その4
最終更新:
homuhomu_tabetai
-
view
まどか「じゃ、はい、ほむらちゃん」
ほむら「え?」
まどか「もしほ虐をしたいなら首をねじ切って。ここまでなら、そのままにしておいて。
流石に…あそこまで言ったんだから、この辺で終わりにしておいた方がいいと思うんだ」
大嘘をつけ。やはり、こいつは私の知っているまどかなんかじゃない。別のナニカだ。
カルトの中枢を見たのだから、仲間になるか、今すぐ立ち去るか。どちらかにしろと言っているのだろう。
まさかとは思うが、後者を選択したときには、ここで私を殺すつもりなのだろうか。
カルトならありえる…先程捨ておいた理性が、自分をコントロールしだす。殺される前に殺す?…もう、流石に無理だ。
やはりここは危険だ。でも、もう少しほ虐を見たい。感情は黙らなかった。
ほむら「分かったわ」
両手の親指と人差し指に力を込め、体をねじ曲げる。コキリと頚椎が折れる音がしてほむほむは息絶えた。
まどか「…ほむらちゃん、いいの?」
共犯になれと言っておいてその台詞はない。ナニカが何を考えているのか、さっぱり分からなかった。
ほむら「ええ。じゃあ、交換条件としてほ虐を見せて」
さやか「OK。じゃあ、あたしに付いてきて。こっちに名前を記載すれば、虐待用具を借りられるから」
意外に甘いセキュリティ。「そんなにほ虐って面白そう?」と聞くさやかを無視して、工具室にある瞬間接着剤とナイフ、ピンセットを借りる。
ほむら「じゃあ、やってみるわ」
まどか「……」ワクワク
まず、背中を切り裂く。
ほむら「……」ジュクッ・・・シュッ
ほむほむ「ホギイイイイイイ!ホグァ・・・ホガッ・・・」
次に、背骨の首に近い部分…頚椎をピンセットでつまみ、瞬間接着剤で固定する。
ストレス解消だというのに細かい作業を要求される虐待を選んだのは失敗だったかもしれない。
ほむほむ「ホミィィィィー!」ツメタイ!アツイ!イタイー!
ほむら「どっちなのよ」クチュクチュ
ほむほむ「ホムゥゥゥー!ホ・・・ホ?」カラダガウゴカナイ
まあ、後は首をよじるだけだ。無限プチプチのようなものなのだろう。
命は無限ではないけれど。
ほむほむ「ホッ・・ホッ・・・―――」コキリ
ほむら「…終わったわ。まともに頭が使えなかったでしょうから、最期にはきっと痛みもなかったでしょうね」
まどか「…ほむらちゃん、お裁縫とか得意なの?」
ほむら「いいえ。全然」
まどか「本当に上手だった!虐待ぽくはなかったけど」
まあ、爆弾を作った事はあるし、手先は器用で悪いことはない。
最初にナニカに言った言葉を思い出す。私は、小動物を虐待する趣味はない。
けれど、殺すのは楽しかった。
地下故に時間の経過が体感できず、さやかがそろそろ帰ろうと呼びかけた時には既に6時を過ぎていた。時間が過ぎ去るのは本当に早い。
外に出るともう陽は沈み真っ暗になっていたが、心の中は不自然に暖かかった。
まどか「今日は遅くまで付きあわせちゃってごめんね。でも、ほむらちゃんがほ虐を好きになってくれて良かった」
ほむら「別に好きじゃないわよ。毛嫌いするほどのものではなかったというだけ」
さやか「またまたぁー。ま、でも、これからもおいでよ。案外楽しかったでしょ?」
ほむら「残念だけど、もうそんな時間はないと思うわ。
でも、またいつか一緒に来ましょう」
さやか「…!うん!あー、本当に良かった…仲直りできて」
赤の他人と仲良くすることは容易い。私はこの二人をなんとしてでも魔法少女にはさせたくない。
まどか「じゃあ、ばいばいだね。お休み、ほむらちゃん」
