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虐待-普通 制裁 自業自得 飼いゆ 現代 独自設定 うんしー テンプレです
午前三時。
寝ている俺を邪魔する声がする。
「ゆ~ん。ゆ~ん! ゆゆーんっ!!」
隣の部屋から聞こえてた眠りを妨げる不快な声。
俺は頭を乱暴に掻き毟りながら、体温で暖かくなった布団を足で跳ね上げて隣の部屋へと向かう。
「…どうした?」
「ゆーん!? おにいさんっ! おちびちゃんがたいへんなんだよっ!!」
「しっかりしてねっ!? きずはあさいよっ!!」
「いちゃいよーっ!? れぃえみゅちんじゃうーっ!! ゆわぁあああああんっ!!」
真夜中に騒ぐゆっくりの家族達。
音が静まり返った世界には、こいつらの金切り声は何時もより大きく響く気がした。
朦朧とした頭の中で嫌な反響音が伴う。
飼いゆ達を良く見てみると、赤れいむの肌色あんよから黒い餡子が漏れている。
餡子の流出は極微量で死ぬ事はないだろう。
「ゆわあぁああぁあああんっ゛! ゆわぁああぁあぁぁぁぁああんっ゛!!」
「おにいさん! ゆっくりちりょうしてあげてねっ!!」
「なにをぐずぐずしているのっ!? まりさおこるよっ!!」
大声で泣き始めた赤れいむに頬を寄せながら親達は怒り出す。
俺は、この程度の治療目的で起こされたのだ。
「……はあーっ。明日も早いのに…」
部屋に置いてあったゆっくり治療キットを手に取る。
小麦粉と栄養剤が含まれた水を混ぜ合わせながら、ブツブツと文句を呟く。
明日は、どうしても出なければならない大事な会議があるのだ。
寝坊する訳にはいかない。
「ゆーん! あんよしゃんが、いちゃくなくにゃってきちゃよっ!?」
「おちびちゃんよかったねっ!」
「おにいさんありがとう!」
ぺーろぺーろすーりすーり。
笑顔になった赤れいむに安心した親達は、愛情を込めて肌を擦り合わせた。
赤れいむが怪我した原因は、
お気に入りの宝物を片付けずに、ベットに持ち込んで一緒に寝てしまった為だった。
それが、親の寝返りで押されたおもちゃの小さなバリが赤れいむの足を擦って負傷。
痛みに泣き出した赤れいむに気が動転した親れいむは、隣の部屋で寝ているお兄さんに助けを求めた。
「今度からはおもちゃを持ち込んで寝るのは禁止だ。わかったな?」
「ゆっくりりかいしたよっ!」
俺は家族に躾をして部屋へと戻る。
寝つきの良いゆっくり達は安心して直ぐに眠りにつく。
しかし、お兄さんは中々眠りにつけずにベットの中でイライラと転がる。
次の日の会議は遅刻スレスレで出社してしまい厳重注意を受けてしまった。
「ただいま」
「ゆっくりおかえりなさいっ!」
「おにいさんっ! おかえりなさいっ!!」
疲れた顔をしたお兄さんを出迎えるゆっくり家族。
家に帰ると笑顔で挨拶してくれる存在があるだけで、胸に溜まった陰鬱な気分が楽になる。
このゆっくり達は、お兄さんの大切な家族だった。
「ゆっくりごはんをちょうだいねっ!」
「まりさ、おなかすいたよっ!」
気分が晴れやかになっていたお兄さんは、家族の要望に答えてカリカリを与える。
今、与えているカリカリは上位ランクに名を連ねる高級な食べ物。
出費はとても痛いが、お兄さんはこの餌を毎回購入している。
主食を変えた発端は、元々一体だけ飼っていたれいむが言った要求が始まり。
『かわいいあかちゃんがほしいよっ!』
当時、れいむにベタ惚れだった親馬鹿お兄さんは、ゆっくりまりさをペットショップから購入する。
可愛い赤ちゃんは一人だけの教えを守り、れいむとまりさは動物型妊娠で赤子を成した。
その際に育児本を読んだお兄さんが、豊富な栄養を与えろといった記事を鵜呑みにし、
数段ランクを上げたカリカリを与えてしまったのが大きな失敗。
出産が終わったあと元の餌に戻そうとしたが、れいむ達は全く受け付けなくなってしまっていた。
雑誌の端に載った注意書きを見たお兄さんは嘆いたが、何もかもが遅すぎた。
赤れいむも完全に舌が肥え、美食三昧を過ごしている。
「むーしゃむーしゃ! しあわせーっ!!」
「おいしいねっ!」
「ゆ~ん! ちょっちぇもゆっくちできりゅよーっ!!」
大声をあげながら食事を始めるゆっくり達。
これもお兄さんが適切な躾を行わなかった事が大きな原因。
皿の周囲は食いカスだらけだ。
「れいむはでざーとがほしいよっ!」
「まりさはりんごさんがいいなっ!」
「れぇいみゅは、じゅーちゅしゃんとちょこりぇーとしゃんがちゃべちゃい!」
口の周りに食べかすを付けながらデザートを要求するれいむ達。
お兄さんはカップラーメンを食べている途中だった。
後にしてくれと言うお兄さんの足元で家族は騒ぎ出す。
根負けしたお兄さんは冷蔵庫に向かい、赤くて甘そうなリンゴを切り分けた、
「れぇいみゅは、ちょこりぇーとしゃんがちゃべちゃいにゅにぃいいいぃいいいいっ!
