森林地帯。人気のないその空間に、この催しの参加者が居た。
デイパックを漁り終えたその人物は、やがて一言だけ告げる。
デイパックを漁り終えたその人物は、やがて一言だけ告げる。
「ーー『THE WORLD』」
瞬間、世界が制止した。
舞い落ちる木の葉、虫のさえずり、そよ風に至るまで、その場に固定される。
……が、それも束の間。数秒とかからず世界に色が戻り、元の営みを再開する。
その異常な光景を作り出した人物、爬虫類のような顔をした青年『遠野』は、束の間の時の入門に驚愕していた。
表にはCD、裏にはレシートが貼られている黒Tシャツという平凡な装いからも分かるように、遠野は一般人である。
断じて時を止める異能など持ち合わせてはいない……筈。
その秘密は、この催しに参加している全ての参加者に配られる『ランダム支給品』にある。
舞い落ちる木の葉、虫のさえずり、そよ風に至るまで、その場に固定される。
……が、それも束の間。数秒とかからず世界に色が戻り、元の営みを再開する。
その異常な光景を作り出した人物、爬虫類のような顔をした青年『遠野』は、束の間の時の入門に驚愕していた。
表にはCD、裏にはレシートが貼られている黒Tシャツという平凡な装いからも分かるように、遠野は一般人である。
断じて時を止める異能など持ち合わせてはいない……筈。
その秘密は、この催しに参加している全ての参加者に配られる『ランダム支給品』にある。
「凄い……本当に時間が止まった」
呆然と呟く遠野の側には、シャープながらも引き締まった逞しい体つきの人型が立っていた。
まるで特撮ヒーローのような、神々しさと力強さを両立させたデザインのそれは、遠野の支給品である。
『THE WORLDのスタンドDISC』、それが遠野に支給されたアイテムの名前だ。
同封されていた説明書には、適合するとスタンド能力とやらが使えると書かれていた。
折れも曲がれもしない無気味な円盤を頭に差すことは戸惑いがあったが、冗談半分に使ってみたら抵抗なく入った。
自分の力ではない筈なのに、不思議と驚くほど体に馴染む。まるでそうあるべしと定められたかのように、遠野の精神と『世界』はマッチしていた。
まるで特撮ヒーローのような、神々しさと力強さを両立させたデザインのそれは、遠野の支給品である。
『THE WORLDのスタンドDISC』、それが遠野に支給されたアイテムの名前だ。
同封されていた説明書には、適合するとスタンド能力とやらが使えると書かれていた。
折れも曲がれもしない無気味な円盤を頭に差すことは戸惑いがあったが、冗談半分に使ってみたら抵抗なく入った。
自分の力ではない筈なのに、不思議と驚くほど体に馴染む。まるでそうあるべしと定められたかのように、遠野の精神と『世界』はマッチしていた。
スタンドとは一種の超能力であり、それぞれ固有の能力を備えている。遠野のTHE WORLDもその例に違わず、ひとつの能力を持っていた。
それはーー時間停止。
正確には、「自分以外の時間を5秒間止める」というスタンド能力。
説明書に記載されていた概念を把握したとき、俄には信じられなかった。
しかし、実際に行使できる以上、信じざるを得ない。
それは同時に、このバトル・ロワイアルが歴とした現実であることを示していた。
遠野の記憶は、練習帰りに水泳部の先輩の実家に招かれた所で途切れている。
この催しにどうやって拉致されたのかも覚えがない。
だからこそ、最初はこの催しを手の込んだドッキリか何かだと思っていた。そう思いたかった。得体の知れないDISCを使ったのも、そんな浮遊感からくる衝動に従っただけだ。
しかし、そのささやかな現実逃避は、身をもって体験した超常現象に容易く打ち砕かれた。
一水泳部員である遠野に、殺し合いを勝ち残れるだけの力はない。
しかし『世界』を得た以上、それは過去の話。この協力無比なスタンドを使いこなせれば、あるいは遠野が勝ち残り、優勝に到達できる可能性も微粒子レベルで存在している。
説明書に記載されていた概念を把握したとき、俄には信じられなかった。
しかし、実際に行使できる以上、信じざるを得ない。
それは同時に、このバトル・ロワイアルが歴とした現実であることを示していた。
遠野の記憶は、練習帰りに水泳部の先輩の実家に招かれた所で途切れている。
この催しにどうやって拉致されたのかも覚えがない。
だからこそ、最初はこの催しを手の込んだドッキリか何かだと思っていた。そう思いたかった。得体の知れないDISCを使ったのも、そんな浮遊感からくる衝動に従っただけだ。
