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フェアリー着装システム

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echizen

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フェアリー着装システム


能力

L:フェアリー着装システム={
 t:名称=フェアリー着装システム(アイテム)
 t:要点=並ぶ義体,妖精,動き出す義体
 t:周辺環境=研究室
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *フェアリー着装システムのアイテムカテゴリ = 非消費アイテムとして扱う。
  *フェアリー着装システムの位置づけ = フェアリーを一ターンに2個づつ作る。燃料を4万t消費する。
  *フェアリーは犬士に準じて扱うが、パイロット、プログラマ系のアイドレスしか着用できない。
 }
 t:→次のアイドレス = 大型フェアリー着装システム(アイテム),妖精研究者(職業),フェアリーの恋人(職業),ちょっとHなフェアリー(ACE)

イラスト


越前藩国版・フェアリー着装システム『うてんタイプ』



「文殊とはゆりかごであり、防空回廊とは乳母車である。
生まれたばかりの子供であっても、自身の世界が広がれば、足の使い方を覚える。
そうすれば自分の力で立ち上がり、やがて歩き出す時が来るだろう。
無論、歩けば転ぶこともある。だが、その時は近くにいる者が助け起こしてやればいい」
   ――越前藩国藩王・セントラル越前、電脳かわら版インタビュー


/  *  /

フェアリー着装システムとは、その名の通り電子妖精が義体を“着装”し、物理的な影響力を得るシステムである。

文殊より誕生した電子妖精・優填は、幾多の戦場や防空回廊による他国のシステムとの対話による経験を得た。
これを元に、より連携機能を強化する形で開発された電子妖精が地慧であり、単純計算で(優填に比べ)6倍以上の性能を発揮する高性能なものとなっていた。

ここで、多くの国民の頭に一つの疑問が浮かび上がる。

地慧は確かに素晴らしい性能を持っている。
では、性能の劣る優填はもはやお払い箱なのであろうか?

その答えは、否である。

優填の運用から得られた経験から地慧は開発されてはいるが、電子妖精自身の経験の継承はあまり行われていない。
それは即ち、彼女の経験は彼女自身のものであり、その経験を生かせるのもまた彼女だけ、ということになるのだ。

また、越前藩国内でも長らく主力を勤めた優填に対する愛着も根強く、より性能のいいプログラムが開発されたからといって単にそちらに乗り換えるというのもなかなかできない、という意見も多く寄せられていた。
誰しもマスコットをそう簡単に切り替えるということは出来ないものである。


そこで、優填を別の形で運用すべく開発されたのがこのフェアリー着装システムである。


本来サイボーグの着用する義体に、人間ではなく電子妖精が入り込んで操縦するというシステムが開発されたのは、「学習能力を高めるため」設定されていた優填の好奇心パラメータによる偶発的な事件が元となっているが、これにより多くの国民に愛されていたマスコットは、電子の海を離れ、我々の世界へ降り立つ翼を得たのである。

そしてこれは、越前藩国に対して強烈なインパクトを与える事となった。


フェアリー着装システムでは、まず人間が行くには極めて難しい場所――例えば宇宙空間などで局地作業を行うために作成された義体が運用されはじめた。
これは効率の向上、事故発生率の低下など多くの成果を上げたが、やがて「女の子にそんな作業をさせるとは何事か」という意見が相次いで寄せられはじめたのである。

電子妖精の持つデータリンクとバックアップ機能により保全制については保障されていたため、実際にはズレた意見という事もできる。
が、誰しもマスコットキャラが工事現場でツルハシを振るっている姿など見たくは無かった、ということなのだろう。

それが愛くるしいキャラクターであるならばなおさらである。


これらの意見を集約した結果、開発当初に想定されていた宇宙歩兵用義体への運用移行はほぼ凍結され、別方向への転用の検討が必要になる羽目に陥ってしまった。
だがこれらのある意味愛に満ちた行動は逆に、着装システムによる稼働義体が過剰に劣悪な環境へ放り込まれたり、犯罪組織に横流しされてテロに悪用されるというような素地を減少させるという効果もあった。
(もっとも、中身が中身なのでそのような用途に使われた場合即座に警察部隊が飛んでくるという事になっていただろう)


フェアリー着用システムはまず国内の情報インフラのサポート窓口に転用されて一定の稼働経験を得ると、続いて文殊データセンターに導入されて情報セキュリティの監視や論理障害対応、そして各国吏族との窓口や情報の振り分け等、持ち前の情報処理能力を活かした仕事を受け持つようになっていった。

その他、藩国府内部やごく一部の富豪層では義体に入った電子妖精を雇用する者が現れ始め、民間でも汎用労働機械としてフェアリー着用システムが開放されるのもそう遠くないことと思われた。
事実、文殊関連業務として登録された情報の整合性チェックや地域の人口の計測、設置型多機能センサー端末の簡易メンテナンス等で藩国各地で見られるようになってきており、
多くの藩国民も彼女たちの登場を歓迎しているようだ。


