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レンミンカイネン
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gensousyusyu
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レンミンカイネン/Lemminkkainen/Lemminkainen
フィンランドの叙事詩『カレワラ』に登場する英雄・トリックスター。
父はレンピ、妹はアイニッキ。容姿が非常に美しい青年で、夜な夜な多くの女性と踊り遊んでいた。島のとある岬のあばら家で母と暮らしており、ムーリッキ、マンシッカ、プールッカという名の牛を所有する。幼い頃、母親によって夏の夜に3度、秋の夜に9度水の中につけられたため、碩学者であり魔術師、歌い手、敏腕の士となることができたという。
ある時、クッリという乙女を花嫁にするため、サーリという島へ向かおうとした。レンミンカイネンの母親は反対したが、レンミンカイネンはそれを振り切ってサーリへと橇を走らせた。しかし母の忠告通り、サーリの乙女たちは彼を愚弄し、レンミンカイネンは怒った。だがすぐにサーリの乙女たちと戯れ始め、クッリ以外の全員を籠絡した。クッリに拒まれたレンミンカイネンは、彼女が他の乙女たちと共に踊っているところに現れ、彼女を橇に押し入れて攫い、乙女たちを「クッリを攫ったことを誰かに漏らしたら不幸になるぞ」と脅した。クッリは嘆いたが、レンミンカイネンが2度と争いに出かけないことを条件に結婚を承諾する。レンミンカイネンは、クッリに対して村に行かないことを誓わせる。そして家に帰ると、クッリを母に紹介する。母はユーマラに感謝し、あばら家を素晴らしい家にする魔法の歌を唱える。
レンミンカイネンとクッリは共に約束を守りながら暮らしていたが、レンミンカイネンが魚を獲りに出かけている間に、クッリは乙女たちと踊るために村に行ってしまう。アイニッキからそれを聞いたレンミンカイネンは非常に怒り、自分も約束を破って争いに赴こうとする。クッリは、夢で家が燃える様を見たことを話し、それを止める。レンミンカイネンの母も戦いに行くことを制止するが、彼はそれを聞かず、ポホヨラに戦いに行くことを決意する。かつてレンミンカイネンは、ポホヨラ(ラップランド)の妖術師たちに惑わされかけたり、魔法で貶められそうになったことがある。彼はその憂さ晴らしがしたいらしい。レンミンカイネンは出発する前、刷毛で髪を梳き、それを壁に投げつけて「この刷毛より血が滴ったら、自分に不幸が襲いかかった証である」と言い、鎧と鋼鉄の帯で武装してヒイシとユーマラの力で鍛えられた剣を持ち、目的地の妖術師たちへの煽り文句を口にした後、口笛を吹いて馬を呼び寄せ、橇でポホヨラへ向かった。3日目にある村にやってきたレンミンカイネンは、自らの馬を休ませる場所を求めて子供の家や、老婆の家を訪ねた。しかしどちらにも断られ、怒ったレンミンカイネンは捨て台詞を吐く。レンミンカイネンが目当ての家に着くと、耳を澄ませてこっそり中の様子を窺った。すると、家の中には魔法使い・占い師・予言者・歌い手らでひしめき合ってヒイシの歌を歌っていた。レンミンカイネンは魔法で姿を変えて家の中に入り、歌を中断させた。するとポホヨラの老主婦が前に出てきて、「この家の犬を吠えさせることなく中に入ってきたお前は誰だ」と問うた。レンミンカイネンは自らの正体を明かし、魔法の歌を歌い始めた。すると歌い手の才能は拙いものになり、その口に小石を食ませた。そして魔法使いらの体の上に岩を積み上げ、ポホヨラの人々に呪いの歌を浴びせながらあちこちを歩き回り、彼らを焼き払ったり、1人残らず呪いにかけた。ただ1人だけ、目の見えない老羊飼いマルカハッツだけは呪いをかけなかった。彼に「どうして私だけ呪いをかけないのか」と聞かれたレンミンカイネンは、彼が惨めであるとして愚弄した。
