ALL HAZARD PARANOIA/オール・ハザード・パラノイア Ⅳ ◆EAUCq9p8Q.
まさに急展開に次ぐ急展開だ。
何故か空に現れた円盤型の飛行物体に突如救われた。
かと思えばフェイトを掴んでいた腕が破壊され、森に放り出され。
どことも知れぬ森のなかに墜落し、気づけば遭難同然の状態だ。
森に投げ出されて無傷で居られたのは、握りしめていた巨大な手のひらのおかげだった。
かなりの耐久力を誇っているらしく、木々に衝突する衝撃からフェイトの身体を守りぬいてくれた。
だが、気力体力ともに消耗が激しい。
よろけて手を木につくと、小学校で受けた肩口の傷から閃光のように鮮烈な痛みが走る。
深手もおってしまった。しばらくは、戦闘は無理そうだ。
よろめきながらも歩いて森の外を目指していると、木立の奥から人影が飛び出した。
一瞬アーチャーが迫ってきたのかと思い身構えたが、その姿はあの異形とは程遠い、貧相なものだった。
「サーヴァントを霊体化させて武装を解除しろ」
その貧相な体つきの男こそ、あの時フェイトと同じように巨大な手のひらに掴まれていた胡散臭いキャスターだった。
小学校で彼が口走った名前のこと。霊体化すれば即座に逃げきれるだろうに捕まったままで居たこと。
また、開口一番のこの言葉も加えて、フェイトの中での彼への猜疑心はやはりとどまるところを知らない。
聞く耳など一切持とうとせずに、バルディッシュを構えて、キャスターにつきつける。
「何を―――」
「あのアーチャーが円盤自体ではなく腕を狙った理由も分からないのか。奴の狙いはお前だ、フェイト・テスタロッサ」
猜疑心に任せて声を荒げようとしたがぐ、と声を飲み込む。
声を上げれば敵に見つかるという可能性に遅まきながら気づいた。
傍にいたランサーを霊体化させ、言われたとおりにバリアジャケットも解除した。
胡散臭いキャスターは武装を解除したフェイトを見て、鼻を一度鳴らし、悪態をついた。
「フン。最初からそうしていればいいんだ。行くぞ」
キャスターはフェイトの手を取り、ずんずんと歩いて行く。
木々を縫うように、UFOの進行方向とは全く別の方向へ。
徒歩で逃げられるのかという心配も有ったが、宝具と思われるUFOが空を飛ぶ中で魔力反応を極限まで抑えれば、件のアーチャーが索敵能力を持っていないかぎり見つかることはないだろう。
あまりに乱暴な扱いで、矢に貫かれた傷が痛むが、必死に声を抑える。
あのアーチャーは、チェーンソーのバーサーカーすら超えた難敵だ。交戦に入れば一方的に蹂躙されるだけだ。
◇
いつまでたっても霊体化という安直な逃げ方を選ばない(やはり胡散臭い)キャスターに手をひかれ十数分。
山林部を抜け、住宅街になんとかたどり着き、そこからは舗装された道路をしばらく走り。
アーチャーが襲ってくる気配が全くないのを確認して、キャスターはようやく立ち止まった。
「どうやら撒いたようだな」
キャスターが背後を振り返り、追手を確認する。
音も姿もない。追手は完全にフェイトたち二人を見失ったようだ。
フェイトもそれを確認し、無事が確保できたことを確信すると、キャスターの握っていた手を跳ね除けた。
また、肩の傷がズキリと痛み、思わず顔を歪めてしまう。
そんなフェイトの様子を見て、キャスターはとても面白そうに口角を釣り上げた。
「結局はこうなるんだよ、フェイト・テスタロッサ。俺を妨げられるものは居ないんだ」
何を指しているのかが全くわからない一言。
出会い頭から思っていたが、このサーヴァントは一方的なコミュニケーション以外行おうとしていない気がする。
ならば相手の望む会話をすることはない、と。
フェイトもまた、一方的に、キャスターに向かって問いを放った。
「一つ聞かせてください」
「なんだ」
「何を知っているんですか」
「何を?」
沈黙が流れる。
フェイトの視線は、まっすぐにキャスターの瞳をとらえたままだ。
キャスターは目を細め、口を三日月に裂き、それはそれは楽しそうに言い放った。
「よく知っているよ。お前のことは。
いつも一緒の犬ころはどうした? 主催者に刃向かって殺されたか?」
あまりの言い草にかっと頭に血が登った。
だが、この場に居ないアルフのことをズバリと言い当てたキャスターの『全てを把握している』という言葉に、登った血はたちまち引いていった。
キャスターの『よく知っている』というのは、決してハッタリではない。
プレシアについて。アルフについて。他の何かについて。キャスターはフェイトについてを把握している。
