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ワルキューレ
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gensousyusyu
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ワルキューレ/Valkyrja
北欧神話に登場する戦いの乙女たち。北欧神話の主神オーディンに付き従う存在である。
青い目とブロンドの長髪を持つ美女で、黄金の兜と鎧を纏い、長い槍(もしくは剣)と楯を持ち、空飛ぶ馬に乗って天を翔ける。兜には羽がついている場合もある。伝承によっては鳥のような存在だとされることもある。また、羽毛の衣を着た白鳥の姿で人間界に姿を現すともされる。
戦運が神格化された存在である。戦いや栄光に包まれる方法、勝利を得るための方法に精通しており、戦争においてどちらの陣営を勝利させるかを決めた。また、オーディンと共に神々の世界の戦士を選ぶ権利を持っていた。オーディンは、神々と巨人族の最終決戦に備え、勇敢な戦士を神々の世界に迎えるために人間の王たちを争わせて戦死者を増やそうとした。その際にワルキューレは、オーディンの命を受けて人間界の戦場に飛来し、選ばれた戦士をアースガルドのヴァルハラ(戦死者の館)に導く。導かれた戦士たちは、ヴァルハラで傷を負わない戦士エインヘリヤル(1人で戦う者の意)として復活した。彼らは、豪勢な料理や死ぬことのない戦いを楽しんで過ごす。ワルキューレは彼らの召使いとして、エールやサイフリームニル(無尽蔵の猪肉)料理や、彼らが倒した敵の頭蓋骨に入れた蜂蜜酒を振舞ったり、歌や舞で彼らを楽しませた。また、エインヘリヤルのためにワルキューレの1人シグルズリーヴァが彼らの名誉の掟を定めた。
エインヘリヤルに酒を饗するのは、「戦士」「力」「鋭く叫ぶ者」「軍勢の足枷」「金切声を出す者」「槍を持つ者」「計画を壊す者」「神々の親族」といった名の9人のワルキューレだとされることがある。また、巨人フルングニルがオーディンと馬の競争をし、アースガルドまで来た際には「斧の時代」「激怒する者」という名のワルキューレが2つの大きな酒をフルングニルに出したという。バルドルの葬列では、「振るう者」「霧」「斧の時代」「激怒する者」「戦士」「力」「鋭く叫ぶ者」「軍勢の足枷」「金切声を出す者」「槍を持つ者」「盾を持つ者」「計画を壊す者」がオーディンの横に立って登場した。北欧文学では40人ほどのワルキューレが登場し、グン(戦争)、ヒルドゥル(闘い)、フリスト(援軍)、バウジヒリエ(戦いの掟)、フラズグンル(混戦)などの女戦士やゴンドゥツル(魔法の棒の名手)、ゴル(恐ろしいうなり声)、ヘルフョートゥル(魔法の紐で麻痺させる者)、ミスト(麻痺)などの女魔術師などがおり、皆豊穣の女神でもあった。運命を司る神ノルンの内の1人であるスクルドもワルキューレの一員とされた。ワルキューレの中には、元は人間として生まれたワルキューレもおり、その場合は王女であることが多い。
『古エッダ』「巫女の予言」には、グズ、ロタ、スクルドという3人の運命の女神の末の者が、絶えず馬に跨って戦死者を選び、戦いの決着をつけると書かれている。
ノルウェー王ハラルドの軍隊の兵士の一人がワルキューレの夢を見たという逸話が残っている。兵士が夢を見たのは、スタンフォード・ブリッジで自軍勢がハロルド王に破られる1066年9月の少し前で、夢で彼は王の船に乗っていて、そこから巨大なワルキューレが島に立ち、片手のフォークで死者をかき集め、もう片方の手に持った飼葉桶に、流れ出る血を受けているのを見たという。
元はオーディンの巫女であり、捕虜を処刑してオーディンに捧げる儀式を司っていたと考えられ、時には儀式用の槍を用いて、ワルキューレ自身が生贄になることもあったという。また、ディースと同一視される。ドイツの伝承ではイディージーの名で呼ばれる。ワーグナーの楽劇『ニーベルンゲンの指環』では、ヴォータンとエルダの間に生まれた9人のワルキューレが登場する。
名は古ノルド語の「kjora」から派生した「選ぶ」の意の「kyria」と、「戦死者」の意の「val」から「戦死者を選ぶ女」の意。
