私は今まで何度もこの世界を繰り返した

今までの世界ではいつでも惨劇が繰り返され。

私はもう諦めてしまおうかと思い始めていたところだった





伝染神(うつりがみ)






・・・・・・今回の世界もみんな死んでしまった、けれど
決して変わらぬ運命との戦い方、抗う心が運命を変えるのだと、
彼がそう教えてくれた。・・・・・・そして本当の敵も解った。
後は次にこの記憶を引き継げれば
この世界は無駄じゃない・・・・・・・!!


「くっくっく、あっははははははははは!!本当に今夜は月の綺麗な夜だこと。
 ね、あなたもそう思わない?」


倒すべき宿敵が笑う、実際には数百回と立ち向かってきた私の怨敵が哂う。


「…………そして、…私を殺すのね」


後一歩、後一歩足りなかったがために『また』起きた悲劇。


「えぇ。殺すわ。女王感染者の死体が作戦の鍵なの。
 あなたはここから遠く離れた東京の地での醜い政治的権力争いの具になるのよ。
 そして、鬼ヶ淵村の伝説のピリオドとなる」


きっと私は鷹野の心酔する鬼ヶ淵村の本当の綿流しになぞらえて殺されるだろう。
ハンカチで眠らされ腹を割かれて殺されるのだろう。


それじゃあダメだこの事を絶対に忘れないために今眠らされる訳にはいかない・・・!!


「・・・・・・あなたが私の腹を裂くのを、私は魂に刻み付ける。・・・・・・それを私は
 絶対に忘れない。あなたに再び会った時、あなたが敵であることを思い出す
 ために」


交渉の結果眠らされなかったのはいいが私は後手に手錠か何かで縛られ、
更に両足も縛られ、しかもその縛られた両方までも結んで縛られたので
まるで海老のような格好になってしまった。


それでも私に後悔はない、
今まで、これだけ精一杯人生を戦った事は無かった。
そして、これだけ多くの事を学んだ事は無かった。
だから不思議と満足だった・・・・・・
けれど鷹野という黒幕の正体を掴んだのはこの世界だけの束の間
どんな手を使ってでもギリギリまで生きて記憶を残さなくては意味が無い。
忘れたら、私の周りで眠っているみんなの死と努力を無駄にする事になるのだから・・・


その時不意にワゴン車が何かにぶつかり、その弾みで壁に打ち付けられてしまった。
激しい痛みが体中を駆け巡るが、その代わり手枷や足枷が外れた。
苦痛を意に介している暇も無いこれなら逃げて時間を稼ぐ事ができるかもしれない!!
私は立ち上がり何度も、何度も壁に体当たりしてやっとの事で扉を開け、



そして―――――――私は唖然とした。



鷹野は古手神社へ向かうと思っていた、しかしここは全く違う場所・・・・・・・。
いや場所だけじゃない、今までの経験上分かる、空間も時間も次元すらも違う・・・・・・。
・・・・・・生き物が関わってはいけない世界を感じる・・・・・・・。
羽入に近いが、しかしもっとおぞましいモノ・・・・・・そんな存在が支配しているような・・・・・・。
・・・・・・・・よい方向に考えれば、もう鷹野から逃げる必要は無くなったという事でもある。
だが・・・・・・
「羽入!!どこなの、羽入!!・・・・・・・・ダメだわ、やっぱりいない。
 私だけがこの異質な空間に連れてこられたという事なのかしら?
 それとも・・・・・・どちらにせよ、ここから出なければせっかく辿り着けそうな
 世界にも辿り着けないということね・・・・・・・・」


それならばまずは装備の調達だ、いくらなんでも丸腰でこんな所には居られない。
私は運転席に回り込みその惨状を確認した。
やはり運転手は死んでいた、幸いな事に圧死ではなかったので車内から
簡単に引きずり出す事ができた。
しかし本当に驚かされたのは車体のヘコミ方である。
奇妙な事に車の真ん中が運転席を真っ二つにするほど窪んでいる。
まるで何か巨大な鉄柱にでも衝突したかのような有様だ。


「まぁ、あまり気にする事では無いのだけれど・・・・・・」
私は出来るだけ素早く装備を剥ぎ取り、今更ながら誰も見ていないかどうか確認した。
すると、背後に人影が見えた。そいつはこちらに気付いたのか、
どんどんと近づいてくる。
その人は――――



