双大将再会 ◆gry038wOvE
血祭ドウコクの目の前には、巨大な嘆きのエネルギーの集合体が光っていた。
位置はF-5(衛府之五)の山頂。不穏な光を見つけてやって来てみれば、そこにあったのは巨大な不可思議である。人々の嘆きや恐怖が集合し、それが集合する場所。
青い光を発し、その中央に、どこかで見たような真っ赤な光を発するその施設。
その名は、忘却の海レーテ──。
「こいつぁ一体……」
然るドウコクでさえ、先ほどまでなかったはずのその物体に、不穏な気配を感じずにはいらなれなかった。このレーテには、人々がビーストを恐怖する負の記憶が封印されている。
そんな場所だが、ドウコクがそんな物を知る由もない。
ただ、その膨大な嘆きの力だけは彼も感じていた。
「……わからねえが、ただのデカブツってわけじゃなさそうだな」
ともかく、他の参加者に比べれば、彼は動じない部類だっただろう。
嘆き──そこから感じるマイナスエネルギーに不安を感じる事はなかった。
血祭ドウコクの場合は、突如としてこれが現れた理由に不穏な気配を感じずにはおれなかった。
これが今後、この殺し合いでどういう意味を持つのだろう。その疑問に答える者は何もない。
『──ドウコク殿』
ふと聞こえたのは、ドウコクを呼ぶ声だ。
血祭ドウコクを呼ぶ、何者か。──ドウコクは、瞬時に後方のその人物に向けて剣を振るった。
何故、こんな行動に出たのか。
それは簡単だ。相手は利用価値とは程遠く、また、ドウコクの知る人物──参加者外の存在であると、認識できたからだ。
「久しぶりだな……マンプク。いつぞやにテメエがくたばって以来じゃねえか」
脂目マンプク。かつて、夏の陣にてシンケンジャーに敗北し、死亡したはずのクサレ外道衆の大将である。ドウコクが三途の川から掬いだしてやってみれば、ドウコクを家臣などと扱う傲慢さだ。
まあ、ドウコクはそこを咎めるつもりはないし、何故彼がここにいるのかなど今更疑問に思う理由もない。
彼が主催側からの使者である事は明白だ。
昇竜抜山刀は、マンプクの喉元で止まっていたが、マンプクが動じる様子はなかった。
『ご挨拶ですな、ドウコク殿。拙者は目的を果たしに参上仕った次第。今ここに現れている私の体そのものは幻影でござる』
そう言って、マンプクはドウコクの刃に指を通した。
どこから、血を撒き散らすわけでもなく、指がちぎれるわけでもなく、まるで刀か指かのどちらかが存在しないようにすり抜けていった。
なるほど、今ここでマンプクに余計な力を使う必要はなさそうだ。要件だけ話すべきだと思い、ドウコクは刀を下げる。
「で、テメエの目的ってのは何だ? この殺し合い、それにこのデカブツの話も聞きてえな……」
『手短に』
そう、前置きしたうえで、マンプクは語る。
『……拙者はドウコク殿に、この殺し合いにおける縛りの解除──即ち、貴殿の死後、二の目が発動する事と、近々
筋殻アクマロの二の目が解放される旨を申しに参ったのでござる』
「……何?」
アクマロの二の目は、この殺し合いで発動していない。
それらしい様子もなかったので、てっきりアクマロはこの殺し合いの会場では二の目になる事もできずに死亡したと思っていたが、どうやら何らかの縛りがかけられてアクマロが二の目を解放できずにいたのみだという話だ。
『言葉通りでござる。これは全て、アクマロ殿自身は知らない話。もしまみえる事があったら、アクマロ殿にはドウコク殿の口から説明していただきたい』
「フン……。まあいい。だが、とっととテメエも俺のもう一つの質問に答えろ」
この殺し合いは何なのか、その問いにはマンプクはまだ答えていない。
ドウコクに関心があるのは、アクマロがどうという話ではないのだ。あんな奴の話はもうどうでもいい。
『ドウコク殿、拙者はただ、この殺し合いの縛りを無くす事だけ教えに来た身でござる。ここでそれ以外の事を口にする義理はござらんのだ。この嘆きの海もまた、別の者には説明する事はあっても、ドウコク殿に話す義理はない』