キャスターはフェイトの混乱など気にしていないような様子で、言葉を続ける。
「これ以上下らない問答を続ける気はない。もう一度聞かせてもらう。
聖杯が欲しいか、フェイト・テスタロッサ」
繰り返される問いは、三度目の問い。
小蝿も、バーサーカーもこの場には居ない。答えを遮るものは消えた。
フェイトは息を呑み、そして答えを口にする。
「……欲しい」
当然だ。
母のため、聖杯を勝ち取ると誓ったのだから。
この胡散臭いキャスターと出会う少し前、屋上でのエプロンドレスのキャスターや幼いアサシンとの問答の時から、その心は変わっていない。
「ならば俺に協力しろ。俺は聖杯を望んではいないが、やらねばならないことがある。そのためには、お前が居ると都合がいい。
お前が俺に協力するというならば、俺もお前に協力しよう」
フェイトの答えを聞くと、キャスターは待ちわびたと言わんばかりに、言葉を続けた。
『協力』。
それは何気ない、どんな時でも使われる単語。
だが、キャスターの口からその単語が出た時、フェイトは思わず身震いをしてしまった。
その身震いの感覚を、フェイトは知っている。
それは、フェイトが時折母に覚えるものと同じだ。
目の前のキャスターは何か、『大きなもの』を抱え込んでいる。そんな気がした。
「私に、何をしろって言うんですか」
尋ねれば、キャスターはすぐに手の内の一部を晒してみせた。
そんなところまで、母によく似ていた。
「簡単なことだ。俺は今から図書館へ向かう。お前はそれについてくるだけでいい。
報酬の令呪は俺のマスターではなくお前に譲るよう掛けあってやる。協力の証としてな」
それは、唯一与えられた『主催者』の手の内の情報。
ルーラーから突如言い渡された討伐令に、自ら飛び込むという暴挙の誘い。
風が吹いた。
嵐の前触れのような、強い、強い、風が。
フェイト・テスタロッサという少女の分岐点は、ひょっとするとここかもしれない。
【D-2/北部の道路/一日目 夕方】
【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】
[状態] 疲労(中)、ストレス、魔力消費(極大)、右肩負傷(中)
[令呪]残り三画
[装備] 『バルディッシュ』
[道具]
[所持金]少額と5000円分の電子マネー
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争に勝利する
1.
木原マサキの提案に―――?
[備考]
※ランサー(姫河小雪)、キャスター(木原マサキ)、
大道寺知世&アサシン(セリム)、バーサーカー(
チェーンソー男)、
輿水幸子を確認しました。
※木原マサキがプレシア・テスタロッサやアルフについて知っていることを知りました。
※小学校に通うつもりでいます
【ランサー(
綾波レイ)@新世紀エヴァンゲリオン(漫画)】
[状態] 健康、霊体化中
[装備]
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに従う
【キャスター(木原マサキ)@冥王計画ゼオライマー(OVA版)】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:冥王計画の遂行。その過程で聖杯の奪取。
1.フェイト・テスタロッサをダシにして主催者に探りを入れる。
2.予備の『木原マサキ』を制作。そのためにも特殊な参加者の選別が必要。
3.特殊な参加者が居なかった・見つからないまま状況が動いた場合、天のレイジングハートを再エンチャント。『木原マサキ』の触媒とする。
4.ゼオライマー降臨のための準備を整える。
5.余裕があれば、固有結界らしき空間を調査したい。
6.なのはの前では最低限取り繕う。
[備考]
※フェイト・テスタロッサの顔と名前、レイジングハート内の戦闘記録を確認しました。バルディッシュも「レイジングハートと同系統のデバイス」であると確認しています。
※ランサー(姫河小雪)、バーサーカー(チェーンソー男)、輿水幸子を確認しました。
※天のレイジングハートはまあまあ満足の行く出来です。呼べば次元連結システムのちょっとした応用で空間をワープして駆けつけます。
あとは削りカスの人工知能を削除し、ゼオライマーとの連結が確認できれば当面は問題なし、という程度まで来ています。
※『魔力結晶体を存在の核とし、そこに対して次元連結システムの応用で介入が可能である存在』を探しています。
