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  • MONSTER PANIC

コンペ・ロワイアル@ウィキ

MONSTER PANIC

最終更新:2025年03月11日 21:43

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 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!

 ゴブリンスレイヤーと豆銑礼、二人とジェイソンの死闘の火蓋が切られた証であるレールガンの銃撃が響く。
 本来ならば常人には使用不可能で、コンペロワの参加者が誰も住まわぬ世界にある製薬会社『アンブレラ』が開発した人型兵器、ネメシスでもなければ使用不可能な機関銃。
 しかしこの男ならば使える。
 クリスタルレイクにて子供の頃溺死仕掛けるも生き延び、母の復讐として幾多も殺戮を繰り返し、一度は死亡するも雷に打たれ蘇り、不死身の怪物と化したジェイソン・ボーヒーズならば。

 レールガンの弾丸が二人に迫る。
 もし命中すれば、生身の豆銑はもとより鎧を纏っているゴブリンスレイヤーすら成すすべもなく肉片と化すだろう。
 だが当然、二人も何の対策もなくジェイソンの前に立ちふさがっているわけでは無い。
 対処する方法は二人の懐に既に収まっている。

 ガブリ

 二人は弾丸が発射されるや否や、懐からある物を取り出し、一口で飲み込む。
 それは豆銑から見ればデフォルメされたお化けの形をしたクッキーだ。
 この殺し合いの参加者の中で言うならマリオ、ヨッシー、ピーチ姫。そしてクッパ姫がそのお化けを見ればこう言うだろう。テレサと。
 二人が取り出し飲み込んだものは、テレサの形をしたクッキーである。

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!

 二人はレールガンから放たれる弾丸をその身に浴びる。
 何も知らぬものが見ればこれだけで二人は即座に命を散らしたと思うだろう。
 だが現実は違う。
 二人がクッキーを飲み込んだ瞬間、体から紫色の人魂のようなものが現れる。
 それらは弾丸を防ぐといったことはもたらさない。二人はそのまま弾丸を喰らう。
 これで終わり、とジェイソンは考える。
 次は逃げて行ったあの三人を殺そうか、と思案するもすぐに撤回しなければならなくなる。

 なぜなら、二人とも未だ生きているからだ。
 銃弾を浴びて怯みつつもしかし傷は負っていない。
 肉片を飛び散らさなければならない二人は、倒れ伏しつつも銃弾の威力に反している。

 これがさっきゴブリンスレイヤーと豆銑が食べたクッキーの効果である。
 二人が食べたクッキーの名前はゴーストクッキー。
 一見するとお化けの形のクッキーだが、食べると一定時間相手の攻撃を無効化するアイテムである。
 ただし食べた者も攻撃ができなくなるので、本来は敵の攻撃パターンを覚え、避ける為のアイテムだ。

 だが、豆銑はこれを銃撃を躱すために使用した。
 彼にはレールガンの正確な威力など分からない。だが現代の住人ならば、少なくとも銃に撃たれればどうなるかなど自明の理。
 遮蔽物があるのなら話も変わるが、この平原にそんなものはない。
 スタンドで防ぐことも考えたが、自分だけならまだしもゴブリンスレイヤーまで守れるとは思えなかったので、虎の子とも思えるこのクッキーを使用したのだ。

(時間稼ぎにはもってこいだな)

 などと豆銑が考える一方、ジェイソンからすれば理解不能だった。
 ここがエルム街の悪夢よろしくフレディが見せる夢の世界ならいざ知らず、間違いなく現実のはずのここで銃が効かない相手が現れるとは思わなかったのだ。

『おはよう。四時間半ぶりだな、参加者の諸君』

 途中、主催者の放送が会場に響き渡るが、レールガンの発射音と弾丸に阻まれこの場にいる三人は聞こえない、あるいは聞くどころではなかった。
 もっとも、ジェイソンは聞いたところで大した意味など持たなかっただろうが。

 カラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラカラ

 そうジェイソンが思考している間にレールガンの弾が切れる。
 5000発を誇る装填数だが、同時に秒速100発も誇る。
 すなわち、撃ち続けて入れば一分もかからず弾が切れるということだ。
 もっとも、本来ならそこまで撃ち続けずとも敵を殲滅できるので、弱点とは言えない。
 事実、ネメシスが特殊部隊S.T.A.R.S.に掃射した時は十秒もかからず殲滅に成功している。

 しかし現実はこれだ。
 殺戮を期待されて支給されたレールガンは、ただの一人も殺せず使い物にならなくなる。
 もし弾倉が支給されているなら話は変わるが、少なくともジェイソンがハサミとホル・ホースから回収した物の中にそんなものはない。
 ちなみにホル・ホースの支給品の中にはオレカバトル出展のトリケラゲノムというものが存在していたが、現在は主催に回収され代わりに違う支給品が提供されている。
 ともすればそれが換えの弾倉である可能性もあるが、ジェイソンは確認などしていないし、そもそも入れかわっているという事態が起きている発想すら湧いていなかった。

