曲紹介
POEMLOID投稿祭参加楽曲です
曲名:『モラトリアムの君へ』(もらとりあむのきみへ)
歌詞
そうして又、
そうして又君は夜更け過ぎに有り余る。
引き攣った自意識の鋭角さに自惚れながら、曖昧に。
自由律で編み出した奇天烈を児戯の如く弄んでは、
もうずっと何年も、この革命前夜を繰り返している。
とっくに背伸びですらなくなった悪癖に火をつけてみたり、
遠い国の戦争と裸の少女の絵を同時に眺めたり、
或いは、
ただ、何もしなかったりして、
日毎酷くなる青春の幻肢痛から、救われるのを待っている。
凡庸な癖に尊大で、
詩人の癖に訥弁で、
その割に自分が好きな
どこにでも居る君へ。
若者の憂鬱をジャズマスターの音色に乗せてささやくような
大学生くらいのありがちなロックバンドに脳内で舌打ちしながら
それをも幾ばくか希釈したような彩度で前頭葉が思い描くのは
君を見くびった彼奴等の
顔ばかり。
そうして又、君の赤茶けた脳に隙間風が吹いている。
最後に見えるのは、いつだって
混沌の、影法師
だけ
もう、どうでもよくなって
吸いさしの今日を、ごみ箱へ。
許されるその瞬間の、
君にだけ、聴こえるように。
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最終更新:2023年12月12日 20:53