見つけた場合天のレイジングハートを呼び寄せ、次元連結システムのちょっとした応用で木原マサキの全人格を投影。
『今の』木原マサキの消滅を確認した際に、彼らが木原マサキとしての人格を取り戻し冥王計画を引き継ぐよう仕掛けます。
※上記参加者が見つからなかった場合はレイジングハートに人工知能とは全く別種の『木原マサキ』を植え付け冥王計画の遂行を図ります。
※ゼオライマーを呼び出すには現状以下の条件のクリアが必要と考えています。
裁定者からの干渉を阻害、もしくは裁定者による存在の容認(強制退場を行えない状況を作り出す)
高町なのはの無力化もしくは理解あるマスターとの再契約
次元連結システムのちょっとした応用による天のレイジングハートへのさらなるエンチャント(機体の召喚)
※街の裏に存在する固有結界(さいはて町)の存在を認知しました。
※アサシン(ウォルター)の外見を確認しました。が、『情報抹消』の効果により非常にぼんやりとしか覚えていません。
☆アーチャー
随分と出遅れてしまったようだ。
遠くからも確認できていた戦闘の光は、聞こえてきていた戦闘の音は、すでに止んでしまっている。
アーチャーが付く頃には、遠くに視認できた小学校での戦闘はもう一区切りしてしまっていることだろう。
つまらない。
こんなことならばあれこれ歩きまわらず、図書館の周辺を貼りこんでおけばよかった。
後悔しながらビルの屋上に腰掛け、ため息をこぼす。
アーチャーのため息が風に乗り、橙に染まり始めた街に溶ける時、そいつは現れた。
どるん。
聞き慣れない音。
アーチャーが振り向けば、腰掛けたビルの屋上の入り口付近に、一人の大男が立っていた。
異様な出で立ちだ。
フードですっぽりと覆われて窺うことのできない顔。手に持ったのはおおぶりなチェーンソー。
不思議な事に、その男の出現にアーチャーの類まれな聴力を持ってしても気づくことができなかった。
導き出される答えは一つ。
「……ああ、良かった。ここまで来て何もなしだと、興が冷めてしまうので」
どるん。
男は答えない。
ただチェーンソーに命を吹き込むように、何度も、何度も、エンジンをふかす。
ここまで露骨な殺意を受けるのは、アーチャーとしては久しぶりだ。
少しは楽しめるだろうか、と心を踊らせながら一歩を踏み出す。
チェーンソー男も一歩を踏み出し、お互いがお互いのリーチに相手を捉えるまで歩み寄っていく。
しかしそこで、問題が発生した。
歩き続けて数歩。アーチャーはすでに、チェーンソーの間合いギリギリまで接近している。
だというのに、チェーンソー男は戦闘態勢に移ろうとしない。
「そうですか」
アーチャーの類まれな経験と五感は、ただの一目で目の前のチェーンソー男の習性を見ぬいた。
目の前のチェーンソー男には殺意はあるが戦意がない。
令呪か何かによって戦うことを封じられているのか、あるいはスキルか。何か理由があって、チェーンソー男は『戦いたいが戦えない状態にある』。
そこに至ってのアーチャーの思考は、とても単純だった。
ならばその殺意に火をつけて、チェーンソー同様、エンジンを掛けてやるだけだ。
戦うきっかけを作れば、戦わざるを得なくなる。
「さあ、始めましょう」
数歩分の間合いを、魔法少女の身体能力で一気に踏み込んで拳撃を放つ。
チェーンソー男は、まだ黙って立っていた。
男の顔面にアーチャーの拳は、当然のように鋭く突き刺さった。
殴られた勢いで男が宙を舞う。
フードの奥に隠された無貌と、アーチャーの視線が一瞬だけ交わり、そしてまたすれ違う。
どる、る、る、る、る。
空中を舞いながら、チェーンソーのエンジンが音を立てて回り出す。
それがきっかけだった。
瞬間、空気が塗り替わった。
殺意の方向が、まっすぐにアーチャーへと向いた。ようやく敵意が現れた。
チェーンソー男が空中で一回転を決め、階段へと続くドアを地面代わりに着地する。
大柄な身体からは想像できない曲芸師のようなそのその身のこなしに、アーチャーが感嘆の声をあげようとした時には、すでに戦闘は始まっていた。
構えたチェーンソーで屋上を削り、火花を散らしながらチェーンソー男が駆けてくる。
魔法少女とはいえ今は英霊。なんてことはなさそうなあのチェーンソーでも今のアーチャーは容易に傷つけられてしまうだろう。
倒すのは簡単だ。遠距離から破壊音波を打ち続ければいい。そうすれば、近接攻撃しかできなさそうなあの男を一方的に倒してしまえる。
だが、それの何が面白い。