 ならばとばかりにジェイソンはレールガンを捨て、幸福と勇気の剣を構え二人に向かって行く。
 攻撃が通じないことに薄気味悪さを感じつつも、彼に殺戮を止めるという選択肢は存在しない。

 一方、ジェイソンの追撃を見てゴブリンスレイヤーと豆銑の二人は、ここで一度後退を選択する。
 いくらクッキーの効果で相手の攻撃が通じないとはいえ、それは一時的なもの。
 いつまで持つか使った豆銑すら曖昧なものに、いつまでも命を預ける気にはならない。それはゴブリンスレイヤーも同じ。
 二人の視点で言うなら当然の判断。しかし、ジェイソン相手には悪手だった。

 ズッ

「な、何ィィィィィ――――――――――――――――――――ッ!?」

 なんと、さっきまで距離があった筈のジェイソンが一瞬で二人の傍に移動したのだ。
 あまりに理不尽な移動を見て思わず叫ぶ豆銑。
 ジェイソンはそれを好都合とばかりに問答無用に、手に持つ幸運と勇気の剣を豆銑に叩きつけようとする。

「ドギー・スタイル!!」

 豆銑は襲い来る剣を回避すべく、己の腕を糸の様に細くしゴブリンスレイヤーの腕へと伸ばし絡ませる。
 それを見てゴブリンスレイヤーは素早く引っぱり、豆銑の体を己の元へと引き寄せることで、ジェイソンの豪剣を回避した。
 ゴーストクッキーの効果でダメージを受けないとはいえ、いつなくなるか分からないものに命を無条件で預ける気はない。

 ズガァン!!

 ジェイソンに振るわれた幸運と勇気の剣は地面を穿ち、そのまま伝説の剣のなりそこないのように斜めになった状態で刺さる。
 彼はそれを放置し、今度は豆銑へと掴みかかろうとした。

 これはまずい、と豆銑は即座に理解する。
 今はゴーストクッキーの効果で敵の攻撃は通用しない。
 しかし受けないのはダメージだけだ。例えば銃撃を受けた時、ダメージは受けていないがノックバックは受けた。
 ゲームの無敵状態みたいに、何もかもを無効化して敵に攻撃を加えられるわけではない。
 その状態で掴みかかられれば、今はダメージを受けなくてもいずれは通用してしまうだろう。
 ゴブリンスレイヤーが助けるよう動くだろうと言う信頼はあるが、敵の異様さを考えると確実に助かる保証はない。

 そして何より恐ろしいのが、おそらくだが怪物は今しがた下した思考と同じ考えを抱いているであろうと言うことだ。
 さっき銃が通じなかったのに、自分が剣を回避したのを見て、いずれは攻撃が通用するようになると推測して掴みかかる方向に変えたのだろう。
 つまりこの怪物は言葉こそ発さないものの、知性がある。考えを巡らせている。
 少なくともこと殺戮において、こいつは頭が回る。

 豆銑がこの事実に慄く中、ゴブリンスレイヤーもまた頷く。
 彼もまた豆銑と同じ結論に至ったのだ。

 目の前の敵に対し警戒心を新たにする二人。
 しかしここで予想外の出来事が起こった。

「アハハ。やるねぇ~キミ」

 なんと、今まで気絶していたハサミが起き上がったのだ。
 否、手も足もなく宙を浮かんでいるのだから正しくは浮き上がった、だろうか。
 そんな彼が吐く言葉は、内容こそどこか余裕が見えるものの、声色は明らかに上擦っている。
 ハサミのことなど何一つ知らないゴブリンスレイヤーと豆銑が聞いても、怯えているようにしか聞こえない。

 しかし、そんな印象を抱かれていることなど知らないハサミは、ジェイソンとゴブリンスレイヤーたち二人を一瞥すると、ハッと鼻で嗤いこう零す。

「でも今ボクはキミの相手するの嫌なんだよね~。
 だからちょっとだけ失礼させてもらうよ~」

 言ってハサミは飛び去っていく。
 誰がどう見ても完膚なきまでに、言い逃れができないほどの逃走。
 それだけならまだいいだろう。しかし別に問題がある。

「あの方向は……!」

 ゴブリンスレイヤーが思わず呟く。
 理由はハサミが飛び去った方向が、当初の目的地であるソルティ・スプリングだったからだ。
 このままでは危険分子を逃がす対象へみすみす通してしまうことになる。
 だがハサミに対処するにしても、すぐそばにいるジェイソンを無視することはできない。

 スッ

 しかし悪いことは往々にして重なるものだ。
 何やら音がしたと思った次の瞬間、さっきまで二人の近くにいた筈のジェイソンが姿を消した。
 二人はもしや、と思ってハサミの方を見てみるとそこには――

「く、来るな~~!!」

 視界に映る距離にてハサミが必死に逃げる様と、転移を繰り返しながら追いかけるジェイソンの姿があった。
 すぐに慌てて追い掛けようとする豆銑だが、そこにゴブリンスレイヤーが声をかける。

