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1702●南スーザンPKOと日報問題
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1702●南スーザンPKOと日報問題
民主党・野田政権時に始まった南スーダンへのPKO派遣が、17年3月、撤収することに決まった。5年超にわたる派遣期間は日本のPKOとしては過去最長となった。独立した直後の南スーダンに60カ国以上の参加各国と並んで、陸自施設部隊が派遣され、隊員約350人が半年おきに交代しながら、道路整備などのインフラ整備に取り組んだ。
当初落ち着いていた南スーダンの治安は、大統領派と元大統領派が対立して13年12月頃から悪化し始めた。16年7月には、首都ジュバで大規模な衝突が発生、市民数百人が死亡した。現地で「戦闘行為」が発生すればPKO参加5原則に抵触することから、このとき自衛隊撤収も議論されたが、「治安情勢を理由に撤退した国はない」(安倍首相)と、政権は派遣を継続した。そして、今回、「自衛隊の施設整備は一定の区切りをつけられた」として撤収が決まったのである。
16年9月、フリージャーナリストが防衛省に、大規模衝突時の部隊の活動記録「日報」の情報公開請求をおこなった。これに対して防衛省は、「陸自が廃棄した」として不開示決定を行った。ところが、17年2月、統合幕僚部で日報の電子データが見つかったと防衛省が発表、そのデータが公開された。日報には、「爆発音」「約150人の死傷が発生の模様」など生々しい状況が記録され、「戦闘が生起した模様」との文言も記されていた。
国会で追及を受けた稲田朋美防衛相は、「法的な意味での戦闘行為ではない」と釈明に追われた。
さらに、3月の撤収表明直後、陸自内にも日報のデータが保管されていたことが報道で発覚した。そしてこの陸自内でデータが見つかったことについて、稲田防衛相が陸自幹部からすでに報告を受けていた疑惑も浮上した。報道を受け、稲田は防衛省監察本部に調査を指示した。同本部は、7月、調査結果を発表、その中で、陸自が当初データを「廃棄した」と説明したことについて、情報公開請求が増えることなどを不安視したことによると、意図的な隠匿であったことを認定した。しかし、稲田への報告の有無については「なんらかの発言があった可能性は否定できない」と、曖昧な認定に終わった。
防衛省では稲田防衛相、陸上幕僚長、事務次官のトップ3人が辞任、非公表に関わった事務方幹部や陸自幹部らが停職・減給などの処分を受けて、事件の幕引きがなされた。
情報公開請求がされた16年当時政権は、安全保障関連法に基づき新任務「駆けつけ警護」を派遣部隊に付与する準備をしていた。このことが、陸自ないし防衛省幹部による日報隠しの背景にあったのではないかと疑われる。
なお、国会では、8月、日報問題で閉会中審査が行われたが、新しい小野寺防衛相は再調査を拒否した。
2024/10/12記
民主党・野田政権時に始まった南スーダンへのPKO派遣が、17年3月、撤収することに決まった。5年超にわたる派遣期間は日本のPKOとしては過去最長となった。独立した直後の南スーダンに60カ国以上の参加各国と並んで、陸自施設部隊が派遣され、隊員約350人が半年おきに交代しながら、道路整備などのインフラ整備に取り組んだ。
当初落ち着いていた南スーダンの治安は、大統領派と元大統領派が対立して13年12月頃から悪化し始めた。16年7月には、首都ジュバで大規模な衝突が発生、市民数百人が死亡した。現地で「戦闘行為」が発生すればPKO参加5原則に抵触することから、このとき自衛隊撤収も議論されたが、「治安情勢を理由に撤退した国はない」(安倍首相)と、政権は派遣を継続した。そして、今回、「自衛隊の施設整備は一定の区切りをつけられた」として撤収が決まったのである。
16年9月、フリージャーナリストが防衛省に、大規模衝突時の部隊の活動記録「日報」の情報公開請求をおこなった。これに対して防衛省は、「陸自が廃棄した」として不開示決定を行った。ところが、17年2月、統合幕僚部で日報の電子データが見つかったと防衛省が発表、そのデータが公開された。日報には、「爆発音」「約150人の死傷が発生の模様」など生々しい状況が記録され、「戦闘が生起した模様」との文言も記されていた。
国会で追及を受けた稲田朋美防衛相は、「法的な意味での戦闘行為ではない」と釈明に追われた。
さらに、3月の撤収表明直後、陸自内にも日報のデータが保管されていたことが報道で発覚した。そしてこの陸自内でデータが見つかったことについて、稲田防衛相が陸自幹部からすでに報告を受けていた疑惑も浮上した。報道を受け、稲田は防衛省監察本部に調査を指示した。同本部は、7月、調査結果を発表、その中で、陸自が当初データを「廃棄した」と説明したことについて、情報公開請求が増えることなどを不安視したことによると、意図的な隠匿であったことを認定した。しかし、稲田への報告の有無については「なんらかの発言があった可能性は否定できない」と、曖昧な認定に終わった。
防衛省では稲田防衛相、陸上幕僚長、事務次官のトップ3人が辞任、非公表に関わった事務方幹部や陸自幹部らが停職・減給などの処分を受けて、事件の幕引きがなされた。
情報公開請求がされた16年当時政権は、安全保障関連法に基づき新任務「駆けつけ警護」を派遣部隊に付与する準備をしていた。このことが、陸自ないし防衛省幹部による日報隠しの背景にあったのではないかと疑われる。
なお、国会では、8月、日報問題で閉会中審査が行われたが、新しい小野寺防衛相は再調査を拒否した。
2024/10/12記