りんぎょしゃんは、ちゃべちゃくにゃいっ゛! ゆっくちりきゃいちてねっ!?」
赤れいむはリンゴを見てから騒ぎ出す。
希望したジュースとチョコレートが貰えなかった事から駄々を捏ね始めた。
「おちびゃん! おいしそうなりんごさんをたべようねっ!?」
「とってもあまくておいしいよっ!」
「やじゃやじゃっ!? りぇいむはじゅーちゅしゃんがにょみちゃいのっ!!
あみゃきゅて、しあわせぇににゃれる、ちょこりぇーとしゃんがちゃべちゃいにょっ!!
ゆわぁあああああんっ゛! ゆわあぁあぁあああぁああああああんっ゛!!」
赤れいむは転がりながら泣き叫ぶ。
親まりさは赤ゆを少々気にしながらも、リンゴを口元に運んで食べ続ける。
「おにいさん! かわいいおちびちゃんをゆっくりさせてあげてねっ!?」
親れいむは涙ながらに訴える。
それを見たお兄さんは深い溜息を吐く。
戸棚からチョコレートチップが交ざったクッキーを取り出す。
冷蔵庫からはオレンジジュースが入ったビンを摘んで内容物を深皿へと移した。
「れぇいむゅは、いちゃちょこしゃんがちゃべちゃいにょっ!
くっきーしゃんじゃ、ゆっくちじぇきにゃいっ!!」
「わがままいっちゃだめだよっ!
おにいさんには、これがせいいっぱいなんだよっ!!」
板チョコが食べたかった赤れいむは騒ぎ出す。
散々泣き喚いた後、親の説得を渋々と受け入れた。
そして、クッキーを小さなお口に含み、美味しく無さそうに租借する。
「むーちゃむーちゃ。…ちょれにゃり~っ」
「こんどはちょこれーとさんがたべられるよっ! ねっ!? おにいさん!!」
「ゆぴゅーっ! まりさはだいまんぞくだよっ!!」
それまで無口だったまりさが声をあげる。
親れいむがチラリと視線を向けると、大きなお腹になったまりさが床に転がっていた。
前に置かれた三つのお皿は全て空っぽ。
まりさは、赤ゆとれいむのリンゴを食べてしまった。
「れ…れ。れいむの、ゆっくりとしたりんごさんがあああぁあぁあぁぁあっ゛!?」
赤ゆの我侭がやっと収まったと思いきや、今度は親が煩く騒ぎ出す。
涙を流しながら主犯のまりさとお兄さんの間を往復する親れいむ。
冷蔵庫から新しいリンゴをれいむに与えた事でその場は何とか収まった。
一仕事終えたお兄さんは、残っていたカップラーメンの続きを啜る。
ゆっくり達に時間を割いた為に、熱いスープは冷め切って温くなってしまった。
麺は水分を含み過ぎ伸びきっていて、とても幸せな気分など味わえない。
お兄さんは、全ての鬱憤を晴らすかのように、ボソボソになった麺を噛み砕いた。
「…ゆ~ん。ゆ~ん! ゆゆーんっ!!」
深夜にゆっくりの声が響いてくる。
お兄さんはカップラーメンを平らげた後、ゆっくり達を濡れタオルで拭いた。
奇麗になったれいむ達は感謝の言葉をお兄さん伝え、自分達に与えられた個室へと向かっていった。
その後は知らない。れいむ達が何をしているのかも全く解らない。
お兄さんは風呂に入り、好きなテレビを見ながら就寝した。
「…何なんだよ」
「ゆ~ん! ゆ~ん!! ゆゆーんっ!!」
たまらずお兄さんは毛布を被るが、ゆっくり達の声は大きくなるばかり。
その発する鳴き声は、静寂に包まれた夜の世界に反響するように、お兄さんの耳奥へと響いてくる。
昨晩と同じくベットから抜け出したお兄さんはゆっくり達の部屋へと足を運ぶ。
「…今度はどうした?」
「ゆっ! おにいさんっ! ゆっくりしすぎだよっ!!」
