骨肉のコント

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曲紹介

奔放な父が残した莫大な遺産。
父に反抗的だった長女と、従順だった次女。
果たして遺産の分配比率は……?
曲名:『骨肉のコント』(こつにくのこんと)

歌詞

YouTube有志コメントより転載)

六花
「お父さん……。うぅ……。お父さぁん…………。」

花梨
「いい加減泣き止みなさい。」

六花
「姉さん……。」
「だって、お父さんが……。」

花梨
「あんな人のために泣かなくていい。」
「死んでせいせいしたくらいよ。」

六花
「姉さん!なんてこと言うの!」

花梨
「あの人が一度でも父親らしいことをしたことがあった?」
「私たちのことはまるで無視して、遊び歩いては母さんを泣かせたじゃない!」

六花
「でも……、昔は優しかったでしょう?」
「確かに会社が成功してからお父さんはおかしくなってしまったけど……。」

花梨
「お金は人を狂わせるのね。」
「あの人の取り柄はお金だけだったわ。」

六花
「そんなのひどいよ姉さん……。」

花梨
「……さあ、私たちもお金の話をしましょう。」
「これがあの人が残した遺書よ。」
「遺産の分配についてでしょうね。」

六花
「遺産なんて……そんなもの私は……。」

花梨
「いいからもらっておきなさい。」
「慰謝料みたいなものよ。」
「……でも、あの人のことだから下手すると隠し子が何人もいるかもしれない。」
「私たちですんなり二等分できるといいんだけど……。」

六花
「か、隠し子……?」

花梨
「中を改めましょう。
「……ちょっと待ってて。」
「封筒を切るハサミを取ってくる。」

六花
「……ふふふ、バカな姉さん。」
「お父さんにあんなに反抗的だった姉さんとずっと良い子ちゃんを演じていた私が二等分なわけないじゃない。」
「お父さんはきっと私の方にたっぷり残してくれるはず。」
「それに……、隠し子ですって?」
「今更何を言ってるんだか。」
「私はちゃんと調べてある。」
「確かに何人もいたけど、……不思議ね。」
「揃いも揃って悲しい事故に遭っているなんて……。」

