10年後の母校 ~オミショク様の奇跡~

【検索用:10ねんこのほこうおみしょくさまのきせき  登録タグ:2025年 VoiSona その他の文字 アルセチカ ニコニコ外公開曲 ルウル 家の裏でマンボウが死んでるP 曲他
+ 目次
目次

曲紹介

曲名:『10年後の母校 ~オミショク様の奇跡~』(10ねんごのぼこう ~オミショクさまのきせき~
  • VoiSona ルウル の公式デモソング。
  • 「トークに力を入れました」と言う通り、ほぼほぼ朗読かセリフ劇の様である。

歌詞

(動画より書き起こし)

これは私が神になるまでのお話です。
私は故郷に十年ぶりに帰省しました。
高校卒業まで過ごした街の景色は全てが懐かしく、つい用もなく散歩をしていました。
私が自然と足を運んだのは母校、私立明星高校です。
かつては非常に校則が厳しく、女子はおさげ、男子は七三と、まるで昭和のような雰囲気の校風でした。
私は当時生徒会長を務めており、生徒たちの意見をまとめ上げて学校側と交渉を重ね、校則の緩和に成功しました。
みんなの嬉しそうな表情と感謝の言葉は忘れられません。
昔を思い出しているうちにいよいよ学校に到着しました。
何やら賑やかな雰囲気です。
幸運にもその日は文化祭が開催されており、私は堂々と母校に入ることができました。
胸を躍らせながら校門をくぐると、男子生徒がパンフレットを渡してくれました。
生徒の誰かが描いたと思しき表紙のイラストを見て私は微笑ましい気持ちになれませんでした。
表紙には血まみれの悪魔のような存在がチェーンソーで十字架を切断しているイラストが描かれていたのです。
随分とデスメタルな雰囲気です。
もしかすると今年の文化祭はこういうコンセプトなのかもしれませんね…?
そんな私の希望的観測はすぐに打ち破られました。
よくよく観察すると校内はひどいものでした。
校舎の窓が全て割れており、厳かな雰囲気だった廊下をバイクに乗った生徒たちがヒャッハーと叫びながら疾走しています。
おさげだった女子生徒たちは今や手から鎖鎌をぶら下げ、
七三分けだった男子生徒たちは今や右肩に七、左肩に三本のトゲを生やしています。

一体この十年の間に何が起きたのでしょうか。
私は慌ててネットで検索しました。
するとすぐに恐ろしい一文を目にしたのです。

「以前は厳しい校風で知られていたが、校則を緩和した結果受験者数が激増したことを受け校則自体を撤廃した。
 今や全国から選りすぐりの無法者が集まっている」


私のせいでした!
あの母校は世紀末のスラムと化した
ここまでいく?
校則がなくても法律はあるのに

私が困惑していると、背後から一人の生徒が声をかけてきました。
「皆殺しマンいかがっすか~?」
おどろおどろしいネーミングにギョッとしましたが、彼の掲げている看板には単なる肉まんのイラストが描かれていました。
しかし安心するのも束の間、その隣には何の肉が入っているのかを示すかのように棒人間のイラストの上にバッテンが描かれており、私の緊張感は再び極限まで高まりました。
きっと無視すれば私が次の皆殺しマンです。
ですが当然食べたくもありません。
私は震える声を絞り出しなんとか断りました。
すると、「そっすか!楽しんでってくださいね~!」
以外にも素直な反応と、あどけなさすら感じる笑顔。
死線を何度もくぐったかのような無数の傷跡や一般男性の太ももほどある二の腕からは信じられないような、文化祭を純粋に楽しむ高校生の姿がそこにありました。
なんだか私は拍子抜けして、彼にこの学校について尋ねてみることにしました。
私が卒業生であることを告げ、あまりの雰囲気の変化に驚いていることを伝えました。
「なんか昔伝説のヤンキーみたいな人がいたらしいんすよ!
 その人が校則全部ぶっ潰したらしいッス!」
私のことなのでしょう。
実態とは随分離れていますが、民主主義的に学校に変革をもたらしたあの一件は今も語り継がれているようでした。
ここまで荒廃させる意図は全くありませんでしたが、誇らしげに私のことを語る彼を見ると不思議と悪い気はしませんでした。
「なんか本当に頭イカれてたっぽいッス!
 校長をチェーンソーで真っ二つにしたって聞きました!」
いやいややっぱ悪い気しますね!
民主主義的って言ってるじゃないですか!
いくらなんでも尾ひれがつき過ぎじゃないですかね!?
その後も彼は熱っぽく私について語りました。
伝説によると私の体調は実に六メートルに達し、私の口からはヘドロと有毒ガスが出るそうです。
明治維新とオイルショックも私の仕業とのことでした。
今やオミショク様という土着の妖怪のような名前で呼ばれているとのことです。
どうやら代々語り継がれるうちに話が誇張され、神格化されていったようです。
そこでやっと気づきましたが、あのドン引きしたパンフレットの絵は私を描いたものでした。