「まりさ、まちくたびれちゃったよっ!」
口を窄めて唸っていたれいむ達が、お兄さんの姿を確認した後に煩く騒ぎ出す。
声に気づいてもらう為に、部屋壁に身体を密着させながら呼び出しをしていたれいむ達。
壁際に固まっていたれいむ達が、やっとお家に訪れたお兄さんの足元へと群がっていく。
「おといれさんが、くさいくさいなんだよ! ゆっくりおそうじしてねっ!?」
「これじゃあ、ゆっくりおねんねできないよっ!」
トイレを掃除しろと騒ぐれいむ達。
お兄さんは少し視線を横に移動してトイレ状況を確認する。
シートに乗った排泄物がこんもりと山を作っていた。
大量に食べて下から還元するゆっくり達。
お兄さんはこれらの排泄物を再利用しようと餌に混ぜて与えた時期もあった。
だが、古くなったうんうんは高級品の味を著しく損なわさせた。
舌の肥えたれいむ達は、直ぐに餌皿をひっくり返して抗議活動を行う。
この時点でリサイクル作戦は実行不可能となった。
「…はいはい。解ったよ」
「ゆ~ん! おといれさんがぴかぴかになったよっ!!」
「ゆっくりできるねっ!」
奇麗になったトイレに喜ぶれいむ達。
身体をぶるりと振動させた赤れいむは、片付けて清潔になったトイレに足を踏み入れる。
「ちーちーでりゅよっ! ちゅっきり~っ!」
寒い室内が尿意を与えたのだろう。
その後、親たちも自分は可愛いと主張しながら、しーしーとうんうんを捻り出す。
憂鬱な気分をしながら、再度トイレを片付けるお兄さん。
それに感謝する事無く自分達専用のベットに潜り込み、すやすやと眠りに付くゆっくり家族。
お兄さんが全てを終えて部屋に戻った時には、
ベットの人肌で暖めた温もりが無くなり、一から体温で暖め直す苦行が待っていた。
「……これがゆっくり?」
「そうだ。可愛いだろ?」
暖かいコーヒーを口に含んだおにいさんが驚きの声をあげる。
昨晩もれいむ達に起こされて寝不足気味だったお兄さんは、
心配した友人の自宅に誘われて、美味しいコーヒーをご馳走になる。
その際に挨拶された友人のゆっくりは、とても奇麗で礼儀正しかった。
お兄さんは驚いた。
自分が飼っているゆっくりなど足元に及ばない教養の高さに。
友人に詳しく話を聞くと、手間も掛からず飼い主の嫌がることは一切行わないらしい。
「今度、飼っているゆっくりを紹介してくれよ?」
「……ああ、…その内な」
お兄さんはそう呟くことしか出来なかった。
友人の言葉に曖昧に答えた後、お兄さんは自宅へと向かう。
そんなお兄さんの姿を見た友人は心配そうな顔を浮かべていた。
「おにいさんっおかえりなさいっ!」
「おかえりなさいっ!」
玄関を開けるとゆっくり達の声が響く。
その後は、ご飯の要求。
今日は帰宅が遅くなった為なのか、何時も以上に愚痴を零すゆっくり達。
その姿を見ていたお兄さんの表情が歪む。
だが、気持ちを抑える。
飼いゆっくり達には愛着があった。
このような性格になってしまった原因の一端は自分にもある。
そう思いながら唇を無意識にかみ締める。
普段通りに世話をして、眠りに付くお兄さんとゆっくり家族。
いつも道理の平坦な日々。
「……ゆ~ん。ゆ~ん! ゆゆーんっ!!」
「……またかよ…勘弁してくれ」
そして、お兄さんに向けられた深夜の呼び出し。
この夜鳴きからゆっくり達の平和で我侭な日常は崩れる。
「おにいさん! ゆっくりしすぎだよっ!」
「まりさ、まちくたびれちゃったよ!」