アーチャーが望むのは、闘争だ。不完全燃焼な勝利ではない。
チェーンソー男に向かってアーチャーも駆け出す。徒手空拳故、リーチはチェーンソー男に分があるが、そんなものでこの戦闘への高揚は止まらない。
瞬きするよりも早く、お互いの射程距離が重なった。
地面を跳ねていたチェーンソーが跳ね上がる。狙いはまっすぐに、走っているアーチャーの正面だ。
振り上げられたチェーンソーを、飛び上がって回避。そのままチェーンソー男をも飛び越え、背後に回る。
振り向きざまに拳を突き出す。先ほどのような戦闘を始めるための軽いジャブではない、殺すための一撃だ。
しかし、想定していた場所にチェーンソー男の顔はない。
彼もまた、アーチャーの回避を見たうえで攻撃を察知し、身を屈めていたのだ。
どるるるるるるるるるるん。
地鳴りのような音とともにしゃがんだままのチェーンソー男がぐるりと体を捻る。
それに合わせて、チェーンソーが大回りでぐるりと回り、がら空きのアーチャーの腹部を横断しようと迫る。
体勢の維持ができていないので単独での回避は不可能。
ミリ秒にも満たぬ時間の中魔法少女の思考能力でそう判断したアーチャーは、突き出していた拳で、振り向こうとしているチェーンソー男の頭に突き出したままだった手を乗せた。
そして、チェーンソー男の頭を支えに、大きく飛び上がる。
ぢゅん、と響く切断音。
魔法少女の可愛らしい靴の底が数ミリ吹き飛ばされた。
そのチェーンソーの一撃がやはり魔法少女を傷つけられる一撃だということを再確認しながら、アーチャーは飛び上がった勢いで足を動かす。
空中で振り上げた右足が、チェーンソー男の左肩を踏みしめる。
足が乗ったのを確認したなら、今度は左足。
右足と、その下にあるチェーンソー男の身体を支えに、チェーンソー男の頭に置いていた手を離し、軽業師のようにチェーンソー男の肩の上で立ち上がる。
そしてそのまま、左足を、彼の顔めがけて振りぬいた。
クリーンヒットとは行かない。
攻撃を察知したチェーンソー男が、寸前で左肩を大きく落とし、アーチャーのバランスを大きく崩したからだ。
しかし、多少軽減されたがその一撃の威力は完全に死んではいない。
顎を蹴り飛ばされたチェーンソー男がよろける。
先に体勢を整えたのはアーチャーだった。
チェーンソーの重量に振り回され、二歩、三歩とよろけているチェーンソー男に、今度はアーチャーの方から距離を詰める。
男が体勢を立て直すよりも早く、チェーンソーの間合いを駆け抜け、拳の間合いに入り込む。
息を吐きながら拳を突き出す。
助走の勢いの上乗せされた魔法少女の拳が、男の胸にめり込む。
男は軽々と吹き飛んだ。
「あ」
それは、アーチャーにしてはマヌケな声だった。
チェーンソー男の身のこなしについつい楽しくなってしまい、勢い余って、場所のことを忘れて思い切り殴り飛ばしてしまった。
宙を舞う。
その形容がぴったりだった。
チェーンソー男は屋上から放り出され、弧を描きながら飛んでいってしまった。
「ああ……なんてことを」
少しだけの後悔。だが、切り替える。
身のこなし。身体能力。反応速度。そして言葉をかわすことのできない特性。間違いなくバーサーカーだ。
狂戦士の名を冠するクラスの英霊が、屋上から落ちたくらいで死ぬはずがない。
魔法少女だって、殴られて屋上から落ちたくらいでは死なないのだから。
屋上のへりに足をかけ、チェーンソー男の姿を探す。
ついでに周囲を見回す。小学校方面に人が集まってきていた。
決着を急いだほうがよさそうだ、と結論をつけて飛び上がる。
そのまま飛ぶようにビルの壁面を駆け、突き落としてしまった強敵の元へと急いだ。
◇
吹き飛ばしてしまったチェーンソー男を追って、大通りに降り立つ。
すると、そこではすでに元気を取り戻したチェーンソー男が暴れていた。
電柱が切りつけられている。
ガードレールが切り裂かれている。
人が血の海の真ん中で倒れている。
予想以上に大事になっている。すぐに人が集まってくるだろう。
再び楽しむような時間はなさそうだ。
靴音を鳴らしながら一歩を踏み出す。
音に敏感に反応し、チェーンソー男は凶刃を振るうのをやめて振り返った。
そして、今度は見つめ合いで過ごすこともなく、臨戦態勢に入る。
「ああ、覚えていてくれたんですね」
少しだけ嬉しくなったのをおかしく思いながら、アーチャーもまた拳を構える。
人に見つかるよりも早く、次の一撃で勝負を決するために。
どぉるるるるるるるるるるるる――――――!!!
