運命の出逢い
何故、ここだけが日本の学校なのか。
ハリー達との情報交換で、宮田司郎が疑問に抱いた事はそれだった。
牧野慶。
神代美耶子。
風間望。
ジム・チャップマン。
ハリー・メイソン。
そして自分。
『サイレントヒル』の街でさ迷っていた6人の人間が提供し、共有した情報の中で、
この雛城高校だけが明らかにこの街とはそぐわない、異質な存在だった。
何故、ここだけが日本の学校なのか。
答えは分からない。だが、推測する事は出来る。
もしかしたら、ここは変異と何かしらの関わりがある場所なのではないだろうか、と。
その疑問を解く為に、宮田はこの学校を調査する事に決めたのだ。
娘を捜すハリーも、ウィルスから逃れる術を求めるジムも、儀式に固執する兄も、
誰も彼もが変異の解明よりも優先する目的がある。宮田にとってそれは都合が良かった。
足手纏いも有効活用出来て、こうして単身で気楽に動けるようになったのだから。
雛城高校の調査で変異に関する何かが見つかるのか。
或いは何も見つからないのか。今はまだ何も分からないが。
何にせよ、全ては、あの狙撃手を始末してからの話だ。
階段を駆け昇り、2階に到達する。
廊下の左右を見回した宮田の目を引いたのは、突き当たりの教室の上方。
『美術室』と書かれたプレートだった。
「丁度良い」
そう呟くと宮田は迷わずその教室へと歩を進めた。
狙撃手は3階。
安全に校舎を探索するなら早めに始末せねばならないが、彼の武器は拳銃が一挺のみだ。
弾薬に余裕はない。節約する為にも、代用の武器を見つけたいところだった。
幻視を使い、安全を確認した上で、宮田は教室へと足を踏み入れる。
美術室と美術準備室。2つの部屋で、数十分程の探索。
見付け出した戦利品を、宮田は教卓や机の上に並べた。
「こんなところか」
柄が30cm程の大きめの金槌。鋸。ネイルハンマーなどの工具類。
そして何故かロッカーに入っていた、「際田」と名前の書かれた妙に大きな植木鋏。
まともに武器になりそうな物はそのくらいだった。
他にも画鋲やらボンドやらバケツやらブロンズ像型貯金箱やら――――。
何かに使えそうな物もついでとして置いてある。
だが、これら全てを持ち運ぶ事は出来ない。
持つ事自体は不可能ではないが、流石にかさばり過ぎる。
武器として、道具として持っていく物を、今この中から選ばなければならない。
「ふむ……」
宮田は顎に手を当てた。
さあ、どれを持っていこうか――――。
【A-3/雛城高校新校舎2階・美術室/一日目真夜中】
【宮田司郎@SIREN】
[状態]:健康
[装備]:拳銃(5/6発)
[道具]:懐中電灯
[思考・状況]
基本:生き延びて、この変異の正体を確かめる。
0:さて、何を選ぶか。
1:狙撃手を始末後、学校を調べる。
2:変異について詳しい者から話を聞きたい。
※教卓や机の上には美術室で手に入ってもおかしくない物が並べられています。
表記されてるもの以外にも何かの道具が並べられている可能性はあります。
最終更新:2012年06月23日 17:24