部屋に入るなり怒られるお兄さん。
今夜も臭いからと言う事でトイレ掃除をさせられた。
毎日、好き放題に飽食をするので排泄物の量も凄い。
寝る前に交換しても起こされてしまうのだ。
「きれいになったよ!」
「ゆっくりできるよ!」
喜びながらベットに潜り込むゆっくり達。
お兄さんは溜息を付きながら部屋へと戻る。
やっと眠れると呟きながら冷たいベットに身体を無理矢理押し込んだ。
しかし、この日は違っていた。
まどろんでいたお兄さんの元に聞きなれた声が届く。
「……ゆ~ん。ゆ~ん! ゆゆーんっ!!」
「……!」
ゆっくりと身体を起こしたお兄さんはれいむ達の元へと足を運ぶ。
今度は、ベットに敷かれた毛布が少量の涎が冷たくて眠れないとの事。
怒りを堪えながら取り替えるお兄さん。
「「 ゆっくりできるね!」」
ふかふかになった毛布にれいむ達は声を揃えて喜びを表現する。
お兄さんは部屋に戻った後、乱暴に毛布を頭から被った。
「ゆ~ん! ゆ~ん!! ゆゆーんっ!! ゆゆゆーんっ!!」
また、気持ちの良いまどろみに水を差す絶妙なタイミングで聞こえてきた、
ゆっくり達の深夜に響く耳障りな呼び声。
お兄さんは足音を大きく鳴らしながら飼いゆの元へと向かう。
「ゆっ!? おにいさん! ゆっくりしすぎだよっ!? かわいいおちびちゃんをたすけてあげてねっ!」
「ゆっくりしてねっおちびちゃんっ! きずはあさいよっ!?」
「いちゃいよーっ!? れぃえみゅにょ、ちゅちぇきなあんよしゃんがあああっ゛!!
いじゃあああぁああぁいっ゛! ゆわぁあああああんっ!?」
お兄さんの怒りで沸騰していた頭の中が、一瞬、氷点下に冷やされた。
目の前の光景は、デジャブを思い起こさせる。
それが気のせいでない事も理解していた。
赤れいむも足に極小のかすり傷。
ベットの側に転がる一つのオモチャ。
舐める事もせずに、ただただ寄り添うだけの親の姿。
「なにを、ぼけっとつったっているの!? おちびちゃんがたいへんなんだよっ!」
「いじゃあいよおおおおおっ゛! びゅわぁあああああんっ!?」
大きな口を開けながらお兄さんを急がせる親れいむ。
たいした事もない切り傷で泣き叫ぶ赤れいむ。
まりさは困った顔をしながらオロオロしているだけだ。
「…おもちゃと寝るのは、禁止だって言っただろうが!?」
お兄さんは、不満を爆発させた。
「ゆん!?」
「俺と約束したよな!? お前達は解ったって言ったじゃねぇか!!」
「ゆっくりおもいだしたよ! だから、ちりょうしてあげてねっ!!」
「それじゃあ、いつ約束したか言ってみろ! 思い出したんなら解るだろ!?」
「ゆっぐっ゛!? ……それはわすれたけど、ゆっくりおもいだしてるよっ!」
「全然解ってねぇんじゃねえか!?」
怒りのままにれいむに張り手を打ち付けたお兄さん。
れいむの丸い体が専用ベットから飛び出して、絨毯の上へと転がる。
「れぇいむぅうううううっ゛!? どぼじでごんなどごずるのおおおおっ゛!!」
まりさが泣きながら訴える。
だが、報復行動もせずにベットの上で震えているだけだ。
何の役にも立たないれいむのパートナー。
「みゃみゃに、りゃんびょうちゅるなっ! くちょにんげぇん!!」
そんな親を見ていた赤れいむは大きな声で威嚇する。
汚い言葉ではっきりと。
親達の表情が曇っていくが、それとは真逆の顔をした赤れいむが続けて叫ぶ。
「おにいしゃんは、みゃみゃちゃちの、おてつじゃいしゃんなんでしょ!?
