そこは、イスカンダールという名の男が一人で切り盛りする、小さなバー。
 カウンター席が幾つか用意されただけの狭い店内で、そのカウンターの両端に其々入口があるという、不思議な作りをしている。
 このバーがいつからあるのか、どこにあるのか。それは、誰にも分からない。
 ただ、そのバーが開いている時はいつも其々の入口から、二人の客が訪れる。
 今宵は、どんな客人がここに訪れるのだろうか。

最終更新:2024年06月18日 09:25