チェーンソー男が、怒号の代わりにエンジン音をばら撒きながら駆けてくる。
五メートル、四メートル、三メートル。
チェーンソーが振り上げられ、間合いを詰める最後の一歩が踏み出される。
凶刃がアーチャーのもうすぐそこまで迫り、ようやくアーチャーは動き出した。
ぱちん。
指を一度弾く。
生まれた音が空中で衝撃波の壁になり、チェーンソーを弾きあげる。
またもがら空きになったチェーンソー男のボディに拳を叩き込み、そして今度は、追撃も放つ。
「『内部破壊音(スフォルツァンド)』」
殴ったことでチェーンソー男の体内に発生した音を、一気に増幅させる。
人間ならば瞬間でミンチになると断言できるほどの威力の音が、男の体の中で木霊した。
倒れ伏すチェーンソー男。見下ろすアーチャー。
勝敗は決した。だが、アーチャーの顔には高揚感よりも別の感情のほうが多く現れていた。
予選でのサーヴァントとの戦闘で内部破壊音を使ったこともあった。その時の相手は食らった瞬間仁王立ちのまま消えていった。
文字通り内部を侵食し霊核を破壊し尽くすほどの攻撃だが、チェーンソー男の身体に変化はない。
自前の変装用フードをかぶり直し、観察を続ける。
するとチェーンソー男はがばりと起き上がり、アーチャーには目もくれず飛び上がり、屋根を伝いながら走って行ってしまった。
「……『不死』ですか」
その光景を見て、ようやくアーチャーには合点がいった。
思い出すのは、アーチャーの知る魔法少女の一人。
『ハードゴア・
アリス』。アーチャー最後の試験の参加者。不死の魔法少女。たとえ致命傷だろうと即座に治癒し、復帰できる魔法を持っていた。
彼女の魔法と同じような特性を、あのチェーンソー男は持っていたということだろう。
倒れたままだったのは復活の時間稼ぎだったのかもしれない。
だとすると、とアーチャーはその先のことを考える。
不死の相手を殺すにはどうすればいいか。
聖杯戦争の
ルールに則るならマスターを攻撃するのだが、それではあまりおもしろくない。
できることなら正面から、不死をぶち抜いて殺したいが。
再度の戦闘に備えて、自身の経験した闘争の中からあれこれと情報を整理する。
あの男との戦闘は、もう少し楽しめそうだ。
そんな、高揚感と寂しさが綯い交ぜになったアーチャーの視界に、一つの死体が飛び込んできた。
「おや」
傷口は見えないが、あのチェーンソー男に襲われたのだろう。
不用意なものだ。攻撃しなければ襲いかかって来ないのだから、おとなしくしていればよかったものを。
ただ、彼女の命がけの足止めがチェーンソー男を引き止めてくれていたのかもしれない。
そう思うと、少しだけ感謝の気持ちは湧いてきた。
ただ、それだけだった。
それ以上の感情はない。
「逃げられてしまった以上、次の戦闘まではもう少し間が空きそうですね」
死体への興味はすぐに失せ、またチェーンソー男について考えだす。
逃げたということは、もう今日は戦う気がないということ。
追ったところでどこか遠くで霊体化して、アーチャーをやり過ごすことだろう。
となると、アーチャーの方針はまた少し変わることになる。
別の闘争を探さなければならない。
図書館周辺はもう望み薄だ。
小学校での戦闘、先ほどのチェーンソー男の暴れる音、この死体、すぐにNPCが押し寄せてくる。公の場所で戦闘は起こらない。
ふと、視界の端に見慣れぬ何かが映る。
何事だろうと見上げた先、小学校の向こうの裏山に、マントを靡かせる巨人が立っていた。
その大きさは、エリアにして二つは離れている場所からでもはっきりと視認できるほど。
いつかの試験の時、巨大化する魔法少女チェルナー・マウスが30mほどに巨大化したことがあるが、あれよりもさらに大きいかもしれない。
また、熱が回りだす。
飽くなき闘争への欲求が疼きだす。
あんな大物が立ちまわっている。
相手はどんな強敵だろう。
どれほど強いのだろう。
次は間に合えばいいのだけれど。
影に隠れて大きく飛び上がり、屋根を伝って走りだす。チェーンソー男が逃げていったのとはまた別の、小学校の裏山の方へ。
この舞台は、まだまだアーチャーを楽しませてくれそうだ。
【D-2/屋根の上/1日目 午後】
【アーチャー(
森の音楽家クラムベリー)@魔法少女育成計画】
[状態] 健康、気分やや高揚
[装備] 黒いフード付きコート
[道具] なし
[思考・状況]
基本行動方針: 強者との闘争を求める
1. 裏山地区(D-1)へ。
[備考]
※
木之本桜&セイバー(
沖田総司)、
蜂屋あい&キャスター(アリス)、高町なのは、バーサーカー(チェーンソー男)を確認しました。
※チェーンソー男のスキル:不死を確認しました。
※フェイト・テスタロッサを見つけてもなのはに連絡するつもりはありません
※小学校屋上の光の槍(フェイト)を確認しました。
☆大井
緊急事態により少し早い放校となった。
聞くところによれば、小学校の屋上で爆発事故が起こったらしい。
教師の慌てふためいた様子を尻目に、心のなかで笑う。
その爆発は、おそらく大井のサーヴァント・アーチャーのしわざだ。彼が敵を発見し、強襲したのだろう。
素晴らしい速さだ。これこそ、重雷装重巡洋艦の戦争だ。