「いいのか?」

 何を、と聞き返しそうになる豆銑だがすぐに気付く。
 自分が言ったことだ。いざとなれば己の命を優先すると。
 だからゴブリンスレイヤーは問うのだろう。ここで退くべきではないのか、と。
 理屈では確かにそうだ。このまま追いかければ、怪物のみならずあのハサミとも戦わなければならなくなる。
 脅威が一つから二つに増えればそれだけで死亡する可能性は増える、ごく当たり前の話。

「理屈で言うなら、ここで退くのが賢いのだろうな」
「ああ」
「だが言ったはずだぞゴブリンスレイヤー。約束は神聖なものだと」

 しかし豆銑に退く気はない。
 客観的に見れば彼に非はないだろう。
 敵が黒子と同じ転移という予想もつかない能力を用い、更にハサミの逃走という予想外が重なった結果だ。
 だが他の誰が豆銑を庇い立てようとも、彼自身がその理屈で逃げることを許さない。

「私は’かませ犬’の役割を果たして見せると言ったのだ。まだ役割を果たしていない以上、逃げる気はない」
「そうか」
「もっとも、ソルティ・スプリングに白井達がいないのなら藪蛇を出す必要もあるまい。大人しく退かせてもらうがな」

 豆銑の言葉にゴブリンスレイヤーは頷き、二人は出発する。
 目指す先は黒子達がいるはずのソルティ・スプリング。もっとも、なんらかの理由でいないのであれば話は変わるが。
 もしそうならそれはそれでいいが、いるとするなら犠牲が出る前に辿り着かねばならない。
 二人は急ぎ歩を進める。


 直後、二人の辺りを漂っていた人魂が消えた。


◆


「何でボクを追いかけてくるのさ~!!」

 ハサミは必死になって逃げながら愚痴る。
 いや、自身では逃げているつもりはない。
 これは一時撤退だ。
 自身だけでは流石に面倒だから、かつて作ったことのあるヒャクメンハリボテメットや、さっき作ったハリボテのゴブリン版みたいなのをもう一度作り、けしかけようと言うだけ。
 断じて、無様に逃げ出しているわけではない。

 だからあの怪物が知らない奴二人と戦っている隙を見て動いたのに。
 なぜか二人と戦うのを止めて追い掛けてくるとは思っていなかった。

 こんなことになるなら、いっそあの二人と組んで戦うべきだったかな? とハサミは一瞬だけ考える。
 しかしそれはすぐに霧散する。
 ブンボー軍団一の技の使い手のボクが、どこの誰とも分からないヤツと手を組むだなんて。

 ホル・ホースの時とは違う。
 あの時はハサミが圧倒的に有利な状況で、気に入ったから引き込んだに過ぎない。

 対して今はどうだ。
 この状況で手を組むよう言えば、まるで自分の身が危ないから助けてくれと言ってるようじゃないか。
 そんなこと、事実がどうであれそう見られることが我慢ならない。

 だからハサミは必死に飛ぶ。
 適当な参加者かNPCさえいれば、未だ勝機はあるはずなのだから、と信じて。


 kill mum kill mum kill mum

 ジェイソンにしか聞こえない「ママ殺して」の声を耳にしながら、彼はハサミを転移を繰り返して追い掛ける。
 ハサミが逃げる傍に転移し、しかし捕まえることなく逃がす。
 これを幾度か繰り返すことで、ジェイソンは普通に移動するより早くソルティ・スプリングへ辿りつこうと言うのだ。

 こう聞くとそんな面倒な手間を踏む必要性があるのかという疑問がわくだろうが、ジェイソンの転移には制限が掛かっている。
 転移は対象を追跡するときのみ使用可能。
 ジェイソンと対象が互いに認識している時のみ使用可能。
 互いに同じエリアにいる時のみ使用可能。
 使用できるのは対象が逃走、隠伏している時にジェイソンが追跡するときのみ。

 このいくつも折り重なった制限がジェイソンの転移には掛かっている。
 その制限に彼は気付いたのだ。
 気づいたからこそ、こうして活用し移動している。

 ジェイソンがソルティ・スプリングを目指す理由は一つ。
 ゴブリンスレイヤーと豆銑に現状攻撃が通用しない以上、一旦他の対象を殺すと決めたからだ。
 そしておあつらえ向きに施設がある。だからそこを目指す。

 ハサミを殺してもよかっただろう。
 しかしかまけていては現時点では殺せない二人に絡まれ、面倒になるかもしれない。
 だから避けた。それだけのこと。
 あの二人が追いかけてこようがこまいが、どうでもいい。
 いずれまた会えたのなら殺すだけ。

 kill mum kill mum kill mum

 母か、あるいは己の望む声を耳に、ジェイソンは殺戮の為に動き思考する。
 そこに意義などない。
 最早ズレにズレた復讐譚に、意義などあるものか。
 ここにいるのは殺戮の為だけに動く怪物、ジェイソン・ボーヒーズ。