「何だと……?」
明確な叛逆だと受け取って良いのだろうか。──マンプクは何食わぬ顔で、説明を続けた。
『貴殿は、偶然この殺し合いに巻き込まれ、拙者は、偶然こちら側になれた。……それだけの事。残念な話だが、次に会って話す事があるとすれば、それは貴殿がこの殺し合いで二の目を使わずに勝ち残るができた時でござる。それまで、貴殿は命ではなく、駒。死んだシンケンジャーやはぐれ外道、アクマロ殿もまた同じ……壊れた駒でござる。何も知らぬまま、この殺し合いで好きに動けばいい……』
言葉の節々から、マンプクのかつてのような傲慢さが漂っていた。ドウコクにさえ、それは明確な叛逆であると認識させた。
これは戯れではない。現に、ドウコクの身を危険に晒している。マンプクは恩を仇で返そうとしているのである。本来ドウコクに奉公すべきであるマンプクは、一かけらの情も──外道衆にとって、この言葉は変かもしれないが──見せる様子がなかった。
「オイ、テメエ、今言った事、俺にはもう二度と撤回させる余裕がねえとわかってるだろうな……? 戯言として受け取る気はねえぜ。たとえ冗談だとしても、本気の言葉として受け取っておく」
『無論でござる。……しかし、変な話でござるな』
「なんだと……?」
マンプクは不敵に勝ち誇ったような笑みを見せる。一見すると表情は変わらないようだが、ドウコクはそれを感じ取った。
『いつから、世は、家臣が主に口答えできるようになったのでござろうか……』
それだけ言い残し、マンプクの幻影は消え去った。
どうやら、マンプクは本気でドウコクを家臣程度にしか思っていないらしい。
腐れ外道、と呼ぶに相応しい外道っぷりであった。
「……あの野郎。すぐにブッ殺してやる。……だが、その前に」
そうだ、筋殻アクマロ──彼もドウコクを殺しに来るに違いない。奴に全てを説明する義理はないが、いずれにせよ倒さなければならない。
このサイズであれ、ドウコクは外道衆を縛る力は持っているし、アクマロの二の目を撃退するくらいの実力は持っている。
早い話が、アクマロなど敵としては倒し甲斐がないほどであった。この刀は、やがてアクマロに会う事があれば、その体を二つに引き裂くだろう。
ドウコクは、自身が二の目となる気はない。ゆえに、彼から得た情報では、アクマロが二の目となって襲い掛かってくる以上の、意味はない。
アクマロがどこかに現れるまでに、ドウコクはともかく志葉の屋敷に向かう方針であった。
この珍妙な光──嘆きの海、と呼ばれていた──に誘われてやって来てみれば、次に得たデータはアクマロの出現の話だ。
アクマロと共通してよく知っている場所といえば、志葉の屋敷だろうか。やはり、行動方針としてそこに向かうのは変わらない。
──状態表のあと、(ry
【1日目 夜中】
【F-5/山頂・忘却の海レーテ前】
【血祭ドウコク@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:ダメージ(極大)、疲労(大)、苛立ち、凄まじい殺意、胴体に刺し傷
[装備]:昇竜抜山刀@侍戦隊シンケンジャー、降竜蓋世刀@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:なし
[思考]
基本:その時の気分で皆殺し
0:志葉の屋敷に向かう。アクマロを見つけたら殺す。
1:首輪を解除できる人間を捜す
2:加頭、マンプクを殺す
3:杏子や翔太郎なども後で殺す
4:嘆きの海(忘却の海レーテ)に対する疑問
[備考]
※第四十八幕以降からの参戦です。よって、水切れを起こしません。
※第三回放送後の制限解放によって、アクマロと自身の二の目の解放について聞きました。ただし、死ぬ気はないので特に気にしていませ
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最終更新:2014年07月22日 18:05