相手が気づくよりも疾く駆けつけ、相手が気づくよりも疾く仕掛ける。相手が気づいた頃には蹂躙を終え、意気揚々と帰路につく。
戦争とはすなわち速さなのだ。先手を取る勝負なのだ。決して相手の出方を伺いながら後手後手で行うものではない。
少し情報が伝わるのが早い気がするが、個人レベルでさえスマートフォンのような情報伝達機器があるのだから、学校間での
情報交換はもっと迅速に行えるのかもしれない。
成程、技術発達かくの如くか、と一人で頷きながら、NPCとしてのルーチンを乱さないように帰路につく。
歩く途中で、ふと、小学校のほうが気になった。
アーチャーが帰ってくる気配はない。
なにか手こずっているのだろうか、と思うが不安はない。
大井は、自身のサーヴァントのパラメーターの強さをしっかりと理解している。
更に宝具の開放まで許可しているのだ。
余程のことが起こらないかぎり、一方的に負けるようなことはないだろう。
もし負けて帰ってくるようなことがあれば……その時はその時だ。
作戦を練り直し、今度はこんな突発的なものではなく万全の状態を整えて挑めばいい。
そうすれば、負けることなんてない。
通い慣れた大通りを歩く。
人影が見えない。
遠くからがやがやと声が上がっているのを聞くに、皆、小学校方面に野次馬に行っているようだ。
NPCに扮しているのだし、大井も野次馬に行くべきかと思ったが、やめておいた。
近づいていいことなんてなにもない。戦闘に巻き込まれ、負傷でもしたら後悔してもしきれない。
それに、教師の指示に従っているという形のほうが、よりNPC然として振る舞えている、といえるはずだ。
大井はこの聖杯をめぐる戦争の大局を見て動いている。
目先の情報に踊らされ、あわや敗北というところまで追い込まれるようなへっぽこ艦隊とは本質的に違うのだ。
人目がないのをいいことに、左手を出し、お守りを握りしめる。
愛が通い合う。北上を思えば、負ける気なんてしなかった。
愛を語らうことはできないが、それもまたしばしのこと。
すぐに取り戻すことを再びお守りに誓いながら道を歩いていると、突如空が陰った。
見上げれば、大通り目掛けて空から何かが降ってきた。
猛スピードで降ってきた何かは大井の目の前で大きく跳ねる。
道路にたたきつけられたことで勢いが失せ、それでようやく、大井は落ちてきたものの正体がわかった。
『バーサーカー』と書いてある。予選を勝ち残った参加者の英霊だ。
ひょっとしたら、アーチャーが戦っている相手かも。
そこまで考えて、大井の思考は急停止した。地面をバウンドしたバーサーカーが、大井に衝突したのだ。
勢いはだいぶ死んでいたし、大井自身が艦むすとしての恵まれた耐久力を誇っていたことが幸いし、怪我を負うことはなかった。
だが。
「な、ない!」
弾き飛ばされて、何事かと起き上がってみれば、手に持っていたはずの北上のお守りがない。
倒れていた周辺を見ても、落ちていない。
気が動転しそうになる。
ないわけがない。
数秒間血眼で探し続け、そしてようやく見つけた。
お守りは、大井と同じように投げ出されていたバーサーカーの左手の下に潰されていた。
マグマもかくやという怒りが、髪の毛の一本一本まで巡る。
そのお守りに触るな。
そう叫びながら、駆け寄り、その大男の左手を弾き、お守りを広い上げる。
ぐるんと、虚ろな顔が大井の方に向いた。
ぎゃり
ぎゃり
ぎゃり
ぎゃり
◇
足音が去っていっている。
現れた誰かが、あの忌々しいバーサーカーを撃退したらしい。
大井を助けないところを見ると、大井のアーチャーではなかったのだろう。
身体から熱が抜けていく。
大事な何かが、体中から抜けていく。
熱を帯びていた傷口からはもう何も感じない。
有無を言わさぬ理解が頭のなかに訪れた。
大井は、死ぬ。
怒鳴る力もなかった。
ほとほと、この世界に嫌気が差した。
大井の胸を埋め尽くすほどの愛は、どの世界でも羽毛よりも軽い。
どいつもこいつも、この一変の曇りもない愛を、軽んじている。
ようやく理解した。
世界は、愛を求めていないのだ。
あの時の長門と一緒だ。下らぬ屁理屈を並べ、大井の愛を無下にしたいだけなのだ。
力を振り絞り、左手を少しだけ浮かせる。
これでお守りが血に濡れることはない。
大井の心は決まった。
世界すらも大井の愛を求めていない。
愛に生きた北上を殺し、次は愛に生きる大井を殺しに来た。
ならば、望み通り、死んでやろうじゃないか。
大井だって、そんな世界はお断りだ。
北上という概念の存在しない退屈な世界に別れを告げる時が来た。
大井は、世界の望むままに、愛という大海原に溺れて、死んでやる。
「がほ、ご、は……れ、れいじゅを……」
だが、ただでは死んでやるもんか。
愛を馬鹿にした代償をきっちり払わせる。
全てを破壊し尽くす。
この世界の全てをだ。
この聖杯戦争の舞台も。
大井と北上の幸せを奪った鎮守府も。
大井の愛を利用し、踏みにじった聖杯も。
できることならばこの地球すらも。
大井の死とともに、消滅させてやる。
大井には―――大井のサーヴァントにはその力がある。
断りを入れる必要はない。