◆


 時は少し、具体的には第一回放送より少し前に戻る。
 F-7 ソルティ・スプリングに黒子達四人は居た。
 本来なら更に遠く逃げておくべきだが、それを成せない理由がある。

「ハァ……ハァ……!」

 それは、黒子の疲労にあった。
 ただでさえ消耗が制限により激しくなったうえで、制限がなくてもギリギリな重量を、連続で転移させ続けたのだ。
 今や彼女の体力は限界とまではいかないが、これ以上転移するには無理がある程度の疲労となっていた。

 当初は初夏が黒子を背負って移動することも提案された。
 しかし小柄と言えど人間、それも疲労している相手を運ぶのはかなりの重労働だ。
 初夏が力持ちの逸話のある妖怪ならいざ知らず、彼女は飴舐めであり、そんな能力はない。
 おまけにもうすぐ朝になり、見通しもよくなるだろう。
 真夜中なら夜闇に紛れて逃げると言う道もあったが、それも難しくなる。

「こうなったら仕方ない。一旦どこかに隠れて休もう。
 これだけ建物があるんだ。そう簡単には見つからないさ」

 そこで写影が提案したのは隠伏だった。
 黒子の疲労が激しく、また見捨てるつもりがない写影からすれば、休ませるのは必須。
 しかし野ざらしで休息をとるなど、いつ追手が現れるかもしれない状況でやることではない。
 豆銑とゴブリンスレイヤーが逃げ出すとは思っていないが、敗れる可能性も考慮しなければならないのだから。

 しかしどこかに隠れようにも、何があったのかこの辺りはボロボロだ。
 彼らは知らないが、ここでは既に死亡した艦娘とガンマン。そして帰還させられたウマ娘が黎明にて戦っていた場所である。
 そんな事実を知らない彼らであれど、何らかの戦いがあったことだけは想像できる。

「あそこなら大丈夫そうだけど」

 初夏が比較的無事な建物を見つけ、二人と二匹はそこに入り、窓から見えない位置に腰掛ける。
 写影は黒子を寝かせようと思ったが、当人は動きにくくなると拒絶。
 ならばせめて軽く何か飲み物でもとデイパックに手を掛けたが、ここで問題が発生した。

「飲み物がお酒しかない……」

 この殺し合いで支給される基本支給品は地図と食料とルールブックである。
 そしてその食料の内訳は、インスタントラーメンとストロングゼロがそれぞれ三個ずつである。
 ストロングゼロとは、2009年にサントリーから発売され、今なお人気を誇る缶チューハイである。

 そう、缶チューハイである。酒である。
 水分補給にならない飲み物である。
 そんなものを未成年に支給しているのである。

 正直、主催者は何を考えているのだろうかと、写影はツッコミを入れたくなった。
 未成年飲酒についてはこの際横に置いておくとしても、下手をすれば水不足で動けなくなる参加者が出るかもしれない状況で殺し合いなど、どう考えてもおかしいだろう。

「じゃあ……これ飲む?」

 すると初夏がおずおずとデイパックから瓶に入った液体を取り出す。
 中にあったのは紫色の液体とも少々言い難い何かであった。
 思わず黒子は問う。

「これ、何ですの……?」
「ひ、ひみつ」
「そこで口を濁らせると恐怖しか湧いてきませんが!?」

 小声で叫びながら非難するという器用な芸当を見せる黒子。
 それに弁明すべく初夏は瓶についていた説明書を見せながら口を回す。

「死ぬことはないって説明書に書いてたから大丈夫だと思うけど……」
「死ぬ!?」

 だが初夏の口から出てきた物騒な言葉に写影が反応し、彼は思わず説明書をひったくって読む。
 するとそこはこうあった。

『幽霊型モンスターポウの魂。
 飲むと回復するかダメージを負う。このダメージで死亡することはないので安心』
「嫌だ……」
「だからひみつにしたかったんだけど」

 説明書を見た写影の嫌悪感たっぷりな言葉に、思わず呟いてしまう初夏。
 何をもってこんなものを支給品に選んだのか理解に苦しむ二人だった。

 一方、黒子は説明書こそ読んでいないものの、二人の顔色を見ればあまりよくないものだとは想像がつく。
 しかし初夏がこの場で出してきた以上、別に毒ではないだろうと判断し、黒子は瓶を初夏の手から奪い、勢いよく飲み始めた。

「ええい、女は度胸ですわ!」
「ここ度胸を出す場面じゃないと思うけど!?」

 写影のツッコミもなんのその。黒子はポウの魂を飲み干した。
 すると――

「少し、体が楽になりましたわね……」

 黒子の体力がわずかながら回復した。どうやら当たりを引いたらしい。
 とはいえ回復したのはほんの僅か。まだまだ万全とは言い難い。
 しかし今は移動した方がいいだろう、と彼女が初夏にあきビンを返しながら考えた所で――

