魔王と邪神





病院内に風が吹く、流れる様に揺れる黒髪、
それに沈みかけた夕日の光りが反射して
まるで女神のような美しい顔立ちに華を添える


彼女の名は岩下明美、外は夕日で橙色に染め上げられた霧で充満している。
先程まで鳴神学園で殺人クラブのメンバーと共に
早い者勝ちの『狩り』に参加する準備をしていたはずだった、
それが何故にいるのか?


その疑問は彼女の首を見れば解ける。



彼女の首にはルーベライズと呼ばれる宝石を首飾りにした
所謂幸せのネックレスを下げている。
このルーベライズという宝石実はパワーストーンとしては最高級品
手に握り願うだけで持ち主の希望を叶えるのだ
多大な不幸を対価として・・・
彼女が願った事はこうである
『もっと理由のある狩りをしたい、理由も無いのに殺すだなんて、
 ただのケダモノのすることだから』
もっとも、別にルーベライズに対して願ったわけではない。
たまたま首から外そうとした時願ってしまったのだ


まばゆい光りと共に突然周囲の風景が変わったため最初は驚いたが
理由はすぐにわかり、そして現状に対して不満を述べる


「こんな薄汚れた病院に何があるっていうのかしら?」


願った事が願った事だけにいきなり襲われるという事も覚悟したが
特にどうという事も無かった。
幸いな事に彼女が最初にいたのはオペ準備室だった。
小型の刃物を使うのが得意なためにメスなど数種の刃物を頂戴した
その最中にオペ室からうめき声がするのに気がついた。
気になって入ってみると・・・


白衣を着たゾンビが5体、ストレッチャーの上の死体を貪っていた。
医者が一転患者になってしまったかのようなその光景は、一般人なら
確実に腰が抜けてしまうだろう。
しかし彼女は笑い出す。
狂気から来るものでもなく
恐怖から来るものでもなく
ただただ楽しそうに


「うふふ・・・・霊でもないし、呪いでもない。なのに死体が動くだなんて・・・・
 うふふふふふふふ・・・・・・素晴らしい世界に放り出されたものだわ・・・」
その言葉を聞いてグールの群れは動き出す、まるで首にかかった宝石に
元の姿に戻してほしそうに・・・・
あぁ・・・・
あああぁ・・・・
ああああぁぁぁ・・・・・


うめき声を上げながら近づいてくる医師達。


「あらいやだ・・・・」


僅かに顔を顰めて彼らを殺す
グシャッ!!一体目のこめかみにメスをつき立て一気に差し込む
その次も、その次も、その次も・・・・・
舞踏のように鮮やかになされたその行為は、ある種の流麗さすら感じさせる。
そして最後の一体の首を割くとグラリ、首は後ろに倒れ込む。
喉から口内が見えているのに、それでも尚動き続ける死体。
驚いた様子で微笑を漏らす、その直後、彼女は突き放すように
後ろにトン、と首を押した。
ポキャン!という退屈な音を立てて、死体は倒れ込んだ。


「うふふ・・・なるほど『襲ってきたから仕方なく』という理由をくれたのね、
 そして襲われるという事が不幸な事・・・・・」


しかしそれは岩下にとって不幸でもなんでもない
彼女にとって本当に残念なのは


「次はきちんと呪いや魔術で動いてる死体と遊びたいわ・・・・」


ルーベライズは怪しく光る、そして持つ者に不幸を与え、希望を叶える。
廊下に出るとそこには素晴らしい光景が広がっていた


「・・・・・・うふふふふふ・・・・運命は素晴らしいわね・・・・・」


そこにはこの街の誰もが今だ経験した事の無いほど溢れかえった
無残な顔のナース達がいた・・・・・
何人かは銃を向け、また何人かは鉄パイプを握り締める。
ゴリッという音と触感、こめかみに銃が突きつけられる。
そして・・・・・・!
