「赤・・・・・・・・・坂・・・・・・・・・・・?」



















「えぇ!?人見さんが行方不明になった!?」


ぼくは慌てて兄さん、霧崎水明に詰め寄った。


「あぁ、休暇中ウェストバージニア州に住む知人を訊ねると言って出て行ったきり
 戻ってこないらしい。」
いつになく真剣な表情で、兄さんは言った。
あの年中バイクを乗り回している人見さんが事故にあうところも
また、あれだけ聡明な人物が道に迷うところも想像はできなかった。
ぼくは何か他に手がかりはないのか説明を求めた。
すると、兄さんはつぶやくように言った


「・・・・・もしかすると、〔サイレントヒル〕が関係しているかも知れん」
「サイレントヒル?なんだい、それ?」


どうやら、また兄さんのオカルト話が始まるようだ。
ぼくはこれまで、現代科学では解明できない様々な怪事件を見てきたし、
今回の人見さん失踪事件にも何らかの関わりがあっても
驚く事ではない。ぼくは兄さんの詳しい長話を聞くにした


「サイレントヒルは別名霧の街といわれアメリカの一部で語り継がれる都市伝説だ。
 そこでは常に霧が立ちこめており、そこに迷い込むと、〔奇怪な怪物〕に襲われる、
 だとか、〔魔女〕の生け贄にされる、だとか言われている。
 その他にも罪のある人々が誘い込まれ、怪物達に裁判に掛けられる、
 赤錆びた別の世界へ連れて行かれるなどのバリエーションがみられる。
 キャッスルロックやアーカム同様のフィクション上の架空の街とされているが、
 どこが出展元かも、この話の終わりもわからない、掻い摘んで言うとそんなところだ。 」





・・・・・・?
おかしい、1つの都市伝説で朝まで語りつくせるあの兄さんが、
掻い摘んで言うと・・・・? 兄さんの眼の下には1日2日では
できないような大きなクマができている。よく見れば、随分と衰弱しているようだった。
何だかんだいっても、やはり数少ない心の許せる友人の人見さんの事が心配で、
サイレントヒルについて徹夜で、徹底的に調べていたに違いない。


「行ってみたらどうだ、と、冗談で言ってみただけだったんだがな。
 どうやら本気で調べに行って、本当に辿り着いちまったらしい、
 そこでだ・・・」


「そこで、ぼくに人見さんを探しに行けっていう訳だね」


大体の察しがついたので、兄さんに尋ねる。


「・・・・・そうだ、あの人見が何も残さずに消えるとは考え辛い。
 せめて何か手がかりだけでも見つけてくれればありがたいんだが」
なるほど、確かに一度転ばせたら8倍返しされそうな人だった。
人見さんはちょっとキツイところもあるけど、大切な仕事仲間だ。
貴重な休暇を全て潰してでも探しに行く価値がある。



「わかった、それじゃすぐにアメリカ行きのチケットを用意するよ、
 できれば、今日中にね」
すると兄さんは安堵の溜息を吐いて、椅子に深く腰掛けた
「そうか行ってくれるか、本当は俺が行くべきなんだが、どうにも仕事が溜まっていてな
 かたずけたら俺もすぐ行く」
そりゃあそんなクマができるほど調べ物に没頭していたら仕事も溜まるだろう。
ぼくが部屋を出て行こうとすると兄さんが引きとめて、年代物のカメラと御札を渡してきた。
「こいつを持っていけ、もしサイレントヒルに入った時何かの役に立つかもしれん
 このカメラはファインダー越しに霊的なものや残留思念が見え、
 その見えた霊を写すと封じ込める事ができるものらしい。」


先日、怪しげな妖気を無料で垂れ流していた骨董品屋で入手したものだという。そのカメラがもっと前に、呪いや祟りなど日常茶飯事の警察史編纂室に所属する
前くらいにあったらと思うが、
過ぎてしまったものは仕方ないか。

続いて御札の方は、兄さんにしては珍しい一般的な作りのものらしかった。
何時になく心配性な兄を見て、ぼくは苦笑しながらドアノブを回し
「大丈夫、心配しなくても2,3日したら戻ってくるよ」
そう元気付けたのだが。












