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レプラホーン
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gensousyusyu
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レプラホーン/Leprechaun/Lepracaun
アイルランドの民間伝承における妖精。妖精たちの靴屋である。
姿・呼び名には地域によって細かな差異があるが、赤い衣装を纏った職人風の老人の小人だとされることが多いが、中年男性とされることもある。背丈は人間の指ほど~1mほど。とがった鼻、輝く目をしていて、眼鏡をかけている場合もある。顔は小さく皺くちゃで、ごま塩の顎鬚を生やしている。赤い衣装を纏っているとされることが多い。帽子は先の尖った三角帽。アルスター地方では、つばが上向きの帽子を被っているとされる。上着は銀のボタンが7個ついた赤いジャケット。短くて小さいジャケット、あるいは裾が真っ直ぐな上着とされることもある。西部沿岸では、装飾帯で飾った赤のジャケットだとされる。ズボンは茶色の半ズボン。あるいは膝で留めた赤色のものを着用している。靴下は青か灰色か黒で、靴には銀の留め金がついた黒い靴。革のエプロンをかけていることがある。また、伝承によっては首のまわりにエリザベス朝のひだ襟飾り・手首にレース風のフリルをつけているとされることもある。サミュエル・ラヴァーは1831年に≪極めて洒落た身なりなのだが、たっぷりと金を織り込んだ直線的な仕立ての赤い上着と、つばが上向きの帽子に靴、バックルを身につけている≫と書いている。アイルランド詩人William Allinghamの詩『The Lepracaun or Fairy Shoemaker』では、1スパンと4分の1(30cm弱)の背丈で、眼鏡をかけ、革のエプロンを着用している。W・B・イエーツは、集団で暮らす妖精は緑を、レプラホーンのように孤独な妖精は赤色の服を着ると区別している。20世紀になると、レプラホーンは緑の服を着ているとする伝承が広まった。また、中には大型のレプラホーンもいるとされ、3フィートの背丈で、赤い上着に膝までの赤い半ズボン、灰色か黒のタイツと帽子という、18世紀末のファッションに身を包んでいる。
レプラホーンは一人暮らしの妖精で、あらゆる妖精の靴を製作・修理する。妖精たちは踊ったり遊んだりするのが好きなため、よく靴の底が擦り減る。そのため、レプラホーンを訪ねて靴の底を修理してもらう。しかし常に片方の靴しか作らないという。レプラホーンは悪戯好きな妖精で、人が目を離した隙に悪戯をしかけ、笑いながら姿を消す。悪だくみをしている時には、壁によじ登って踵を浮かし、帽子を中心に回転する。あるいは逆立ちして帽子の上で回転するという。修理のコツコツという音がすると、近くにレプラホーンがいる証なので、人間は近づかない方が賢明だといわれる。
レプラホーンは虹の端にある金の入った壺を守っていて、それを手に入れるには、まず彼に見つかる前に彼を見つけなければならない。人間に捕まった彼は、逃がしてもらう代わりに3つの願いを叶えてくれる。ある男がレプラホーンから野原の茂みに隠されている宝の在処を聞き出し、案内してもらった。男はシャベルを持ってなかったため、自分の赤い靴下留めを木(あるいはサワギク)につけて目印にし、シャベルを探しに行った。男が戻ると、野原の全ての木に赤い靴下留めがつけられていたという。他にも、レプラホーンを捕まえたが、掌に乗せて歩いているうちに煙のように消えてしまったという話もある。
レプラホーンは木の根の下や荒廃した城に住む。ウイスキーや煙草、小さなパイプを好み、羊や山羊、犬に乗って遊ぶ。朝、羊が妙に疲れている時は、レプラホーンが一晩中乗り回していたのだと考えられた。レプラホーンたちの王はイウブダンと言われた。レプラホーンの父は悪い精霊、母は退化した妖精だとする説があり、それ故レプラホーンは生まれながらにして悪戯好きなのだという。
後にアイルランド人がカナダのマダワスカ川への仕事のため入植した際、レプラホーン伝承も流入した。そこでは凶悪な妖精とされ、食糧難から沼地を駆けたり、乾燥した泥炭に爪で穴をあけて空気を噴出させたりといった悪戯が多く、時には爪や歯で人間を攻撃することもあったという。その後、アメリカ開拓期の人々が語ったトール・テール(ほら話)の1つとして伝えられた。
名の語源には諸説あり、「ドワーフ」の意である「ルアハルマン(Luach’rman)」、「小さな体」の意の「ルホルパーン(lughchorpán)」の訛化、「トウシンソウ」の意である「ルアハル(luachair)」や、「短革靴の職人」「片方靴屋」の意である「レハ・ヴローガン(Leigh Brogan)」、アイルランド語で「半分」と「靴屋」を表す「レイブロガーン(leithbrágan)」、古アイルランド語で「小人」を意味する「luchorpán」、ルー神が矮小化された形である「ルー=フロマン」、妖精ロブの変名であるラバーキン、妖精たちが棲むとされる湿地の生き物の名から派生した可能性が指摘されている。グリム兄弟は「ワタリガラス」の意である「プレーホーン(prèachán)」や「プリーハン(prìachan)」を語源だと考えた。