………話は冒頭に戻る
今、彼女はエレベーターを降り中庭から吹く風に艶やかな黒髪をたなびかせている
制服は血に染まり手にはもはや手になじむほどまで使い込まれたメスと
哀れな被害者から奪った拳銃が握られていた。
手に持っている学生鞄のチャックには戦利品や、使った凶器などが収められたのだろう、
血がべっとりと付着している。


女神のような美しさ
悪魔のような漆黒の心


それが岩下明美という女性だった。
他の人に持たせて更に宝石を美しく輝かせてみようかとも思ったが、
ここに人はいそうも無い、彼女はまた願う。
『理性のある人に会わせて頂戴』と



さて何度も言う様であるがこれは希望を叶える代わりに、不幸を与える
そういう代物である。
しかし前二つの願いは彼女にとって不幸でもなんでもないことであった
これはどういうことか?それは『理性のある人に会う』
この願いに不幸が集中したからだと言わざるをえない


願いはすぐさま叶えられたが
彼女には3つの不幸が降りかかった
一つ目の不幸は、相手が理性ある人間ではなく、
        理性ある人型の化け物だったという事


二つ目、彼には理性がある、理性があるからこそ、
    目の前の女は自分が隠れ蓑とするには不足である。
    そう判断された事。


三つ目、魔力を落としてしまった今の状態なら、力ずくでも手に入れたい・・・・
    そんな魔力の源が首から下がっていた事である












シャキン、











シャキンシャキン、













ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャ
キン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!
ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキ
ン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!
ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャ
キン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!ジャキン!







               ジャキン!!





次元の裂け目に落とされた邪神の使い。
宝石の魔力で戦場に舞い降りた悪魔。
双方とも無駄なく構え、場は緊張し、空気が張り詰める
2人の舞踏会の幕を開けようと、世界はうねり、形を変え、黒く染まり・・・・・・
















――――――――そして、サイレンは歌いだす。




















【B-6アルケミラ病院一階廊下/一日目夜】


【岩下明美@学校であった怖い話シリーズ】
 [状態]:健康、殺人クラブ部員 、疲労(中)
 [装備]:拳銃、メス
 [道具]:生徒手帳、学生鞄 (複数の医療器具、拳銃などが入っています)
     『ルーベライズ』のパワーストーン@学校であった怖い話SFC?
 [思考・状況]
 基本行動方針:パワーストーンを輝かせるための生け贄を探す
 1:目の前の少年を殺す、負けそうになったら適当に逃げる 。
 2:何処かで服を着替えたいわ・・・・
 3:幸の薄そうな人を探してパワーストーンの輝きをより上質なものにする


※参戦時期は新堂と同じ、早い者勝ちを宣告された後です
※2階はかなり酷い状態になっています、誰かが見たらショックを受けるかもしれません


【『ルーベライズ』のパワーストーン@学校であった怖い話シリーズ】
握り込んで願えば何でも願いが叶うというパワーストーンの最高級品。
所謂幸せを呼ぶペンダントなのだがその代償として多大な犠牲を要求する。
回数制限の無い猿の手のようなもの、というのが近いかもしれない。
願いを叶えるたびに魔力が増幅しそれにより輝きが増す。
学怖本編では『天才になりたい』と願えば急速に脳が発達し死に至り。
      『大金持ちになりたい』と願えば両親の死により保険金が入りました。
本ロワでは強力すぎるため不幸:願い=7:3位の方がいいかもしれません。


【エドワード@クロックタワー2】
 [状態]:健康。魔力が減っている。
 [装備]:特になし。
 [道具]:特になし。
 [思考・状況] 皆殺し。赤い液体の始末。
 基本行動方針: 人の中に紛れて機会をうかがう。
 1:目の前の女を殺し、魔力を取り戻す。
 2:ここを出て、集団に潜む。
 3:か弱い少年として振る舞う。


※魔力不足で変身できません。が、はさみは出せるようです
※サイレンが鳴りました,建物は赤黒い錆に包まれて構造が変わり、開かないドアや
アンプルや栄養剤などの一部飲料アイテムを除いた水が赤い水@SIRENになりました。


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伝染神(うつりがみ) 投下順・目次 Plague Queen
 
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岩下明美 輝き
彼らは時と場所を越えて此処に集う エドワード(シザーマン) 輝き

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最終更新:2012年06月28日 19:43