このように越前藩国内の産業に電子妖精が多く導入されるようになると、発生してくるのが雇用の問題である。

当初は信頼性の問題から電子妖精が職を奪う、というようなことは無かったが、やがて技術検証が進んでくると、従業員を解雇してより安価な労働力を得よう、という経営者も見られるようになった。
(前述の通り、電子妖精を悪用しようとする輩が居ても即座に通報されて注意を向けられていたため大事に至らなかった事は不幸中の幸いである)

特にお国柄情報産業従事者の多い越前藩国においては、自分より明らかに能力の高い電子妖精が職場に入ってくる事は自身の職の安定に直結するため、脅威論がはびこるにはそれほど時間を必要としなかった。

フェアリー着装システムで体を得た電子妖精達が自分の職を奪っていく、と声を荒げる労働者が集会を開き、藩国首脳部に届く抗議文や嘆願書も日増しに増えていった。


藩国首脳部が対策に迫られる中、その雇用問題はある事件をきっかけに唐突に収束していくことになる。



ある日、藩国府に勤務していた電子妖精が摂政・黒埼の私室を掃除していたところ、持ち前の好奇心を発揮して厳重に保管されていた『要塞操縦用』プログラムのありかを突き止めてしまったのである。
これはパーフェクトワールドでの戦いの中で即席作成され、自爆しつつある要塞を安全な洋上まで移動させたものであったが、その後厳密な技術検証も
取られていないプログラムでもあり、電子妖精が誤って触れてしまわぬようにネットワークから完全に隔離された媒体に保管されていたという経緯がある。
しかし、物理的な体を得た電子妖精相手では物理セキュリティが低ければあまり意味はない。
即座に優填にインプットされ、ものの数時間のうちに全優填に共有されることとなってしまった。

これにより優填は乗り物の操縦モジュールを奪取、パイロットとしての素養も獲得したのだったが、この直後から着装システムで運用される義体にある種の問題が起き始める。

曰く、工場で操作中の機械が故障した時におかしな挙動をした。
曰く、業務に全く関係ない質問を唐突にしてみると挙動がおかしい。
曰く、突発的なトラブルで急いでいると、まれに何もないところで転ぶなど義体制御がおかしくなる


このように、自身の生まれである文殊関連業務を除く広い範囲で、信頼性に振れ幅が発生するという現象が多く見られたのである。

不審に思った藩王の命令によって摂政をはじめとする藩国の情報戦部隊による解析が進められた結果、ある事実が明らかになる。

それは、摂政・黒埼の開発した即席の操縦モジュールが優填の基幹となっているプログラムと衝突。
優填の意志判断プロセスにノイズデータを挟み込んでしまい、結果として優填自身の信頼性を下げてしまっていたというものである。


のちに『伝染するうっかり(強制イベント)』と揶揄されて摂政をからかう格好のネタとされてしまう事になるこの事件によって、
「突発的な事象に備えて人の付き添いは必要である」という考えが多く広まり、多くの労働者が職を奪われるという事態は回避されたのであった。

なお、モジュールのバグについては既に優填に深く取り込まれてしまっているため改修は至難とされるが、今のところ致命的な問題でもなさそうなので放置されている。
「優填自身の経験の蓄積による自己成長で改善が見込まれるのでは?」
「多重化による統計学的視点から安定性を得る方法もあるのでは?」
等の考えもあるが、それが実現するかは定かではない。

開発経緯


 フェアリー着装システムにてフェアリー、すなわち電子の海に存在する電子妖精たちがNW世界で活動するための器である義体は、義体研究分野では越前最高峰を誇る義体工房・開発特殊義体研究所が開発に着手し、偶然とも言える様々な経緯を経て開発されたものである。

*開発(カイホツ)特殊義体研究所
+ ...
越前義体研究の最高峰たる機械化工房で、至金剛の正式採用義体<烈風弐式>シリーズ、雷刃風陣の全身義体<皇火(スメラビ)壱式>、<弐式>シリーズ、など一線を支える装備を数多く開発してきた老舗工房。
近年ではフェアリー着装にて運用される義体の開発に携わり、その成果として着装型義体シリーズを開発している。


/ * /

 この研究は元々、彦星プロジェクトにおいて宇宙空間という極めて厳しい環境でも稼働できる義体の開発が求められた所から始まっている。

宇宙空間でのEVA(船外作業)は人の繊細さや判断力が必要とされる緻密な作業が多いことから、自動化がきかず、しかも当時は戦時中でもあったことから事故や流れ弾への被弾もふくめ、きわめて作業員に対するリスクが高かった。

このため、
  • 多少のデブリは無視できるような装甲
  • 極めて繊細な作業を行える器用さ
  • 素早い動きを実現する俊敏制
以上の様な要件を満たす新たな義体の開発が急務とされていた。


 しかし、この計画はやはりというべきか、当時の技術レベルからすれば少々欲張りが過ぎた。
義体の開発ノウハウの蓄積は帝國でも随一であり、宇宙適応した義体もすでに完成してはいたが、要件の達成を目指すあまり、
不文律であった「生身からサイバーウェアへの換装ストレスが低い事」という点が無視されてしまっていたのである。