姿・呼び名には地域によって細かな差異があるが、赤い衣装を纏った職人風の老人の小人だとされることが多いが、中年男性とされることもある。背丈は人間の指ほど~1mほど。とがった鼻、輝く目をしていて、眼鏡をかけている場合もある。顔は小さく皺くちゃで、ごま塩の顎鬚を生やしている。赤い衣装を纏っているとされることが多い。帽子は先の尖った三角帽。アルスター地方では、つばが上向きの帽子を被っているとされる。上着は銀のボタンが7個ついた赤いジャケット。短くて小さいジャケット、あるいは裾が真っ直ぐな上着とされることもある。西部沿岸では、装飾帯で飾った赤のジャケットだとされる。ズボンは茶色の半ズボン。あるいは膝で留めた赤色のものを着用している。靴下は青か灰色か黒で、靴には銀の留め金がついた黒い靴。革のエプロンをかけていることがある。また、伝承によっては首のまわりにエリザベス朝のひだ襟飾り・手首にレース風のフリルをつけているとされることもある。サミュエル・ラヴァーは1831年に≪極めて洒落た身なりなのだが、たっぷりと金を織り込んだ直線的な仕立ての赤い上着と、つばが上向きの帽子に靴、バックルを身につけている≫と書いている。アイルランド詩人William Allinghamの詩『The Lepracaun or Fairy Shoemaker』では、1スパンと4分の1(30cm弱)の背丈で、眼鏡をかけ、革のエプロンを着用している。W・B・イエーツは、集団で暮らす妖精は緑を、レプラホーンのように孤独な妖精は赤色の服を着ると区別している。20世紀になると、レプラホーンは緑の服を着ているとする伝承が広まった。また、中には大型のレプラホーンもいるとされ、3フィートの背丈で、赤い上着に膝までの赤い半ズボン、灰色か黒のタイツと帽子という、18世紀末のファッションに身を包んでいる。
レプラホーンは一人暮らしの妖精で、あらゆる妖精の靴を製作・修理する。妖精たちは踊ったり遊んだりするのが好きなため、よく靴の底が擦り減る。そのため、レプラホーンを訪ねて靴の底を修理してもらう。しかし常に片方の靴しか作らないという。レプラホーンは悪戯好きな妖精で、人が目を離した隙に悪戯をしかけ、笑いながら姿を消す。悪だくみをしている時には、壁によじ登って踵を浮かし、帽子を中心に回転する。あるいは逆立ちして帽子の上で回転するという。修理のコツコツという音がすると、近くにレプラホーンがいる証なので、人間は近づかない方が賢明だといわれる。
レプラホーンは虹の端にある金の入った壺を守っていて、それを手に入れるには、まず彼に見つかる前に彼を見つけなければならない。人間に捕まった彼は、逃がしてもらう代わりに3つの願いを叶えてくれる。ある男がレプラホーンから野原の茂みに隠されている宝の在処を聞き出し、案内してもらった。男はシャベルを持ってなかったため、自分の赤い靴下留めを木(あるいはサワギク)につけて目印にし、シャベルを探しに行った。男が戻ると、野原の全ての木に赤い靴下留めがつけられていたという。他にも、レプラホーンを捕まえたが、掌に乗せて歩いているうちに煙のように消えてしまったという話もある。
レプラホーンは木の根の下や荒廃した城に住む。ウイスキーや煙草、小さなパイプを好み、羊や山羊、犬に乗って遊ぶ。朝、羊が妙に疲れている時は、レプラホーンが一晩中乗り回していたのだと考えられた。レプラホーンたちの王はイウブダンと言われた。レプラホーンの父は悪い精霊、母は退化した妖精だとする説があり、それ故レプラホーンは生まれながらにして悪戯好きなのだという。
後にアイルランド人がカナダのマダワスカ川への仕事のため入植した際、レプラホーン伝承も流入した。そこでは凶悪な妖精とされ、食糧難から沼地を駆けたり、乾燥した泥炭に爪で穴をあけて空気を噴出させたりといった悪戯が多く、時には爪や歯で人間を攻撃することもあったという。その後、アメリカ開拓期の人々が語ったトール・テール(ほら話)の1つとして伝えられた。
名の語源には諸説あり、「ドワーフ」の意である「ルアハルマン(Luach’rman)」、「小さな体」の意の「ルホルパーン(lughchorpán)」の訛化、「トウシンソウ」の意である「ルアハル(luachair)」や、「短革靴の職人」「片方靴屋」の意である「レハ・ヴローガン(Leigh Brogan)」、アイルランド語で「半分」と「靴屋」を表す「レイブロガーン(leithbrágan)」、古アイルランド語で「小人」を意味する「luchorpán」、ルー神が矮小化された形である「ルー=フロマン」、妖精ロブの変名であるラバーキン、妖精たちが棲むとされる湿地の生き物の名から派生した可能性が指摘されている。グリム兄弟は「ワタリガラス」の意である「プレーホーン(prèachán)」や「プリーハン(prìachan)」を語源だと考えた。
別名
クルーラホーン/ラリガドーン/ルーラホーン/ルーリガードン/ルーリカーン/ルーリキーン/ルーリコーン/ルバーキン/ルフラガーン/ルブラホーン/ルプラホーン/ルフラマーン/ルブリカン/ルホルパーン/ルホルパン/ルルガダーン/レプラカーン/レプラコーン/レプレカーン/レプレハーン/レプロコーン/レムレハーン/ロークリーマン/ロハリィマーン
参考文献
- キャロル・ローズ著/松村一男監訳『世界の妖精・妖怪事典』原書房
- キャロル・ローズ著/松村一男監訳『世界の怪物・神獣事典』原書房
- 朝里樹著『世界現代怪異事典』笠間書院
- アンナ・フランクリン著/井辻朱美訳『図説妖精百科事典』東洋書林
- 草野巧著『幻想動物事典』新紀元社
- テリー・ブレヴァートン著/日暮雅通訳『図説 世界の神話伝説怪物百科』原書房
- 山北篤著『幻想生物 西洋編』新紀元社
- キャサリン・M・ブリッグズ著/井村君江訳『妖精の国の住民』研究社出版