「イーッ!」

 外から何かの声が聞こえた。
 獣の鳴き声ではなく、明らかに人の声。
 参加者かはたまたNPC、なおここにいる全員が未だ人間のNPCと遭遇していないので確信はしていないが、ともかく誰かがいる。
 しかし、敵か味方か分からない相手がいる場にノコノコ出ていくのは、現状賢い行いではないだろう。

「じゃあ僕がちょっと様子を見てくるよ」

 なので写影が一人様子を見に行こうと立ち上がった。
 黒子が万全なら自分がいくと言うだろうが、今は違う。
 ならば彼からすればこの場にいる唯一の男が行くべきであろう。なお、いのちの輝きは性別がよく分からないので除外する。

「えっ」

 一方、初夏としては驚きのひと言である。
 曲がりなりにもこの場にいる中では一番年上であろう自分が、明らかに年下の少年の背に隠れるというのはいかがなものか、と考える心はある。
 それにレーダーも持っているのだから、探ると言う意味なら自分の方がいいだろう。
 なので写影を引き留めようと立ち上がりかけるも――

「飴宮さんはできれば黒子の事をお願いします」
「う、うん……」

 押し切られてしまえば、初夏としては言い返しにくかった。
 こうして彼は建物を出ていくが、直後――

『おはよう。四時間半ぶりだな、参加者の諸君』

 ミルドラースの放送が始まった。
 流れる放送を最低限だけ聞いて後は聞き流しながら、写影はさっきの声が聞こえた場所に向かう。
 放送については気になるが、黒子達が聞いてくれるだろうし自分は死者の名前の中に気になるものが無いかだけ確認した。
 結果、オグリキャップだけ後から付け足されているように感じる部分は気になるが、後は気に留めるほども無かった。気に留める余裕がなかったとも言う。
 少なくとも、ゴブリンスレイヤーが探している牛飼い娘がいないことだけは明白だったので、気にしても仕方ないと考えたのだ。

 そうこうしている間に写影は目的地に到着する。
 そこで彼が見たものは――

「イーッ!!」
「この辺りには誰もいなさそうですね」

 白い覆面と全身タイツを付け、棒のような武器を持った怪しげな男数人と

「GOOOOB……!」

 写影が見たゴブリンより数回りは大きい、されど成長したと感じる巨大なゴブリンが覆面男の集団を従える姿があった。
 もしもゴブリンスレイヤーがこの場にいれば、あるいは、このコンペロワの主催者ならば、ゴブリンロードを思い出すだろう。
 そう、ここにいるのはゴブリンロード。小鬼の王。
 しかしこの殺し合いの主催の一味にして、会場に降り立った小鬼王ではない。
 ならばこのゴブリンロードは何者か。
 それを説明するには、ここから更に時を遡らなければならない。


◆


 時は第一回放送前の黎明。場所はE-8。
 シャガクシャがはぐれメタルの倒した報酬として現れた宝箱を開けた者がいる。
 それは参加者の誰でもない、NPCのゴブリン二匹だった。
 うち一匹が宝箱を開けると、中には光線銃と思わしき物体が現れ宝箱は消滅。

「GOB!?」

 箱が消滅するという光景にゴブリンは一瞬驚くも、即座に意識はさっき出てきた銃に向かう。
 銃を持つゴブリンは、試しとばかりに他のゴブリンに銃口を向け引き金を引いた。

「GBGBGB!!」

 すると銃口から光が照射され、浴びたゴブリンはゴブリンロードへと進化を遂げてしまった。

 この光線銃の名前は進化退化放射線源。
 22世紀のひみつ道具にして、光を浴びせると浴びせた対象を進化させたり退化させることができるものだ。
 その光によりゴブリンはゴブリンロードへと進化したのだ。

「GBGB」

 一方、進化退化放射線源を手に持つゴブリンはこの光景を見て、早速自分も進化しようと動く。

 グシャリ!

 しかしそれより早く、先にゴブリンロードとなったゴブリンが銃を持つゴブリンを踏み潰した。
 せっかく強くなれたのに、自分と同格の存在を許す理由は何一つ存在しない。
 死体から進化退化放射線源を奪い取り、彼は気ままに進む。

「イーッ!」

 するとしばらくしてから、今度は白い覆面と全身タイツを纏う、棒のようなものを持った男の集団が現れた。
 首輪をしていない為NPCであることは一目瞭然である。
 そんな彼らの名前はメガデス戦闘員。
 C-7に現れC-5にて散ったメガデス怪人の部下である。もっとも、コンペロワでは特に上下関係は存在しない別々のものとして扱われているが。

 ともかくメガデス怪人戦闘員たちは一斉にゴブリンロードへ、手に持つ武器を向ける。
 一方、ゴブリンロードは試しに進化退化放射線源をメガデス戦闘員の一人へと照射した。

