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旅立ち

最終更新:

azuma

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古巣から離れて冒険者となり、しばらくが経った。
実に慌ただしい毎日を過ごしているが、ふとこの日々をいずれ忘れてしまうのは寂しいと思い
日記として記録しておこうと考えた。

書く前にざっと思い返してみたが、予想以上に色々と忘れている
思い出しながら書くので順序が前後していても許してほしい、まぁ誰が読むわけでもないが。

とはいえ最初の日記くらいは冒険者となった初日の話を書くべきだろう。

由緒正しいミッドランダーの命名規則に則ったファミリーネームからわかるように
俺の古巣はサーカスの一団だった。

さっきから故郷や実家と言う言い方をしないのは、俺の中でそういう言葉は決まった地に腰を落ち着けた人達の物だという意識があるからだろう。
町から町へ、たまには村へと旅をする生活が嫌いだったわけじゃない、でなきゃ冒険者なんてやってない。
ただ、幼い頃一座の仲間に貰った植木鉢と花の種が、拙い子供の世話でもたくましく芽を出してくれた。もっと広い場所で沢山の花を咲かせてみたい、その思いがそういう暮らしへの憧れとして俺の中にあるだけだ。

あちこち動き回る生活の中で、当然荷物は最小限にせねばならず、俺個人の私物といえばその植木鉢とジョウロくらいだった。
サーカスを離れるときに一座の子供に渡してきたが大事にしてくれているだろうか。

俺はそのサーカスで雑技をこなす子役として毎日訓練をしていた
自画自賛のようだが筋は悪くなかった、身のこなしやセンスも人並み以上には有っただろう
そしてヒューランの中では体格にも恵まれた

それが良くなかった。

こう言っては何だがヒューランは色々と何でも出来る、出来てしまう
だがサーカスは見世物だ、客が見に来ているのは身軽なルガディンや怪力のララフェルといった
普通とは違うインパクトだ

体格のいいヒュ-ランがそこそこ重そうなものを持ち上げたり、そこそこ身軽に動いても客は沸かない
これが子供、もしくは子供のように華奢な大人であれば少しは客も驚いただろう

ララフェルのような小柄でなくなった俺に残されていたのは、ルガディン以上の怪力やミコッテ以上の身のこなしを身につけるか
自立と言う名の解雇を受け入れるかの二択だった。

いや、実際は事務や裏方として働く道も有ったのだろう。なんだかんだで子供の頃からの古株だった
愛想のいい子供ではなかったが、団長も団の大人も俺が出ていくとは思ってはいなかったと思う。

だが一所に腰を据える生活への憧れと言うものに負けた俺は、そのために冒険者という根無し草となることを決めた
矛盾しているようだが何事もコツコツとだ、一足飛びに目標は達成できない。
手に職をつける事の大切さはよく理解している。
これでもサーカスの備品を直したりと手先は器用な方だ。
職人として食っていく、そんな未来もあるかもしれない。

とりあえず自然が多いとこが良いなぁと考えながら俺は乗り合い馬車へと乗り込んだ
先客にやたら陽気なおっさんと白い髪の双子が乗っていたが、思い返せばこいつらとの初対面はここだったんだな。
道中軽いトラブルも有ったが、そうして俺は暫定魂の故郷となるグリダニアへと足を踏み入れたのだ。
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