さやか「また明日ねー!明日は、可愛いさやさやを持ってくからさー!」
まどか「もー、さやかちゃんってば。じゃあねー」
二人と分かれて、帰路に着く。もう本当に時間がなかった。私は私だけの時間を失ってしまった。
異変に気が付いたのは二人と別れた後。使い魔と戦っている、その最中であった。
ほむら「まあ、美樹さやかの言うとおり…危険は出来るだけ取り除いておいた方がいいわ」
ほむら「…時間停止!」
しかし、使い魔は止まらない。相手が攻撃を繰り出す間、狼狽して動けなかった。
マミ「…!ティロ・フィナーレ!」ドォォォォン
同じ目的らしいマミが派手な銃を取り出し、撃つ。威力は申し分ない。
ほむら「…そんな…どうして?時間が止まらないなんて…」
マミ「…ちょっと貴方!どうしたの?敵の前で止まっちゃって…危なかったわよ?」
ほむら「巴マミ…」
マミ「え?どうして私の名前を…どこかで会ったかしら?」
変身を解いたマミと話す。あまりにもおろおろしていて、気がついたら自分の魔法の事を話してしまっていた。
マミ「魔法が使えなくなった…どうしてなのかしらね」
ほむら「…いいえ、多分あれのせいだわ」
マミ「原因が分かっているの?」
ほむら「……」
さすがに願いの内容を話す訳にはいかないが、検討はつく。
佐倉杏子が幻惑の魔法を使えなくなったのと同じだ。
私は、まどかを守る私にはなりたくないと考えてしまったのだ。
虐待を繰り返すまどかには守る意味なんてない、と。
願いを否定したから、私は時間停止が使えなくなった。…そんなところだろう。
マミ「それなら、新しい戦闘方法を考えなくちゃね…私と一緒に、その、戦わない?」
ほむら「…いいわ。ただし、条件がある」
マミ「何かしら?」
ほむら「ここ数日、学校を休んででも私と一緒に行動してちょうだい」
マミ「それは、魔法少女の使命と関わりがあること?」
魔法少女どころかこの世界の人間全てと関係があるのだが。言い得ぬ決意を胸にして、力強く頷く。
ほむら「ええ」
あれから半年。肌寒い季節が顔を見せ、コートを着る人もちらほらと出始める。
願いを否定してしまった故、ループもできなくなった私は、本気でワルプルギスを撃破しようと考えた。
同じ街にいる美国織莉子、呉キリカ、巴マミ、隣町の佐倉杏子に下手に出ながら協力を要請する。
まどかの姿をしたナニカを殺す事は躊躇いがあった。だから、織莉子とキリカの説得には苦労したものだ。
それでも、この街はまだ持っている。まどかもさやかも魔法少女にはなっていない。
キュゥべえもあの二人を勧誘している様子はなかった。何故なのかは分からないけれども。
織莉子、キリカ、マミは全員ほ虐があまり好きではないらしい。杏子はほ虐が何たるかすら知らなかった。
この四人と一緒ならば、もう私はあの…忌々しい出来事を考えずに済む。
私が生き物を殺す事に快感を得ることからも、目を背けていられる。
未来のかたちは不定形ながらも見え始めていた。この四人とならば、私はまともでいられる。
さよなら、まどか、さやか。もう会うことはないでしょう。ワルプルギス退治を目的にしてからはクラスでも殆ど話さなくなり、今では本当に疎遠になっていた。
来年になれば学力毎にクラス分けされて、別々の高校を目指すことになる。
二人は地元の高校に、私は少し離れたところにある進学校を目指しているから、もう何も喋る事はないだろう。
HRが終わって、四人とまた集う。青春の一つの形だった。
どこかで道は曲がり、分かれ、迷路のようにくねっている。もう戻る事は出来ない非日常に思いを馳せ、今日も魔…魔獣を倒す。