 すると、今度はメガデス戦闘員の覆面と白タイツが消え、ただの人間へと様変わりした。
 ゴブリンロードは戦闘員を退化させたのだ。

 元々悪の組織メガデスは超人サイバーZ1号2号や怪人を見れば分かる通り、人間を改造することで勢力を増す組織。
 なので、戦闘員も当然改造されている。
 ならば退化させれば人間に戻るのは自明の理というものだろう。

 グシャリ

 人間に戻されたメガデス戦闘員は即座にゴブリンロードに殺された。
 それを見た残りの戦闘員は即座に武器を手放し、土下座しながらこう言った。

「許してください。何でもしますから」

 ホモ特有の何でもする発言を聞いたゴブリンロードは、ならば自分に従えとばかりに手を振るう。
 意図を察した戦闘員たちは即座に恭順を選び、王に従い進んでいくのだった。

 こうしてゴブリンロードと戦闘員たちは参加者や他のNPCを従えるべく歩んでいたのだが、特に何の成果もないまま今に至る。


◆


 ゴブリンロードがメガデス戦闘員数人を従えている光景を目撃した写影は、素早く黒子達の元へ戻ろうと決意する。
 幸い、未だ向こうには気付かれていないので情報を伝えるのは難しくないだろう。
 しかし、状況はここで一気に変化する。

「は、はなせ~~~~~!!」

 どこからか悲鳴か聞こえたかと思うと、二人の参加者が姿を見せる。
 否、この言い方は正確ではないだろう。
 正しくは、ハサミが持ち手の部分をジェイソンに掴まれた状態でゆったり歩いて悠然と現れた。

 ハサミは必死に抵抗しようとしているが、持ち手を閉じられた状態では上手く踏ん張れないのか、喚くだけでジェイソンの手を振りほどくことはできない。

(そんな!? 豆銑さんとゴブリンスレイヤーさんは!?)

 仲間が足止めしているはずの怪物が現れ、動揺する写影。
 二人が命惜しさに逃げ出したとは思わない。
 ならば殺されてしまったか、何らかの方法でジェイソンが逃げ出したかのどっちかだろう。
 ともかく、この場から一刻も早く離れなければ、と写影は音が出ることも辞さず駆け出す。

 一方、ゴブリンロードは余裕だった。
 今の自分は強いうえ、手下もいる。
 おまけに目の前の参加者は無数の傷だらけで、ボロボロだ。
 何やら喋る刃物を持っているが、どう見ても大きくて振り回しにくいだろう。
 あんな武器を使うなんて馬鹿だ、と見下していた。

「イーッ!!」

 メガデス戦闘員の一人がジェイソンに棒を持って向かう。
 ゴブリンロードが行け、と目線で命じた故に。
 戦闘員は素早くジェイソンに近づくと、「腰が入ってないんだよ腰が!」と上司に叱られそうな突きで攻撃する。
 だがジェイソンがそんな突きでダメージを負うようならば、ホル・ホースは死ぬことはなかっただろう。
 事実、ジェイソンは意にも介さずハサミを振るい、あっさりと戦闘員は両断される。

「イーッ!!」
「あっ...。チョットコ…」
「うはぁ...」

 続いて残りの戦闘員が勢い込んで、あるいは怯えながらもジェイソンに向かう。
 しかしそんな彼らもハサミの一振りであっさり命を散らし、残りはゴブリンロード一匹。

 ブウン!

 ジェイソンはハサミを振り上げ、兜割りの要領でゴブリンロードの頭に叩き下ろそうとする。
 だがゴブリンロードはただのゴブリンではない。
 ここまで成長してしまえば、四方世界基準で考えるなら銀等級冒険者でもなければ対処が難しい、十二分に強者として扱われる存在である。
 故にこれくらいのことはできる。

 ガシッ!

 ゴブリンロードは振り下ろされるハサミを、白羽取りの要領で受け止める。
 手にある進化退化放射線源が少々邪魔だと感じつつも、今それを捨てることに意識をやればその瞬間頭を割られるだろう。
 なのでゴブリンロードは少々抑えにくい体制で踏ん張るしかない。

 ギギギ

 二人が触れるハサミから軋む音が聞こえる。
 和泉守兼定の戦いで負ったダメージを回復しきれないままジェイソンと遭遇し、さらなるダメージを負ったところで今はこの仕打ち。
 ハサミの体は限界に近かった。

「い、いやだ! ボクがこんなところで、こんな死に方をするなんて!!」

 ハサミは悲鳴をあげるが、二体の怪物にそんなものを聞き届ける神経はない。
 ただ目の前の相手を殺す為、あるいは生きる為にただ力を籠める。
 しかしその時もとうとう終わりが来た。 

 ピキピキ

 ハサミの体が少しずつひび割れていく。
 まるで終わりを宣告するように。

「ボ、ボクはブンボー軍団一の技の使い手なんだ――」

 それを察してハサミは叫び、必死に暴れようとする。
 しかし怪力を持つ怪物二体を振りほどくことができないまま

 パキン

 ハサミの体が割れ、持ち手の部分と刃の部分で二つに分かれる。
 これは人間で言うなら上半身と下半身が力づくで割られたようなもの。
 すなわち、ハサミの死を意味する。