青い目とブロンドの長髪を持つ美女で、黄金の兜と鎧を纏い、長い槍(もしくは剣)と楯を持ち、空飛ぶ馬に乗って天を翔ける。兜には羽がついている場合もある。伝承によっては鳥のような存在だとされることもある。また、羽毛の衣を着た白鳥の姿で人間界に姿を現すともされる。
戦運が神格化された存在である。戦いや栄光に包まれる方法、勝利を得るための方法に精通しており、戦争においてどちらの陣営を勝利させるかを決めた。また、オーディンと共に神々の世界の戦士を選ぶ権利を持っていた。オーディンは、神々と巨人族の最終決戦に備え、勇敢な戦士を神々の世界に迎えるために人間の王たちを争わせて戦死者を増やそうとした。その際にワルキューレは、オーディンの命を受けて人間界の戦場に飛来し、選ばれた戦士をアースガルドのヴァルハラ(戦死者の館)に導く。導かれた戦士たちは、ヴァルハラで傷を負わない戦士エインヘリヤル(1人で戦う者の意)として復活した。彼らは、豪勢な料理や死ぬことのない戦いを楽しんで過ごす。ワルキューレは彼らの召使いとして、エールやサイフリームニル(無尽蔵の猪肉)料理や、彼らが倒した敵の頭蓋骨に入れた蜂蜜酒を振舞ったり、歌や舞で彼らを楽しませた。また、エインヘリヤルのためにワルキューレの1人シグルズリーヴァが彼らの名誉の掟を定めた。
エインヘリヤルに酒を饗するのは、「戦士」「力」「鋭く叫ぶ者」「軍勢の足枷」「金切声を出す者」「槍を持つ者」「計画を壊す者」「神々の親族」といった名の9人のワルキューレだとされることがある。また、巨人フルングニルがオーディンと馬の競争をし、アースガルドまで来た際には「斧の時代」「激怒する者」という名のワルキューレが2つの大きな酒をフルングニルに出したという。バルドルの葬列では、「振るう者」「霧」「斧の時代」「激怒する者」「戦士」「力」「鋭く叫ぶ者」「軍勢の足枷」「金切声を出す者」「槍を持つ者」「盾を持つ者」「計画を壊す者」がオーディンの横に立って登場した。北欧文学では40人ほどのワルキューレが登場し、グン(戦争)、ヒルドゥル(闘い)、フリスト(援軍)、バウジヒリエ(戦いの掟)、フラズグンル(混戦)などの女戦士やゴンドゥツル(魔法の棒の名手)、ゴル(恐ろしいうなり声)、ヘルフョートゥル(魔法の紐で麻痺させる者)、ミスト(麻痺)などの女魔術師などがおり、皆豊穣の女神でもあった。運命を司る神ノルンの内の1人であるスクルドもワルキューレの一員とされた。ワルキューレの中には、元は人間として生まれたワルキューレもおり、その場合は王女であることが多い。
『古エッダ』「巫女の予言」には、グズ、ロタ、スクルドという3人の運命の女神の末の者が、絶えず馬に跨って戦死者を選び、戦いの決着をつけると書かれている。
ノルウェー王ハラルドの軍隊の兵士の一人がワルキューレの夢を見たという逸話が残っている。兵士が夢を見たのは、スタンフォード・ブリッジで自軍勢がハロルド王に破られる1066年9月の少し前で、夢で彼は王の船に乗っていて、そこから巨大なワルキューレが島に立ち、片手のフォークで死者をかき集め、もう片方の手に持った飼葉桶に、流れ出る血を受けているのを見たという。
元はオーディンの巫女であり、捕虜を処刑してオーディンに捧げる儀式を司っていたと考えられ、時には儀式用の槍を用いて、ワルキューレ自身が生贄になることもあったという。また、ディースと同一視される。ドイツの伝承ではイディージーの名で呼ばれる。ワーグナーの楽劇『ニーベルンゲンの指環』では、ヴォータンとエルダの間に生まれた9人のワルキューレが登場する。
名は古ノルド語の「kjora」から派生した「選ぶ」の意の「kyria」と、「戦死者」の意の「val」から「戦死者を選ぶ女」の意。
別名
参照
参考文献
- 山北篤著『西洋神名事典』新紀元社
- 大林太良,伊藤清司,吉田敦彦,松村一男編『世界神話事典』角川選書
- フェルナン・コント著/蔵持不三也訳『ヴィジュアル版ラルース 世界の神々神話百科』原書房
- フォルケ・ストレム著/菅原邦城訳『古代北欧の宗教と神話』人文書院
- K・クロスリィ-ホランド著/山室静,米原まり子訳『北欧神話』青土社
- 草野巧著『幻想動物事典』新紀元社
- アーサー・コッテル著/左近司祥子,宮元啓一,瀬戸井厚子,伊藤克巳,山口拓夢,左近司彩子訳『世界神話辞典』柏書房
- テリー・ブレヴァートン著/日暮雅通訳『図説 世界の神話伝説怪物百科』原書房
- 山北篤著『幻想生物 西洋編』新紀元社