を―――)――――ぁぐっ……!(ズ キ ン ッ … … !!)(鋭い頭痛に顔をしかめ、ツゥと鼻血が地面へ垂れ落ちる)(……くそ…霜晶の負荷が掛かり過ぎてる…!早く決着をつけないと不味い――――)――― 」
ユキ「――――…フラ……(……っ――――氷刃招来ッ…!!)(手をかざし、そこから光蝶が出現しエルキドラの周囲を"張り巡らされる罠のように"ふよふよと漂い始める) 」
エルキドラ「……!ぬ、ヌオオオォォッ!!!(バリバリバリィ…ッ… ! ! ! )(全身に幾つも搭載された小さな「死月」はまだ機能しているようで、本体ほどの出力は出せないが、周囲に張り巡らされたその光蝶を電撃で討ち沈めようとする) 」
バリバリバリバリィッ!! フシュゥゥゥゥゥゥ……… (エルキドラの意図通り、光蝶は電撃で簡単に消滅した)
ユキ「 フ ッ (エルキドラの電撃が収まる瞬間、エルキドラの背後に体勢を低くして刀を振り被っていた)(触れてくれれば、蝶から突出する刃でザックリいけたんだけど…まぁそう簡単には行かないわよね。ただ『光蝶に意識を向ける隙』があれば十分―――!) ズ ォ オ ア ン ッ ! ! (エルキドラの足元を掬うように刃を振るう) 」
エルキドラ「 ! ! ? (足元を掬われ、華奢な全身が空中で真横に傾倒する――――) 」
ユキ「――――――(――――好機。) ガ ァ ア ン ッ !!(手首を返して真下からエルキドラを斬り上げ、鈍い金属音が響く。エルキドラの体は丁度ユキの正面に浮き上がり――)――――キンキンギィン!ギャリッキッギンッ!!ガァン!!ガギンッ!ガンッキィインッ!!ガッギィィン!!! (壱ノ型、弐ノ型!参ノ型!!四ノ―――――!!!)(次々と連撃を繋げていき、一刀一刀が大気を、ステージを揺るがす) 」
エルキドラ「ザキィンッ、ガギィンッ、ズァキャァンッ―――――(データ、解析…ギギ…回避…ギギュ…徹t…ギジ…ッ…―――――) 」
ユキ「―――――(ヒイラギ流の演舞も終幕。金属の破片が光鱗とともに宙を躍り、太陽の輝きと蒼白の気を乱反射させる)(――――アナタも、剣に懸ける"心"があれば…少しは違ったかも知れないわね。機械仕掛けの剣士さん―――)(そして、溜めた刃を解き放った)――― 斬 ッ ! ! ! ! (吠え、渾身の一刀を叩き込む) 」
エルキドラ「(回避率10%…ギギッ…防御…0―――――) ズ ァ ギ ィ ィ ィ イ イ ン ッ ! ! ! ! (ユキの重い一撃に身体の一部が喰らわれた様に抉れ、吹き飛んだ先で倒れ伏した) 」
キリギリス「き…決まったあああああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!!第五試合ッ!!勝者はユキだああああああぁぁぁぁぁ~~~~~ッ!!!! 」
フーナ「……ほっ…(よかった…あの人(ユキ)も無事みたい…) 」
大剣使いの男「流石だな…鮮やかにして強かな剣技だった。(ユキに激励を込めた拍手を送る) 」
エルキドラ「――――――――― 」
――― データ解析。柊木雪の戦闘データを取得。「マントラ」感知機能の向上。 ……………『強大なエネルギー反応』を感知。プログラムに従い、データ解析作業へシフト。―――
エルキドラ「――― ギ ュ オ ン ッ ―――(機能停止したと思われた身体が突然動き出し、ユキへと迫った―――――) フ ォ ン ッ ―――――(そのままユキに攻撃を仕掛けるかと思われたが、彼女を横切り、人間業ではない大跳躍で観客席をも越え、闘技場の外へと姿を消した…) 」
ユキ「…………ゴシ…(手の甲で口元の血を拭う)…………シャッ チンッ!(吹き飛んだエルキドラを見据え、鞘を被せるように刀を納刀してその場を後にしようとしたが―――)――――!?!(接近したエルキドラを見て、腕で身を守ろうとかざし…)――――……へっ?!(そのまま横切られ、間抜けな声をあげる) …まさか、まだ動けたなんて………いいえ、それより――――どうしたのかしら…?(エルキドラが去っていった方角を怪訝そうな面持ちで見つめていた) 」
フーナ「……!(闘技場の外へと抜けだしたエルキドラに驚く)お、追うよスカーフィ…!(私の直感…たぶん、嫌な予感がする…っ… あのエルキドラという兵器、絶対に野放しにしちゃダメだ…!)(盛り上がる観客席を潜り抜け、闘技場を出ていこうとする) 」
スカーフィ「かぅ…?わっ、フーナ何処行くの~!?(慌てて彼女の後を追う) 」
モララー「んだぁ…?急に呆気なくなったと思えば、今度は奇行に乗り出したか…変な奴だ。(炭酸飲料を飲み干す)ま、それなりに楽しませてもらったぜ。次はどうなるんだろうな。 」
最終更新:2019年05月13日 00:11