「──放送の時間だ。」
『ごきげんよう、みんな。殺し合い楽しんでる? こっちはすごーっく楽しませてもらってるわ! 声だけでしか分からないのが残念なくらいにね』


オセロットの言葉と共に、マナの声が辺りに響く。
言われた通りに、鞄を開けてみるとさっきまではなかったはずの名簿が入っていた。

名簿を全部読み終わらないまま、死者の名前が呼ばれる。


バレットの知り合いは一人も呼ばれていなかったが、とても安堵するどころではなかった。
何しろ、自分の仲間のみならず、かつて自分達が命を懸けて倒した宿敵セフィロスと、そのセフィロスに殺された少女エアリスが名簿に載っていたから。


続いて流れるのは禁止エリアの発表。


几帳面に地図に禁止エリアをメモし、引き続き名簿を見つめる。
オセロットはその様子を、死んだ獲物を見る禿鷹のようにじっと見つめていた。
一方でその目線の先にいる男の顔はアリオーシュと対峙した時以上に引き攣っていた。

「なあ……どういうことだよ……。」
「どういうこととはどういうことだ?キミは何について疑問に思っている?」


オセロットの表情は変わらぬまま。本気で質問に答える機なのかそうでないのかも分からない表情で答える。

「死んだ奴が、生きているってことだよ!!アンタも知っているんだろ?」
「いくらキミより頭がいい人物が目の前にいるからと言って、考えるのを怠るのはよくないぞ。」

こんな時に常識言ってんじゃねえ、と言いたくなる気持ちを抑えながら、経験から推測しようとする。

(痛てえ……。)
丁度その時、肩の傷が痛み始めた。
先程、アリオーシュに噛み付かれた痛みだ。


(君もゾンビにはなりたくないだろう?)

オセロットに言われた言葉を思い出す。
(もしや、さっきの女、はたまたあの二人も?)


あのアリオーシュという女性は、明らかに力や身のこなし、言動がおかしかった。
とてもではないが正気とは思えなかった。

「さっき戦った女も、エアリスもセフィロスもゾンビとして生き返ったのか?」
ゾンビと戦ったことはないが、バレットはそれに似た存在と戦ったことがある。
ジェノバ細胞に適応できず、自我を失った神羅屋敷の怪物。
死してなお、命ある者を襲い続けたギ族の亡霊。
アリオーシュの躊躇いのない攻撃性は、そういったモンスター達を連想させた。


「いや、違うな。アリオーシュはゾンビとして生き返ったのではなく、この世界でゾンビになったのだ。」


しかし、バレットが過去の出来事と照らし合わせて出した回答を、こともなげに一蹴する。
「知っているなら勿体ぶるんじゃねえっつってんだろ!……で、後の二人はどうなんだ?」
「知らないな。」


オセロットはにべもなく答える。


「は?」

散々勿体ぶられた先に、知らないと言う回答は、バレットも予想していなかった。

「聞こえなかったのか?知らないと言ったのだ。」
「何だよそれ、知らないってふざけてんのか?」
「いいや。私は大マジメだよ。知らないことを知ってるってウソをつけというのか?」
「………ウソを付けとは言ってねえよ!!ただ、すっとぼけずに知ってること全部話しやがれってんだ!!」


大声を出すバレットとは対照的に、オセロットは静かだった。
「やれやれ、参ったな。」
「はあ?自分がスパイだって発表して、参ったってどういうことだよ。」
「私がスパイだと一つ明かせば、後は知りたいこと何でも答えてくれると思う、君の頭にだよ。」

「なん……」
何だと、という間もなく、オセロットの右腕が、バレットの首に伸びる。
「君は何か勘違いしているようだ。」
100キロはあるバレットの体格が、片手でいとも簡単に持ち上げられる。
「この際だから言おう。私はスパイであるが、君の味方になった覚えはない。従って、黙秘権はあるはずだよ。私はこれまで様々な人間の口を割ってきたが、私自身が話したくないことや知らないことは話す気はないのでな。」

「は……な……」
気道が確保できない状態でいてなお、バレットは抵抗しようとする。

「それとも、ここでゾンビになる前に打ち抜かれて、終わることにするかね?」
バレットを宙づりにしておらず、銃を握った方の手が上がる。
足が地に付かない状態では、睨むぐらいがせいぜいだ。

「なんてな。君がこんな所で死ぬのは、私の方も忍びない。」

しかし、すぐにオセロットはバレットを地面に降ろし、殺す気はないというアピールをする。

「どうしたんだねバレット君、共にラクーン市警に向かうのではなかったかな?
もしかすると、『あやつる』の副作用かね?」

「ああ、そうだったな。」
何とも言えない、例えるなら絶品と評判のレストランの料理で、不味くはないがさほど旨くない料理を口にした時のような顔で、バレットは歩き始めた。


「先ほどは乱暴を失礼した。だが、君に私が味方ではないってことを、知っておいてほしくてね。」
「……テメエが今何だろうと関係ねえ。これからどうなるか、だ。」

かつて自分達のスパイから、やがて味方になった仲間もいる。
思えば彼にとって、元ソルジャーなどと宣う金髪の男やら、実験サンプルやら、ギルやマテリアを盗む謎の忍者やら、仲間というのは最初は得体のしれない者がほとんどだった。

だから、彼は今オセロットが味方じゃないと言っても、行動を共にする。
これまでのことは分からないし、教えてくれるような相手でもないが、これから味方になる可能性はあるから。



丁度高い建物が見え始めた頃、再びバレットに付いた噛み跡が痛んだ。



【E-3/草原 /一日目 早朝】

【バレット@FF7】
[状態]: 左肩にダメージ(中) T-ウイルス感染(?) オセロットに不信感
[装備]:バタフライエッジ@FF7 神羅安式防具@FF7
[道具]: デスフィンガー@クロノ・トリガー 基本支給品 ランダム支給品(0~1)
[思考・状況]
基本行動方針: ティファを始めとした仲間の捜索と、状況の打破。
1.リボルバー・オセロットを警戒
2.よく分からないがラクーン市警に向かうらしい
3.タンカーへ向かい、工具を用いて手持ちの武器を装備できるか試みる

※ED後からの参戦です。


【リボルバー・オセロット@METAL GEAR SOLID 2】
[状態]:健康
[装備]:ピースメーカー@FF7(装填数×2) ハンドガンの弾×12@バイオハザード2
[道具]:マテリア(あやつる)@FF7 基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:???
1.バレットのT-ウイルスを除去するため、ラクーン市警でハーブを入手する。


※リキッド・スネークの右腕による洗脳なのか、オセロットの完全な擬態なのかは不明ですが、精神面は必ずしも安定していなさそうです。

※主催者と何らかの繋がりがあり、他の世界の情報を持っています。


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リボルバー・オセロット

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最終更新:2021年09月03日 22:33