さきゃりゃうにゃんて、ゆっきちじぇきにゃいよっ!
みにょほじょをわきまえちぇにぇっ!!」
喋る度にどんどん上機嫌になっていく赤れいむ。
頬は赤く染まり、息が荒くしながら偉そうに身体を仰け反り始めた。
親れいむが赤れいむを止めようと足を動かすが、手加減なしの平手を受けた衝撃で体が痺れて思うように動かない。
まりさは子供の様に泣きじゃくっているだけ。
「俺が…お手伝い。さん?」
「しょうだよっ!」
「お前達は、そう言う風に俺を見ていたのか?」
「きゅちのきききゃたに、きをちゅけてにぇっ!
れぇいみゅは、えりーちょにゃんだよ!? にんげんしゃんをしちゃがえるゆっきゅちのおうにゃんだよ!」
「エリート? 従える?」
「こにょおへやは、みゃみゃちゃちにしちゃがえるおにいしゃんが、よういしちゃんでしょ!?
よいきょきょろがけだっちぇ、みゃみゃがいっちぇちゃもん!」
この部屋はれいむ達の要求で与えた一室だった。
赤ちゃんを素晴らしいゆっくりに育てる為には、どうしても必要だと。
ゆっくり達は、ゆっくり出来る空間を求める習性がある事をお兄さんは知っていた、
それを、人間の子供が自分だけの部屋を求めるのと同義だと解釈していたのだ。
専用ベットを買い与え、柔らかい絨毯を引き、部屋とトイレ掃除を頻繁にして清潔に保つ。
献身に世話をしていたことが、さも当然のことだと言う赤れいむ。
そして、子育てが上手だと豪語していた親れいむの教育の成果。
「そうか…そうなのか。ははっ」
「ゆん? りきゃいちたんだねっ! ゆっくちゆるちてあぎぇるよっ!!」
お兄さんが帰宅した時に挨拶をしていたのは親達だけ。
赤れいむの声は聞こえなかった。
それは…、今考えれば当然だ。
この赤れいむは、お兄さんをお手伝いさんと言う下位の存在で見下していたのだから。
「れぇいみゅおにゃきゃすいちゃよっ!
ちょこりぇーとしゃんがちゃべちゃいなっ! ゆっくちもっちぇきちぇねっ!」
涎を垂らしながら要求する赤れいむ。
だが、その要望に答える者は誰もいない。
親れいむと親まりさはガタガタと震えながら、丸い身体を更に丸く折りたたむ。
お兄さんの表情はあくまでも穏やか。
しかし、得体の知れぬ雰囲気が、れいむ達のゆっくりプレイスに充満していく。
ゆっくり家族は、お兄さんから部屋の使用権限を剥奪された。
それから数日後。
現在時刻は既に昼零時を回っていた。
「良い朝…じゃなかった、昼だ」
あれから誰にも邪魔される事無く、快適な夜の睡眠を堪能しているお兄さん。
何時も霞みかかった頭の中は、毎日スッキリと晴れ渡り全てが愛しく思えてくる。
そんな気持ちも気候も穏やかな昼下がり。
お兄さんは、暖かいコーヒーをゆっくりと啜る。
『ゆっくりしていってね!』
「「ゆっぐぢじでいってねっ!?」」
良い雰囲気をぶち壊すような叫び声。
その声は、リビングに置いている天井が開いた箱から聞こえてきた。
「うーん、良い香りだ。このコーヒー豆は気に入ったよ」
お兄さんは聞こえてきた声に対して気分を害する事も無かった。
むしろ、笑みをより一層強くして、鼻歌を歌いだす。
「おにいざんっ! あやばるがらゆるじでぐだざいっ゛!?」
「おのどがいだいぃいいっ゛!? おみずざんをのまじでぐだざいぃいいぃぃっ゛!!」
「ゆわぁあぁあんっ゛! きゃわいいりぇいみゅに、ひぢょいこちょしゅるにゃあぁああっ゛!!」
『ゆっくりしていってね!』
「「ゆっぐぢじでいってねぇえぇえっ゛!?」」
コーヒーの香りでお兄さんが側に居ることを感じ取ったれいむ達は、
思い思いの要望を口にした後、奇麗に声を揃えて悲痛な叫びを訴えた。
れいむは助けをお兄さんに求めながら。
まりさは口から餡子を少量吐きつつ苦しそうに。
赤ゆは何故こんな非道な事をさせるのかと疑問に思いつつ。
ゆっくり家族は、スピーカーから繰り返される声に反芻し続けた。
『ゆっくりしていってね!』