元来医療用として発達してきた越前藩国のサイバネティクスとその倫理観、そして世論は、そのストレスから脳を使い捨てにするような『非人道的な』装備を容認しなかったのである。

のちに開発局事務官長の更迭にまで発達することとなったこの研究は設計の段階で凍結。
時期的には共和国天領艦隊によって破壊された施設の復旧作業が急務となっており、その煽りで彦星プロジェクトそのものが減速。
未だ芳しい成果の無い研究に割ける余力がなかったのである。



妖精用義体の開発のきっかけ

宇宙軍の編成、軌道降下兵用義体の新規開発により、はじめに開発されたシステムが多くのものから忘れ去られたころ、ある事件が起こる。
無期凍結された計画で唯一試作品として作成されていた一体の未使用の義体が、保管庫の中で突然動きだしたのである。

居合わせた者はのちに語る。
「いやー。あの時は胆が縮みました。あの晩、私は義体保管庫の警邏を担当していたんですよ。
でもあの部屋って、いろんな義体があるじゃないですか?
中には皮膚コーティングまで終わってて人間と変わらないようなものもあって……
きっと、あれが動き出したらどうしよう、ってビクビクしてたから脅かされたんじゃないかなぁ、と思います」


のちの調査により、この事件の犯人は電子妖精であることが確認された。
人の脳に深刻なダメージを与えるほどに高度に形成された義体内部の神経ネットワークに、防空回廊の構築をきっかけに様々な場所に解き放たれた電子妖精の一つが入り込んだのである。

動機としてはただ単に「警備員をびっくりさせるため」であることは想像がついた。

これまで義体にあまり興味を示さなかった電子妖精がなぜこの義体にだけ入り込んだのか、という疑問もある。
その理由はのちに『神経ネットワーク網が複雑で無機質であったため単なる電子機器と誤認した』という解答が得られるのだが、ここで重要なのはそうではなく、電子的で実体を持たなかった電子妖精が、物理的な肉体とも言える義体を動かしたということだ。

―――――そう、電子妖精が世界を飛ぶ翼に触れたのである。


高機動型端末義体『うてんタイプ』

のちに『妖精事変』とも呼ばれるようになるこの事件により、凍結されていた義体開発計画がにわかに息を吹き返すことになる。
但し、計画にはいくつもの変更が加えられていた。

人間の脳を格納する領域が削除され、代わりに電子機器が詰め込まれるようになった。
局地活動を可能とする強靱性が要求されたボディは、のちの要件の変更により、物理的な強度よりも電子的な強度に重きを置かれるようになった。

基本的な性能として当初計画されていた白兵能力は申し訳程度にまで切り捨てられる事となったが、代わりにネットワーク機能を強化。
特に、盗難された際に悪用されないように内部ルーチンのセキュリティには何層にも及ぶ保安機能を搭載。万が一ハッキング被害を受けて
ネットワークから切断された場合にはけたたましい警告音をあげて通報を行うようなシステムも設置された。
(なおこのセキュリティアラートは物理的な盗難の際(例えば拉致など)にも作動するように設定されており、運用義体そのものが犯罪などに巻き込まれる危険を減らそうと努力されている)

同時に電子妖精の「規格の壁の超越」という特性により多くの電子機器との高い親和性を見せ、サポート窓口勤務や運転手など、
機械を使って間接的に作業を行うような仕事に対する高い適性を発揮することとなった。

のちにこれらの電子妖精がコントロールする義体は一定の規格に統一され、『うてんタイプ』と呼ばれるようになる。


主な活躍の場


優填はニューワールドの藩国の財務データを各所から収集・分析するというシステムであったが、金庫番システムのカットオーバーによりその役目を終えてはいるものの、派生元である文殊との関係は今でも強い。
この特性を活かし、義体を用いて各国の吏族の窓口となり、文殊システムの維持・保守・更新や情報防衛などに携わる優填も多い。
特に戸籍情報の確認・更新については人海戦術がものを言う。
うてんタイプによるローラー作戦によって藩国情報の更新速度と正確さが飛躍的に上昇し、移民受け入れ時などの混乱から生じた誤謬、および違法な戸籍売買の発見にも大きく寄与したという。

また、パーフェクトワールドにて白オーマと交戦した際に摂政・黒埼が開発した「自爆しつつある巨大要塞を洋上へと待避させた」操縦プログラムを『飲み込んで』おり、乗り物の操縦についても「知識として」保有している。
このため、領地のいたる所に設置されている多機能センサー端末の巡回メンテナンスや警察機構への出向など、藩国経営を助けるために働いている優填も多い。

その他にも、防空回廊の輸出の折りに共和国の規格の異なった防空システムとの仲立ちを行った経験から『匿名の善意の人』を名乗って防空回廊システムに協力する優填など、様々なタイプが存在している。

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