レンミンカイネンは、ポホヨラの女主人ロウヒに対して娘を求めた。ロウヒは、彼が女たらしであることを理由に渋り、雪靴(スキー)を履いてヒイシの鹿を狩ってくることを条件にした。そこでレンミンカイネンはラプランドのカウッピという者を訪れ、雪靴を造らせた。ヒイシは、頭が朽ち木・角が柳の枝・脚が沼の境の綱・脛が沼の棒きれ・背が垣の材木・筋が枯れた草の茎・眼が睡蓮の花・耳は睡蓮の葉・毛皮が松の皮・肉が腐れ木になっている鹿を創造し、ラプランドに放って暴れさせた。騒ぎを聞いて駆け付けたレンミンカイネンは、ラプランドの者たちに「自分が鹿を狩るから、鹿を煮るための鍋を用意しておけ」と豪語する。雪靴ですぐに鹿に追いつき、楓の棒と樺の首輪を用いて樫の檻に閉じ込めたが、鹿は暴れ来るって檻を突き破り、逃げてしまった。怒ったレンミンカイネンが追いかけようとするが、たちまち雪靴が壊れてしまった。
そこでレンミンカイネンは至高神ウッコに、再び優れた雪靴を手に入れることを願った。また、森の神タピオに狩りの成功を、ヌーリッキに道に迷わないよう、ミエリッキに目印になる金や銀を見せるよう祈った。しかし獲物の鹿は見つからず、3日もあちこちを探し回った。するとタピオの農舎を見つけたので覗き込むと、森の神々はぼろぼろの服を纏っていた。森の神の着る服が豪華だと豊猟、みすぼらしいと不猟に見舞われるという考え方があった。そこでレンミンカイネンは、森の神々を慰めて周った。こうしてようやく鹿の首に輪索をつけ、狩ることに成功した。
レンミンカイネンはロウヒに鹿を狩ってきたことを報告するが、ロウヒは次にヒイシの栗毛の駿馬を捕えることを要求した。探し始めて3日目、樅の林に駿馬を見つけた彼は、ウッコに祈って馬の上に雹を降らせ、馬を説得して頭を垂れさせた。柳の鞭で馬を操り、ロウヒに報告したが、彼女は次にトゥオネラの河で白鳥を一射で射止めることを要求した。そこで弓と胡籙を背負ってトゥオネラに駆けだしたが、待ち構えていたマルカハッツが投げた毒蛇が左腋下と右肩に当たった。レンミンカイネンは毒蛇から身を守る魔法を知らなかったため、毒に冒され、マルカハッツによってトゥオネラの河に投げ込まれた。その体はトゥオニの息子がバラバラにし、川底に沈んだ。
すばしっこい神人であり、喧嘩や騒ぎが大好きで、若い娘の心をいっぺんに奪ってしまう陽気な青年だという。儀式を盛り上げ、超自然的な力を貸してくれる。フィンランド人学者リョンロートによる英雄叙事詩『カレヴァラ』にも登場する。レンミンカイネンは赤ん坊の頃、母親から夏の一夜に三度、秋の一夜に九度水の中につけられたため、碩学者であり魔術師、歌い手、敏腕の士となることができた。花嫁を探しに神人たちの祖国・ポホヨラを訪れるが、ポホヨラの女主人ロウヒは幾つかの難題を課す。三つ目の課題として、地獄の神トゥオニの白鳥を得よう(殺そう)と、トゥオネラ川に行くと、彼を恨んでいた羊飼いが待ち伏せしていて、射られて川の中に投げ込まれ (あるいは、蛇から身を護る呪文を学んでおかなかったために命を落とした)、その体をトゥオニの息子によってばらばらにされ、黒い川に捨てられた。レンミンカイネンの母は、息子のヘアブラシから血が滴っているのを見て死を悟り、トゥオネラに赴いて、まずイルマリネンが造った鉄の長い熊手で川を掬い、レンミンカイネンの体の欠片をかき集めた。その肉を寄せ集めてレンミンカイネンの形に造り、肉に肉を合わせ、骨に骨を接ぎ、関節に関節を接ぎ、血管に血管を繋ぎ合わせた。そうして≪血管のいとも麗しき女神スオネタルよ、銅の紡錘もて、鉄の糸車もて、実にも細き織機にて働く細脈の愛らしき織手よ、おん身の前掛に細脈を一ぱい持って来給え、かくて血管を接ぎ合わせ、その端々を接ぎ給え≫と加護を祈り、魔法で彼を甦らせた。しかしその肉体は喋ることが出来なかった。そこで母は蜜蜂のメヒライネン、蜜の鳥、森の花の王に軟膏として蜜を持って来るよう訴えた。しかし功を奏さず、三回も蜜蜂が異なる方角にある軟膏を持って来るよう言いつけた。こうして得た軟膏を母がレンミンカイネンの骨・関節・頭から全身に塗り、「起きよ」と告げると、ようやくレンミンカイネンは長い眠りから覚めた。レンミンカイネンは母に殺されたいきさつと、白鳥を射て花嫁を得たいと告げるが、母は彼を諫め、二人で自国に帰った。しかし後にレンミンカイネンは、ロウヒの娘の結婚式に招かれなかったことに怒り、ポホヨラの族長を殺すが、ポホヨラの人々の返り討ちに遭う。ロウヒの家を訪れた際には、その中が魔法使いや魔術師、占い師や妖術師で溢れかえっているのを見て、彼らが歌う悪霊ヒーシの歌に対抗し、野性の歌をわめき立てて自らの魔力を示した。すると彼の目や毛皮の服から火がほとばしり、魔術師たちを荒野や沼に放り投げていったという。