「「ゆっぐぢじでいってねぇえぇえっ゛!? ぼうやだぁあぁあぁっ゛!」」
家族の待遇は決して悪い状態では無い。
部屋は狭くなってしまったが、専用ベットも美味しいご飯も完備されていた。
トイレもある程度は清潔。
以前となんら変わりは無い。
ただ、床が酷く散らかっていた。
ゆっくり達の体も汚い。
特に、赤れいむの体が酷く汚れている。
食べものを租借している途中。
おトイレをしている最中。
どんな時も容赦無く、『ゆっくりしていってね!』の、声が掛けられる。
その度に大きく口を開けて応答するため、食べかすが周囲に飛び散り、排泄物がトイレからはみ出す。
専用ベットの上は、見るも無残な状態になっていた。
お兄さんは床の掃除をしていない。
毎日、欠かさず行っていた、れいむ達の体を拭く事もしなくなった。
取り替えるのはご飯とトイレのみ。
「ゆわぁあああんっ゛!? ずーやずーやじだいよおぉおぉぉおっ゛!」
「おからだをふいでねぇええぇえっ゛! まじざは、きれいずぎなんだよおぉおぉっ゛!?」
「おてちゅだいのくちぇに、りぇいむにしゃからうのおおおぉおっ゛!? ゆっくち…」
『ゆっくりしていってね!』
「「ゆっぐぢじでいってねぇええぇええぇえぇえっ゛!?」」
満足に寝る事も食べる事も、そして、文句を言う事も出来なくなったゆっくり家族。
お兄さんに向けて涙を流しながら苦痛を訴える。
だが、お兄さんは知らん顔。
涼しい顔でコーヒーを味わい続けている。
そんなお兄さんの足元へと、小さい何かが擦り寄ってきた。
「お? 遊んで欲しいのか?」
「ゆん!」
お兄さんの視線を下ろした先には、一体のゆっくりが猫じゃらしを咥えながら佇んでいた。
これはお兄さんの友人から貰ったゆっくり。
先日、友人宅でこれまでの経緯と事情を話した。
その後、全面的にお兄さんの育て方が悪いとのお叱りを受ける。
修正するよりは、一から育てたほうが良いとのアドバイス。
そして、お兄さんは友人から正しい育て方をみっちりと伝授されてこの一体を托された。
「あっちで遊ぼうな」
「ゆん!」
「まっでねっ゛!? おにいざんまっでぐだざいっ゛! れいぶ、ゆっぐぢじだいんでずうぅううぅっ゛!?」
「もうゆるじでぐだざいぃいぃっ゛!? まりざ、これがらまじめになりまずぅうぅっ゛!!」
「みょう……りぇいむっ…ゆっ! ゆげっ!?」
『ゆっくりしていってね!』
「「ゆっぐぢじでいってねぇええぇええぇえぇえっ゛!?」」
「んっ゛!? えれえれ……っ」
「「おちびちゃぁああぁああぁぁあんっ゛!? うわぁああぁああっ゛!!」」
赤れいむの頬が膨らんだ後、大量に餡子を吐き出す。
これまでも幾度か合った命の危機。
れいむは自分の時間も惜しんで、部屋にあるジュースや食べ物で献身的に介護をし始める。
その横でまりさはみっともなく泣き喚いていた。
壁に見を摺り寄せながら脱出しようと行動を起こすが、ザラザラの木箱では体が傷つくだけだった。
れいむに助けを求めるが完全無視。
ツガイの仲は修復不可能な程に溝が深く刻まれていた。
『ゆっくりしていってね!』
「「ゆっぐぢじでいってねぇええぇええええぇえぇえっ゛!?」」
赤れいむは親れいむを恨み始めた。
死にたいのに死なせてくれない。
苦しめるために存在する最低な親だと。
だが、豊富に補充された餌を使い切るまでは生かされるだろう。
ジュースを塗れば回復する。
その体質が災いした苦痛のゆん生をこれからも味わい続ける。
「…ちりょうをゆっくぢさせてねぇええぇっ! おちびちゃんしんじゃうよおぉおぉっ゛!?」
「ゆわぁあぁあぁあっぁんっ゛! まじざのすでぎなびはだがぁぁあぁっ゛!?」
「ゆっ、ゆっ、ゆぐえっ…えれえれ……じにだいよ…」
超指向性スピーカーから放たれた言葉は、れいむ達にゆっくりとした時間を与えない。
そして、段々、呼び出しの間隔が短くなっていく。
今夜には、息継ぎする余裕さえも無くなる事だろう。
