・23回目
・ぱるぱるすぃです。
・虐めません。
・きっと小ネタです。
・目指せ地霊殿ゆっくり化計画。その4。
・ていうかSSじゃない。
・ヨロシクオネガイシマス
橋姫。
由来とかは、各自あきゅペディア見るなりWahaa! を使うなりして調べて欲しい。
今回は、その橋姫の縁に関する事柄が重要だ。
橋姫は、縁切りの鬼女か女神として有名であることは、調べればすぐ分かる。
同じく丑の刻参りの由来でもあることも分かるだろう。
ちなみに丑というのは、昔の時刻を干支で表した単位である。
「ひとつのろわばあなふたつ」
丑一つは、午前二時から午前二時半までの時間を指す。
「ふたつのろわばうつろがみっつ」
丑二つは、午前二時半から午前三時までの時間を指す。
「みっつのろわばたくさんしとなる」
丑三つは、午前三時から午前三時半までの時間を指す。
「たくさんのろわばみなねたましい」
丑四つは、午前三時半から午前四時までの時間を指す。
で、現在丑三つ時。もっとも霊やらなんやらが出てくると言われている時間。
僕はサークルの夏休み旅行ツアーの一環である肝試しの下見に、深い森の中にある古びた神社に来ていた。
境内を懐中電灯片手に、仕掛けを出来そうな場所やルートを確認しながら神社の裏に回ると、御神木の根元のあたりに変わったゆっくりがいた。
日本人が無理やり染めたようなけばい金髪ではなく、外国人のような生まれつきの自然な金の長髪を白い手ぬぐいでくるっとまとめたゆっくり。
金髪と言えば、まりさかありす。
マイナーなところだと、ゆうぎやらんにやまめなどがその特徴に当てはまる。
ただ、そのゆっくりにはその他のゆっくりとは決定的な違いがあった。
金髪の間から、とんがった耳が生えているのだ。
本来、ゆっくりには、耳はないはず。
ゆっくり研究サークルの一員としては、その不思議なゆっくりを見逃す訳にはいかない。
ということで、神社の隅から、そっと覗いているのが現在の状況だ。
そのゆっくりは、ご神木に丸い饅頭のようなものを立てかけ、木の小枝をその饅頭に突き刺し、髪の毛で持った平べったい石で打ちつけている。
平たく言うと、前振りでの橋姫のように丑の刻参りをしているようだ。
「ひとつのろわばあなふたつ」
恨みを込めて、石を打つ。
「ふたつのろわばうつろがみっつ」
恨みを込めて、石を打つ。
「みっつのろわばたくさんしとなる」
恨みを込めて、石を打つ。
「たくさんしんでもみなねたましい」
恨みを込めて、石を打つ。
「ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる・・・」
その繰り返し。
淡々としている姿は、ゆっくりのはずなのに鬼のような禍々しい雰囲気。
懐中電灯の光に気づいたゆっくりが僕の方を振り向いた。
爛々とした緑のジト目と目が合ってしまう。
「ゆ・・・ゆっくりしていってね」
「・・・」
思わず定型文を言ってみたが、取り合わずに緑眼ゆっくりは興味をなくしたようにまた。
「ひとつのろわばあなふたつ」
恨みを込めて。石を打つ。
無視されるのは、それはそれで悲しい。
なので、そのゆっくりの隣まで移動することにする。
近づく度に懐中電灯の光で明瞭になる御神木。
そこには、ゆっくりれいむが木の枝で御神木に縫い付けられている。
そこには、ゆっくりまりさが木の枝で御神木に縫い付けられている。
そこには、子れいむが木の枝で御神木に縫い付けられている。
そこには、子まりさが木の枝で御神木に縫い付けられている。
そして今は、その中で一番小さいまりさが、緑眼ゆっくりによって御神木へ縫い付けられる真っ最中だ。
どうやら、野生の家族が緑眼ゆっくりに捕まった結果がこれらしい。
ゆっくりを殺すことも厭わないゆっくりと言えば捕食種だが、食べられた形跡はない。
このゆっくりがこんな回りくどいやり方をしているのが気になる。
「なぁ、あー・・・。ゆっくりよ。何をしているんだ?」
てっきり返事はないだろうと思ったが、緑眼ゆっくりは石を打ちながらも口を開いた。
「かぞくはねたましい」
「妬ましい?」
「ゆっくりしているのがねたましい」
怨恨殺人・・・なわけでは、ないはず。
「何故、ゆっくりしていると妬ましいんだ?」
「ぱるすぃがゆっくりできないからねたましい」
ぱるすぃは名前だろうか? ぱるすぃはゆっくりできないから妬ましい。
ゆっくりというものは、ゆっくり=幸福と見ている節がある。
つまり、
ぱるすぃ(このゆっくりの名前)はゆっくりできない(こうふくになれない)から妬ましい。
ということになるのだろう。
妬ましいという言い回しは、長年ゆっくりを見てきた僕でも聞いたことがない。