アーチャーの願いはプレゼンターに出会うことなのだ。この宝具を発動して、喜びこそすれ、悲しむことなんてありえない。
「令呪を、持って、命じるわ……」
脳裏に浮かぶのは様々な人の顔。一様に笑っている。北上を救えなかった大井を笑っている。
駆逐艦共、軽巡洋艦共、重巡洋艦共、戦艦共、提督。
双葉杏、コシミズサチコ、チェーンソーのバーサーカー。
お前も。
お前も。
お前も。
お前も。
愛に溺れて死んでいけ。
大井のために死んでいけ。
「アーチャー……ね、かは、ネビュラ、ゲートを」
お守りを握りしめ、なけなしの力を振り絞って左手を更に振り上げる。
あと六文字で世界が終わる。
その瞬間、世界はようやく、大井の愛の深さを認めた。
「おおい―ち――――――大丈夫―――」
大井の声を遮り、左手が誰かに握りしめられる。
お守りよりもあったかい何かが、大井の心に流れてくる。
倒れた大井に手を差し伸べた人物の姿は見えない。
大井に見えているのは、先程から、時化の海のような灰色と燃えるような赤の混ざった地面だけだ。
でも。
懐かしい声。
懐かしい響き。
その笑顔はもう見えないけど。
そこに居る、貴女のことを間違えるはずがない。
続けるはずの六文字は、頭から消え去った。
握られた左手のぬくもりで、世界への破壊衝動はすぐに霧散した。
―――ああ、北上さん。
そこに居たんですね。
危なかった。
もう少しで、世界ごときのために、また貴女を死なせてしまうところでした。
「き、たか―――み、さ―――」
胸は喜びでいっぱいなのに、言葉はうまく出てくれない。
血が喉に絡んで、わけもないのにどもってしまう。
―――駄目ですよ。北上さん。
私今、汚いから、汚れちゃいますよ。
大変だわ。
すぐにお風呂に入って、綺麗にならなくちゃ。
「大丈夫、大丈夫―――」
最初に一度、そしてもう二度、大丈夫と繰り返される。
やはり、北上は北上だ。大井に優しくて、大井を愛してくれている。
それでいい。それだけでいい。
世界程度が愛をどれだけ軽んじようと、大井には北上がいればそれでいい。
―――嬉しい。
ようやく会えた。
聖杯なんていらなかった。
結局。
私が望めば、それだけで。
もう一度、会えたんですね。
無事でよかったです。北上さん。
さあ。
ここは危ないですから。
早く逃げましょう。
今度は。
二人で。
手を離さずに。
ちゃんと。
……
☆
「おーい、ちょっと、大丈夫!? 救急車呼ぶから、気をしっかり持って!!」
「き、たか―――み、さ―――」
震える手。
何かを求めて差し伸べられた手。
「大丈夫、大丈夫だから! すぐ救急車来るからね!」
差し伸べられた手を反射的に握り返す。
そのことに、血まみれの少女は気づいただろうか。
NPCの少女にそれを知る術はもうない。
◇
「……誠に残念です」
「……ごめんなさい、私がもう少し早く連絡してれば」
「いえ、怪我の大きさから言って、致命傷です。たとえ斬られた瞬間に通報していたとしても、死亡は免れたかったでしょう。気に病まないでください。
傷跡を見るに、最近目撃情報が寄せられていたチェーンソー殺人鬼かと。物騒なので、気をつけてください」
「はい……」
血まみれの少女の死体は、運ばれていき。
NPCの少女は、手を合わせて祈りを捧げたあと、自身の務める店から花束を持ってきて、血だまりの側に添えた。
これは、なんてことのないNPCの日常に起こった、奇妙な物語の一つ。
誰にも語られず消えていく、なんてことない物語。
ただひとつ。
そんな物語に奇跡があったとするなら。
大井に駆け寄ったNPCが、聖杯によって学生ではなく花屋の店員として再現されていた『北上』本人だったということだけだろう。
それは、きっと意味のない奇跡だ。
死力を尽くし戦い消えていったライダー、
星輝子にとっても。
戦い、再び戦場に消えていったアーチャー、バーサーカーにとっても。
嵐に巻き込まれ、傷ついた多くの人びとにとっても。
死んでいった大井にとっても。
彼女の手をとったNPCにとっても。
駆けつけた救急隊員にとっても。
何の変化ももたらさず、何事も無く通り過ぎて行くだけの無意味な奇跡。
でも。
誰にとって意味がないものでも。
誰にとっても意味がないからこそ。
それはきっと、聖杯の起こす作られた奇跡ではなく。
世界が大井を思い、大井に向けて放ち。
大井の強い愛が掴んだ。
大井だけの奇跡だったはずだ。
【大井 死亡】
小学校側に出ていたチェーンソー男の反応は、絵理が到着するよりも早くに消えた。
消えた頃に何事かと小学校の方を見れば、見上げれば遠い空にUFOが飛んでいた。
もしかして、チェーンソー男はキャトルミューティレーションされてしまったのだろうか。
意味がわからなかった。
とりあえず、来た道をただ引き返すというのも癪に障ったので人垣越しに小学校を確認してみた。
校門を過ぎた向こう側には、明らかにチェーンソー男と何かが戦った痕跡が残っていた。
誰かが絵理よりも早くチェーンソー男を発見し、倒した、ということだろうか。
今朝の事件を思い出す。
金髪のアシメヘアの少女、
白坂小梅が『バーサーカーさん』と呼んでいた男は、特に理由を説明するまでもなくチェーンソー男と戦い、彼を退けた。
