果てしなき望み ◆LuuKRM2PEg



 冷たい仮面をずっと被っていた父がようやく素顔を見せてくれた。それはとても温かくて優しさに満ちた笑顔だった。
 これまで何度もいがみ合っていた女を、ようやく姉と呼べるようになった。それからは彼女と共に笑いながら、毎日を幸せに過ごしている。
 幸せな日常の中には母と呼べる女や、親友と呼べる女達も増えた。彼女達もまた姉のように笑っていて、それを見ると心が温まってくる。
 心が安らぐと『彼女』は思った。
 これまでまともな名前で呼ばれなかった『彼女』がようやく人と同じように生きられるようになって、輝く太陽の元を歩いている。
 もうこれ以上、戦う必要などなかった。みんなと共に生きていてもいいのだと『彼女』は思った。
 だから『彼女』は、その手を真っ直ぐに伸ばした……




「……ッ」

 ダークプリキュアは瞼を開くと、木々の間より見える太陽に向かって真っ直ぐに伸ばしている腕を見た。
 ここはどこなのか。どうしてみんなと過ごしていたはずの私がこんな所にいるのか……そんな疑問が脳裏に過ぎるが、今まで見ていたのは全て夢であったことに気付く。
 月影ゆりの遺志を受け継いでキュアムーンライトに変身して仮面ライダーエターナルを倒してから身体を休めて、そのまま気を失ったのだ。どれくらい時間が経ったのかはわからないが全身の痛みや疲れは和らいでいる。
 これならば殺し合いに勝ち残ってゆりの願いを叶えて、家族を元に戻すことができる。あのコロンという妖精だってゆりと再び会わせられるはずだった。その為の邪魔者を消す為に、これからまた戦わなければならない。
 これまでさばくの使途として多くの犠牲を出してきたことに対する贖罪というつもりなどなかった。ただ、月影家の妹として大切な姉と父を再び蘇らせて、幸せな生活を取り戻したいという己のエゴで戦うだけ。
 きっと、ゆりは私がこれ以上傷付くことなど望まないだろう。ダークプリキュアは一瞬だけそう考えるも、だからといって止まるつもりはなかった。
 姉は幸せな生活を取り戻す為、その手を罪と血で染めている。罪の意識に苦しみながらもキュアマリンを殺したのだ。そこまでした彼女の願いを叶えるというのであれば、どれだけの困難が待ち受けていようとも戦わなければならない。ここまで進んだ以上、今更止まる訳にはいかなかった。
 キュアブロッサムとキュアサンシャインもまだ生きているはず。エターナルのような殺し合いに乗った連中が始末してくれれば手間が省けるが、そう簡単に負ける奴らではない。この手で倒してから死体を持っていき、ゆり達と同じ場所に眠らせなければならなかった。

『私は、知ってる……! あなたがゆりさんの『妹』だっていうことも!  あなたのお父さんがあなたを愛していたことも知ってる! だから、あなたを救う手助けができる!』

 不意に放送前で出会ったキュアサンシャインの言葉が脳裏に過ぎる。

『あなたは、私の妹よ』

 そこから続くようにゆりの言葉も蘇った。
 キュアサンシャインが言ったことの意味を本当に知ったのは、よりにもよってゆりが死ぬ少し前とは何の皮肉だろう。もしもゆりを助けられたら今頃どうなっていたのだろうか……そんな仮定が思い浮かぶも、すぐに考えるのをやめた。
 過ぎてしまったことをいつまでも振り返った所で意味などないし、何よりも本当に答えを知りたいのなら優勝すればいいだけ。ゆりの遺志を継ごうというのなら尚更そうするべきだ。
 そんな決意と共にダークプリキュアは立ち上がって、ゆりと来海えりかが眠る墓標を見つめる。
 もしも死後の世界というものが本当にあるのなら二人は今頃何をしているのかが、少しだけ気になった。えりかがゆりを憎んでいるのか、それともゆりを許してキュアブロッサムとキュアサンシャインを始めとした殺し合いの打倒を目指す者達を見守っているのか。
 そして、キュアムーンライトを受け継いだことをどう思っているのか? どういう訳か、それがほんの少しだけ気になってしまう。
 いつかキュアブロッサムやキュアサンシャインと出会った時が来るかもしれない。もしも、キュアムーンライトとの一件を彼女達が知ったら何を思うだろうか。
 キュアムーンライトを殺してその力を奪った悪魔と思うだろうか? それとも、話を信じてその上で止めようとするのか?
 だが、どちらにせよ戦いは避けられないのだから考えても意味はないだろう。向かってくるならば叩き潰すだけだし、優勝した際の願いとやらでゆり達と共に蘇らせればいいだけだ。
 きっとゆりとえりかはプリキュア同士の戦いを望まないだろう。人々の心を守り続けてきたプリキュアが潰し合っては、逆に絶望を植え付けるだけ。
 ゆりはそれを知った上で戦い続けただろうが、えりかはきっと心を深く傷付けるだろう。もしも蘇ったとしてもその傷まで癒せるかどうか……