どうもそんなに簡単にはいかなかったらしい。
最後の訪問先である人見さんの友人宅に行って事情を聞いた後、
ニューヨークの医学学会に行く途中、深い霧の中に入ってしまった。
これはもしや?そう思い引き返そうとしてもなんと道がないのだ。
正確には音も振動も無く、とても渡れそうに無い規模の地割れが起きた。
そうとしか説明のしようの無い状況だった。
何度かためしたのだが携帯も通じそうに無い、まさに陸の孤島だ。
なるほど、こんなところに閉じ込められたら一ヶ月も戻って来ない訳だ。


これは推測の域を出ないがこの現象こそが〔サイレントヒル〕なのではないだろうか
これだけの規模の怪現象が起これば魔女や怪物の姿を思い描くに違いない
そう推理していると目の前の地割れの音と振動が遅れて背後から襲ってきた。
その音の中心にいたのは、随分と小さな人影を二つ見つけた。
ともかく情報を集める事が先決だ、霧の向こうの人物に話を聞く事にした。



「きみ、一人かい?」
この街は驚く事ばかりだ、二つあったはずの人影が近づくにつれひとつになっていった。
消えた方の人影は12〜3歳位に見えたのだが・・・
しかもそこにいた少女は男の遺体から武器を奪っていたようだ。
ここは慎重に事情聴取しなければなるまい。


「ぼくは警視庁警察史編纂室所属の風海警部補といいます」
ぼくは警察手帳を取り出し少女に見せた。
「みぃは古手 梨花、というのですよ、にぱー」


状況に見合わない朗らかな挨拶だ、この少女は何か怪しい。
何か裏があるような、まるで、人の死を見慣れているかのような。そんな雰囲気を感じた。
ぼくはそもそも何故この男性は武器を所持していたのか聞く事にした
「梨花ちゃん、なんで、この人は武器を持っていたのかな?」
できるだけ優しい口調で言ったつもりなのだが、
何故か哀しげに俯かれてしまった。


「この人は、ぼくを殺そうとした悪い悪い人なのです・・・・・」
「!?もっと、詳しく教えてくれないかな?なにか言ってた?
 殺害目的は・・・」


何かの誘拐事件に関連があるのではと思い、立て続けに質問したのだが
梨花ちゃんは一瞬困った顔をして、やはり場違いな笑顔でこう答えた。


「・・・・・・・風海もこれを持ってもっと落ち着ける場所に行くのですよ、
 ここにいたら怖いお兄さんと勘違いされてしまうのです」
「え?あ、ああ・・・・・・」


梨花ちゃんから防弾ジャケットと防刃ジャケットを受け取る
確かにこんな血生臭い所に少女と大人がいたら要らぬ勘違いを招いてしまう。
隣にあるワゴン車を見るに先ほどの騒音は交通事故によるもののようだ、
この男性の遺体も事故によるものだろう。
ただ、男性からはこれほどの臭いがするほどの血を流してはいなさそうなのだが・・・・・
なんにせよ、ここから離れ彼女から話を聞く必要がありそうだ


ぼく達は事件現場のワゴンから深い霧の中へ歩き始めた




【E-2町外れ/一日目夕刻】


【古手 梨花@ひぐらしのなく頃に】
 [状態]:健康 、L3-、鷹野への殺意
 [装備]:山狗のナイフ
 [道具]:懐中電灯、山狗隊員のバック(中身は不明です)
 [思考・状況]
 基本行動方針:サイレントヒルから脱出し、記憶を『次の世界』へ引き継ぐ。
 1:風海と同行し安全な場所に移動。
 2:風海と情報交換。



 ※皆殺し編直後より参戦。
【風海 純也@流行り神】
 [状態]:健康
 [装備]:拳銃@現実世界
 [道具]:御札@現実、防弾ジャケット@ひぐらしのなく頃
    防刃ジャケット@ひぐらしのなく頃に、バック(小)(中に何が入っているかはわかりません)
 [思考・状況]
 基本行動方針:サイレントヒルの謎を解き明かし、人見さんと脱出する
 1:落ち着いて話のできる場所を探す
 2:古手梨花と情報交換
 3:人見さんを探す




 ※人影は羽入ではないようです


 ※ワゴン車は何か大きな物に当たったようです、元からそこにいた
  大型クリーチャー(レッドピラミッドシイング、闇人乙式など)
  が吹き飛ばされているかもしれません。


 ※圭一達(皆殺し編ラストから登場)の死体はワゴン車の中に、放置されています
  放っておくとゾンビ化するかもしれません 。


 ※運転手の死体はワゴンの外に放置されています 。


 ※まだ車内に武器が残っているかもしれません。


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最終更新:2012年06月20日 20:46