『ゆっくりしていってね!』
「「ゆっぐぢじでいってねぇええええええぇええぇえぇえっ゛!?」」
ゆっくりしていって欲しいとのお呼び出しが、絶え間なく家族達に掛けられる。
口から涎をみっともなく垂らした寝不足家族は、上を向きながら元気に答え続けた。
・眠りが妨げられるお話
超指向性スピーカーが欲しい
でも超高いから直ぐに断念
・気がついたら殆ど全てがむらむらタイム
毎度毎度自分の作品はバランスが悪すぎです
・一部他作者様の設定をお借りしています
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 何がお手伝いさんだよてめぇらをかってやってる飼い主様なんだよ そこんとこちゃんと理解しろよくそ饅頭
何故赤れいむは親を恨む自分のせいでこうなったのも忘れたのかよあんこのう -- 2018-06-27 21:25:00
- 赤れいむ殺して~ -- 2016-01-27 11:46:35
- これは素晴らしい作品です。
勧善懲悪の展開に胸がすっとしました -- 2014-01-16 19:22:49
- この虐待いいなw -- 2013-08-27 01:45:20
- 善作!良作!
まず赤霊夢だけ音声虐待して(親達が遊んでのびのびしているのを見ながら苦しませる)
後から親をフルボッコにすれば良かったのに -- 2012-07-25 13:57:44
- とてもおもしろかったです!
躾に失敗したら新たに飼い直しが出来るのもゆっくりの醍醐味の一つですよねw
>れいむをまりさに期待すること自体が間違っている
ですねw
仮に飼い主に尽くしてくれる善良な飼いゆっくりであったとしても
まりさ・れいむである時点で罪であり、断罪されるべきですから
-- 2011-07-18 11:07:13
- <租借→咀嚼
<租借→
<租借
< -- 2011-07-09 21:20:37
- すっきりできたー -- 2011-06-04 15:53:56
- ↓↓それはお前一人の偏見だから公の場で語るな。 -- 2011-03-07 11:57:26
- ↓間違っている -- 2011-01-11 16:43:03
- れいむをまりさに期待すること自体が間違っている -- 2010-12-18 20:33:00
- 飼いゆはゲスなったらお仕舞いだね。
これを教訓に、お兄さんはゆっくりした良い子を育てて欲しいよ~
自分本位のゆっくりは、糞饅頭でいい -- 2010-10-31 15:22:31
- ↓そうかもな。
躾なけりゃどこまでも増長するねがゆっくりの常だし。 -- 2010-10-22 14:38:10
- >そういう風に教育した親ども
それは違うんじゃないか
親どもは「なにも教育しなかった」んだろ
赤ゆのわがままを聞くだけ、だから赤ゆが勘違いしたんじゃないか -- 2010-09-14 18:33:36
- 赤ゆは当然ゲスだが、そういう風に教育した親どもの方がより酷いゲスだな
言葉使いが乱暴じゃないだけ。従順に装って腹の中では飼い主を見下して奴隷扱いしていたわけだ -- 2010-08-22 00:24:04
- 最低ランクのゲス赤ゆだな…この程度の制裁ではちょっと甘い気がしないか? -- 2010-08-01 16:02:04
- このクソ赤をもっと絶望のどん底に落として欲しかった -- 2010-06-28 23:01:46
- 最後まで赤れいむが反省してない所がな…
赤れいむに「身の程」を思い知らせて欲しかった。
-- 2010-06-26 23:19:01
- 無理に難しい漢字使おうとしなくていいんだよ<租借→咀嚼 -- 2010-06-12 13:01:49
- ゲス飼いゆ制裁ものはゆっくりできるよー! -- 2010-05-16 22:23:06
最終更新:2010年01月25日 17:06