系譜
解説
- 別名はディオメーデス、ディオメーデース。
- トロイア戦争で、ディオメデスはアカイア勢でアキレウスに次ぐ二番目に強い戦士だった。彼は大アイアスに拳闘大会で勝った。彼はヘクトル(トロイア最強の戦士)に二度勝ち、アイネイアス(トロイア二番目の戦士)に一度勝った。
- 勇気と狡知が要求される諜報活動に参加した英雄は、彼とオデュッセウスだけだった。
- 彼は最も神の加護を受けた。彼はアテナのお気に入りの戦士だった。彼はオリュンポスの神々と戦い、傷をつけた唯一の人間だった。
- ディオメデスとメネラオスだけが、後に不死を与えられ神となった。
エピソード
誕生~エピゴノイ
父テュデウス、テバイで戦死する カリュドンに住んでいたテュデウスは、伯父のアグリオスから訴えられそうになった時、アルゴスへ逃げた。その地でアルゴス王アドラストスの娘デイピュレと結婚した。テュデウスは「テバイ攻めの七将」として知られる遠征に参加した。この遠征は失敗し、参加者は全員殺された。アテナはテュデウスを不死にしようとしたが、彼が敵兵の脳を食べた時、その企てを断念した。
エピゴノイの一員となる 父が死んだ時、ディオメデスは4才だった。葬式でテバイ七将の子ら(アイギアレウス、アルクマイオン、アムピロコス、ディオメデス、エウリュアロス、プロマコス、ステネロス、テルサンドロス)は会い、いつかテバイを征服することを誓った。彼らは「エピゴノイ」と呼ばれたが、これは「後に生まれた者たち」という意味である。10年後、アルクマイオンをリーダーとしてエピゴノイは軍勢を集めた。兵はメッセネ、アルカディア、コリントス、メガラから集まったが、テバイ勢に比べると少なかった。
テバイを攻略する テバイ攻めの主な戦いはグリサスで行われた。そこでアイギアレウス(アドラストスの子)はラオダマスに殺された。ディオメデスは15歳、軍勢中で最強の戦士だった。エピゴノイは勝利し、テバイ人はテイレシアスの助言に従い、逃走した。アルギブ人の将たちはテバイを略奪して故国に帰ったが、テバイ市はテルサンドロスに譲った。
アルゴス王になる アドラストスは息子アイギアレウスの戦死を悲しむあまり死んだ。アイギアレウスはテュデウスの娘コマイトと結婚していた。戦争から帰還したディオメデスはアイギアレウスの娘アイギアリアと結婚した。彼はアルゴス王となり、若年にしてギリシャ最強の王の一人となった。
祖父オイネウスに尽くす カリュドンでテルシテス率いるアグリオスの子らが、彼の祖父オイネウスを投獄し、アグリオスを王位につけた。ディオメデスはカリュドンを攻め、祖父を王位に復権させた。アグリオスは自害し、テルシテスとオンケストスはペロポネソスへ逃げ延びた。後にオイネウスは王位を義子アンドライモンに譲り、ディオメデスに会いにアルゴスへ向かったが、途上でテルシテスとオンケストスに暗殺された。犯人は見つからず、ディオメデスは祖父を悼んでオイノエ市を創立した。後に、テルシテスはトロイア戦争に参加したが、高貴なディオメデスは彼を虐待したりはしなかった(全アカイア人がテルシテスを憎んでいたが)。敵の女戦士ペンテシレイアの死にアキレウスが涙した時、テルシテスはそれを嘲笑いアキレウスに殺されたが、アキレウスを処罰しようと主張したのはディオメデスだけだった。
トロイア戦争
トロイア戦争に参加する 数年後、ディオメデスはヘレネの求婚者の一人となり、テュンダレオスの誓約に署名した。それは、ヘレネの夫となった男が危害を受けたら、その男を全ての求婚者は助けなければならないという署名だった。メネラオスの妻となったヘレネをパリスがさらった時、誓約に署名した全ての求婚者はメネラオスの兄アガメムノンによって召集された。奪われたヘレネとスパルタの財産を取り戻すため、彼らはトロイア戦争へ赴いた。
イピゲネイアを誘い出す アカイア勢がアウリスに集結した時、ディオメデスは幾多の冒険を共にした戦友オデュッセウスに会った。二人はアテナに好まれた英雄で、性格も似ていたが、早速アウリスで、協力することになった。アウリスを出航するために、アガメムノンが娘イピゲネイアをアルテミスへ犠牲に捧げることになった時、二人の無慈悲な友人は彼女をミュケナイからアウリスへ、結婚話があると偽って誘い出したのだった。
パラメデス殺しに協力する トロイアで、オデュッセウスは釣りをしていたパラメデスを溺死させた。別の説では、パラメデスがギリシャ人に帰国を勧めた時、オデュッセウスはあらかじめ偽りの証拠を仕掛けておいて、パラメデスが敵と内通しているとし、パラメデスを石打ちの刑に追いやった。ディオメデスはこのオデュッセウスの企てに協力したという。
神と戦い傷つける ディオメデスはほとんどアイネイアスを殺す所だったが、アプロディテがそれを救った。しかし、女神はディオメデスに傷つけられたため、アイネイアスをアポロンに引き渡した。なおも執拗な攻撃をやめようとしないディオメデスを、アポロンは怒鳴りつけ戒めた。また、ディオメデスはアテナの助けでアレスを傷つけることができた。
パラディウムを盗む オデュッセウスとディオメデスは木像パラディウムをトロイアから盗んだ。オデュッセウスは乞食に扮してトロイアへ入り、門番を殺し、パラディウムを盗み出すと、ディオメデスと船へ持ち帰った。
[[トロイの木馬]]に入る オデュッセウスは戦争の最後にトロイの木馬の計略を考えついた。巨大な木馬の内部の空洞にアカイア兵を潜ませたが、ディオメデスもその中の一人だった。敵が入っているとも知らず、トロイア人は木馬を市内に引き入れた。夜になって、トロイア人が寝静まると、木馬の中から兵が出てきて、門を開き、アカイア軍を引き入れた。
戦後故国に帰れない 戦争後、パラメデスの件が彼につきまとった。パラメデスの兄弟オイアクスがアルゴスへ行き、アイギアレイアにディオメデスが戦場で愛人を作っていると報告した。アイギアレイアはアルギブ人の助けで、ディオメデスが帰還して町に入ろうとするのを妨害した。