(癒せる癒せないではない……幸せな日常を取り戻して、癒せるようにしなければいけない! ゆり……いや、姉さんの為にも!)

 少し前までならばこんな風に考えなかっただろう。
 だが今は違った。倒さなければならない宿敵なはずだった女の真実を知ってからは、彼女の為に戦いたいと思っている。
 その為ならば例えどれだけ傷付こうとも後戻りする気はないし、後悔などなかった。そうでなければ、ゆりだって救うことができないのだから。

「ゆり、えりか……もう少しだけ待っていてくれ。私が二人の幸せと日常を、必ず取り戻させてみせるから……」

 そう静かに言い残して、ダークプリキュアは墓から背を向けて去っていく。
 今はもう、振り返るつもりはない。また来るのであれば、それはキュアブロッサムやキュアサンシャインの死体を見つけて同じ場所に眠らせる時だけだ。
 それまでは、誰にもあの場所を荒らされないことを願うしかない。

(ここから市街地まではそれほど離れていないか)

 当面の目的地はゆりとえりかが眠るエリアから南に進めば辿り着ける市街地だった。ホテルには誰かがいる気配はなかったし、村も少し遠い。
 市街地は人通りが多く、大勢の参加者が集まっている可能性が高い場所だ。そんな場所に飛び込むのは危険かもしれないが、一人でも多くの参加者を減らすと言うならばリスクは避けられない。
 何よりもあそこにプリキュア達がいる可能性だってあった。100%とは言い切れないが、ダークプリキュアとしてはこの手で決着を付けたい気持ちもある。
 尤も、戦いが既に起こっているのであれば様子を見てから飛び込んだ方がいいかもしれないし、状況次第では離れる必要もあるかもしれないが。

「キュアブロッサム、キュアサンシャイン……来るなら来い。私はお前達を必ずこの手で倒してみせよう……」

 ダークプリキュアは残った因縁の相手達の顔を思い浮かべながら冷たく言い放つ。
 彼女の声色は鋭利な刃物のように鋭かったが、何処となく感情が込められていた。姉と共に幸せな日々を過ごしたいと言う、純粋な感情が。
 それを邪魔するならば例えゆりにとって大事な仲間であろうとこの手で葬ってみせる。そんな揺るぎない決意を胸に抱いたダークプリキュアは、漆黒の羽を広げながら木々の間を駆け抜けていった。


【1日目/昼】
【D-8/森】


【ダークプリキュア@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、右腕に刺し傷
[装備]:T2バードメモリ@仮面ライダーW
[道具]:ゆりの支給品一式、プリキュアの種&ココロポット@ハートキャッチプリキュア!、ランダムアイテム0~2個(ゆり)
[思考]
基本:キュアムーンライトの意思を継ぎ、ゲームに優勝して父や姉を蘇らせる。
0:市街地へ向かい、集まった参加者達を倒す。
1:もし他のプリキュアも蘇らせられるなら、ゆりのためにそれを願う。
2:つぼみ、いつきなども今後殺害するor死体を見つけた場合はゆりやえりかを葬った場所に埋める。
3:エターナルは今は泳がせておく。しばらくしたら殺す。
[備考]
※参戦時期は46話終了時です
※ゆりと克己の会話で、ゆりが殺し合いに乗っていることやNEVERの特性についてある程度知りました
※時間軸の違いや、自分とゆりの関係、サバーク博士の死などを知りました。ゆりは姉、サバークは父と認めています。
※筋肉強化剤を服用しました。今後筋肉を出したり引っ込めたりできるかは不明です。
※キュアムーンライトに変身することができました。衣装や装備、技は全く同じです。
※エターナル・ブルーフレアに変身できましたが、今後またブルーフレアに変身できるとは限りません。


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最終更新:2013年03月15日 00:35