ひょっとすると、彼と彼女がこの周囲に偶然居て、もう一度チェーンソー男を倒してくれたのかもしれない。
だとしたら、お礼を言わなければ。
お礼とともに、正式に協力を依頼してみようかなんて考えていた時、不意にまた嫌な感覚が絵理の身体を包み込んだ。
チェーンソー男の反応だ。
場所は丁度来た道の方。まさかこんなに早く気た道を戻らなかったことを後悔するなんて思っても見なかった。
駆け出し、胸騒ぎの向かう先を感じ取る。
場所は近くのマンションの屋上のような気がした。
どうやって移動したかは分からない。
それに、再度出現する速度が早過ぎる。
だが、疑問を胸に立ち止まっている暇はない。
一歩でも早く辿り着いて、倒さなければ。
マンションに向かって走っていると、急にチェーンソー男の反応が一気に近づいてきた。
どうやら、屋上から飛び降りたようだ。
周囲を確認する。
人はまばらにしか居ない。いや、まばらに『いる』。
暴れだせば、被害者が出るかもしれない。
足に力を込めて走りだす。
速く。
速く。
まだ速く。
少しでも速く、奴のところへ。
◇
絵理が現場にたどり着いた時、全ては終わっていた。
チェーンソー男の撤退。それは現場にたどり着く直前に絵理も感じていた。
嫌な胸騒ぎが消えた。しばらくは出ない……はずだ。
だが、絵理がその事実に喜ぶことはなかった。
絵理が数十秒遅れて辿り着いた時、現場は無残な状態だった。
壁が破壊され。
電柱が切りつけられ。
ガードレールが切り裂かれ。
そして、道路に力なく横たわる『チェーンソー男の被害者』と、彼女の手を取る一人の少女が居た。
詳しい経緯は分からない。
横たわっている少女が誰かも知らない。
だが、はっきりと刻み込まれた烙印が一つ。
雪崎絵理は初めて、チェーンソー男に敗北し、世界にまた悲しみを刻ませてしまったのだ。
【D-2/大通り/一日目 夕方】
【雪崎絵理@ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ】
[状態]魔力消費(?)、ショック(大)
[令呪]残り三画
[装備]宝具『死にたがりの青春』 、ナイフ
[道具]スマートフォン、制服
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:チェーンソー男を倒す。
0.―――
[備考]
※チェーンソー男の出現に関する変化に気づきました。ただし、条件などについては気づいていません。
※『死にたがりの青春』による運動能力向上には気づいていますが装備していることは知りません。また、この装備によって魔力探知能力が向上していることも知りません。
※
白坂小梅&バーサーカー(
ジェノサイド)を確認しました。真名も聞いています。
※記憶を取り戻しておらず、自身がマスターであることも気づいていません。
※もしかしたらルーラーも気づいてないかもしれません。
※聖杯戦争のことは簡単に小梅から聞きました。詳しいルールなどは聞いてません
☆バーサーカー
足音が聞こえる。
地獄へと続く黄泉路へ導く、荒くけたたましい足音が。
どるるん。どるるん。どるるるん。
足音は再びどこかに消えていく。この世界のどこかにある、この世界のどこにもないどこかへ。
彼の正体を知るものは、世界のどこにもいやしない。
因縁深い雪崎絵理だって、その正確な内容は理解していない。
ただ、彼についての逸話だけは、聖杯に残されている。
絶対に死なないということ。
襲ってきた相手は襲い返すということ。
そして、『雪崎絵理が希望を抱けばその分弱くなり、絶望すればその分強くなる』ということ。
消えぬ傷跡が刻まれた。
次に出会うときは、もはや先刻の彼ではない。
異界の底で、チェーンソー男は再び機会を待ち続ける。
【???/???/一日目 夕方】
【チェーンソー男@ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ】
[状態]復活まで時間が必要。
[装備]チェーンソー
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:雪崎絵理の殺害
[備考]
※雪崎絵理がマスターだとかそういうことは関係ありません。
※雪崎絵理の絶望に呼応して、戦闘能力が向上しました。
※聖杯戦争中、チェーンソー男は夜以外にも絵理がサーヴァントの気配を感じた場合出現し、当然のように絵理を襲います。
※致命傷を受けての撤退後、復活にはある程度の時間を要します。時間はニュアンスです。
※アーチャー(森の音楽家クラムベリー)、ランサー(姫河小雪)、
フェイト・テスタロッサ&ランサー(綾波レイ)、
キャスター(木原マサキ)、白坂小梅&バーサーカー(ジェノサイド)、輿水幸子を確認しました。
☆
日が傾き、少女たちの楽園が赤く染まる。
儚くも美しい日常たちは、黄昏を纏い闇に落ちる。
嵐の訪れを告げる鬨の声は上げられた。
夜の闇が広がりだす舞台の上で、危険な妄執たちが蠢きだす。
ALL HAZARD PARANOIA/オール・ハザード・パラノイア
☆
最終更新:2016年05月10日 07:56