花梨
「お待たせ。じゃあ開けましょうか。」

六花
「うん。」

花梨
「読むよ。えっと……」
『私の死後、私の財産は下記に定めた通り分配する。長女、私が所有する全財産。以上』

六花
「え?(小声)」

花梨
「……隠し子、いなかったのね。」

六花
「私もいないんだけど!?」



今は亡き父の意志
残された遺書は
あまりにも不平等

争いは避けられない
いざ骨肉の争いへ



六花
「ねえ私のことは!?」

花梨
「か、書かれてない。」

六花
「そんなはずないよ!見せて!」

花梨
「必死ね。あなたさっき、『遺産なんて』って言ってたじゃない。」

六花
「あっ!で、でも、いくらなんでも何もないのはひどいよ。」
「私のことはどこに……。」
「あ!あった!裏側に!」

花梨
「え!?何であるのよ!」

六花
「あっていいの!ほらココ!えっと……」
『長女は相続した財産で次女にワ◯ビーフを4袋買ってやること』
「はぁ!?ワ◯ビーフ!?安いにも程があるでしょ!」

花梨
「コンビニ行こっか?」

六花
「行かないよ!」

花梨
「まあまあ落ち着いて。」
「素直に従いましょうよ。」

六花
「従えないよ!」
「お父さんの全財産って、60億くらいあるんだよ?」

花梨
「マジ!?やった!」

六花
「喜ばないでよ!」
「一人で受け継ぐには大きすぎるんじゃない?」
「半分でも莫大なお金だよ?」

花梨
「え?……あなた、半分取りに来てない?」
「興味なさそうだったのに。」

六花
「だ、だって、お父さんを嫌っていた姉さんが相続するのは納得いかないし……。」

花梨
「ねぇ、覚えてる?」
「昔父さんと遊園地に行った時のこと……」

六花
「急にそっちのスタンス取らないでよ!」
「さっき『父親らしいことしてくれなかった』って言ってたじゃん!」

花梨
「本当に惜しい人を亡くしたわね……。」

六花
「私は認めないから!」
「私は姉さんと違って会社も手伝ってたのに!」

花梨
「そういえばあなたは会社を受け継ぐんだから別に遺産なんかなくても困らないじゃない。」

六花
「遺産の大部分は会社の株なの!」
「……ってことは会社も姉さんのものってことに……。」

花梨
「私社長になれるの!?」
「よ〜し、私に逆らったらクビね♡」

六花
「すごいなこの人!」

花梨
「もう諦めなさいよ。」
「この遺書はちゃんと専門家に依頼して作ってあるんだから。」
「逆らうことはできないの。」

六花
「今までの努力が水の泡だ……。」

花梨
「さ、早くコンビニ行こ?」

六花
「ワ◯ビーフはいらない!」
「ああもう!遺書もう一回見せて!」

花梨
「めちゃくちゃ必死じゃん……。」

六花
「あ!」

花梨
「どうしたの?」

六花
「……姉さん、遺書にはこう書いてあるね。」
「『私が所有する全財産』……って。」

花梨
「それがどうしたの?」

六花
「棺の中の父さんを見たでしょ?」
「…‥お父さんは、手ぶらだった!」

花梨
「いや、所有ってそういうことじゃないでしょ!?」
「棺の中では人は大体手ぶらだよ!」

六花
「パンツくらいは履いてるでしょ!」

花梨
「死体からパンツ剥ぎとれっての!?」

六花
「この遺書ではパンツ以外の財産については指定されていないことになる!」
「なら他の財産は二等分が妥当!」
「パンツは姉さんが独り占めしていいから!」

花梨
「妥当じゃない!パンツもいらない!」
「これ以上グダグダ言うなら本当にクビにするよ!?」

六花
「私はクビになったって構わないもん。」

花梨
「え?」

六花
「あの会社は私でもっていたようなものなの。」
「どうしてお父さんの会社が急成長したかわかる?」
「……私が邪魔者を消してきたからよ!」

花梨
「まさかそこまで怖いとは……!」

六花
「私がいなくなれば会社の株価は確実に暴落するよ。」
「姉さんが相続する遺産はただの負の遺産になるでしょうね。」

花梨
「あの手この手を使ってくる……!」

六花
「地獄に突き落としてやる!」

花梨
「あんなに良い子だった妹が!」
「……まあでも、あなたが辞める前に株売っちゃえばいい話よね。」

六花
「そこまでして遺産が欲しいの!?守銭奴め!」

花梨
「あんたには言われたくない!」

六花
「もう……どうすりゃいいの……?」
「封筒貸して!他にも何か入ってるかもしれないし。」

花梨
「もう諦めたら?」

六花
「あっ!」

花梨
「どうしたの?」

六花
「もう一枚入ってる!」

花梨
「え!?」



今は亡き父の意志
残された遺書にはまだ
続きがあるの

何であれ負けられない
いざ骨肉の争いへ

六花
「えっと、『一枚目に書かれている内容は嘘だ。本当は二等分が良かったが、もし一枚目を読んで長女が素直に受け入れ、かつ次女が抗議した場合、どっちも普段の行動と違いすぎて信用ならない。よって、私の所有する財産は全て慈善団体に寄付する』」