父はレンピ、妹はアイニッキ。容姿が非常に美しい青年で、夜な夜な多くの女性と踊り遊んでいた。島のとある岬のあばら家で母と暮らしており、ムーリッキ、マンシッカ、プールッカという名の牛を所有する。幼い頃、母親によって夏の夜に3度、秋の夜に9度水の中につけられたため、碩学者であり魔術師、歌い手、敏腕の士となることができたという。
ある時、クッリという乙女を花嫁にするため、サーリという島へ向かおうとした。レンミンカイネンの母親は反対したが、レンミンカイネンはそれを振り切ってサーリへと橇を走らせた。しかし母の忠告通り、サーリの乙女たちは彼を愚弄し、レンミンカイネンは怒った。だがすぐにサーリの乙女たちと戯れ始め、クッリ以外の全員を籠絡した。クッリに拒まれたレンミンカイネンは、彼女が他の乙女たちと共に踊っているところに現れ、彼女を橇に押し入れて攫い、乙女たちを「クッリを攫ったことを誰かに漏らしたら不幸になるぞ」と脅した。クッリは嘆いたが、レンミンカイネンが2度と争いに出かけないことを条件に結婚を承諾する。レンミンカイネンは、クッリに対して村に行かないことを誓わせる。そして家に帰ると、クッリを母に紹介する。母はユーマラに感謝し、あばら家を素晴らしい家にする魔法の歌を唱える。
レンミンカイネンとクッリは共に約束を守りながら暮らしていたが、レンミンカイネンが魚を獲りに出かけている間に、クッリは乙女たちと踊るために村に行ってしまう。アイニッキからそれを聞いたレンミンカイネンは非常に怒り、自分も約束を破って争いに赴こうとする。クッリは、夢で家が燃える様を見たことを話し、それを止める。レンミンカイネンの母も戦いに行くことを制止するが、彼はそれを聞かず、ポホヨラに戦いに行くことを決意する。かつてレンミンカイネンは、ポホヨラ(ラップランド)の妖術師たちに惑わされかけたり、魔法で貶められそうになったことがある。彼はその憂さ晴らしがしたいらしい。レンミンカイネンは出発する前、刷毛で髪を梳き、それを壁に投げつけて「この刷毛より血が滴ったら、自分に不幸が襲いかかった証である」と言い、鎧と鋼鉄の帯で武装してヒイシとユーマラの力で鍛えられた剣を持ち、目的地の妖術師たちへの煽り文句を口にした後、口笛を吹いて馬を呼び寄せ、橇でポホヨラへ向かった。3日目にある村にやってきたレンミンカイネンは、自らの馬を休ませる場所を求めて子供の家や、老婆の家を訪ねた。しかしどちらにも断られ、怒ったレンミンカイネンは捨て台詞を吐く。レンミンカイネンが目当ての家に着くと、耳を澄ませてこっそり中の様子を窺った。すると、家の中には魔法使い・占い師・予言者・歌い手らでひしめき合ってヒイシの歌を歌っていた。レンミンカイネンは魔法で姿を変えて家の中に入り、歌を中断させた。するとポホヨラの老主婦が前に出てきて、「この家の犬を吠えさせることなく中に入ってきたお前は誰だ」と問うた。レンミンカイネンは自らの正体を明かし、魔法の歌を歌い始めた。すると歌い手の才能は拙いものになり、その口に小石を食ませた。そして魔法使いらの体の上に岩を積み上げ、ポホヨラの人々に呪いの歌を浴びせながらあちこちを歩き回り、彼らを焼き払ったり、1人残らず呪いにかけた。ただ1人だけ、目の見えない老羊飼いマルカハッツだけは呪いをかけなかった。彼に「どうして私だけ呪いをかけないのか」と聞かれたレンミンカイネンは、彼が惨めであるとして愚弄した。
レンミンカイネンは、ポホヨラの女主人ロウヒに対して娘を求めた。ロウヒは、彼が女たらしであることを理由に渋り、雪靴(スキー)を履いてヒイシの鹿を狩ってくることを条件にした。そこでレンミンカイネンはラプランドのカウッピという者を訪れ、雪靴を造らせた。ヒイシは、頭が朽ち木・角が柳の枝・脚が沼の境の綱・脛が沼の棒きれ・背が垣の材木・筋が枯れた草の茎・眼が睡蓮の花・耳は睡蓮の葉・毛皮が松の皮・肉が腐れ木になっている鹿を創造し、ラプランドに放って暴れさせた。騒ぎを聞いて駆け付けたレンミンカイネンは、ラプランドの者たちに「自分が鹿を狩るから、鹿を煮るための鍋を用意しておけ」と豪語する。雪靴ですぐに鹿に追いつき、楓の棒と樺の首輪を用いて樫の檻に閉じ込めたが、鹿は暴れ来るって檻を突き破り、逃げてしまった。怒ったレンミンカイネンが追いかけようとするが、たちまち雪靴が壊れてしまった。
