ネクタール
実感は、ある。
文字通り脳に叩き込まれた敗北の記憶。あの時のような失態は、今なら犯さない。
ここに到達するまでの速度、すなわち脚力も今までとは比べ物にならない。
あの男に借りを返すだけの能力は、今の自分は充分に持っているはずだ。
男が次、またも邪魔しようとも、殻は必ず手に入れられる。
それだけの自信はある。自惚れや驕りなどではない実感が、確実にある。
だが、それでも。
「彼」はあの男を侮る事はしない。強敵を侮る事はしない。
拳銃や猟銃よりも圧倒的な量の弾丸を放つ銃を、あの男は手に入れていた。仲間もいた。
ならばこちらも、それ相応の力を身につけなくてはならない。
奴があくまでも殻を盗むと言うのならば。確実に奴を仕留めるのならば。
己に出来る事は最大限せねばならない。万全を期さねばならない。
故に「彼」は、この場所に来た。
三角頭。あの鈍重な敵を、適当に誘導した後、ものの数秒であっさりと振り切って。
力を求めてこの場所まで駆けて来た。
あの同族に似た死なない男が殲滅していたクリーチャー達の、大量の死骸。
「彼」にとっては貴重な成長の源が溢れている、この場所まで。
【 ケルブ 】 サイレントヒル 路上 0時59分58秒
【 ケルブ 】 サイレントヒル 路上 0時59分59秒
【 ケルブ 】 サイレントヒル 路上 1時00分00秒
ウウゥゥゥゥウウウウウウウウウウーーーーーー……………………
耳慣れているようで、それでいて何処か違うような気もする。
そんな
サイレンが、鳴り響いた。
食事はとうに終えていた。死骸は全て貪り尽くし、平らげた。
限界まで成長し、それ以上の進化を遂げる事が無くなった新しい身体。
ケルブは空を見上げ、喉を張り、サイレンに応じるかのように遠吠えを上げた。
どうしてそんな事をするのか。自分でも良く分からない。
ただ、殻の遠い遠い記憶に従っただけの生理現象だろうか。
少女の殻を得る上では不必要な行為。それでも、止めようとは微塵も思わなかった。
二度目の変貌で蠢いている街の中に、巨大な猛獣の遠吠えが反響していた。
【B-3/北部/一日目深夜】
【ケルブ(闇人)】
[状態]:ケルブ甲式
[装備]:黒い布切れ
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動指針:美耶子の殻の確保
1:殻を確保
2:邪魔者は殺す
3:邪魔にならない者はどうでもいい
※甲式に変化しました。具体的は外見や大きさは後続の書き手さんに一任します。
※成長は止まりました。これ以上身体が巨大化する事はありません。
※甲式に変化したことでTウィルスがどうなったのかは後続の書き手さんに一任します。
※B-3北部にあったクリーチャーの死骸は全てケルブが食い尽くしました。
※二度目のサイレンは二日目深夜1時00分になりました。
どの様な現象が起こるかは後続の書き手さんに一任します。
最終更新:2014年01月17日 22:27