しかし、そのささやかな現実逃避は、身をもって体験した超常現象に容易く打ち砕かれた。
一水泳部員である遠野に、殺し合いを勝ち残れるだけの力はない。
しかし『世界』を得た以上、それは過去の話。この協力無比なスタンドを使いこなせれば、あるいは遠野が勝ち残り、優勝に到達できる可能性も微粒子レベルで存在している。
「へー、すっごい強そう(スタンドを見ての感想)」
時を止めるという絶対的な能力に、このエネルギーに満ち溢れたヴィジョンを十全に生かせれば、人の命を絶つこともそう難しくはない。
遠野が望めば、『世界』は容易く相手を打ち砕く。
能力を抜きにしても、その実感が精神的な繋がりから確かに伝わってきた。
遠野が望めば、『世界』は容易く相手を打ち砕く。
能力を抜きにしても、その実感が精神的な繋がりから確かに伝わってきた。
「優勝すれば、願いも叶う……確かに、そう言っていた」
優勝すれば、伸び悩んでいたタイムも改善できる。そんな力を得た万能感と優勝への甘い誘惑が心を刺激した。
しかし、そんな遠野のざわつきは瞬時にかき消される。
しかし、そんな遠野のざわつきは瞬時にかき消される。
「田所さん……先輩なら、きっと……殺し合いには乗らない」
敬愛する水泳部の先輩を思い浮かべる。
もし先輩がこの催しに参加させられたら、どうするだろう。
もし先輩がこの催しに参加させられたら、どうするだろう。
ーーーー決まっている。優しい田所先輩は、こんな殺し合いにはきっと乗らない。
後輩の悩みを見抜き、嫌な顔もせず真摯にアドバイスをしてくれる面倒見のいい彼なら、きっと正義感に駆られて主催者に抗うだろう。
だからこそ、遠野もそれに習って殺し合いには乗らない。
真夏の夢のごとく、暴力と隣り合わせの非日常に、恐怖は拭えない。
しかし、超常の力を得ても、人として越えてはならない一線を踏み出せるほど、遠野は堕ちていなかった。
だからこそ、遠野もそれに習って殺し合いには乗らない。
真夏の夢のごとく、暴力と隣り合わせの非日常に、恐怖は拭えない。
しかし、超常の力を得ても、人として越えてはならない一線を踏み出せるほど、遠野は堕ちていなかった。
「人殺しなんて……出来るわけない。やめてくださいよ本当に!!」
啖呵と同時に遠野は決意した。先輩に相応しい後輩として、この催しに抗う事を。
志を同じくする参加者を探すため、『世界』の遠野は歩を進めるのだった。
志を同じくする参加者を探すため、『世界』の遠野は歩を進めるのだった。
……もっとも、等の先輩は実際には劣情に抗えず昏睡レ◯プを実行するような危険人物なのだが、今だやわらかスマホやアイスティーに睡眠薬を盛られていない遠野には彼の本性を知る術はないのだった。
【遠野@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康、精神的疲労(小)
[装備]:THE WORLDのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いには乗らず、脱出を目指す。
1:先輩は無事だろうか…
2:知り合いがいたら合流したい
3:スタンド……はえ^~すっごい
[備考]
参戦時期は野獣邸にて「なー今日練習きつかったねー」「はぁい」みたいなやり取りをしていた前後。
『THE WORLDのスタンドDISC』を装備しています。
[状態]:健康、精神的疲労(小)
[装備]:THE WORLDのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いには乗らず、脱出を目指す。
1:先輩は無事だろうか…
2:知り合いがいたら合流したい
3:スタンド……はえ^~すっごい
[備考]
参戦時期は野獣邸にて「なー今日練習きつかったねー」「はぁい」みたいなやり取りをしていた前後。
『THE WORLDのスタンドDISC』を装備しています。
【THE WORLDのスタンドDISC】
遠野に支給された。
ジョジョの奇妙な冒険のラスボスの一人、ディエゴ(並行世界)のスタンド。
「自分以外の時間を5秒間止める」能力を持つ。世界のトオノ。
遠野に支給された。
ジョジョの奇妙な冒険のラスボスの一人、ディエゴ(並行世界)のスタンド。
「自分以外の時間を5秒間止める」能力を持つ。世界のトオノ。
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