花梨
「はぁ!?」

六花
『ちなみに、この封筒には盗聴器が仕掛けられており、遺書の作成を依頼した弁護士が2人の会話を聞いている』

花梨
「えぇ!?」

六花
「ね、姉さん……。」

花梨
「やばい……。今までの全部聞かれてたってこと?」

六花
「…………姉さん!いやー、今日も見事に決まったね!」
「私たちが作ったショートコント、『姉妹喧嘩』」

花梨
「……あ!そ、そうね!迫真の演技だったじゃん!」

六花
「姉さんこそ!あの切り替わりっぷりはキングオブコントでも通用するよ!」

六花&花梨
「はい!♪ジャンガジャンガジャンガジャンガジャンジャジャンジャジャ〜ン」

六花
「…‥無理かな。」

花梨
「無理ね。あなたに至っては逮捕されるんじゃない?」

六花
「か、肝心なことは言ってないし、この弁護士を抱き込めば……。」
「あっ!」

花梨
「どうしたの?」

六花
「……弁護士さん。聞いているんでしょう?」
「あなたもそれなりの依頼料をもらっているんでしょうが、それだけで満足ですか?」
「10億ほどお支払いしたら黙っててもらえますか?」

花梨
「この子本当に怖い……。」
「でも今はそれが頼もしい……!」

六花
「ですが弁護士として依頼を受けた手前、内容を無視するわけにはいかないでしょう。」
「だからこの遺書は忠実に守ります。」

花梨
「え!?どういうこと!?それじゃ……、」

六花
「ただし、『私の所有する全財産』の解釈を変えた上でね。」
「姉さん、棺の中の父さんは?」

花梨
「手ぶら!せいぜいあるとしたらパンツ!」

六花
「そう!全財産=パンツとした上で遺書を忠実に守れば、残った遺産は私たちのものだし、弁護士さんも業務上問題なし!」

花梨
「随分やばい遺書を残した父親ってことになるわね……。」

六花
「お父さんは『自分が履いてるパンツを半分に分けて姉妹に分配したくて、それが叶わないならそのパンツを慈善団体に寄付したかった人』ということになるね……。」

花梨
「頭おかしいじゃない!」

六花
「あんなクソ親父がどうなろうと構わないでしょ?」

花梨
「案の定あなたもそう思ってたのね。」

六花
「このままじゃ2人とも何ももらえないんだし、協力しようよ姉さん。」

花梨
「ええ。本来の財産は弁護士への口止め料を引いた後で二等分ってことでいい?」

六花
「もちろん。じゃあ、遺書を見返してみよう。」
「一枚目は姉さんに全財産、つまりパンツを相続させた上で……。」
「その財産で私にワ◯ビーフを4袋買う。」

花梨
「ムズ……!」

六花
「コンビニ行く?」

花梨
「無理でしょ!死体が履いてる古ぼけたパンツでワ◯ビーフは買えない!」

六花
「あんなに安っぽく思えたワ◯ビーフがとてつもない高級品に感じる……!」

花梨
「あ。でも、一枚目は守らなくてもいいんでしょ?」
「一枚目を私が受け入れて、あなたが抗議したってことにすれば。」

六花
「それだと姉さんが『死体のパンツでワ◯ビーフを買うことを受け入れた人』ってことになるけど。」

花梨
「私も頭おかしいな!?」

六花
「流石に同情する……。」

花梨
「あなただって『どうしてもパンツが欲しくてごねた人』ってことになるじゃん。」

六花
「最悪……。」

花梨
「めげずに2枚目の方を確認しましょう。」

六花
「うん、えっと……。」
『パンツは慈善団体に寄付する』

花梨
「こっちもムズ……!」

六花
「あ、でもこれも解釈次第だよ!」
「お父さんはどこに寄付するかを明記してないから、…‥私たちが慈善団体を作ってそこに寄付するだけでいいかも。」

花梨
「なるほど!でもパンツを欲しがる慈善団体って何?」

六花
「『パンツの人権を守る会』……?」

花梨
「いや、パンツに人権はないでしょ!」

六花
「でもそれくらいイかれた団体じゃなきゃおかしいもん。」
「姉さん、一緒に作ろう?」

花梨
「し、仕方ないわね。」
「苦労も二等分ってことで。」

六花
「ありがとう姉さん。」
「これで私たち大富豪だね。」
「世間の目は冷たいだろうけど……。」

花梨
「……皮肉なものね。」
「あの人がお金でおかしくなってしまった気持ちが、今ならわかる気がするわ。」

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最終更新:2023年12月12日 22:04