 ブンボー軍団一の技の使い手は強大な怪物ではなく、ジェイソンに襲われた数多の被害者の一部として終わりを迎えた。


【ハサミ@ペーパーマリオ オリガミキング 死亡】
【残り79名】


 一方、ハサミの体が割れたことで二体の怪物は互いに大きくバランスを崩す。
 そこから先に体勢を整えたのはジェイソンだった。
 彼は身体を大きく一回転させたかと思うと、その勢いのままハサミの持ち手をゴブリンロードの首へと叩き込む。

「GBGB!!」

 いきなり首に攻撃を叩き込まれ苦しむゴブリンロード。
 その隙を突き、ジェイソンは次にゴブリンロードの頭にハサミの持ち手で殴りつける。
 もしこの攻撃が並の人間によるものならダメージなどたいしてなかっただろう。
 しかし怪力を誇るジェイソンの攻撃ともあれば話は別。
 一撃でゴブリンロードの頭はひしゃげ、そのまま絶命した。

 ジェイソンはハサミの持ち手を捨て、代わりに刃の部分を拾いある場所に目を向ける。
 そこはさっきまで写影がいた所。だが今はいない。
 しかし居たという事実さえあればジェイソンには十分。
 次の瞬間、彼は姿を消した。

 ゴブリンロードの手にある進化退化放射線源が、死亡した時の衝撃で指が引き金を引き、光線を発射し続けているということに、ジェイソンはついぞ興味を持つこと無く。


◆


「大変だ! ゴブリンスレイヤーさん達が足止めしている筈の怪物がすぐそこに来てる!!」
「えっ!?」
「何ですって!?」

 隠伏という目的を忘れ大慌てで戻って来た写影は、黒子と初夏の二人にジェイソンの到来を告げる。
 その情報に二人は驚くも、ならばこんなところでじっとしている場合じゃないとばかりに、即座に立ち上がり脱出を図ろうとする。
 しかし――

 スッ

 それより早く、ジェイソンがこの場に現れた。

「瞬間、移動……!?」
「そんな……!」

 ジェイソンが瞬間移動可能という事実に驚愕する写影と初夏。
 さて、ここで今一度ジェイソンの瞬間移動に関する制限を確認しよう。

 転移は対象を追跡するときのみ使用可能。
 ジェイソンと対象が互いに認識している時のみ使用可能。
 互いに同じエリアにいる時のみ使用可能。
 使用できるのは対象が逃走、隠伏している時にジェイソンが追跡するときのみ。

 ここで重要なのは、あくまで認識さえしていればいいので別に互いに目視が必要ではないということ。
 すなわち、お互いいることさえ分かってさえいれば隠伏しようとも意味がないということである。
 先ほど写影が足音を立てて移動したとき、ジェイソンはゴブリンロードやメガデス戦闘員と戦いながらも写影の存在に気付いたのだ。

 しかしそんな事実を知る者はこの場においてジェイソン以外存在しない。
 そしてそれを鑑みる道理もない。
 彼は手にあるハサミの刃を無造作に投げつける。

 グサッ

 無造作なれどジェイソンの怪力で投げられた刃を躱すことも防ぐこともこの場の誰にも適わず、あっさりと刃は初夏の腹を貫く。

「にげ、て……!」

 この状況で初夏にできることは、生きている残りの仲間に必死に逃亡を呼び掛けるのみ。
 それを最期に、彼女はごくあっさりと息を引き取った。


【飴宮初夏@こじらせ百鬼ドマイナー 死亡】
【残り78名】


「縺ェ繧薙※縺薙→繧偵☆繧九s縺!」

 初夏が殺された直後、ここまで静かだったいのちの輝きが何かを叫び、ビームをジェイソンに向けて発射する。
 だが普通のゴブリンすら怯ませるほどの威力しか出せないビームが、プロボクサーのパンチ連打を受けても微動だにしないジェイソンにいか程の影響を与えられるというのか。
 事実、彼は何一つ怯むことなく次のターゲットとばかりにいのちの輝きへと歩を進める。

「逃げますわよ!!」

 しかしそうはさせないとばかりに黒子は叫びながらいのちの輝きの体を掴み、同時に初夏のデイパックを回収した写影も黒子の腕を掴んだ。
 直後、二人と一匹は転移する。
 転移先はさっきまで写影がいた場所。すなわち、ハサミやゴブリンロードがジェイソンに殺された場所でもある。

「縺輔▲縺阪?縺ィ縺薙m縺ォ謌サ縺励※!」

 転移した直後、いのちの輝きが何かを叫ぶ。まるで逃げることを非難するように。
 それを黒子は諭す。

「あなたにとって飴宮さんは大切だったようですが、だからこそ逃げなければいけませんわ。
 あの方は最期にそう言ったでしょう」
「雖後□雖後□!」

 まるで聞き分けのない子供の様に騒ぐいのちの輝きだが、いつまでもそうしてはいられない。

 ドゴォ!

