どこまで書いていたか、そう、確かグリダニアへ着いた辺りだったかな。
サーカス団員としてあちこちを旅して回っていた俺だったが、グリダニアへ訪れるのは初めての経験だった。
この国は自然豊かで個人的にはとても好きな雰囲気なんだが……よそ者にはかなり排他的だ。
まぁサーカス団とごろつきの違いを言ってみろと言われたら、俺も少々答えに詰まる。
まぁサーカス団とごろつきの違いを言ってみろと言われたら、俺も少々答えに詰まる。
この静かで綺麗な国を騒がしくするのは忍びないし、仕方ない事だろう。
俺はもう冒険者だから入れるしな。
グリダニアは帝国からもアラミゴからも近いから大変なのはわかる。
人には出来る限り親切にするべきだが、あくまで余力でが俺のモットーだ
金でもお礼でも何でも良いから掛けた労力に見合う見返りや充実感が欲しい。
あらくれと見分けのつかない連中の中で育ったにしては、聖人のような倫理観を育めたと自負している。
金でもお礼でも何でも良いから掛けた労力に見合う見返りや充実感が欲しい。
あらくれと見分けのつかない連中の中で育ったにしては、聖人のような倫理観を育めたと自負している。
まずはどこに行ったんだったか、確か入り口ですぐお上りさんだと見抜かれ、カーラインカフェに向かうよう言われたんだと思う。
ミューヌさんは棒きれを背負ったヒヨッコにも親切で本当にお世話になった
今度寄った時は高い酒を頼もう。
ミューヌさんは棒きれを背負ったヒヨッコにも親切で本当にお世話になった
今度寄った時は高い酒を頼もう。
めまいや幻聴が聞こえてきたのもこの辺からだっただろうか。来る前の馬車からだったかもしれない。
そこからはまぁ、駆け出し冒険者のやることをしばらくやっていた。
体こそ鍛えていたが武術の心得なんか無かった俺は、自衛のために槍術士ギルドの扉を叩く事にした。
弓は一座に上手い奴がいたが、あくまで芸の一種で狩猟の業じゃなかったし魔法使いは一座にはいなかった。
なのでどれも素人なら一番簡単そうな棒きれブンブンで良いやと思って入った、後でギルマスに凄く怒られた。親しみやすいと言えば良かったか。
弓は一座に上手い奴がいたが、あくまで芸の一種で狩猟の業じゃなかったし魔法使いは一座にはいなかった。
なのでどれも素人なら一番簡単そうな棒きれブンブンで良いやと思って入った、後でギルマスに凄く怒られた。親しみやすいと言えば良かったか。
ギルマスいわく、槍術とは「切り拓く力」らしい。
俺が言ったようなブンブン振り回してるだけの付け焼き刃な奴は
切り拓いていくための「勇気」が足りなくてダメダメらしい、ギルドの信念に真っ向から喧嘩売っていたようだ。そりゃ怒られるはずだ。
俺が言ったようなブンブン振り回してるだけの付け焼き刃な奴は
切り拓いていくための「勇気」が足りなくてダメダメらしい、ギルドの信念に真っ向から喧嘩売っていたようだ。そりゃ怒られるはずだ。
ギルマスから討伐手帳という物を貰ったが、これを埋めるのが存外楽しい。
サクサク敵を倒してたらギルマスから呼び出された。生え際について喋ってたのがバレたのかと焦る。
サクサク敵を倒してたらギルマスから呼び出された。生え際について喋ってたのがバレたのかと焦る。
違った、どうやらギルドの信念である「勇気」を教えてくれるらしい。
かっこいい言葉だが、俺にそんな立派な物は似合わないと感じたのを覚えている。
かっこいい言葉だが、俺にそんな立派な物は似合わないと感じたのを覚えている。
ここでいう「勇気」というのはどうやら二つの心で構成されてるらしい。
一つは「乱されぬ心」要するにビビルなってことだろう。
これはまぁ分かる、怖がってパニクってるやつに勇気はなさそうだ。
一つは「乱されぬ心」要するにビビルなってことだろう。
これはまぁ分かる、怖がってパニクってるやつに勇気はなさそうだ。
もう一つは「動じぬ心」正直初めて聞いたときはあまり違いが分からなかった。
よくよく聞けば、前者は外からの影響に乱されないで、後者は自分自身の内面を律しろと言う事……だと解釈している。
よくよく聞けば、前者は外からの影響に乱されないで、後者は自分自身の内面を律しろと言う事……だと解釈している。
だがまぁ冒険者として生きるならば、多数の強敵や未知の敵と戦う心構えというのは必須だろう。
実際ここでの経験は今でも役に立っている。
実際ここでの経験は今でも役に立っている。
槍術士ギルドの成り立ちはそもそも狩猟や自衛のための技術を体系化したものだ
槍術とは生きるための術であり、たとえ力及ばず果てることが有ったとしても
それは生への道を切り開こうとした結果であるべきであり、決して自ら死地へと飛び込むことではない。
槍術とは生きるための術であり、たとえ力及ばず果てることが有ったとしても
それは生への道を切り開こうとした結果であるべきであり、決して自ら死地へと飛び込むことではない。
それをあいつは分かってなかったんだろうな……最期まで。
ギルマスもあいつもやけに俺を買いかぶってくれてたが、なんてことはない
サーカスの芸も生きるための技術だ、度胸試しやスリルのために火に飛び込んだり綱渡りをする奴はいなかった。
それを知ってたから、なんとなく達観して見えたんだろう。
サーカスの芸も生きるための技術だ、度胸試しやスリルのために火に飛び込んだり綱渡りをする奴はいなかった。
それを知ってたから、なんとなく達観して見えたんだろう。
さっきは度胸試しやスリルのために危険なことをするんじゃない、と言ったが
それでもやってることが危ないのは変わりない、それでこその芸だからだ。
それでもやってることが危ないのは変わりない、それでこその芸だからだ。
そんな芸をする団員に、幼い俺がなぜそんな怖いことが出来るのかと聞いたときの答えは「勇気」じゃなかった。
「芸をする時は半分死ぬ」んだそうだ。当時の俺はそれがとてつもなく恐ろしく感じた。
やはり俺はサーカスに向いていなかったんだろう。
「芸をする時は半分死ぬ」んだそうだ。当時の俺はそれがとてつもなく恐ろしく感じた。
やはり俺はサーカスに向いていなかったんだろう。
もう半分死んでるんだから怖くない……あいつの方がよほどサーカスには向いていたのかもしれない。
スネや過去に傷のある連中はよく見てきた、流れの芸人なんて泥棒のような目で見られることも有った
街に入れないことも、夜逃げのように追い出されたこともある。
でも殺してはダメだ、死んでしまったら終わりなんだ。自分でも他人でも。
街に入れないことも、夜逃げのように追い出されたこともある。
でも殺してはダメだ、死んでしまったら終わりなんだ。自分でも他人でも。
……お前の事、そんなに嫌いじゃなかったよ、フールク。
でなきゃヌシから庇ったりしなかったさ。
でなきゃヌシから庇ったりしなかったさ。
槍術士ギルドでの俺の話はこんなものだろうか。
この途中で三国を回ったり色々やっていたんだが…それは次の機会にしよう。
この途中で三国を回ったり色々やっていたんだが…それは次の機会にしよう。