そこでレンミンカイネンは至高神ウッコに、再び優れた雪靴を手に入れることを願った。また、森の神タピオに狩りの成功を、ヌーリッキに道に迷わないよう、ミエリッキに目印になる金や銀を見せるよう祈った。しかし獲物の鹿は見つからず、3日もあちこちを探し回った。するとタピオの農舎を見つけたので覗き込むと、森の神々はぼろぼろの服を纏っていた。森の神の着る服が豪華だと豊猟、みすぼらしいと不猟に見舞われるという考え方があった。そこでレンミンカイネンは、森の神々を慰めて周った。こうしてようやく鹿の首に輪索をつけ、狩ることに成功した。
レンミンカイネンはロウヒに鹿を狩ってきたことを報告するが、ロウヒは次にヒイシの栗毛の駿馬を捕えることを要求した。探し始めて3日目、樅の林に駿馬を見つけた彼は、ウッコに祈って馬の上に雹を降らせ、馬を説得して頭を垂れさせた。柳の鞭で馬を操り、ロウヒに報告したが、彼女は次にトゥオネラの河で白鳥を一射で射止めることを要求した。そこで弓と胡籙を背負ってトゥオネラに駆けだしたが、待ち構えていたマルカハッツが投げた毒蛇が左腋下と右肩に当たった。レンミンカイネンは毒蛇から身を守る魔法を知らなかったため、毒に冒され、マルカハッツによってトゥオネラの河に投げ込まれた。その体はトゥオニの息子がバラバラにし、川底に沈んだ。
すばしっこい神人であり、喧嘩や騒ぎが大好きで、若い娘の心をいっぺんに奪ってしまう陽気な青年だという。儀式を盛り上げ、超自然的な力を貸してくれる。フィンランド人学者リョンロートによる英雄叙事詩『カレヴァラ』にも登場する。レンミンカイネンは赤ん坊の頃、母親から夏の一夜に三度、秋の一夜に九度水の中につけられたため、碩学者であり魔術師、歌い手、敏腕の士となることができた。花嫁を探しに神人たちの祖国・ポホヨラを訪れるが、ポホヨラの女主人ロウヒは幾つかの難題を課す。三つ目の課題として、地獄の神トゥオニの白鳥を得よう(殺そう)と、トゥオネラ川に行くと、彼を恨んでいた羊飼いが待ち伏せしていて、射られて川の中に投げ込まれ (あるいは、蛇から身を護る呪文を学んでおかなかったために命を落とした)、その体をトゥオニの息子によってばらばらにされ、黒い川に捨てられた。レンミンカイネンの母は、息子のヘアブラシから血が滴っているのを見て死を悟り、トゥオネラに赴いて、まずイルマリネンが造った鉄の長い熊手で川を掬い、レンミンカイネンの体の欠片をかき集めた。その肉を寄せ集めてレンミンカイネンの形に造り、肉に肉を合わせ、骨に骨を接ぎ、関節に関節を接ぎ、血管に血管を繋ぎ合わせた。そうして≪血管のいとも麗しき女神スオネタルよ、銅の紡錘もて、鉄の糸車もて、実にも細き織機にて働く細脈の愛らしき織手よ、おん身の前掛に細脈を一ぱい持って来給え、かくて血管を接ぎ合わせ、その端々を接ぎ給え≫と加護を祈り、魔法で彼を甦らせた。しかしその肉体は喋ることが出来なかった。そこで母は蜜蜂のメヒライネン、蜜の鳥、森の花の王に軟膏として蜜を持って来るよう訴えた。しかし功を奏さず、三回も蜜蜂が異なる方角にある軟膏を持って来るよう言いつけた。こうして得た軟膏を母がレンミンカイネンの骨・関節・頭から全身に塗り、「起きよ」と告げると、ようやくレンミンカイネンは長い眠りから覚めた。レンミンカイネンは母に殺されたいきさつと、白鳥を射て花嫁を得たいと告げるが、母は彼を諫め、二人で自国に帰った。しかし後にレンミンカイネンは、ロウヒの娘の結婚式に招かれなかったことに怒り、ポホヨラの族長を殺すが、ポホヨラの人々の返り討ちに遭う。ロウヒの家を訪れた際には、その中が魔法使いや魔術師、占い師や妖術師で溢れかえっているのを見て、彼らが歌う悪霊ヒーシの歌に対抗し、野性の歌をわめき立てて自らの魔力を示した。すると彼の目や毛皮の服から火がほとばしり、魔術師たちを荒野や沼に放り投げていったという。