系譜
解説
- 別名アテーナー、アテーネー、アテネ。
- 彼女は配偶者も恋人も持たず、アテナ・パルテノス(処女アテナ)として知られる。最も有名な彼女の神殿はアテナイのアクロポリスにあるパルテノン神殿である。
- ヘスティアやアルテミスと共に、「ギリシア神話三大処女神」のひとりとされる
- 彼女はヘパイストスによる未遂に終わった暴行によってエリクトニオスの母(処女母)となる。
- ゼウスから与えられたアイギスと呼ばれる胸あてを着ている。しばしば兜と楯を持って現れる。楯にはペルセウスから贈られたメデューサの首がついている。
- アテナはフクロウを使いとする。また、しばしば勝利の女神ニケを使いとする。
- ローマ神話ではミネルヴァに相当。
- アテナの名の語源はいくつか説があるが、はっきりしない。
- サンスクリットのvadk(打つ)とadh(丘)という説がある。
- 「花」と「乳母」の意味のギリシア語という説がある。
- チレニア語のati(母)とHurrianのAna(女神"Hannahannah"を縮めたもの)が複合したものという説がある。
- アテナにしばしばつく詩的な添名パラス(Pallas)は「打つ」か「少女」の意味のギリシア語に由来するだろうという。
オデュッセイアでのエピソード
- ゼウスに頼んで、オデュッセウスを帰国させることを決定した。イタカへ出向きテレマコスを励まし、父親の消息を求めて旅に出ることを勧めた。(第1歌)
- 集会後、メントルに姿を変えて、落ち込むテレマコスを励ました。船の手配をし、テレマコスを船に案内し出発させた。(第2歌)
- テレマコスを導き、ネストルに会わせた。ネストルにテレマコスのことを頼むと、ヒゲワシになって飛び去った。(第3歌)
- ペネロペの夢枕に、彼女の妹イプティメの姿で現れ、慰めた。(第4歌)
- ナウシカアの夢の中に現れて洗濯に出かけるよう語りかけた。(第6歌)
- 水瓶を持った少女の姿になってオデュッセウスをアルキノオスの屋敷へ案内した。(第7歌)
- 冥府でヘラクレスはオデュッセウスに語った。「わしもかつてこの場所へ冥府の犬を連れ帰るべく差し向けられた。わしは見事にその犬を地上に連れて帰ったが、この時ヘルメスとアテナが付き添って下さった」(第11歌)
- イタカに着いたオデュッセウスの前に、若い男に扮して現れた。彼を乞食姿に変え、豚飼を訪ねるよういって、テレマコスを迎えにスパルタへ行った。(第13歌)
- テレマコスに帰国をうながした。(第15歌)
- 豚飼の小屋で、オデュッセウスの変身を解き、テレマコスと再会させた。(第16歌)
- 求婚者の前に出る気になったペネロペを眠らせ、眠っている間に美しい化粧を施した。(第18歌)
- 足洗いの場で、老女がオデュッセウスの正体に気付いた時、ペネロペの心をほかに逸らし、気づかせないようにした。(第19歌)
- オデュッセウスの枕許に立ち、戦いの援助を約束した。宴会の席で求婚者たちの心を狂わせた。(第20歌)
- ペネロペに弓の競技会を思いつかせた。(第21歌)
- メントルの姿で戦場に現れ、オデュッセウスを助けた。(第22歌)
エピソード
- ゼウスの額から誕生、完全武装した女性の姿で
- ポセイドンとアテナイの所有権を争った。そこで、彼女は最初のオリーブを、彼は最初の馬を育てた
- 巨人族と戦争。エンケラドスをエトナ山でつぶして殺した。パラスの皮でアイギスを作った
- ヘパイストスの暴行未遂。彼は子種を大地に撒き、エリクトニオスを生した。彼女はその子を養子にした
- ペルセウスを助けた。彼のゴルゴン征服と、金毛の羊皮を求めたアルゴナウタイにおいて。
- ヘラクレスを助けた。彼の12の試練において
- アラクネと織物の腕を競った。彼女は女神によって蜘蛛に変身させられた
- テイレシアスを盲目にした。浴室で彼女の裸を見たから
- パリスの判定。そこで彼女は、黄金の林檎をかけて、ヘラとアプロディテと競った
- トロイア戦争。彼女はギリシャ勢についた。しかし小アイアスがトロイアのアテナ神殿を穢した際に罰されなかったので、ギリシャ勢の船団に嵐を送った
ゼウスの額から誕生する ゼウスは、様々な姿に変身して彼から逃げようとしたメティスと交わった。彼女が妊娠すると、ゼウスは彼女を飲み込んだ。彼女の腹にいる娘が生まれた後、次に生まれる男の子は天空の支配者になるだろうと、ガイアが言ったからである。誕生の時が来ると、トリトン河のそばで、プロメテウスが(別の説ではヘパイストスが)ゼウスの額を斧で撃った。頭頂から完全武装したアテナが飛び出した。
+ | 注釈:アテナの誕生について |
アテナイの所有権を[[ポセイドン]]と争う 初代アッティカ王ケクロプスの時代に、神々はそれぞれ自分の崇拝されるべき都市を獲得することに決めた。ポセイドンはアッティカに最初にやってきて、三叉のほこでアクロポリスの中央をうち、エレクテイスと呼ばれる海を作り出した。彼の後でアテナが来て、ケクロプスを証人に呼んで、オリーブの木を植えた。アテナとポセイドンがこの地の所有権を争った時、ゼウスは十二神に審判をさせた。アテナが最初にオリーブの木を植えたとケクロプスが証言したので、十二神はこの地をアテナのものと判決した。アテナは自分の名をとって、この市をアテナイと呼んだ。ポセイドンは怒ってトリアシオンの野に洪水を起こし、アッティカを海に沈めた。
エリクトニオスを自ら育てる アテナは武器をつくるためにヘパイストスの所へ行った。そのときアフロディテに捨てられていた彼は、アテナに恋して彼女を追い始めた。彼女は逃げた。足の不自由な彼は、非常な苦労の末にようやく女神に近づいて抱こうとした。慎ましい処女だった彼女は、彼に従わず、彼は精液を彼女の脚にまいた。彼女は怒って、羊毛で脚を拭きとり、地面に投げた。彼女が逃れ、精液が地面に着いた時、エリクトニオスが生まれた。アテナは彼を不死にしようと、他の神々に隠して育てた。彼女は彼を箱に入れ、開けることを禁じて、ケクロプスの娘パンドロソスにあずけた。パンドロスの姉妹が好奇心から箱を開くと、赤子に巻きついている大蛇をみた。彼女らはその大蛇に破滅させられた。別の説だと、彼女らはアテナの怒りのために気が狂い、アクロポリスから身を投げた。アテナは自らこの境内で彼を育てあげ、エレクトニオスはアムピクテュオンを追放し、アテナイの王になった。彼はアクロポリスにアテナの木像を造り、パンアテナイア祭を創設した。