私のせいでした!
あの母校は悪魔憑きのカルトと化した
大村翔子ことオミショク様の御業です

私は彼に尋ねてみました。
私がそのオミショク様だとしたらどうする?と。
彼らはオミショク様の望みとあらば喜んで更生してくれる気がしたのです。
「マジっすか!?
 あ、そっか、卒業生なんですもんね!」
彼は途端に目を輝かせました。
そして片膝をついて手を翼のように広げ、聞こえるか聞こえないかくらいの音量で呟きました。
「果てなき明星の輝き 栄えと誉れあれ」
どうやら私は独自の宗教となっているようでした!
彼の目が完全にキマっているのが恐ろしかったですが、この忠誠心には期待できます。
しかし彼の次の言葉で私は一気に窮地に追いやられました。
「じゃあやっぱチェーンソーで誰かをぶった斬るとこ見てみたいっすね!」
やらされる!
なぜそこまで頭が回らなかったのでしょうか!
ここまで信仰心が強いとなると私がオミショク様の名を騙る偽物だと判断された場合命はなさそうです。
私の体調が六メートルもないことに彼が気づく前に何らかの形で証明しなければなりません。
しかし残念ながら口からヘドロも有毒ガスも出るわけありませんし、明治維新をしようにも幕府がありません。
一番現実的なチェーンソーでさえ普通の高校には、
「ちょっと裏からチェーンソー取ってきますわ!」
チェーンソーはありました!
さすが世紀末です!
「さあ、どうぞオミショク様!
 生徒なら誰でもいいので真っ二つにしてください!」
(♪バックコーラス「栄えと誉れあれ 果てなき明星の輝き」)
そんなことができるはずがありません!
逃げようにも彼が私の名前を呼んだことで周囲の生徒たちが反応し、即座に人だかりができてしまいました。
皆感激のあまり涙を流しています。
私が躊躇していると、次第に信者たちがざわつき始めました。
「なんかちっちゃくね」という声も聞こえてきました。
ああ、このままでは命が危ない。
どうか私を助けてください、神様……。

いや、違う。この場では……私こそ神。

「聞け、皆の者」
私は精一杯神々しい声を放ちました。
私は彼らの信仰を新たな教義で塗り替えることにしたのです。
「殺戮と破壊の時代は終わった。
 世は慈愛と再生の時代へと移り変わる…」
どうやら私の芝居は通用しているようで、周囲からは「なんか六メートルくらいあるように見えてきた」という声が聞こえ始めました。
この調子です。
「何人たりとも傷つけず、勉学に励みなさい…。
 あとは、なんか、こう、全体的に真面目に生きるのです…」
神にしては辿々しい言葉を、彼らは熱心に聞いてくれました。
変な思想に染まりやすいのは素直さの証拠。
正しく導いてあげれば良い方向に向かう子供たちのはずです。
「果てなき明星の輝き 栄えと誉れあれ」
この超怖いやつだけはこのやり方じゃ抜けませんが、超怖いだけで支障は無いでしょう。

……その後私立明星高校は校則がないにも関わらず品行方正を保つ健全過ぎる学校になっていったそうです。
その変貌の影にはオミショク様と呼ばれる神の存在があったと、地元で噂が広がったので私はもう帰れなくなりました。

「果てなき明星の輝き 栄えと誉れあれ」

コメント

名前:
コメント:

コメントを書き込む際の注意
コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、
以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。
コメントする際は、絶対に目を通してください。
  • 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現)
  • 特定の個人・団体の宣伝または批判
  • (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ”
  • 長すぎるコメント
  • 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題
  • 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント
  • カラオケ化、カラオケ配信等の話題
  • 同一人物によると判断される連続・大量コメント
Wikiの保守管理は有志によって行われています。
Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
+ タグ編集
  • タグ:
  • その他の文字
  • 曲他
  • 家の裏でマンボウが死んでるP
  • アルセチカ
  • ルウル
  • VoiSona
  • 2025年
  • ニコニコ外公開曲
最終更新:2025年07月23日 23:21