首をかしげていると、ふとぱるすぃは石を手放した。
髪の毛を手のように使って、てぬぐいを額から首(ゆっくりの首は口元から下2cm)までずらして、毒気が抜けたように笑顔を浮かべる。
「♪~~♪♪~~」
先程の鬼気迫る表情が嘘のように、鼻歌なんて歌っている。
ふと、思いつきを試してみたくなった。
てぬぐいを首から額に上げてみる。
「♪~・・・ぱるぱるぱる」
てぬぐいを額から首に下げてみる。
「ぱるぱるぱる・・・~~♪♪」
思ったとおり。
ジキル博士とハイド氏は薬が入れ替わりの条件だったように、ぱるすぃの嫉妬と通常はてぬぐいの位置で決まるようだ。
二面性のあるゆっくり。これは、なかなか面白そうだ。
本来は、肝試しのモチベーション維持の為にがやがやうるさいゆっくりを黙らせる為に、ゆっくりを半分睡眠状態にして沈静化する研究成果であるコーラを入れた霧吹きを持ってきたのは正解だった。
「~♪・・・~~ゆ・・Zz・・・」
吹きかけると鼻歌を歌って油断しきっていたぱるすぃはすぐに寝てしまう。
いつも携帯している組み立て式透明な箱を取り出して、眠るぱるすぃをその中に入れる。
下見のつもりが、とんでもなく収穫があった。
これは、来週が楽しみだ。
深夜丑一つ時、順番が来たゆっくりれいむとゆっくりまりさがスィーに乗って森の中を進んでいる。
「ゆっくりのひ~」
「まったりのひ~」
暗い夜道を歌を歌いながら悠々と走る二人の飾りには銀バッジがあるが、原初種と呼ばれる性質上。肝試しにはまったく向いていない。
やまめときすめの人魂も。
柳下の井戸からかつらを被ったきめぇまるが出てきても。
百鬼夜行の如く、様々な特殊メイクを施された30人(特性で一時的に分裂している)のうどんげ行進も。
その他の様々な仕掛けも。
「おお、こわいこわい」
「おお、こわいこわい」
ニヒルな顔でおどけるだけで、全く怖がった素振りを見せずスィーを走らせる。
折り返し地点である神社の御神木にも、ニヒルな笑顔で到着した。
「ゆっくりー」
「ゆっくりー」
御神木の前にある神社まで行った証の、『ゆ』の形をしたバッジを取って飾りに付けていると。
御神木の裏から音がする。
また、お兄さんやお姉さん達の仕掛けだろうと覗いてみた。
そのニヒルな笑顔は、とたんに無表情へと変わった。
「ひとつのろわばあなふたつ」
金髪のゆっくりが、恨みを込めて石を打つ。
「ふたつのろわばうつろがみっつ」
緑眼のゆっくりが、恨みを込めて石を打つ。
「みっつのろわばたくさんしとなる」
てぬぐいをつけたゆっくりが、恨みを込めて石を打つ。
「たくさんしんでもみなねたましい」
金バッジをつけたゆっくりが、恨みを込めて石を打つ。
「ぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱるぱる」
自分ではないれいむに恨みを込めて、石を打つ。
自分ではないまりさに恨みを込めて、石を打つ。
れいむとまりさの無表情が徐々に変化していく。
やがて、口と目が開ききった時。
緑眼と目が合った。
爛々とした目が在った。
「でこぼここんび・・・ねたましい」
「うわああああぁぁぁ!!!」
「うわああああぁぁぁ!!!」
れいむとまりさは踵を返して、一目散に元来た道を逃げ帰った。
後で話を聞くと、いつもマイペースなあの二人があんな表情をしたことを見たことがなかったとサークルの全員が語った。
妬むことで、相手をゆっくりさせない。その相手を見ることがゆっくり出来ること。それがぱるすぃにとってのゆっくりすること。
ぱるすぃのあとに脅かそうと草葉の陰で、鎧武者の服装でスタンバイしていた僕にぱるすぃは、十三回目のしてやったりな笑顔を向けてきた。
僕は、十三回目の笑顔を浮かべる。
アトガキ
ぱるすぃを書きたかった。ただそれだけです。
ということで、書いてみました。ぱるすぃ。
嫉妬するゆっくり。ってことで妬ましいからの言葉攻めを書こうと思いましたけど無理でした。
で、元ネタの水橋パルスィの元ネタの橋姫から引っ張ってきた次第です。
妖怪とゆっくりって、結構相性良いですよね。特徴とか。
橋姫の丑の刻参りは、目撃されたら術者に呪いが跳ね返ってくるんですが、それがないのはゆっくりだから。つまりそういうことです。
今更ですけど、東方の金髪率は異常でどう描写するべきか悩みます。はい。秋姉妹? 自分のログには何もありません。
目指せ、地霊殿ゆっくり化計画。4/8
ご読了ありがとうございました。
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『ふたば系ゆっくりいじめ 1342 水橋姫』
最終更新:2010年08月02日 19:05