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ロヴィアタル
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gensousyusyu
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ロヴィアタル/Loviatar
フィンランドの叙事詩『カレワラ』に登場する女の怪物。
冥界の王トゥオニとトゥオネタルの娘の中で最も醜く、盲目で黒い顔をしており、見るだけで恐ろしげな皮膚を持つ。トゥオネラに住んでいた頃、道の上に藁で寝床を作り、東から吹く冷風に背を向けていると、風が次第に強まり嵐となった。すると風が吹き付けたロヴィアタルは妊娠した。ロヴィアタルは牧場に棲家を変え、陣痛が訪れるまで10ヵ月も苦しんだが、どうしても生まれない。そこで出産の地を求めて2つの岩の間や5つの山の間、沼地や湖水、3つの滝が落ちる瀑流や激流、9つの崖の下など徘徊したが、いずれでも子を産めず、泣きながら吠えた。するとユーマラ(ウッコ、創造主)が雲の間から「子を産みたいならポホヨラに行くといい。その地はお前の子を待ち焦がれている」と告げた。そこでロヴィアタルは北の国ポホヨラに向かった。ポホヨラの女主人ロウヒに迎えられ、ポホヨラの村人が気づかぬように湯殿で9人の子を産んだ。それらは「肋膜炎」「疝痛」「痛風」「瘰癧(あるいは結核)」「腫物(あるいは潰瘍)」「疥癬」「癌腫(あるいは下疳)」「ペスト」と名付けられたが、残り1人は名前を貰わなかった。ロヴィアタルは9人の息子を育て上げ、名の無い1人はあらゆる地を悪くするため、「湖水の中の魔法師」として遣わした。残りの8人は、ロウヒによってワイノラに送りこまれ、人々を苦しめ、多くの者を死に至らしめた。
冥界の王トゥオニとトゥオネタルの娘の中で最も醜く、盲目で黒い顔をしており、見るだけで恐ろしげな皮膚を持つ。トゥオネラに住んでいた頃、道の上に藁で寝床を作り、東から吹く冷風に背を向けていると、風が次第に強まり嵐となった。すると風が吹き付けたロヴィアタルは妊娠した。ロヴィアタルは牧場に棲家を変え、陣痛が訪れるまで10ヵ月も苦しんだが、どうしても生まれない。そこで出産の地を求めて2つの岩の間や5つの山の間、沼地や湖水、3つの滝が落ちる瀑流や激流、9つの崖の下など徘徊したが、いずれでも子を産めず、泣きながら吠えた。するとユーマラ(ウッコ、創造主)が雲の間から「子を産みたいならポホヨラに行くといい。その地はお前の子を待ち焦がれている」と告げた。そこでロヴィアタルは北の国ポホヨラに向かった。ポホヨラの女主人ロウヒに迎えられ、ポホヨラの村人が気づかぬように湯殿で9人の子を産んだ。それらは「肋膜炎」「疝痛」「痛風」「瘰癧(あるいは結核)」「腫物(あるいは潰瘍)」「疥癬」「癌腫(あるいは下疳)」「ペスト」と名付けられたが、残り1人は名前を貰わなかった。ロヴィアタルは9人の息子を育て上げ、名の無い1人はあらゆる地を悪くするため、「湖水の中の魔法師」として遣わした。残りの8人は、ロウヒによってワイノラに送りこまれ、人々を苦しめ、多くの者を死に至らしめた。
別名
参考文献
- フェリックス・ギラン編/小海永二訳『ロシアの神話』青土社
- 山北篤,佐藤俊之監修『悪魔事典』新紀元社
- 松村一男,森雅子,沖田瑞穂編『世界女神大事典』原書房
- 森本覚丹訳『フィンランド国民的叙事詩カレワラ(下)』講談社学術文庫