 なぜなら、追いかけてきたジェイソンが一塊になっている三人に向けて拳を振るったからだ。
 なすすべもなく喰らい、二人と一匹はそれぞれバラバラになりながら地面を転がる。

「グググ……かはっ!!」
「黒子!!」

 血を吐きながら立ち上がる黒子と、そんな彼女を心配しながらも同じく立ち上がろうとする写影。
 一方、いのちの輝きは死体となったゴブリンロードの傍で動かないままだ。
 死んでいるのか生きているのか、この距離では分からない。

「まあ生きているなら見捨てるようで心苦しいですが、ここは少なくともどちらか一人が残りもう一人が足止めに徹する他無いようですわね」
「だったら僕が!!」

 黒子の息絶え絶えな中で吐き出される言葉に対し、写影は力強く宣言する。
 そうだ。その為に僕がいる。
 この殺し合いでそう動くと決めている。
 どんな手を使おうとも、どんな犠牲を払おうとも。黒子を守ると決めている。

「言いそびれたけど、実はその為の力になりそうな支給品も――」
「お断りですわ」

 しかし黒子は写影の決意に否を唱え、彼を別の場所に転移させた。
 どんな理由があろうとも、風紀委員(ジャッジメント)が一般人の陰に隠れるなどあってはならない。
 なにやら隠し玉があったようだがそれも関係ない。
 例え自分より強いことが明確な超能力者(レベル5)、敬愛するお姉様御坂美琴であろうとも、黒子は同じことをするだろうから。

「とはいえ、今の私にどこまでこの殿方の相手を務められるのやら」

 決意を固めたはいいがどうやって足止めするかと考えたその時、不思議なことが起こった。

「ゆるさないぞ――――――!!!」

 グシャリ

 なんと、さっきまでいのちの輝きが倒れていた場所に別の生物が現れた。
 外見は水色の粘土で人型を作り、顔には口だけを用意したものに、顔の周りへまるでオスのライオンのたてがみみたくいのちの輝きを巻きつけたようなもの。
 ちなみに首輪はいのちの輝きの部分に巻き付いたままだ。

 殺し合いの参加者の誰もが、いや主催者であろうとも知ることはないが、見る者が見ればこういうだろう。
 大阪万博2025マスコット、ミャクミャクのようだと。

「あなた、人の言葉を喋れましたのね……しかも可愛らしい声で」

 突如喋り出した推定いのちの輝きに対し、黒子は唖然としながらもどこかズレた言葉を零す。

 実の所、この突然現れたミャクミャクらしき生物はいのちの輝きである。
 ゴブリンロードの死体が放ち続ける進化退化放射線源の光の偶然浴び、この姿へと進化を遂げたのだ。
 もっとも、件の進化退化放射線源はいのちの輝きにより踏みつぶされてしまったが。

 いのちの輝きは怒っていた。
 それは自らの命を脅かす敵、ジェイソンに対して。
 あるいは、好奇心や好意を抱いていた相手である最初に優しくしてくれた初夏の命を奪われたことに対して。

 一方、怒りに燃えるいのちの輝きに対して黒子は静かに告げる。

「申し訳ありませんが、動けるようでしたら一人で逃げていただけるとありがたいですわ。
 私、これからあの殿方のお相手を務めねばなりませんので」

 黒子は逃げるよういのちの輝きにも告げる。
 生きているのなら逃げられるようにしたいという思いは、何も人間だけに適用されるわけではない。
 明らかに敵意を示しているならともかく、さっきまで行動を共にしていた相手への対応ならば当然のこと。

 しかし、それを当然だと思っていたのは黒子だけだった。

 ジュッ

 いのちの輝きは、さっきジェイソンに放ったものとは比べ物にならない威力のビームを黒子に放ち、彼女の上半身を焼き尽くした。

「な、にを……」
「さいしょにいってた! ゆうしょうすればねがいをかなえるけんりをくれるって!!
 だからゆうしょうしてあめみやをいきかえらせるんだ!!」

 黒子は見誤っていた。いのちの輝きが初夏に抱く感情の重さを。
 否、彼女でなくても見抜けなかっただろう。なにせ、いのちの輝き自身でさえもさっきまで抱いていたのは好奇心だったのだから。
 しかしジェイソンに初夏が殺されるのを見て初めて気づいた。
 いのちの輝きが彼女に抱いていたのは好奇心だけではなく、もっと別の重い感情ものもあると。

 それを人間に置き換えるのなら、子供が母親に抱くような感情。
 すなわち、愛情。

 その為に殺し合いに乗るなんてことは間違っている、と黒子は言いたい。
 しかし、焼き尽くされた今では最早口が動かない。
 ならば彼女の願いは一つ。

(写影、どうかあなただけでも生き残って……)

 この思考を最期に、白井黒子は息絶える。
 愛によって、彼女の命は尽きてしまう。


【白井黒子@とある科学の超電磁砲 死亡】
【残り77名】


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