曲紹介
指を鳴らすと山札の上のトランプが変わるマジックをテーマに曲書きました。
曲名:『ファム』
- イナナキ氏の処女作。
- 『ボカコレ2022春』TOP100参加楽曲。
歌詞
その昔、貧しい男が一組のトランプ拾いました。
幾枚か捲ると、❤︎のQがグニャリ笑いました。
間抜け驚く男に❤︎のQ(かのじょ)が冷えた声で語ったのは、
「"助けて"くださったお礼に魔法をお見せしたい。」
というものでした。
「"頂に座するモノ"と
入れ替わってみせましょう。」
札の中息を潜めた❤︎のQ(かのじょ)の声
男は舌を転がすように反芻 合図は--
「指を鳴らせ」
消せない 褪せない 鎖せない
香りは吐息を隠して
全て 全て 全て 従え
紙の城の上に立つ
嗚呼
指鳴らし札の上が替わる様は皆を惹きつけました。
石畳這うように男の名は街中に知られました。
そんな或る日城の遣いが訪れ男に告げたのは、
-女王陛下がその"インチキ"をこの目で見破りたい-というものでした。
開く鉄扉を抜け 赤絨毯に膝つく
玉座を離れ女王はそれを間近見下ろすと立ち止まり
指弾く合図に合わせ目を凝らす
"汚い 汚い 汚い"
鏡はこたえを見つめて
何も何もかもを
奪われ囚われる"紛い物"
魔法は起こることなく
嘘つきに裁き下る
そして人々は皆断頭台をめがけ石を投げつけて
命乞う男に女王は指を鳴らす
消せない 褪せない 鎖せない
香りは吐息を隠して
撒いた 愛でた 咲いた
花びらまるで大地に根付く
"汚い 汚い 汚い"
掌 答えを見つめて
全て 全て 全て 奪われ
劇はその幕閉じる
厳かな装飾があしらわれた椅子に掛け
書き終えた詩には怨嗟の"痕"が浮かんだ
思い出せば顔が歪んでしまう程笑えて
さようなら 紙の城を破り捨てる
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最終更新:2023年12月12日 22:00